目次
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「リフォームとリノベーションの違いって何?」
「リフォームもリノベーションも同じじゃないの?」
などという疑問をお持ちではないでしょうか。
住宅に手を加えて新しく、住みやすい家を作りたいと考えている方なら、一度は感じる疑問ですよね!
そこでこの記事では、リフォームとリノベーションの違いについて、それぞれのメリット・デメリットを交えながらご紹介します。 リフォームとリノベーションの違いを把握して、最適な工事はどちらかを正確に捉えられるようになりましょう!
リノベーションとリフォームの違い5つ
一般的に、リノベーションとリフォームはそれぞれ異なる目的と範囲でおこなわれる施工です。
リフォームとリノベーションには、具体的に以下の違いがあります。
【リフォームとリノベーションの違い】
- 言葉の意味の違い
- 工事の規模の違い
- 設備の性能の違い
- 費用相場の違い
- 築年数での違い
詳しく見てみましょう。
1.言葉の意味の違い
まずは、リフォームとリノベーションの違いについて、その目的に焦点を当ててみていきましょう。
✓リフォームとリノベーションの違い
リフォーム | リノベーション | |
概要 | 老朽化した箇所を修復し若返らせて新築時のような価値を再び取り戻す工事 | 既存の建物に対して新たな機能や価値を付け加える改装工事 |
工事箇所 | 住宅の一部 | 一部から全体 |
工期 | 短い | 中長期的 |
工事規模 | 小さい | 大きい |
仮住まい | 基本的に不要 | 必要 |
事例 |
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「リフォーム」とは、老朽化などでダメージを受けた部分を、新築時のような状態に「戻す」工事を指します。一方リノベーションは「刷新」を意味しており、機能や設備に元々はなかった「新たな価値を加える」ことを目的とした工事です。
つまり、リフォームはマイナスをゼロに、リノベーションはゼロに「プラスアルファ」する目的があることがわかります。
なお弊社株式会社ユニテでは、これまで約30年間の営業実績における豊富な経験から、数百件のリノベーションをおこなってきました。多くの方が、以下のようなライフスタイルの変化に伴った住宅をリノベーションされていました。
✓リノベーションの理由例
|
このことから、リノベーションがライフサイクルや状況に合わせて、現状の家を暮らしやすくするために付加価値を付けるためにおこなう工事だということがわかります。
2.工事の規模の違い
リフォームとリノベーションでは、工事の規模感も異なります。
【リフォームとリノベーションの工事規模の違い】
リフォーム | リノベーション | |
規模 | 比較的小さい | 比較的大きい |
内容 | 設備交換・壁紙の貼り替え など | 間取り変更・ライフラインの交換や移動など |
工期 | 当日〜1か月程度 | 3〜4か月程度 |
設備の部分的な変更や修繕を指すリフォームは、比較的規模が小さくなる傾向です。
一方のリノベーションでは、間取りや水回り設備の移動、冷暖房換気設備の変更などが生じるため、比較的規模が大きくなります。
また近年では、内装や外装をすべて撤去して建物の躯体だけを残す「スケルトンリノベーション」も注目されている傾向です。
3.設備の性能の違い
リフォームとリノベーションでは、住宅設備の性能のレベル感も異なります。
日本において、新築時と同等あるいはそれ以下の場合は「リフォーム」、改修の結果新築以上の性能が付与される場合は「リノベーション」に分類されることが一般的です。
リフォームは住まいの一部分のみを改修する工事ですので、建物内部の性能の部分までは対応できません。
一方のリノベーションは壁を撤去したり床下を整備したりするため規模が大きく、普段は表面に見えない部分の改修も可能です。
4.費用相場の違い
リフォームとリノベーションでは、費用にも違いが生じます。
リフォームは住宅の一部分だけを改修する工事であるため、費用は施工箇所によって変動します。
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、リフォームにかかった平均資金額は206万円、資金の借り入れ返済は30年未満です。
一方リノベーションの費用相場は、建物の延べ面積や採用する建材や設備のグレードによって変動します。
たとえば40平方メートルの場合は600〜850万円程度、80平方メートルなら900〜1,700万円程度です。
費用は施工内容でかなり差が出るため、自身が希望するリノベーション内容を早めに把握して、資金準備することが大切だといえます。
リノベーションの費用については「実例で見る!リノベーションにかかる費用と抑えるコツ」でも詳しく解説しています。
5.築年数での違い
リフォームとリノベーションでは、建物の築年数に応じた改修内容が求められます。
築10年以内の築浅物件では、躯体へのダメージや設備の劣化などはほとんどないため、新築時のような状態に「戻す」ための工事である「リフォーム」が適しています。一方、築20年以上の築古物件は「新たな価値を加える」ことを目的としたリノベーションが推奨されることが多いです。
施工内容は住宅の状況や状態によって一概にいえませんが、築10年以内の築浅物件をリフォームするよりも、築20年以上の築古物件をリノベーションするほうが費用が高くなる傾向があります。
目安をまとめた以下の比較表をご覧のうえ、工務店に内覧を依頼してどちらにするか検討してもよいでしょう。
✓築浅物件リフォームと築古物件リノベーションの比較表
築浅リフォーム(築10年以下) | 築古リノベーション(築20年以上) | |
工事費用 | 安い | 高い |
物件の選択肢 | 少ない | 多い |
工期 | 1週間~1か月 | 1か月~ |
以下は中古物件および築古物件のリノベーションに関するコラム記事です。築年数のリノベーションについて詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
中古住宅リノベーション完全ガイド!物件選びに後悔しないためのコツと注意点
メリット・デメリットにおけるリフォームとリノベーションの違いは?
リフォームとリノベーション、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていく前に、早見表で違いを確認しましょう。
【リフォームとリノベーションのメリット・デメリット早見表】
メリット | デメリット | |
リフォーム |
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リノベーション |
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リフォームのメリット・デメリット
ここでは、リフォームをするメリット・デメリットをピックアップして、以下にご紹介します。
【リフォームのメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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リフォームは比較的規模が小さいため、工期も短く安く施工できます。ただし、理想通りの完成度にならなかったり、築年数によっては施工できなかったりするデメリットも。それぞれ詳しくみていきましょう。
リフォームのメリット
リフォームは部分的かつ表面的な改修工事という点から、短ければ当日中、長くても1か月程度と工期が短めです。
住みながら行われる工事が多いため、引越し費用や仮住まい費用はほとんど発生しないというメリットがあります。
また規模が小さい工事という点から、リフォーム完成後のイメージがしやすい点も特徴です。
予測しきれなかった不満・不便な点が、完成後に出てくるという心配もありません。
リフォームのデメリット
リフォームはあくまでも「傷んだ部分を交換して元の状態に戻す」ことを目的にしています。
しかし工事の規模が小さいということは、できることが限定され、工事の自由度が低くなるということです。
リフォームでは耐震性の向上や生活導線の改善、省エネ対策などといった住宅の性能を大幅に向上することが難しくなります。
そのため新しくした場所と既存の場所に、デザインや性能の違いが出てしまう可能性があるのです。
全体的なコンセプトの統一を図りたい時や、クオリティにこだわりたい場合は、リノベーションのほうが適しているでしょう。
また築年数によっては、リフォームの施工範囲だと不十分なケースも多いです。リフォームした数年後に別の箇所に不具合が出てきてしまい、2〜3年に1度のサイクルで小さな工事をし続けているケースもあります。
その場合はリノベーションで一気に解決してしまったほうが結果として安くなるかもしれません。
リフォームを検討していてデメリットが心配な方は、以下の記事で事例を確認することをおすすめします。
【戸建て・マンション共通】
和室を洋室にリフォームした実例をもとにおしゃれに仕上げるポイントを解説!
【戸建て】
【マンション】
【マンション】和室リフォームのポイント!費用相場とコーディネートのコツ
【事例紹介】予算300万円でできる!マンションフルリフォームを成功させる6つのコツ 200万円でマンションをリフォーム!できる施工と費用を実例で紹介
リノベーションのメリット・デメリット
リノベーションは「子どもが生まれた」「親と同居することになった」「介護が必要になった」など、ライフスタイルの変化に合わせた工事が可能です。
リノベーションには、以下のメリット・デメリットがあります。
【リノベーションのメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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ここからは、リノベーションのメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。
リノベーションのメリット
リノベーションは理想通りの暮らしが実現しやすい点が特徴です。
工事規模が大きいため、間取りの自由度が高く、理想のレイアウトが実現できる可能性が高まります。古い築年数の家に最新の設備を搭載し、住みよくすることも可能です。日本家屋のよさを残しつつ快適に暮らすケースなどは、リノベーションが適しています。
さらに新築よりも好条件で同レベルの家に住める可能性も高いため、ライフスタイルの変化に伴う刷新であれば、リノベーションが最適でしょう。
参考記事:和室リノベーションの費用相場と施工のコツ!おしゃれなリフォーム例もご紹介
リノベーションのデメリット
一方で、リノベーションは緻密な計画が必要です。
工期にかかる時間やトータル費用の捻出、耐久性への対策など、準備を万全にしてから実行しなければ失敗してしまいます。
また、工期が長くコストが高くなるのもデメリットです。自由度が高いぶん、設備やクオリティにこだわりすぎるとかなり高額になります。フルリノベーションを希望するケースでは、通常リノベーションよりも高い費用が必要になるでしょう。
工期が長くなれば、引っ越し費用や仮住まい費用も発生します。施工にかかるお金以外の諸経費も高くなることを考慮しなければなりません。
リフォームとリノベーションの費用相場
ここからは、リフォームのリノベーションの費用相場について詳しくみていきましょう。
【リフォーム・リノベーションにかかる費用の目安一覧】
施工場所 | 施工内容 | 費用相場 |
水回り | お風呂・トイレ・洗面所・キッチン | 10万〜400万円 |
内装 | 床や壁・間取りの変更 など | 6万〜400万円 |
外装 | 屋根や外装、基礎 など | 20万〜2,500万円 |
その他 | ウッドデッキ・オール電化・太陽光発電 など | 10万〜300万円 |
参考:国土交通省「事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する検討会第1回配布資料「部位別リフォーム費用一覧」
上記のように金額にはかなりの差があるため、明確に施工金額を把握したいメンズは、一度施工業者に相談してみるといいでしょう。
リフォームの費用相場
一般的なリフォームの費用相場については、以下を参考にしてください。
【リフォームの費用相場】
壁や屋根の張り替え工事 | 5~50万円 |
畳をフローリングに変更 | 15万~(6畳の場合) |
トイレ交換 | 20~40万円 |
水回り設備の設置 | 50~100万円 |
リビング・ダイニング | 150~450万円 |
リフォームで多い施工内容は、「水回りの設備交換」や「内装工事」に関するリフォームです。これらは比較的早く痛みや不具合がでやすいため、リフォームでおこなわれることが多い傾向があります。
ここからは、水回りと内装のリフォームに関する費用相場について詳しくみていきましょう。
水回りのリフォームにかかる費用
水回りのリフォームにかかる費用は、20〜100万円ほどの価格帯が多いです。ただし、新しく設置する設備のグレードに大きく左右されます。洗面台やトイレのリフォームは、比較的安い100万円以下でできることが多いです。
一方、お風呂やキッチンはグレードの高いものを選ぶと100万円を超過することもあります。お風呂のリフォームでは、在来工法からユニットバスへと変更する場合に費用が高くなる傾向です。
またキッチンは、設置個所や新設するキッチンのタイプによって変動します。一般的に、壁付けやカウンターキッチンよりも、アイランドキッチンのほうが高額になりやすいです。
内装リフォームの工事にかかる費用
内装に関するリフォーム内容は、「壁紙(クロス)」または「床」がメインになるでしょう。素材と工法によって以下のように相場が変動するため、参考にしてみてください。
【内装リフォームの費用相場】
クロス貼り替え | 一般的なグレード:800〜1,000円/㎡ ハイグレード:1,000〜1,500円/㎡ |
床の張り替え | 【フローリング→フローリングのケース】 上張り工法:1〜1,4万円/㎡ 張り替え方法:1.2〜1.5万円/㎡ 【畳→フローリングのケース】 1.5〜1.9万円/㎡ |
クロスの貼り替えは、一般的な量産型タイプなら1㎡あたりおおよそ800〜1,000円程度が相場です。ただし、より高いグレードにしたいという場合は、1㎡あたり1,000〜1,500円ほどの価格帯になります。
また、床の張り替えリフォームでは、工法によって多少の差はあるものの、1㎡あたり1〜2万円ほどが相場です。上張り工法は既存の床の上に新しい床材を貼り付けるリフォーム、張り替え工法は古い床をすべて撤去して新しい床材を敷くリフォームを指します。
リノベーションの費用相場
ここからは、約30年の実績を持つユニテが過去に施工した、実際のリノベーションにかかった費用相場を紹介していきます。施工範囲や内容によって変動はありますが、1つの指標としてお役立てください。
以下は2023年12月時点での価格相場です。
施工内容 | 施工内容と費用相場 |
玄関ドアの取り換え | 45〜65万円 (サイズや種類によって変動する) |
リビング(15帖) | 15帖の場合で約45万円 (壁と天井クロス、床フローリングの施工のみ) |
キッチン | 100〜200万円 (設備交換のみ、位置やサイズに変更なし) |
洗面脱衣室 | 20万円〜 (設備交換と内装工事、設備のグレードによって変動する) |
浴室 | 100〜300万円 (ユニットバスの設備により変動する) |
トイレ | 30〜80万円 (トイレの設備によって変動する) |
実際の施工事例がみたい方は「【実例あり】リノベーション費用はいくらかかる?工事パターン別で解説」もご覧ください。
ここからは、間取り変更のリノベーションと、スケルトンリフォームにかかる費用について解説していきます。
間取り変更のリノベーションにかかる費用
間取り変更のリノベーションの内容と費用相場は以下の通りです。
【間取り変更のリノベーションにかかる費用】
間仕切りの設置 | 1箇所あたり8〜25万円程度 (壁・ドア・アコーディオンカーテンなど) |
間仕切りの壁撤去と補修 | 1箇所あたり7〜23万円程度 |
上記はあくまでも間取り変更にのみかかる費用なので、部屋全体をリノベーションする場合はさらに床や天井、クロスの貼り換え費用が発生します。壁を新しく設置する場合は、価格だけでなく遮断性なども考慮するといいでしょう。
もっとも遮断性に優れているのは壁の新設で、防音性やプライバシー性を高めたいときに適しています。開閉式のアコーディオンカーテンなら、1箇所あたり2.5〜10万円程度の安い価格で施工可能です。ただし、遮断性には劣るため、よく検討して設置しましょう。
スケルトンリフォームにかかる費用
スケルトンリフォームにかかる費用相場は、施工内容によってかなり変動するため一概にはいえませんが、施工範囲の広い戸建てのほうが費用が高くなる傾向です。
【スケルトンリフォームにかかる費用相場】
戸建て | 5〜30万円/㎡ |
マンション | 5〜20万円/㎡ |
スケルトンリフォームは、建物を躯体の状態まで解体する規模の大きいリノベーションです。戸建ての場合は、「内装のみのスケルトンリフォーム」をおこなうケースと、屋根や外壁まで撤去する「内外装のスケルトンリフォーム」をおこなうケースがあります。
マンションの場合は、天井や柱・壁などを撤去する「内装のみのスケルトンリフォーム」が基本です。外装をいじることはできないので、間取り変更や断熱性向上などがメインになります。
【リフォームかリノベか】結局どっちがいいの?
一見すると似ているリフォームとリノベーションですが、工事の目的は異なるため一概に「どちらが良い」と言い切るのは難しいといえます。
一般的には、築浅物件はリフォーム、築古物件はリノベーションが妥当ですが、目的やメリット・デメリットを明確に把握したうえで施工することが大切です。
【判断基準の例】
リフォーム | 現状維持できる修理的な改修がしたい 築浅物件を改修したい 安い費用で施工したい 短い期間で施工してもらいたい 施工期間も住み続けたい |
リノベーション | 抜本的な改修工事がしたい 古い物件を住みよくしたい ライフスタイルに合った間取りにしたい 費用よりもクオリティにこだわりたい |
すでに住んでいる住宅に対して、リフォームまたはリノベーションをおこなう場合は「住宅に新たな価値を追加するのか」を基準に考えるとわかりやすいですよ!
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まとめ
今回は、リフォームとリノベーションの違いについて解説しました。
一見同じに見えるリフォームとリノベーションの大きな違いは、工事範囲と「新築の状態に戻す」か「新しい価値を加えるか」という「目的」です。
この記事で紹介した違いやメリット・デメリットを参考に、自身の住宅がリフォームとリノベーションどちらが適しているのかの指標にしてみてください。