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【家の増築リノベーション】増築できないケースや確認申請の流れについて解説

増築したいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々な経験から、増築に必要な確認申請の基本をまとめてみました。

「増築の確認申請ってよく見聞きするけど、どういう意味なんだろう?」
「リフォームやリノベーションの際には必ず増築の確認申請が必要?」
「増築の際に確認申請をしないとどうなるの?」
「あとから増築の確認申請ってできるの?」

 

こんなことをお考えではないでしょうか?

 

端的にいうと、確認申請が必要になるのは次の2つの条件を満たしている場合です。

 

  • 10平方メートル以上の増築工事
  • 準防火地域または防火地域の増築工事

 

以上のうち、いずれか1つに当てはまる場合は、確認申請をしなければなりません。

 

この記事では、増築をおこなうメリットやデメリット、確認申請をおこなう流れや費用について詳しく解説していきます。

さらに、建築申請が必要になる建物の基準や、申請が通らないケースについてもあわせて紹介していきますので、増築をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

【基礎知識】増築の定義

【増築の定義早見表】

床面積 増える
具体的な工事例 1階建てを2階建てにする
敷地内に離れを作る
バルコニーや庭を増設する

増築は、一般的に「建物の床面積を増やす」工事のことを指します。バルコニーやべランダの設置や平屋を2階建てにする工事など、既存の敷地内に新しく建物を追加する内容の工事が「増築工事」に該当する形です。

 

増築については以下の記事でも別途詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。

増築の意味や定義とは?基礎知識をわかりやすく解説
増築にかかる費用相場はいくら?費用を抑える方法と増築の注意点もご紹介

 

また、増築と混同しやすいのが「改築」です。改築については「【改築とは】増築・改修との違いや施工のコツをわかりやすく解説」にてご紹介していますので、増築化改築化で悩まれている方はご一読ください。

【リノベーション】増築前に確認すべきポイント

ここからは、増築前に知っておくべき「増築確認申請」について詳しく解説していきます。 「増築確認申請」は、どんな増築をするのかを自治体に申請し、建築基準法に合致しているかどうかを確認するために必要な申請です。

建物には、法律や条例によりさまざまな基準や制限が設けられています。そのため、これらをきちんとクリアした増築であるかどうかを、専門家に確認してもらう必要があるのです。

確認申請を提出すると、建築主事や指定確認検査機関などが増築する建物の確認をおこない、問題がなければ「確認済証」が発行されます。

この確認済証がないと原則着工が開始できません。

詳しくは後述しますが、確認申請が必要なのにもかかわらず対応しなかった場合は、厳しい罰則を受けることになるでしょう。

増築時に確認申請が必要になる4つのケース

増築する際に確認申請が必要になる建物は、第一号から第四号まで、区域・用途・構造・規模・増築の規模によって異なります。

確認申請が必要な建物の基準は以下の通りです。

 

条文 区域

用途

構造

規模 建築

大規模の修繕

大規模の模様替

一号 全国一律 特殊建築物 200㎡超
二号 木造

3階以上

500㎡超

高さ13m超

軒高9m超

三号 木造以外の建物

2階以上

200㎡超

四号

都市計画区域

準都市計画区域

準景観地区

知事指定区域

一号~三号以外の建築物


 

条文一号の「特殊建築物」というのは、映画館や病院、ホテル、学校、飲食店、自動車車庫など、人が多く集まる施設のことです。

住宅の場合は二号から四号のいずれかの条件に該当するため、確認申請が必要になります。

 

また二号から四号に当てはまらない場合でも、以下に当てはまる場合は確認申請が必要です。

 

  1. 増築する床面積が10平方メートル以上ある場合
  2. 防火地域または準防火地域に家がある場合
  3. 木造3階建ての場合
  4. 木造以外の構造で2階建ての場合

 

以下からは、実際の増築を想定した例を挙げて解説していきます。

 

確認申請の事例1:増築する床面積が10平方メートル以上ある場合

増築する部屋の床面積が合計で10平方メートルを超える場合は、確認申請をおこなう必要があります。

以下の画像は、赤色の部分を増築する予定の物件です。
赤色の部分の床面積は10平方メートルを超えるので、確認申請が必要になります。

参照:建築基準法第6条第2項

 

確認申請の事例2:防火地域または準防火地域に家がある場合

 

防火地域や準防火地域は、火災の被害を最小限に抑えるために指定される地域です。

多くは駅前や建物が密集している箇所、幹線道路の近くが指定されています。

防火地域や準防火地域に指定された区域では、火災時に建物の延焼を防ぐため確認申請が必要です。

詳細は自治体ごとに決められているので、事前に確認しておきましょう。

参照:建築基準法第6条第2項

確認申請の事例3:木造3階建ての場合

 

木造3階建ての建物は「二号」の基準に当てはまるので、増築の際は確認申請が必要です。

二号に当てはまる建物は、木造2階建ての建物とは全く基準が異なるので、より厳格な申請になります。

実際には確認申請書に「構造計算書」を添えて提出しなければなりません。

すでに3階以上の階数がある建物を増築する場合は、確認申請が必要と覚えておきましょう。

 

確認申請の事例4:木造以外の構造で2階建ての場合

木造(W造)以外の造りで2階建て以上の建物の場合は、先述した表の「三号」に当てはまるため確認申請が必要になります。具体的な構造は以下の通りです。

【三号に該当する建物の構造の例】
  • 鉄骨造(S造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)

 

木造と鉄骨造、鉄筋コンクリート造で基準を混同しないように注意しましょう。

増築時に確認申請が不要になるケースもある

確認申請が不要になるケースは、以下の通りです。

 

【確認申請が不要になる条件】
  • 防火地域・準防火地域に該当しない
  • 増築面積が10平方メートル以内である

 

上記の条件を両方満たすケースでは、確認申請は原則不要とされています。

ただし自治体によっては例外もあるため、お住まいの自治体や施工店を通して、一度確認しておくと安心です。

確認申請をしなかった場合のリスクに注意

確認申請に関する罰則は、主に以下の2種類です。

 

【確認申請を怠り罰則が適用されるケース】
  1. 確認申請をしなかった場合
  2. 確認申請を行わず、県からの停止命令を無視して工事を断行した場合

 

詳しく見てみましょう。

1.確認申請をしなかった場合

確認申請の必要性を無視して申請書を提出しなかった場合は、建築基準法第99号1号により「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科されます。

この場合、罰則が科せられるのは建築主である依頼者本人(施主)です。

2.確認申請を行わず、県からの停止命令を無視して工事を断行した場合

確認申請をおこなわずに県からの停止命令を受けたにもかかわらず、それを無視して工事を強行した場合には、さらに重い罰則が課せられます。

適用される罰則は、建築基準法第9条第1項の違反により「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」です。

実際には次の手順で罰則が科されます。

 

【工事を強行した場合に罰則を受けるまでの流れ】
  1. 確認申請をしないまま工事をスタート
  2. 県からの視察が入る
  3. 工事の停止命令
  4. 停止命令を無視して工事を断行する
  5. 罰則の適用

 

この場合は工事を依頼した施主および、工事を実際におこなっている業者が対象になります。

ただし確認申請を怠ったらすぐに罰則が適用されるわけではありません。近隣住民や関係者から通報が入り、実際に確認がとれてからになります。

 

確認がとれた後も、命令に従って是正を進めていれば罰則を受ける可能性は低くなるでしょう。しかし確認申請を怠った建物はとても危険です。確認申請の必要性を理解して、申請は怠らないようにしましょう。

【確認申請の流れ】3つの手順と費用相場

確認申請は施主が責任をもって行います。

ただし確認申請には専門知識が必要なので、実際には工事を委託した建築業者が代理としておこなうことがほとんどです。詳しく見てみましょう。

確認申請の流れ

確認申請と工事の流れと検査は、主に以下のように分けられます。

【確認申請と工事の流れフローチャート】

詳しい手順について、以下より詳しく解説します。

手順1:工事前の確認「確認申請」

 

確認申請の前には増築プランである「設計図書の作成」が必要ですので、増築を依頼する業者の選定をおこない、相談しながら作成します。

設計図書に含まれる内容は、以下の通りです。

 

【設計図書の記載内容】
  • 意匠設計:建物のデザイン
  • 設備設計:水まわりや空調、電気
  • 構造設計:骨組の設計

 

それぞれに誤りがないか業者と綿密に確認を重ねて、増築プランの設計をおこないます。

設計図書の作成が完了次第、工事業者や建築士に確認申請の手続きを依頼するのが一般的です。

また確認申請には最長で以下の期間が必要になるため、計画時の参考にしてくださいね。

 

【確認申請にかかる期間の目安】

確認審査 35日
構造計算適合判定 35日

 

「構造計算適合判定」とは、法律の基準を満たしているかの確認作業を指します。

確認申請は一般的には2~3週間程度で受理されることが多いようですが、最長で70日間かかることもあるため、注意しましょう。

申請が受理された後は「確認済証」が発行され、正式に工事の着工が認められます。

手順2:工事中の確認「中間検査」

「中間検査」は原則、建売住宅の場合のみ必要ですが、工事内容によっては工事途中の確認である「中間検査」も行う場合があります。

「中間検査」は施工業者のほうで対応してくれるので、施主側は検査の存在を把握しておけば基本的に問題ありません。

ただし中間検査で不備があった場合、改めて確認申請が必要になることをあらかじめ覚えておくと安心です。

また工事の計画を変更する場合は、確認申請を再度行わなければならないため注意しましょう。

 

手順3:工事後の確認「完了検査」

 

工事完了後におこなわれる「完了検査」では、最初に提出された設計図に沿って工事されているかの確認をおこないます。

審査によっては時間がかかる可能性もあるので、工事計画は余裕を持って立てましょう。

確認申請の提出者と費用相場

確認申請は工事の費用を支払って業者に依頼する人、つまり施主が「提出者」に当てはまります。

前にご紹介した確認申請をおこなわなかった場合の罰則も「提出者」に科せられるので、間違いのないよう、正しくおこなわなければなりません。

ただし実際は工事を依頼する建築業者が代理人として代わりに確認申請をします。

その際は確認申請にかかる費用のほかに、代理提出した手数料も発生するため、見積もり時には十分注意しましょう。

また確認申請にかかる費用の目安は次の通りです。

 

床面積の合計 確認手数料 中間検査手数料 完了検査手数料
30㎡以内 ¥5,000~ ¥10,000~ ¥10,000~
31㎡~100㎡以内 ¥40,000 ¥40,000 ¥50,000
100㎡超 ¥50,000 ¥50,000 ¥60,000

 

建築申請にかかる費用は各自治体ごとに変動するため、上記はあくまでも目安として参考にしてくださいね。

増築工事で確認申請が通らない4つの要件

増築工事の際に、確認申請に通らない建物は「違法建築」になります。以下に該当する場合は確認申請が通らない可能性があるため注意が必要です。

 

【増築工事で確認申請が通らないケース】
  1. 建ぺい率や容積率がオーバーしてしまう
  2. 既存不適格建築物や再建築不可物件に該当する
  3. 高さ制限に引っかかる
  4. 途中で図面に変更した

 

スムーズに申請が通るよう、ここでは確認申請が通らない場合の事例をご紹介します。

増築できない事例1:建ぺい率や容積率がオーバーしてしまう

増築時の確認申請が通らない事例の多くは「建ぺい率」や「容積率」が基準を満たしていないというケースです。

 

建ぺい率とは、敷地面積に対する建物面積の割合で、以下の計算式で求められます。

建ぺい率(%)=建物面積÷敷地面積×100

建ぺい率は土地によって上限が決まっているため、増築の際は十分注意しなければなりません。

 

対して容積率は、敷地面積に対する延床面積の割合です。容積率も土地によって決まっています。

 

【建ぺい率と容積率の違い】
  • 建ぺい率:建物面積の合計(2階建てなら1階と2階で広いほうの面積)
  • 容積率:床面積の合計(2階建てなら1階の床面積+2階の床面積)

増築できない事例2:既存不適格建築物や再建築不可物件に該当する

すでに建っている建築物が耐震性、防火性の基準を満たしていない場合は、基準を満たしてからでないと確認申請は通りません。

 

「既存不適格建築物」とは、法改正や都市計画の変更によりあとから「不適格」になってしまった建物のことを指します。

既存不適格建築物は違法建築ではないため、手を加えない限りはそのまま住み続けることも可能です。しかし、一定規模の増改築をおこなう場合は、現状の法律で定められた基準を満たした物件にしなければなりません。

 

また建築基準法第43条にある「接道義務」を満たしていない物件のことを「再建築不可物件」と呼びます。

再建築不可物件に該当する場合は、原則として増改築やリフォームをおこなうことができません。

ただし例外も存在するため、一度自治体や建築士に相談することをおすすめします。

増築できない事例3:高さ制限に引っかかる

住居には「指定の高さを超えて増築できない」という制限があるため、「高さ制限を超過している」と確認申請が受理されません。

高さ制限の有無はお住まいの地域によって多少変動しますが、一般的には10~12メートル以内で設けられています。

一般的な住居に例えると、木造なら3階、コンクリート造なら4階の高さが目安です。

高さのある増築を検討している人は、住居が高さ制限を受ける地域かどうか、事前にチェックしておくことをおすすめします。

増築できない事例4:途中で図面を変更した

最初の確認申請後、途中で図面を変更すると完了検査や中間検査に通りません。

たった数センチの変更で再度、確認申請からやり直す必要があるので、一度申請が通った後は変更がないように、事前に綿密な増築計画を練りましょう。

増築を伴う確認申請でよくある質問

この項目では、増築を伴う確認申請でよくいただく質問について、当社ユニテの回答をQ&A形式でご紹介します。

確認申請が不要とされる10平方メートル以下の床面積の増築を、複数にわたって行う場合は?

防火地域や準防火地域外では、10平方メートル以下の増築であれば確認申請は不要です。しかし、同様の規模の増築を複数回行い、累計で10平方メートルを超える場合は、確認申請が必要になります。

そのため小規模な増築を繰り返す可能性がある場合は、お住まいの地方自治体や確認検査機関、施工業者に事前相談しましょう。

ひさしや塀、野外階段の増築では確認申請は必要なの?

ひさしや門、塀、野外階段の増築には、面積に関わらず確認申請が必要です。特に、塀は高さが120センチメートルを超えると控え壁の設置が義務付けられ、2メートルを超えると申請が必須になります。

また、ひさしや屋外階段では、たとえ追加面積がなくても、法的に確認申請が求められます。

お住まいの地域によっても多少変動があることも考えられるため、地方自治体への確認および施工業者へ確認すると安心です。

サンルーム、ロフトを増築したい場合も確認申請は必要?

サンルームやロフトを増築する際は、条件によって建築確認申請を行わなければなりませんが、特にロフトの増築を検討されている場合は注意が必要です。

ロフトは、床から天井までの高さが1.4メートル以下で、かつその階の床面積の半分未満であれば、一般的に申請は不要とされます。

しかしお住まいの地域が防火・準防火地域の場合、増築面積に関わらず申請が必須です。

 

また防火・準防火地域に指定されていない場合でも、サンルームやロフトを増築するにあたり、10平方メートルを超える場合や、建ぺい率を超える場合は、確認申請が必要になります。

地方自治体による細かな規定を満たさなければなりませんので、お住まいの地域にある窓口や担当の施工業者に事前確認しましょう。

建物を減築する際も確認申請をしなければいけないの?

建物を減築する時は床面積が減少するため、原則として確認申請は不要です。

しかし減築と同時に以下が生じるという場合は、確認申請が必要になることがあります。

【減築と伴に行う工事内容次第で確認申請が求められる場合】

  • 減築に伴い用途変更を行う場合
  • 減築とともに大規模な修繕を行う場合
  • 建物の構造自体に大きな変更を加える場合

 

また減築によって他の申請が必要になる可能性も考えられるため、施工業者とともに入念に確認すると安心です。

【トラブルを回避!】増築リフォームは実績のある業者に依頼しよう

増築リフォームをおこなう際は、実績と信頼のある業者に依頼するのがおすすめです。

建物の専門家である建築士が確認申請を行えば問題ないように思えますが「何度も打ち合わせをして、設計図にOKを貰っていたのに確認申請が通らない」などというトラブルが多く発生しています。

 

さらに図面の変更や工期の延長に追加費用を請求されたという事例もあるようです。無理な増築でない限り、確認申請が通らないのは建築士の技量不足です。

このようなトラブルに発展しないよう、増築リフォームは確認申請に対する知識が深いだけでなく、信頼できる業者に依頼しましょう。

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まとめ

本記事では増築にかかる確認申請について、計画から書類の提出、実施にかかる内容を網羅的にご紹介しました。

建物には、建築基準法を中心としたさまざまな基準や制限が設けられており、増築においても全てクリアしているかどうかを、確認申請を通して専門家に見てもらわなければなりません。

本記事を参考に、自身の希望するリフォームが実現できるよう、施工業者と協力しながら増築計画を立ててみてくださいね。