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【古民家リノベーション完全バイブル】まず知るべきことを把握しよう

古民家をリノベーションしたいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々な経験から、古民家リノベーションの基本やメリット・デメリットをまとめてみました。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「実家が築50年くらいの古民家だけど、今後どのように活用しよう」
「家族の将来や健康面なども考慮して古民家を購入するか迷っている」

 

など考えていませんか?

 

最近では、「古民家リノベーション」という言葉をインターネット上でも見る機会が増え、興味を抱く方もいるでしょう。

古民家リノベーションは、昔の雰囲気を残したまま住みやすいデザインにしたり、機能をUPさせる施工方法のひとつ。
活用すれば、実家をより快適に利用できたり、将来のことも考慮した家づくりが実現できます。

 

この記事では、古民家リノベーションに興味がある方へ向けて、まず知っておくべき内容をまとめてご紹介します。
古民家リノベーションを検討するにあたって知るべきことを把握し、理想の家づくりの参考にしてみてください。

古民家の定義

古民家には、以下のような定義があります。

 

古民家の定義
  • 築年数が50年以上の戸建て
  • 日本に伝わる伝統工法で建てられた建物

 

金具を使わず太い柱と梁を組み合わせて、崩れないように建築されていることが特徴です。
最近では、古民家に長く住めるようリノベーションして、現代的な住宅スタイルと混在させる方も増えつつあります。

古民家リノベーションの種類

古民家リノベーションには大きく2つの種類があります。

 

古民家リノベーションの主な種類
  • 古民家の再生
  • 古民家の建て替え

 

古民家が持つ品格や独自の雰囲気を残しつつ、現代に合わせた快適さも取り入れる方法が多く見られます。
詳しくご紹介します。

古民家の再生

 

1つは、古民家を再生させるという方法です。
古民家の再生とは、主に以下のような3つの方法で行われます。

古民家の再生方法
  • 機能面だけを「再生」する
  • 内装を「再生」する
  • 完全に現代風にする

 

再生といっても、古民家の状態や理想とする完成イメージによって施工内容が変化しますので、覚えておきましょう。

 

古民家をどのように再生させようか方法がわからない方や、どのようなリノベーションが自身に合っているかを検討したい方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。

古民家の再生方法に関する具体事例も確認できます。

古民家再生リフォームのメリット・デメリットや活用方法まとめ

古民家の建て替え

 

もう1つは、古民家を取り壊して、新しい家に建て替える方法です。

例えば柱や梁が老朽化し、新しくしなければならない場合は、施工業者から再生ではなく改築をすすめられることがあるでしょう。
古民家を取り壊した後に、合計の床面積を変えずに新しい家を建て直す時は、改築に該当します。

古民家をリノベーションするメリット・デメリット

今よりも暮らしやすい古民家にリノベーションすることを検討している方は、
「どんなメリットがあるのだろう」「デメリットはなんだろう」と考える方もいるでしょう。

古民家をリノベーションする際のメリットとデメリットは以下の通りです。
 

メリット デメリット
  • 昔ながらの日本家屋を保存できる
  • 体調に配慮した家づくりができる
  • 自分だけの家を保有できる
  • 固定資産税が軽減できる
  • 再生できない古民家を選びがち
  • 業者選び次第では理想通りにいかない
  • 耐震性や耐熱性・断熱性に不安が残る
  • 慎重に再生計画を練らないと失敗や後悔しやすい

 

メリットとデメリットを把握して、古民家リノベーションが実現したい暮らしに合っているか確認してみましょう。

メリット

 古民家をリノベーションするメリットを、もう一度見てみましょう。

 

メリット
  • 昔ながらの日本家屋を保存できる
  • 体調に配慮した家づくりができる
  • 自分だけの家を保有できる
  • 固定資産税が軽減できる

 

昔ながらの日本家屋を残しながら、自分だけの家を保有できるというだけでなく、天然素材で出来ている古民家だからこそ、家族の健康も守れる家づくりが実現できそうですね。


詳しくご紹介します。

昔ながらの日本家屋を保存できる

 

古民家をリノベーションすることで、昔ながらの日本家屋を保存しながら、安全で快適に生活することが可能です。

国土交通省の資料によれば、日本の住宅利用期間は平均30年というデータが出ています。

日本では、まだひとつの家を長期にわたって活用する事例が少ないのです。

アメリカは約55年、イギリスに至っては約77年と日本の約2倍の保存期間であり、ひとつの家に長く住む傾向がわかります。
もちろん、地理的条件や気候もありますが、注目したいのは日本国民の約8割が新築思考ということです。

 

新築思考が強く、空き家問題が表面化している昨今の日本。
古民家をリノベーションすることで、住宅の長寿命化がはかれるだけでなく、持続可能な社会(SDG’s)をつくっていくことにもつながります。

体調に配慮した家づくりができる

 

天然素材で設計されている古民家は、体調に配慮した家づくりをしたい方にもメリットがあります。
新築で家を建てた方の中には、「シックハウス症候群」と呼ばれるアレルギー症状が出てしまったという方も一定数存在します。

シックハウス症候群の原因とされているのは、以下の3点です。

 

シックハウス症候群の原因
  1. 建材や建具・壁紙などの接着剤や塗料が気化することによる化学物質の吸い込み
  2. 引越し後の室内に潜むダニ
  3. カビやホコリ

 

昨今の新築住宅では、断熱・遮音効果のある気密性の高い空間が好まれる傾向にありますが、換気設備が整っていないとシックハウス症候群が生じやすいです。

2003年以降、建築基準法の改正により、化学物質の制限や換気システムの設置が義務化され、シックハウス症候群の対応策が取られるようになりました。
それでも、人によっては不安が残るものです。

 

古民家は、シックハウス症候群の原因のひとつである新建材が使われておらず、家の基礎である柱と梁を木材で組み合わせて設計されています。
したがって、シックハウス症候群のようなアレルギーやアトピーの症状が出にくいのです。

自分だけの家を保有できる

 

古民家のリノベーションは、自分だけの家を入手できるという点でも魅力的です。
自分あるいは家族がこだわるポイントを現代風にアレンジしたり、昔ながらの古民家スタイルを残しながらリノベーションするなど、思いのままにできます。

ユニテで実際に古民家リノベーションさせていただいたお客様の家も、それぞれこだわりのある仕上がりになっています。


気になる方は、こちらから施工事例を確認してみてください。
古民家リノベーションの施工事例を確認する

固定資産税が軽減できる

 

古民家をリノベーションして住むことで、固定資産税の軽減が期待できます。
古民家に限らず、リノベーション工事をするにあたっては、以下のような減税制度が適用対象となる場合があるため、この機会に覚えておきましょう。

古民家リノベーションで適用される可能性のある減税制度
  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 長期優良住宅化リフォーム

 

上記で挙げた制度の要件対象となった場合は、減税制度によって異なりますが、2分の1から3分の2までの減額が受けられるかもしれません。

 

詳しい内容は以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
ビフォーアフターから学ぶ。見違える古民家リノベーションのポイント!

デメリット

古民家をリノベーションするには、デメリットも考慮しなければなりません。

古民家リノベーションをする時に考えられるデメリットは以下の通りです。
 

デメリット
  • 再生できない古民家を選びがち
  • 業者選び次第では理想通りにいかない
  • 耐震性や耐熱性・断熱性に不安が残る
  • 慎重に再生計画を練らないと失敗や後悔しやすい

 

詳しく見てみましょう。

再生できない古民家を選びがち

 

再生できない古民家を選んでしまい、結局新築住宅を建てざるをえなかった、というケースがあります。
再生できない古民家というのは、以下に当てはまる家です。
 

再生できない古民家の例
  • 構造や基礎部分にカビが発生するなど劣化がひどかった
  • シロアリ被害により建材の再利用ができなかった

 

建材が再利用できないと、新しい建材を使用しなければならず、最終的に費用も増えてしまうことになりかねません。

業者選び次第では理想通りにいかない

 

古民家のリノベーションを得意とする施工業者に出会えず、思っていた完成図と違う結果になってしまうこともあります。
施工業者の事例をしっかり確認しなかったり、理想のデザインのイメージが明確でない場合に生じやすい失敗です。

また、古民家リノベーションの完成までは良かったものの、アフターフォロー面でのサポートが不十分で失敗してしまうことも。
見積もりから完成後のアフターフォローまで親身に考えてくれる業者に出会えれば、このデメリットは解消可能です。

耐震性や耐熱性・断熱性に不安が残る

 

古民家は築50年以上の住宅という定義からも、現代の基準と比較して耐震性や耐熱性、断熱性が低い可能性があることを考慮しなければなりません。
古民家リノベーションにおいては耐熱や耐震補強工事を推奨していますが、予算を圧迫する要因となることも覚えておくと安心です。

また、古民家は現代の新築住宅のように気密性に富んでおらず、ある程度の風通しがあるため、断熱性には優れていません。
古民家リノベーションで好まれる工事の中には、断熱工事も含まれています。
あらかじめ耐震性や耐熱性、断熱性の改善にかかる費用を考慮しないといけない点はデメリットと言えるでしょう。

慎重に再生計画を練らないと失敗や後悔しやすい

 

古民家リノベーションを実行すると決めたら、施工業者とともに慎重に計画を練らないと、後悔や失敗に繋がるリスクがあります。
失敗例として、以下のようなケースが多くありますので、参考にしてみてください。

種類 具体的な失敗例
資金面での失敗 ・リノベーション費用が予算を超えてしまう
・リノベーション費用が新築購入費用を超えてしまう
物件選びでの失敗 ・”見えない部分の設備”が古かった
・中古物件を購入したが、思い通りのリノベーションができなかった
業者選びでの失敗 ・担当者との相性が悪い
・複数の業者がいて連絡を取るのが大変
・建築士の実力不足で、思うようなリノベーションができなかった
間取り・設計での失敗 ・収納が少ない
・家具が配置できなかった
・空気循環できておらず空気が悪い

 

古民家を購入する際の選び方、理想の古民家リノベーションを行うために必要な工事内容・予算・工事完了後のアフターフォローなど、入念な計画が必要です。


詳しくは以下の記事にて、対処法付きでご紹介しています。

【最悪だ...】リノベーションで起こった失敗談10選とその対処法

古民家リノベーションの費用

古民家リノベーションの費用はこだわる部分によって変化しますが、
基本的には1,500~2,000万円あれば十分と言えます。

 

一般的な業者に依頼する場合 ユニテにご依頼いただく場合
1,500万円~2,000万円ほど 1,200万円~4,000万円ほど

 

もちろん、使用する建材やリノベーション内容・設備によって値段は変動しますので、あくまで目安として参考にしてみてください。

 

古民家では”リノベーションしたい箇所”だけでなく”リノベーションすべき箇所”もあるという点を考慮しなければなりません。

以下は、リノベーションするべき場所と人気の施工箇所を表にまとめたものです。

 

リノベーションすべき場所 人気の施工箇所
  • 断熱性
  • 耐震性
  • トイレ
  • キッチン
  • 洗面所
  • 間取り
  • 内装
  • 外壁
  • 庭や玄関

 

古民家で人気のリノベーション箇所は、間取りや内装・外壁を現代風にするというものです。
一方で、デメリットでもご紹介したように、古民家は断熱性や耐震性・耐熱性に問題を抱えていることから、これらも費用を割くべき場所となります。
また、古民家の水回りは古いものが多いため、惜しまずリノベーションすることも考慮しましょう。

 

古民家リノベーションにおける費用については、以下の記事も併せてご覧ください。
古民家を再利用!古民家リノベーションの工事箇所と費用相場を解説

古民家をリノベーションしよう!失敗しないためのポイント

古民家リノベーションは、念入りな計画を立ててから実行しないと、思わぬ失敗を引き起こしてしまう可能性があります。

失敗しないためにも、以下のポイントについて慎重に確認しましょう。

 

古民家リノベーションで気を付けたいポイント
  • 物件探しは慎重に行う
  • 契約前の事前調査で複数社から見積もりをとる
  • 理想と現実を見据えたリノベーション計画を立てる
  • リノベーション後のことも検討する

 

詳しくご紹介します。

物件探しは慎重に行う

これから古民家を購入してリノベーションをする方は、物件探しに気をつけましょう。
どのような家にしたいかイメージを具体的にしてから、古民家の物件に詳しい不動産会社を中心に探すことをおすすめします。

 

古民家は、建材が傷んで再利用できないということも生じやすい物件です。
リノベーションすることを前提に、購入前に予算を組んでおくと失敗しにくくなります。

契約前の事前調査で複数社から見積もりをとる

施工会社を選択する際は、契約前に事前調査で複数社から見積もりを取るようにしましょう。
見積もりを作成するにも、担当者とのやり取りが発生します。
予算面だけでなく、自身の希望を汲み取って最適な提案をしてくれるかという点から相性を計ることも重要です。

 

見積もりを請求する際は、アフターフォローについても確認するとよいでしょう。

理想と現実を見据えたリノベーション計画を立てる

自身のイメージと現実を見据えた計画を立てることも大切です。
古民家は築50年以上の家のため、古い梁を使おうとしたところ虫食い被害にあっていたり、劣化して再利用できないということも起こり得ます。

また、予算削減が目的となってしまい、一階と二階の間に大きなグレードの差が出てしまうことも。

現実を見据えたリノベーション案を計画するためには、あらかじめ自身で施工例を見て、イメージを膨らませる必要があります。

 

以下の記事では、古民家住宅のリノベーションにおけるビフォーアフターを写真付きでご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ビフォーアフターから学ぶ。見違える古民家リノベーションのポイント!

リノベーション後のことも検討する

古民家を新しく購入してリノベーションをしようとしている方は、リノベーションが完成して実際に古民家生活がスタートした際のことも考慮して古民家再生計画を立てましょう。
古民家のある住宅地は、昔からのコミュニティーが存在していたり、庭の手入れが大変だったりと、実際に暮らしてみると想像とは違うことも沢山あります。

また古民家という特性上、梁の掃除も行わなければならなかったり、隙間が多く寒すぎたり、「思っていた生活イメージと違う」と感じてしまう可能性もあります。

物件選びにも関連しますが、あらかじめ周辺の環境を確認したり、外構工事も視野に入れるなど、心配な面は施工業者や不動産会社にも共有しておくと安心です。

 

以下の記事では、古民家リノベーションでよくある失敗しがちな事例を、5項目に分けて詳しくご紹介しています。
失敗しないためにも失敗例を把握し、古民家リノベーションを成功させましょう。
 

古民家リフォームの失敗26選!成功に近づくための解決策もご紹介します

古民家は自分でDIYできる?

低予算でリノベーションをしたい方の中には、「古民家もDIYできるのではないか」と考える方も一定数います。
リノベーションを自分で行う場合の費用相場は300万円~700万円ほどですので、古民家のセルフDIYは不可能ではありません。

 

しかし、施工場所によっては業者に依頼したほうが安全な場合があります。
以下のように、個人のDIYによるセルフリノベーションではできない工事があるためです。
 

自分ではできない古民家リノベーション工事の例
  • 電気関連
  • 水道関連
  • ガス関連
  • 危険が伴う高所での工事
  • 無理な間取り変更

 

自分で行う場合の費用相場は300万円~700万円としたものの、上記の工事を業者に依頼する場合は、費用が大きく変動することもあります。

 

古民家のセルフリノベーションを検討している方は、以下の記事を参考にしてみてください。
古民家をセルフリノベーション!箇所・費用・手順などの基本をご紹介

富山県で古民家リノベーション工事を検討している際はユニテにご相談ください

富山県周辺で古民家リノベーションを検討しているという方は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にご相談ください。
富山県に根ざして30年以上のユニテでは、年間1,000件以上のリフォーム工事を行っており、古民家リノベーションの実績も豊富です。

プロの判断を仰ぎながら、古民家リノベーションを検討してみましょう。
まずは、施工実績豊富な弊社に、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

築50年以上の古民家をリノベーションするには、再生か建て替えるかの2種類があります。

古民家を再生する場合、施工内容は以下の3つです。

 

古民家再生の施工内容
  • 機能面だけを「再生」する
  • 内装を「再生」する
  • 完全に現代風にする

 

そのため、自身のイメージに合わせた施工計画を立てる必要があります。
古民家リノベーションのメリットとデメリットを把握したうえで、失敗しないためにも念入りな準備や計画を立てることが大切です。
施工業者ごとの施工事例を参考にしながら、具体的なイメージを持ったうえで複数社の担当者と話して方針を固めましょう。


この記事を参考に、自身の中で心配がある点について情報収集しながら、満足する古民家リノベーション計画を立ててみてくださいね!