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リノベーションの意外な落とし穴?7つのデメリットと解決策
監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「リノベーションにはどんなデメリットがあるの?」

「どうしたら対策できるの?」

そんなことをお考えではないでしょうか?

 

リノベーションのデメリットは、具体的には以下の通りです。

  • 新築よりも高額になることもある
  • 窓の交換ができない
  • 近隣住民からクレームが入ることがある
  • 築40年以上のお家は耐震性に不安が残る
  • 間取りの自由が制限されることもある
  • 仮住まいが必要になる
  • リフォームローンは、借入金額が低くローン金利が高くなる

 

これらのデメリットが原因で、リノベーションをするか迷ってしまう、あるいはリノベーションしたことを後悔してしまうこともあるのです。

 

そのような状況にならないために、以下の内容について解説していきます。

  • リノベーションのデメリット
  • デメリットを踏まえてリノベーションをするべき人はどんな人か?

 

リノベーションはデメリットもありますが、しっかりとポイントを押さえて対策をしていれば理想の家を低価格で実現することができる近道にもなります。

 

この記事を読めば、あなたにとって最高の家を手にする一歩が踏み出せるはずです。

ぜひ参考にしてみてください!

1.リノベーションのデメリット7つ!

今回ご紹介するリノベーションのデメリットは7つあります。

  • 新築よりも高額になることもある
  • 窓の交換ができない
  • 近隣住民からクレームが入ることがある
  • 築40年以上のお家は耐震性に不安が残る
  • 間取りの自由が制限されることもある
  • 仮住まいが必要になる
  • リフォームローンは、借入金額が低くローン金利が高くなる

 

それぞれのデメリットを解決策とともに解説していきます!

1-1.戸建て住宅の場合のデメリット

戸建てリノベーションのデメリットをご紹介します。

新築よりも高額になることもある

リノベーションは場合によっては新築を建てるよりも高くなってしまうこともあるのです。

高くなってしまう例としては以下の通りです。

 

  • デザイン性を追求した場合

例えば、バスルームリノベーションで浴槽を取り替える際に、浴槽の種類によって5万円程度のものから40万円を超えるものまで、様々な金額のものがあります。デザインや素材を追求し、金額の高い設備ばかりを選んでいくと結果的に新築よりも高くなることがあります。

 

  • 施工範囲が広い場合

会社によって一坪あたりの費用目安があります。例えば、ユニテの場合は40万~50万/坪です。リノベーションを行う面積が広いほど費用が高くなるため、面積によっては新築の費用を超えてしまいます。

 

「リノベーションは新築を建てるよりも安い」というイメージを持たれている方も多いと思います。イメージの通り、実際のリノベーション事例を見てみると新築よりも安いことが多いですが、場合によっては新築を建てるよりも費用がかかってしまう、ということを忘れないようにすることが大切です。

 

では、費用が高くならないためにはどうすればよいのでしょうか。

3つの解決策を見ていきましょう。

解決策1:こだわりたい優先順位を決める

優先順位を考えて、「絶対に譲れない部分」を決めておくことをおすすめします。

家を全面的に新しくしたい、とことんディティールにこだわりたいという気持ちが強い方もいらっしゃると思います。ですが、フルリノベーションをしたりデザイン性を追求しすぎたりすると、その分費用も高くなってしまいます。

 

  • 料理やお菓子作りが好きだからキッチンだけは自分の思うようなデザインにしたい
  • お風呂を広々とした落ち着く空間にしたい
  • お気に入りの部屋は雰囲気をそのままにしたい

 

など、人それぞれ譲れないこだわりがあるはずです。そういった部分に力を入れて、他の部分は少し妥協するということも考えてみてはいかがでしょうか。

こだわりのカフェ風キッチン

既存のものを生かした寝室

この事例では、特にキッチンにこだわってお洒落な空間に仕上げています。

寝室や玄関などは現存のまま利用して少し手を入れるだけにするなど、こだわりたい部分とそうでない部分を明確にしているからこそ満足のいくリノベーションになりました。

解決策2:ホームインスペクションを利用する

傷んでいるところを重点的に新しくしたいがどこを新しくすればいいのか分からない、といった方は「ホームインスペクション」を行うことをお勧めします。

 

建築士がお家の傷み具合や新しくしたほうがよい箇所などを確認し、お家の状態を診断することをインスペクションと呼びます。

リノベーション前にホームインスペクションを行うことで事前にお家の状態が把握でき、これを上手く利用してリノベーションすることで家をより長持ちさせることができます。

解決策3:長期的な視点でかかる費用を考える

住宅は、築年数が経っているほど固定資産税が減額される仕組みになっています。

また、リノベーションを行ったからと言って固定資産税が元に戻るということもほとんどありません。これらのことから、長期的な視点で見るとリノベーションは新築を建てるよりも安い、と考えることができます。

 

「リノベーションをできるだけ安く行いたい!」という方は以下の記事もご覧ください。

1-2.マンション・アパートの場合のデメリット

マンション・アパートリノベーションのデメリットをご紹介します。

窓の交換ができない

購入されたお部屋はお客様の所有になりますが、窓は「共有部分」といい、マンションやアパートの建物全体の一部として考えられています。ですので、窓を取り替えたり、塞いだりすることはできないと考えたほうがよいですね。

 

築年数が経っているマンションやアパートにお住まいの方は、特に冬の窓からの冷気や結露が気になることもあるのではないでしょうか。暖房をつけてもなかなかお部屋が暖まらないと感じるのは、窓から熱が逃げてしまっていることが原因です。

そういった問題を解決するにはどうすればいいのか、見ていきましょう。

解決策:インナーサッシを取り付ける

元々ある窓の内側にもう一つ窓サッシを取り付けて(インナーサッシ)、窓を二重にすることで二重の窓の間に空気の層ができ、室内の熱は逃げづらく、室外からの冷気は入りづらくなります。

また、断熱性以外にも以下のような利点があります。

・結露対策

窓を二重にすることで熱を伝えにくい空気の層が生まれ、これによって結露が起こりにくくなります。

結露は、暖かく湿った空気が冷やされ、空気中の水蒸気が水に変わることで発生します。結露は放っておくとカビやダニ、シミの原因になります。

お家を傷める原因にもなってしまうので、お家のためにも対策をしておきたいですね。

・防音性

窓を二重にするためその分防音性が高まります。

二重窓にすることで比較的気軽に防音対策ができますので、ペットを飼われている方や楽器が趣味の方など、近隣への音漏れが気になっている方にお勧めです。

・防犯性

窓はもちろん二重になりますが、鍵も二重になります。

そのため防犯性も高まるでしょう。1階や2階のお部屋にお住まいの場合は特にセキュリティが気になりますよね。3階以上にお住まいの方も、防犯対策も兼ねて二重窓を取り入れてみてはいかがでしょうか。

近隣住人からクレームが入ることがある

マンションやアパートの場合、お部屋が繋がっているため工事の音が他のお部屋へ響きやすい点が挙げられます。それが原因となって、隣や上下階のお部屋の住人とのトラブルが起こってしまったり、また、クレームがないとも言い切れません。

工事期間が予定よりも延びてしまったり、もともとの構造上壁が薄いといった場合は、さらにクレームが入る可能性が高くなってしまうことも考えられます。

 

リノベーションが原因となる近隣住民とのトラブルを防ぐにはどうすればいいのか、見ていきましょう。

解決策:必ず工事が始まる前に挨拶回りをする

工事が始まる1週間前には挨拶回りを済ませておきましょう。

リノベーションの工事期間や工事を行う時間帯、工事内容などを事前に伝えておくとよいですね。

 

このご時世、対面でのお話が難しい場合もあると思います。そういった場合はお手紙を投函するなどの対応をするのがよいでしょう。

 

工事を気持ちよく終わるために、また、良いご近所付き合いを今後も続けていくためにも、挨拶回りは欠かせないと言えるでしょう。

〈マンションのリノベーション事例〉

Before

After

間取りはそのままに、LDK横にあった和室を洋室に変えてご夫婦の寝室として使用するなど、お部屋ごとの用途を変えました。全体的にナチュラルカラーで統一することで明るいお部屋になりました。以前と比べて空間がとても広く感じます。

マンションの管理規約により窓の取替ができないため、LDKや娘さんのお部屋などにはインナーサッシを取り付けて二重窓にしています。

 

費用680万円 / 施工面積21坪 / 築年数23年

1-3.すべてに共通するデメリット

築40年以上のお家は耐震性に不安が残る

 

昭和57年以前に建てられた建物は、現在の耐震基準を満たしておらず、耐震性に不安が残ります。昭和57年6月1日に建築基準法が大きく改正され、それ以前の基準は「旧耐震基準」、それ以降の基準は「新耐震基準」とされています。

 

 旧耐震基準:中規模地震(震度5強程度)で建物がほとんど損傷しない構造基準

 新耐震基準:大規模地震(震度6強~7)でも建物が倒壊しない構造基準

 

以上の通り、基準が変わっていることが分かると思います。旧耐震基準によって建てられた建物はやはり耐震性に不安が残ります。

では、築40年以上のお家をリノベーションしたい場合はどうすればいいのでしょうか。

解決策:耐震診断・耐震補強補助金制度を利用しましょう

築40年以上のお家をリノベーションされる場合は、まずは耐震診断を受けられることをお勧めします。

 

耐震診断とは

既存の建築物で旧耐震基準で設計され、耐震性能を保有していない建物を、現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することです。(一般財団法人日本耐震診断協会より引用)

 

新耐震基準で建てられた建物でも劣化などが懸念される場合は耐震診断をされることをお勧めします。また、耐震補強のリノベーションに対しての補助金制度があるため、そちらを利用して耐震補強をされるとより安心です。

 

築40年以上の物件のリノベーション を成功させるためには以下の記事もご覧ください。

間取りの自由が制限されることもある

戸建ての場合

  • 壁構造では面を取り払えない

木造の2×4(ツーバイフォー)工法や軽量鉄骨造などのいわゆる「壁構造」と呼ばれるものは、建物が面で構成されています。この場合、面を取り払うことが難しいため、間取りの制限が大きくなってしまいます。

 

マンション・アパートの場合

  • 下がり天井がある

マンションやアパートでは、一部が下がり天井になっていることがあります。鉄筋コンクリート造のマンションは建物全体を支える構造部材として柱と、その柱と柱をつないでいる梁があります。この梁が下がり天井の原因になっています。天井が低い箇所がお部屋の中にあるため、リノベーションをする上で支障が出てしまう場合もあります。

 

  • 水回りの移動ができない可能性がある

配管を各階に通すように配置し、そこからさらに横へと設置されています。なので、水回りの位置を大きく変えることが難しいです。また、管理規約によるリノベーションの制限が生じることが考えられます。

マンション・アパートによって管理規約が異なりますので、管理組合や物件を購入した不動産会社に確認をしてみましょう。

解決策:制限を生かした間取りを考える

こちらの事例の左側にある壁は構造上取り壊せなかったものです。

この壁の陰に収納棚や荷物を置いたりすることでリビングからの目隠しになります。

壁と仕切りの間にデスクを設置して読書や書き物ができるスペースとしても活用できるようになりました。

こちらの事例では、構造上取り外すことのできない壁の間にテレビボードを設置しています。

壁を邪魔に感じることなく、よりデザイン性が高まって見えます。

両脇にスピーカーを置いてもいいですね。

取り壊せないことをマイナスにとらえるのではなく、生かすことができないかを考えてみるのはいかがでしょうか。

リフォーム会社は間取りを考えるプロですので、ご満足いただける間取りをご提案します。気軽に相談してみましょう!

■仮住まいが必要になる

ご自宅をリノベーションするとなると、一時的に別のお家を借りなければならないということが考えられます。

リノベーション費用に加えて、引っ越しの費用や、仮住まいの賃料などを考えると少し気が重くなってしまいますよね。

仮住まいの費用をかけずにリノベーションを行う方法を見ていきましょう。

 

解決策:今の家に住みながらできる工事プランを考える

仮住まいの費用をかけたくない、という方は今の家に住みながら、荷物をその都度別の部屋に移動しながら工事を進めていく方法があります。賃料や引っ越し代がかからないため、その分リノベーションの予算に回すこともできます。

ですが、今の家に住みながらリノベーションを行うよりも、「一時的に別のお部屋を借りて生活をするほうが楽」ということは念頭に置いておく必要があります。

リフォームローンは、借入金額が低くローン金利が高くなる

リフォームローンは通常無担保であり、借入金額の上限が1000万円となっています。また、「リフォームローンは金利が高い」というイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実際に住宅ローンとリフォームローンを比較してみましょう。

  住宅ローン リフォームローン
借入限度額 100万円~2億円 10万円~1000万円
借入年数 2~40年 1~15年
金利

変動金利:0.975%

固定金利:0.6~1.3%

変動金利:4.15%

固定金利:5.2%

担保 必要 不要

(富山県のある地方銀行の例)

 

リフォームローンは住宅ローンに比べて借入金額が少なく、金利も高いということが分かると思います。この問題を解決する方法はあるのでしょうか。

 

解決策:リノベーションの場合は住宅ローンに組み込むことができる

リノベーションの場合、お家全体の改装になることが多いため、そういった場合はリノベーションのローンを住宅ローンに組み込むことができます。

 

自分の場合は当てはまるのか、など分からないことも多いと思います。一度リフォーム会社に相談してみましょう。お客様と一緒にローンや資金計画等について考えていきますので、お気軽にご相談ください!

 

リノベーションローンに関しては以下の記事もご覧ください!

2.デメリットを踏まえてリノベーションをするべき人

1章でご紹介したようなデメリットはありますが、これらのデメリットを含めてもリノベーションを行ったほうがよいと考えられる人の特徴を紹介します。

2-1.制限がある中でのアイデアを楽しめる人

新築とリノベーションやリフォームを比較して考えると、一番の大きな違いは間取りの自由度です。

 

構造上取り払うことのできない柱や壁があったり、水回りの移動ができないという規制の中で、それを受け入れることができる人、間取りの制限を生かしたアイデアを楽しむことができる人はリノベーションに向いています。

2-2.こだわりたい部分が明確にある人

全面的なリノベーションが予算的に難しい場合に、他のお部屋は少し妥協したとしても「ここだけは特に力を入れてリノベーションしたい」という部分がある方はリノベーションすべきだと考えます。

 

毎日のお料理が楽しくなるようなキッチン、秘密基地のような自分だけの書斎スペースなど、特にこだわった部分はより愛着が湧くはずです。

家に変えるのが楽しみになるようなリノベーションを一緒に考えていきましょう。

3.まとめ

リフォームのデメリットとその解決策はお分かりいただけたでしょうか?

 

メリットだけでなくデメリットを知ることで、リノベーションについてより深く知ることができます。また、どんなデメリットにも解決策や未然に防ぐ方法があると思います。

 

まだ抱えている不安が解消されていない、という方はお気軽にご相談ください!