戸建てリノベーション大全│最初に知っておくべき基礎知識とは?

戸建てリノベーションしたいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々なお客様のリノベーションを行ってきた経験から、戸建てリノベーションの基礎知識をまとめてみました。
目次

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「自身のライフスタイルが変化したから、併せて戸建ての自宅をリノベーションしたい!」と考えていませんか?
「戸建てのリノベーション」は、工事の範囲や規模が以下の種類に分かれます。
・部分的なリノベーションなのか
・住宅全体のリノベーションなのか
さらに、戸建て住宅ではリノベーションだけでなく以下のような工事が可能であるため、そもそも自分たちの家に必要なのはリノベーション工事なのかどうかハッキリしづらいと言えます。
・増築
・改築
・リフォーム
そこで今回は、戸建てリノベーションを検討している方向けに最初に知っておくべき基礎知識や、メリット・デメリットと工事における注意事項をわかりやすくご紹介します。
この記事を読めば以下のことが明確になります。
- 自宅をリノベーションする際に知っておくべき基本的な内容がわかる
- 施工会社へ見積もりを取る際の参考になる
- 状況にあった適切な工事ができ、失敗防止につながる
戸建てリノベーションの概要を把握し、自宅に必要な工事を選ぶ際の参考にしてみてください。
戸建てリノベーションの種類

「リノベーション」は住宅の形を変えずに、建物に新しい価値や機能を付け加える工事です。
わかりやすく表現するのであれば、以下のようにたとえられます。
- マイナスあるいはゼロ状態の戸建てに対して、付加価値をプラスする工事
- 既存の住宅を新しい生活スタイルに合わせた間取りに変更する工事
戸建てのリノベーション工事では、以下が一般的です。
詳しくご紹介します。
①:部分的なリノベーション工事

部分的なリノベーションとは、住宅の間取りの一部を集中的に工事する事を指します。
床をはがしたり設備自体を入れ替えたり、間取りを変更したりすることになるため、部分的とはいえ大規模な工事となることが一般的です。
部分的なリノベーションとしては以下が選ばれやすいと言えます。
- リビング
- キッチン
- 浴室
- トイレなど
②:戸建て住宅全体のリノベーション工事

全体的なリノベーションとは、既存の建物や部屋の間取りを大幅変更することで形状を作り変える大規模な工事です。
「フルリノベーション」とも呼びますので、この記事では「フルリノベーション」と表記します。
戸建て住宅でできるその他の工事

戸建て住宅でできる工事はリノベーション以外にも以下の内容があるため、あらかじめ覚えておくと便利です。
- 増築
- 改築
- リフォーム
それぞれの特徴を以下に簡単にまとめていますので、リノベーションと併せてこの機会に違いを把握することをおすすめします。
リノベーション | リフォーム | 増築 | 改築 |
住宅の形状そのものを造り変える大規模な工事 | 設備・内装などを更新したり復元したりする工事 | 床面積を増やして建物を大きくする工事 | 床面積は変えずに間取りを変更する工事 |
増築と改築については、以下の記事を参考にしてみてください。
・増築の意味や定義とは?基礎知識をわかりやすく解説
・改築の基本情報をわかりやすく解説 │あなたの家に必要な工事を探そう!
リノベーションとリフォーム工事は同時に行われることもあるため、人によっては混同してしまうこともあるかもしれません。
リフォームは、古い状態から新築の様に戻す工事です。
あくまで古い状態から新築の様に戻すことから、同等の設備あるいは新築に似たような付加価値を与えるにとどまります。
一方のリノベーションは、現状の住宅になかったプラスアルファの付加価値を新しく加える工事です。
現在の住宅に入っていなかったバリアフリー設備を導入したり、住宅の仕切りを作り変えたりする等が発生することから、リフォームよりも工事は大規模になるという点も異なります。
リフォームとリノベーションの違いを以下にまとめました。
リノベーション | リフォーム | |
概要 | 住宅の形状そのものを造り変える大規模な工事 | 設備・内装などを更新したり復元したりする工事 |
事例 | ・バリアフリー設備を追加 ・現状ない間取りを追加 ・部屋を増築する |
・壁紙の貼り替え ・現状と同等のキッチン設備に入れ替え ・現状と同等のトイレに入れ替え |
以下の記事では、リフォームとリノベーションの違いをより詳しく解説していますので、自身の必要とする工事に該当するかどうかチェックしてみてください。
・リノベーションとは?リフォームとの違いやメリットやデメリット
・2分で分かる!リフォームとリノベーションのたった1つの違い
戸建てリノベーションで実現できること

リノベーションは新しい価値や機能を付け加える工事であるため、規模も大きくなります。
では、戸建てのリノベーションで実現できることとは、どのようなことでしょうか。
具体的には以下の通りです。
- 間取りを変更する
- 快適な住宅にできる
- 地震に備えた対策ができる
それぞれについて詳しく見てみましょう。
実現できる事①:間取りを変更する

リノベーション工事の代表的存在と言っても良いのが間取りの変更です。
具体的には以下の工事が行われます。
・1部屋を大きくする
・見通し良い間取りにする
間取り変更は壁を取り壊して構造物を丸裸の状態にするという作業が伴うため、壁紙の貼り替えとは異なり大規模な工事になりがちです。
壁を壊したり必要に応じて構造物を変更することにより、全く違う間取りが完成します。
したがって、以下の事例のように新たな生活スタイルに合わせて住宅をアレンジできるのが特徴です。
・新しくキッズルームを増築する
・既存の二階建て住宅を平屋にして住みやすくする など
実現できる事②:快適な住宅にできる

生活スタイルおよび家族構成の変化に合わせて、今の家を住みやすくするための工事もリノベーションです。
具体的には、以下の工事が当てはまると言えます。
・バリアフリー設備を追加する
・不要な部屋を取り払って一部屋を大きくする
・新しく部屋を増やす
・壁・床・天井を断熱リフォーム など
断熱材の導入などの場合、自治体から補助金が出る場合もあるため見積もり時に施工会社に確認しましょう。
また、このタイプのリノベーションでは、新しい生活スタイルに合わせた大規模工事の他、付随したリフォームも行われます。
具体的には、以下の工事が付随される場合があります。
- サッシをペアガラスに交換
- 複層ガラスによる窓の断熱化 など
実現できる事③:地震に備えた対策ができる

戸建ての耐震工事は既存の建物を強化するための大規模工事ですので、リノベーションに当てはまります。
地震が増えつつある昨今、耐震について心配する方も少なくはありません。
築年数や構造などによっては、新しい戸建てにするよりもリノベーションによる構造強化工事のほうが費用負担を抑えられるため、愛着のある住まいを残した状態で強化できるという点でもおすすめです。
戸建てリノベーションにかかる費用相場

戸建てを工事する際の費用は、リノベーションしたい場所や建築年数などの要因によって変化します。
部分リノベーションとフルリノベーションの場合における、費用相場の違いをチェックしましょう。
部分リノベーションの場合
部分リノベーションの場合、希望場所の面積によって費用は大きく変動するため一概に言えませんが、リビングの場合は100〜500万円ほどが費用相場です。
それ以外の場所については、以下に費用相場を示しますので、参考にしてみてください。
施工内容 | 費用 |
洋式トイレへの変更 | 20~50万円 |
キッチン取替 | 50~150万円 |
浴室全面リフォーム | 50~150万円 |
洗面脱衣室全面リフォーム | 15~150万円 |
床の張り替え | 10万円~/6畳 |
壁紙貼り替え | 3万円~/6畳 |
天井補修 | 3万円~/6畳 |
照明器具の付け替え | 5,000円~/箇所 |
ドアの付け替え | 6万円~/箇所 |
外壁塗装 | 80~150万円 |
耐震工事 | 120~300万円 |
上記の費用はあくまで目安ということを覚えておかなければなりません。
リノベーション後の仕様や設備性能などにこだわると、目安以上の金額がかかることがあるため注意が必要です。
フルリノベーションの場合

フルリノベーションの場合、工事内容により費用相場は幅広くなります。
一般的には坪数ごとに計算され、一坪あたり30~100万円ほどが目安です。
また、戸建ての築年数次第では1,000万円以上のリノベーション費用が発生することも考慮しなければなりません。
場合によっては、リノベーションではなく戸建て自体を建て替えたほうが安い場合もあるため、プロの判断を仰ぐのが適切です。
戸建てのリノベーションについては、以下でもご紹介していますので、費用相場や築年数とリノベーションの関係性などを参考にしてみてください。
・一戸建てリノベーションを予算1000万円以内に収めるコツ
・築40年の家でもリノベーションできる!見た目と機能性を一新する
戸建てリノベーションをする際の注意事項

戸建てリノベーションを検討する場合、以下の点に注意することで失敗防止につながります。
- お金をかけるべきところを事前に把握する
- 自宅の築年数や状態・構造をプロに確認してもらう
- 複数業者に見積もり依頼する
- リノベーション工事中の住まいについても考慮する
戸建てのリノベーションは情報収集がカギ。
事前にある程度気を付けるべきことを把握しておけば、リノベーションが理想通りの仕上がりへ近づくでしょう。
詳しくご紹介します。
ポイント1:お金をかけるべきところを事前に把握する

戸建てのリノベーションは大規模工事という点から費用がどうしてもかかってしまうため、お金をかけるべきところは契約前に自身で把握することが大切です。
戸建てのリノベーションでは、特に以下の項目にある程度の費用をかけることをおすすめします。
- 断熱性
- 耐震性を強化
- 耐久性重視の外壁
- LDKの間取り変更
- ライフスタイルを考えた動線への間取り変更
以下では、理想通りの戸建てリノベーション工事を実現したお客様の事例を6つご紹介しています。
ご依頼いただいたお客様が特にこだわった場所も垣間見えますので、参考にしてみてください。
ポイント2:自宅の築年数や状態・構造をプロに確認してもらう

リノベーションを検討している場合でも、まずは自宅の状態や築年数・構造をプロに確認してもらうことをおすすめします。
リノベーションは「やりたいから依頼しよう!」というわけにはいきません。
なぜなら、現状の住宅の構造的問題も絡んでしまうためです。
構造や状態次第で、部分リノベーションなのかフルリノベーションなのか、あるいは改築や建て替えが必要なのかもプロ目線で把握できます。
場合によっては、確認申請という手続きを取らないといけない時があるため、早い段階からプロの力を借りることで理想の戸建てリノベーションが実現できるでしょう。
ポイント3:複数業者に見積もり依頼する

リノベーション工事の費用相場は、自宅の状態などで変化するため幅広く、決まった金額が公表できません。
しかし、複数の業者に構造チェックおよび見積もり依頼することで、自宅のリノベーション工事の費用相場を予測しやすくなります。
施工業者によって提案してくれる内容も違うケースが想定されることから、費用も差異が出やすいでしょう。
業者と自身との相性もあるため、ピッタリの業者探しも兼ねて2〜3社から相見積もりを依頼することがおすすめです。
ポイント4:リノベーション工事中の住まいについても考慮する

リノベーションで見落としがちなのが、工事中に仮住まいする住居費用についてです。
一般的なリノベーションでは、壁を取り壊し構造のみにする「スケルトン工法」が採用されます。
つまり、リノベーションの間に住む住宅はもちろん、引っ越し費用なども一緒に考慮しないと、余計な失費が発生したと錯覚しがちです。
リノベーション工事を検討する際は、自宅の工事だけでなく以下の項目についてもきちんと確認する事をおすすめします。
・工事期間中の仮住まい場所
・仮住まいを賃貸で探す場合は費用
・自宅にある家具などはどうするか(レンタル倉庫の利用、引っ越し業者への依頼など)
など
以下の記事はマンションに関するリノベーション費用についてご紹介していますが、後半部に工事費用以外に考慮すべきコストについて詳しくご紹介しています。
併せて読むことで、リノベーション工事費用の全体像も掴みやすくなります。
3LDKのマンションのリノベーション費用を大解剖!
富山県で一戸建ての住宅リノベーションを検討している際はユニテにご相談ください
富山県周辺で一戸建てのリノベーションを検討していると言う場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。
ユニテでは、部分的な戸建てリフォームから、戸建て全体に渡るリノベーションまで幅広く対応しています。
お客様が持つ希望のリノベーションを実現するためのヒアリングだけでなく、理想に近づくためのご提案をリノベーション以外の工事からもご提案可能です。
まとめ
戸建てのリノベーションを検討する際に、最初に知っておくべきことについてご紹介しました。
- 戸建てリノベーションの種類
- 戸建て住宅でできるその他の工事
- 戸建てリノベーションで実現できること
- 戸建てリノベーションにかかる費用相場
- 戸建てリノベーションをする際の注意事項
戸建てのリノベーションは、既存の建物を保ちながらも新しい生活スタイルに合わせた施工を行うため、リフォームよりも大規模な工事になります。
リノベーションで叶えられるゴールを把握するためには、自宅がリノベーションできるかどうかだけでなく、状態に合わせた適切な工事を提案してくれる業者選びが肝心です。
また、リノベーション費用だけでなく、工事期間中の仮住まいにかかるコストもあらかじめ検討することで、「こんなはずではなかった」を回避しやすくなります。
この記事を参考に、自身の希望を実現できる工事がリノベーションかどうかも踏まえたうえで、理想通りの工事を実現するための判断材料にしてみてください!