改築したいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々なお客様の改築を行ってきた経験から、改築の基本情報やあなたの家に必要な工事をまとめてみました。
目次
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「自宅が古いので住みやすいように改築したい」あるいは「改築しよう」と思っている方もいるのではないでしょうか。
なかには、実際に自宅の改築を行ったと言う話を周囲から聞いても、いまいちピンと来ないと言う方もいるでしょう。
自宅の状態や状況などによって本当に改築が必要なのか、あるいは別の方法で工事すべきかが異なります。
本記事では、改築について意味や他の用語との違いなど基礎知識をわかりやすくご紹介していきます。
- 改築の意味や他の工事方法との違いが分かる
- 改築のメリット・デメリットが体系的にわかる
- 自分の住宅は本当に改築すべきかどうかがわかる
- 改築を検討する際に必要な概算費用が算出しやすくなる
- 改築工事のかんたんな流れがわかる
この記事を読んで、改築の基本情報や他の工事との違いを把握していきましょう。
【改築とは?】他の用語との違い
改築は、一般的に「建て替え」や「改修・改造」の意味で使われていますが、専門業者でない限り正しく定義するのは難しいかもしれません。
特に改築と増築は「増改築」などと同時に使われることも多いため、一般の方からすると混乱を招きやすいでしょう。
一般の方が改築と混同しやすいワードは主に以下の4つです。
【改築とその他の工事】
改築 | 新築 | 改修 | 増築 |
・建物を壊して同じスペックのものを建てる ・躯体にも手を加える |
・新しく家を建てる ・建物を壊して全く別の家を建てる |
・建物を壊さずに設備や内装などを新しくする | ・建物を壊さずに延べ床面積を延ばす |
4つのワードの性質の違いについては、以下を参考にしてください。
改築 | 新築 | 改修 | 増築 | |
解体 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ |
延床面積 | 維持 | 維持または拡大 | 維持 | 拡大 |
スペック・用途 | 維持 | 変わる | 変わる | 維持または変わる |
まずは、上記4つの工事の特徴や違いについて詳しく解説していきます。
また、よく耳にする「リフォーム」という言葉の定義もあわせて紹介しますので、改築工事を正しく理解しましょう。
「改築」は床面積が変わらない工事
「建築基準法」における改築は「建物の一部もしくは全部を取り壊し、用途・規模・構造がほぼ同じものを建てる」ことだと定義されています。
これには災害時の立て直しも含まれており、従来の建物の躯体まで手を加え、同じスペックの建物を再建築することが改築です。
具体的には、以下のような内容を改築工事と呼びます。
- 構造物の間取りを変更する工事
- 構造物の一部あるいはすべてを壊し、新しい構造物にする工事
改築の一般的なイメージである「新しい見た目で立て直す」「別の用途で立て直す」などは、厳密にいうと改築工事ではありません。
改築を行うメリットとデメリット
改築工事のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・建物の躯体の変更は行わない ・建て替えに比べるとコスト面や工期が短い ・ライフスタイルの変化に対応できる ・住み続けているうちに感じる不便や不満も解消 ・建物を強化できる |
・自己判断で工事範囲が決定できない ・手続きが面倒 ・固定資産税が上がる場合がある ・建物によっては改築不可の場合がある |
改築は床面積を変えずに間取りを変更したり基礎から建物を作り直したりする工事です。
基本的に躯体の変更はなく、建て替えするよりも低コスト・短工期で建物を強化しながら工事ができます。
また、自身のライフスタイルの変更に合わせて工事ができますので、子どもの成長に合わせた模様替えはもちろん、長く住んでいるうちに感じる不便や不満を改築で解決可能です。
ただし、デメリットも存在します。建物の改築は築年数や構造など細かい点を考慮し、施工可能な範囲での工事が求められるため、自己判断できないものです。
場合によっては、改築不可能の住宅だったというケースもあるでしょう。
さらに、改築だけでなく増築も検討するとなると、建築の専門家に依頼する「確認申請」のような諸手続きも派生するため、注意が必要です。
「新築」は新しく家を建てる工事
「新築」は、一般的に建物が無かった土地に新しく建物をつくることを指します。
改築は建物の一部や全部をつくり直し、条件が同じ家を建てる工事であるのに対し、新たに生み出すのが新築です。
ただし、今まであった建物を取り壊す場合でも、建物の規模や用途・構造などが今までとは大きく異なる家を建てる場合は新築に該当します。
「改修」は躯体を残して刷新する工事
「改修」工事は、元々の建物を壊さずに物件を修理する工事です。
一般的にはリフォームよりも規模が大きく、広範囲の工事に対して使われています。
改築との違いについては、以下を参考にしてください。
改築 | 改修 |
・建物のすべてまたは一部を壊して新しくする工事 ・建物の構造部に手を加える工事 ・床面積は変わらない |
・設備機器を新しくしたり壁紙や外壁を張り替えたりする工事 ・建物は壊さずそのまま ・床面積は変わらない |
改築と「改修」の明確な違いは建物の構造物がそのままかどうかです。
改築の場合は、家屋のすべてあるいは一部を壊したり構造物に手を付けたりして工事が行われますが、改修は原則建物の構造はそのまま残して工事します。
具体的な改修工事の例としては、設備機器や壁紙・外壁などを新しくする工事などです。
「増築」は延床面積が増える工事
「増築」とは、同じ敷地内の延床面積を増やす工事のことを指します。
離れを増設したり、平屋を2階建てにしたりする工事が増築です。
また、逆に床面積が減少する工事は「減築」と呼ばれます。
増築と改築の違いについては、以下を参考にしてください。
改築 | 増築 |
・建物のすべてまたは一部を壊して新しくする ・建物の構造部に手を加える工事 ・床面積は変えない |
・建物は壊さない ・階数を増やしたり、敷地内に新たな建物を建てたりする ・合計床面積が増える |
改築と増築は「増改築」とまとめて定義されることが多く、同時に行われることも珍しくないため、混乱してしまいがちです。
改築と増築の大きな違いは、「建物を壊す工事なのか」と「工事後の床面積に変更がある工事かどうか」でしょう。
増築は、既にある建物に対して構造物が新しく追加され、合計の床面積が増えるという工事です。
一方、改築は既にある建物へ部分的に手を加え、見た目や機能は変えずに新しい造りに仕上げる工事であるため、床面積に変更は生じません。
改築だけであれば、増築あるいは増改築よりも規模が小さい工事になるので、工期や工事に伴う準備期間からも判別できるでしょう。
増築も必要である可能性が生じた場合は、以下の基礎知識に関する記事も一読するをおすすめします。
改築とリフォームに違いはあるの?
「リフォーム」という言葉については、建築基準法上の明確な定義はありません。
一般的に、リフォームは新築以外の改築や増築などの総称として広義で使われています。
ドアやクロスの交換などのちょっとした工事や、躯体まで解体する大規模な修繕まで、すべてリフォームとして扱われているのです。
そのため、改築はリフォームの中の1つだと捉えておくといいでしょう。
リノベーションとリフォームの違いについては別の記事で事例を交えながら詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
改築における費用相場
改築工事をする際に気になるのは、やはり費用ではないでしょうか。
改築の場合は坪数だけでなく以下の要素によっても費用が変わります。
- 増築も一緒にするのか
- 戸建てなのかマンションなのか
ここからは、改築の坪数ごとの平均相場と、上記の要素を加えた場合の相場について詳しく紹介していきます。
【坪数別】改築の費用相場
改築工事をする際にかかる一般的な坪単価の費用相場は以下の通りです。
坪数 | 費用相場 |
30坪 | 1,940万円ほど |
35坪 | 2,240万円ほど |
40坪 | 2,540万円ほど |
上記の相場には、付帯工事や諸経費などのコストは含まれていませんが、改築する場合は少なくとも2,000万円以上の費用を準備しておけば安心できるでしょう。
また、改築にかかる期間はおおよそ3ヵ月から1年ほどです。
打ち合わせ期間や工期の長さによっても変動しますが、最低でも3ヵ月はかかると思っておきましょう。
まず打ち合わせは最短で1ヵ月、納得するまで相談する場合は半年程度かかることもあります。
工期に関しても、ワンフロアのみなら1~2ヵ月程度ですが、全体的な改築になると2~3ヵ月ほど必要です。
さらに、デザイン設計期間が1ヵ月ほどかかります。
以下の記事では、実際の改築事例およびかかった費用を写真付きでご紹介していますので、検討している方は参考にしてみてください。
【建物別】改築の費用相場
改築工事の費用は、自宅が戸建てなのかマンションなのかで相場が異なります。
以下は間取りの変更を伴う全面的な改築の場合におけるおおよその費用相場を比較したものです。
戸建て | マンション | |
1坪あたり | 約40万円~ | 約25万円~ |
70m² 約21坪 |
約840万円~ | 約525万円~ |
90m² 約27坪 (一般的なマンション) |
約1,080万円~ | 約675万円~ |
100m² 約30坪 (一般的な戸建て) |
約1,200万円~ | 約750万円~ |
130m² 約40坪 (一般的な戸建て) |
約1,600万円~ | 約1,000万円~ |
改築する場所ごとに費用は変化しますが、部屋の広さが限られるマンションでは1,000万円以下でもある程度要望に沿った改築工事が実現しやすい傾向があります。
以下の記事も参考にしながら自宅に必要な箇所の改築費用の目安を把握しておくといいでしょう。
増築と改築を同時におこなうケースの費用相場
リノベーション会社のホームページや施工事例を見ていくと、増築と改築を同時におこなっている増改築の施工例を多くみかけます。
増築と改築を同時に行う場合の費用相場は以下の通りです。
広さ | 増改築の場合 |
2畳 | 140~170万円ほど |
4畳 | 270~330万円ほど |
6畳 | 400~500万円ほど |
8畳 | 530~670万円ほど |
10畳 | 670~830万円ほど |
工事の過程に増築を加えることにより、改築と同時に床面積を増やすことになります。
従って、増築部分と元の住宅の一部分との動線を改築で確保する形が一般的です。
増改築を検討している場合は、以下の観点から実績のある業者に相談・見積りすることを念頭に置き、工事計画を立てることをおすすめします。
- 住宅の構造や築年数および工事内容などで費用が変化する
- 面積によっては確認申請と呼ばれる申請が不要な場合もある
また、以下の記事も参考にしてみてください。
住宅の改築工事の流れ3ステップ
セルフリノベーションはひと手間で失敗知らず!初心者向けリノベ情報
もし自宅を改築する場合、どのようなステップで工事を着手することになるのでしょうか。
この項目では、住宅の改築工事・着工までの流れをかんたんに3ステップでまとめています。
- リフォーム会社を探す
- リフォーム会社とプランを詰めていく
- 改築工事着工
それぞれのステップについて詳しくご紹介します。
1. リフォーム会社を探す
まず、改築工事を依頼する施工業者を探して見積もりを取ります。
改築工事が得意なリフォーム会社を2~3社ほどピックアップして、見積もりの問い合わせをしてみましょう。
リフォーム会社を選定するポイントは以下の通りです。
- 建築士在籍の有無
- 改築についての実績がきちんとわかるリフォーム会社かどうか
改築工事が得意かどうかは、施工業者のホームページなどの施工事例をチェックすることで確認できます。
ホームページがない場合や施工例の掲載がない場合は、直接ヒアリングしてみてもいいでしょう。
選定したリフォーム会社へ実際にコンタクトを取って、それぞれの会社から見積もりを取る「相見積もり」をおこないます。
見積もりを比較・検討することで、費用やサービス・アフターフォローなどの具体的な内容を比較しやすくなるのです。
また、プロのリフォーム会社に相談することで、改築以外の方法を提案してもらえるメリットもあります。
住宅の状態や要望を考慮した工事ができる業者を選択しましょう。
2. リフォーム会社とプランを詰めていく
相見積もりなどでリフォーム会社を絞ったら、契約を締結して具体的なプランを詰めていきます。
リフォーム会社に要望を出したり提案をしたりして改築工事の内容をすり合わせ、納得いくプランにしましょう。
住宅の状態や改築内容によって確認申請が必要な場合は、この段階で諸手続きに関する準備をすすめます。
また、改築工事の期間中に自宅に住み続けられない場合は、仮住まいを用意する必要もあるので早めに手配しておきましょう。
3. 改築工事着工
確認申請がある場合は審査通過後、不要である場合は工事日程を決めて改築工事に着工します。
確認申請は基本的に施工業者が対応してくれるので、特に何か用意する必要はありません。
ただし、審査を通過しないと着工できないため注意が必要です。
施工後には不具合が無いかチェックする「完了検査」をおこないます。
このチェックがないとのちに不具合が発覚しても保証してもらえない可能性が高くなるため、必ずおこなってください。
また、工事完了後は1ヵ月以内に登記手続きをしなければなりません。
自身で対応することも可能ですが、土地家屋調査士に代行依頼するのがおすすめです。
改築時の注意点!スムーズに進めるための3つのコツ
最後に、実際に改築工事をおこなう際の注意点を3つ紹介していきます。
以下のコツをおさえて改築工事を成功させましょう。
- 法令制限や建築確認申請に注意する
- 耐震補強にも着目する
- コストダウンの工夫をする
改築工事は建築基準法に従っておこなわなければなりません。
また、改築後も安心して住み続けるために、安全性にも着目して工事をおこなう必要があります。
詳しく見ていきましょう。
1.法令制限や建築確認申請に注意する
改築をおこなう際は、まず建築基準法や自治体ごとに定められている条例に反していない工事かどうかをチェックする必要があります。
特に、床面積が10㎡以上増える増築を含む工事の場合は「建築確認申請」の提出が求められるため注意しなければなりません。
また、施工するのがマンションである場合は、管理組合への事前届出も必要になるでしょう。
これらは着工前に取り組まなければならないことなので、プランが確定したらすぐに着手するようにしてください。
2.耐震補強にも着目する
既存の建物の築年数が経過している場合は、改築後の建物が現在の「耐震基準」を満たしているかどうかも確認しましょう。
特に「旧耐震基準」で建てられた物件は震度5度程度までの耐久性しかないため、耐震補強工事もあわせて行う必要があります。
改築をおこなう際は、必ず業者や専門家に「耐震調査」依頼して、耐震補強が必要かどうかチェックしてもらいましょう。
3.コストダウンの工夫をする
予算に限りがある場合は、いかにコストダウンするかも重要なポイントです。
以下のポイントに着目して、かしこく改築工事をおこないましょう。
- 施工する範囲を限定し、必要な部分だけおこなう
- 導入する設備や建材のグレードを検討する
- 業者選定時のサービス内容を確認する
- 施工するタイミングを検討する
- 大手企業でなく地域密着型の業者に依頼する
- 減税制度や補助金制度が利用できるか検討する
自分で検討できることもありますが、信頼できる施工業者に相談することで、解決の糸口が見つかる可能性も大いにあります。
施工業者選びに時間をかけてじっくり選定することが、結果としてコストダウンにつながるのです。
富山県で改築工事を検討している際はユニテにご相談ください
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当社には一級建築士が在籍しておりますので、建築のプロがご自宅の状態を確認したうえでお客様へ最適なご提案をさせていただいています。
どのような些細な事でも構いませんので、改築に関するお困りごとがあれば、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
改築の基本情報と費用相場、メリット・デメリットについて解説しました。
改築だけを行うこともあれば、ご要望によっては増築との組み合わせで工事することもあるため、
ご自宅のタイプや場所の面積などで費用形態は変化します。
改築工事は自己判断で決定すると後悔のもととなるため、十分注意しましょう。
一級建築士などの建築にまつわる資格を保有するスタッフが常在するリフォーム会社や改築に関する施工実績がある会社に依頼すると安心です。
この記事を参考に、他の建築用語と改築の違いを把握して、自身の希望に合ったリフォームを実現させてください。