
家の中にユニバーサルデザインを取り入れたいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間の様々な経験から、家の中にユニバーサルデザインを実現させた事例をまとめてみました。
目次

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「ユニバーサルデザイン」という言葉を見聞きすることはあるものの、具体的にどういうものか意外と知らない方もいるのではないでしょうか。
ユニバーサルデザインとは、年齢・ハンディキャップなど問わず、誰もが快適に生活できる環境を実現するための考え方です。
生活用品だけでなく、家づくりの観点においても、新築現場やリノベーション現場などで考慮されています。
リノベーションの際に何を要望すべきか、どんな機能が必要かを判断できるようになることで、「誰も取り残さない家づくり」を実現することができます。
この記事では、ユニバーサルデザインを取り入れた住まいについて、概要や具体的なイメージ、リノベーション計画に役立つポイントをご紹介します。
この記事を通じて、自分たちに必要なユニバーサルデザインの機能を判断できるよう、理解を深めていきましょう。
家の中におけるユニバーサルデザインの意義

「家の中におけるユニバーサルデザイン」の意義は、全ての人が快適に生活できる空間を作ることです。
日用品から家具・建築まで使いやすさを考慮しながら設計することで、自然とバリアフリーにつながり、誰もが暮らしやすい生活環境になるでしょう。
ユニバーサルデザインの考え方や工夫は、住宅や生活用品だけでなく、都市計画やコミュニケーションツールなどのあらゆるところで適用されています。
詳しく見ていきましょう。
ユニバーサルデザインの基本概念

ユニバーサルデザインとは、全ての人が使いやすいように配慮した設計のことで、施工会社によっては「フレンドリーデザイン」と呼ぶこともあります。
大きく「物のデザイン」と「情報のデザイン」に分けられ、使い方が直感的に理解できるデザインや、誰もが迷わずに情報を見つけられるユーザビリティが求められます。
ユニバーサルデザインの種類 | 特徴 | 用途例 |
物のデザイン | 使いやすさを追求した形状や操作性 | 家具・設備・製品などの設計 |
情報のデザイン | 誰もが迷わず情報にたどり着ける設計 | ウェブサイトへの容易なアクセス、紙媒体のレイアウトなど |
ユニバーサルデザインの概念は、アメリカのノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス氏が提唱した、以下の7つの考え方です。
- どんな人でも公平に使えること
- 使う上で自由度が高いこと
- 使い方が簡単で、すぐに分かること
- 必要な情報がすぐに分かること
- うっかりミスが危険につながらないこと
- 弱い力でも楽に使えること
- 利用するための十分な大きさと空間があること
参考:Center for Universal Design | College of Design
リノベーションを計画する際に上記の7原則を満たすことで、全ての人にとって住みやすい環境が実現します。
家の中でのユニバーサルデザインの例
家の中におけるユニバーサルデザインの一般的な例は以下の通りです。
部分 | ユニバーサルデザインの実例 |
トイレ | ハンドルの設置、滑りにくい床材 |
階段 | 手すりやライトの設置、段差の排除 |
玄関 | 段差の排除、広々とした空間 |
スイッチや蛇口 | センサー式の導入 |
特に上記で挙げた場所には、家に住む人全員の使いやすさや安全性を考慮した対応が必要です。
生活用品のユニバーサルデザインの例
以下の通り、生活用品にもユニバーサルデザインを取り入れているものがあります。
生活用品 | 特徴 | 対象者 |
シャンプーボトル | 握りやすさとプッシュ式で使いやすい形状 | 全ての利用者 |
牛乳パック | 取っ手がついていて重さを気にせず運べる | 高齢者や子供、筋力が弱い人 |
お皿 | 立体的な形状で持ちやすさを向上 | 高齢者や手の小さい人、運動機能に制限がある人 |
トランプ | 色や形状の工夫で視覚的にわかりやすい | 色覚障害の方や視力に制限がある人 |
一見すると小さな工夫に見えますが、ユニバーサルデザインの観点では日々の生活を快適にしてくれていることがわかります。
ユニバーサルデザインとバリアフリー住宅の違い
ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いは以下の通りです。
バリアフリー | ユニバーサルデザイン | |
対象者 | 高齢者や障がい者 | すべての人 (子育て世代・高齢者・障がいのある人がいる家族など) |
目的 | 物理的障害を取り除き、生活の便宜を図る概念 | 使いやすさを追求した、多様なニーズに対応する設計思考 |
具体的な対策 | スロープの設置、自動水栓など | 子育て世代・高齢者・障がい者等にも使いやすいデザインを提供 |
ユニバーサルデザインの考え方から派生したのがバリアフリーであり、対象者と目的が異なります。
バリアフリーは高齢者や障がい者に配慮したデザインで、物理的障害を取り除き、快適に過ごせるようにします。スロープ設置や自動水栓などが代表的な例です。
一方で、ユニバーサルデザインは高齢者や障がい者と区切らず、多様なニーズに対応した使いやすさを追求します。
例えば、高齢者や障がい者だけでなく、子どもや妊婦、健常者の方でも段差や階段でつまずくことはあります。
家に住む人全員の転倒リスクを軽減するために、手すりや滑り止めをつけることは、ユニバーサルデザインに該当します。
子育て世代から高齢者や障がいのある方がいる家族まで、全ての人が生活しやすい家を目指すという観点から、バリアフリーリフォームもユニバーサルデザインの一環であることがわかります。
ユニバーサルデザイン設備を家の中に取り入れた具体的な施工事例
本項目では、ユニテで実際に施工された事例から、ユニバーサルデザインを家の中に取り入れたお住まいをご紹介します。
ユニテへご依頼いただいた事例では、主に以下の設備やリノベーション計画にユニバーサルデザインの考え方を取り入れさせていただきました。
- トイレ
- お風呂場
- 階段
- 間取り
- キッチン
家の中にユニバーサルデザインを取り入れた方の事例などを写真付きでご紹介しますので、施工を迷われている方はぜひ参考にしてみてください。
トイレと段差

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富山県富山市にお住いのK様邸の事例です。
高齢の親御様の部屋から遠く、使いにくいトイレ環境にお悩みでした。
「寝室からすぐにトイレに行けるようにしたい」とのご要望に応え、ユニバーサルデザイン(バリアフリー仕様)のトイレに改修させていただきました。

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他にも、使いずらさを以下の方法で解消しています。
- トイレ入口の段差をなくす
- 両壁に手すりを設置
- 壁を解体して寝室からトイレまでの動線を改善
- 和式から洋式便器へ設備変更
- 洗面カウンターも使いやすい設備に変更

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ご両親からはトイレの入口が近くなり使いやすくなったことを喜んでいただき、「便利で使いやすいトイレにリフォームできてよかった」との感謝の声もいただいきました。
お風呂場

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こちらは、富山県富山市にお住まいのS様邸の事例です。
S様は老後のために快適な浴室をご希望されており、ユニバーサルデザイン(バリアフリー)のお風呂場をご提案いたしました。
- 入口の段差をなくし、広々とした浴室に改修
- 浴槽サイズが広めで、ゆったりと入れる設備に変更
- 冷たいタイル床から暖かく過ごしやすい素材に変更
S様からは「暖かくて広々とした浴室になって嬉しいです」とお喜びの声をいただきました。
階段

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こちらの階段は、手すりの設置やゆるやかな勾配によって、高齢の方も安心して移動できるユニバーサルデザインとなりました。
高齢の方だけでなく子どもやケガをした方、妊婦の方などにも、快適で安心な階段移動を提供できます。
また、手すりの設置は実施しやすく費用も約2万円から施工が可能です。
間取り

富山県富山市にお住まいのN様邸では、ユニバーサルデザインに基づいた間取り変更を行いました。
N様は急な段差や狭い間取りに悩んでいましたが、リノベーションにより住みやすい住環境に生まれ変わっています。
特にLDKでは、空間を区切るパーティションを設置。
パーティションのレールは段差がなく、誰でも移動がしやすくなっています。
段差のない空間は、安全性と利便性を高めるだけでなく、開放感も生み出していますね。
キッチン

富山県高岡市のバリアフリーキッチンの施工例です。
施主様はご高齢のお母様とお住まいで、将来を見据えてバリアフリーのリノベーションを行いました。
使いやすさを重視したリノベーションで、車いすでも移動しやすい広々とした動線設計を実現。
また、対面キッチンでは家族とのコミュニケーションを大切にしつつ、施主様の身長に合わせた低めの設計を行いました。
誰でも使いやすいキッチンで、快適に料理が楽しめます。
ユニバーサルデザインの家づくりを成功させるためのポイント

ユニバーサルデザインを取り入れた家づくりを成功させるためのポイントは、デメリットである費用とゆとりを解消することです。
ユニバーサルデザインには一定の費用がかかる場合もあります。
予算計画や工夫が必要なだけでなく、ゆとりのあるスペースや設備を考慮することも重要です。
以下のポイントを考慮して、家族全員が納得できるユニバーサルデザインを家の中に取り入れましょう。
- 家の中に居ても狭さを感じないデザインを考える
- 予算と費用対効果のバランスを考慮する
- 家族全員が使いやすいか話し合う
家の中に居ても狭さを感じないデザインを考える
家の中に居ても狭さを感じないデザインを考えましょう。
快適さを追求するあまり各スペースが狭くなることがありますが、各スペースには「ゆとり」が必要です。


トイレや浴室、キッチンなどのスペースを広くするために、間取り改修や配管費用などの負担がかかってしまうことがあります。
デッドスペースをなくし、スペースの効率化を図ったリノベーション計画を立てましょう。
また、ユニバーサルデザインに関する設計力のある施工会社のサポートも大切です。
施工会社の設計力やアイデア次第では、狭さを感じさせないデザインを実現できるでしょう。
予算と費用対効果のバランスを考慮する

ユニバーサルデザインを家の中に取り入れる際には、予算と費用対効果のバランスを考慮しましょう。
ユニバーサルデザインがまだ住環境においては主流ではないため、特殊な設備や機能には高い費用がかかることが予想されます。
一部のユニバーサルデザイン設備によっては、高さ調節が可能な洗面台や自動式水栓など、一般的なものよりもコストが高くなる場合もあります。
また、誰もが使いやすい環境をつくるために大規模な工事を行うこともあるでしょう。
段差をなくしたり、間取りを変更する場合なども、改修費用がかかることを考慮しなければなりません。
闇雲にユニバーサルデザインを採用するのではなく、予算内で費用対効果が高いかどうかを考え、必要な機能と予算のバランスを取ることが成功のポイントです。
そのためにも家族全員が使用する頻度や必要性を考え、必要な機能に絞ってユニバーサルデザイン計画を立てましょう。
家族全員が使いやすいか話し合う

前述の予算と費用対効果のバランスにもつながりますが、家族全員が使いやすいかどうかを話し合う時間を設けることも忘れてはいけません。
自分だけが使いやすいというだけではなく、家族全員の意見や要望を取り入れることが重要です。
例えば、キッチンカウンターの高さや手すりの設置など、毎日使うような場所は家族全員に合わせた改善が必要となってきます。
家族で現状の心配ポイントや不便さを話し合い、共通の課題を把握し、施工業者に共有しましょう。
内容をもとに、担当者が適切なアドバイスや提案をしてくれます。
家族全員で話し合い、どの機能が本当に必要であるか、また予算とのバランスを考慮しながら選択しましょう。
富山県内でユニバーサルデザイン施工をご希望の方はユニテにご相談ください
富山県内でユニバーサルデザインの施工を検討している方は、ぜひユニテにご相談ください。
ユニバーサルデザインの施工実績も豊富で、バリアフリーな住環境を実現するための技術と知識を兼ね備えております。
ユニバーサルデザインの家づくりを実現・成功させたい方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
今回は、家の中におけるユニバーサルデザインについて概要や施工事例、成功させるためのポイントをご紹介しました。
家の中にユニバーサルデザインを実現するためには、誰もが快適に過ごせる住環境を考えることが必要です。
年齢や身体的な制約に関係なく、全ての人が自由に生活できるように配慮された設計と施工が求められます。
一緒に住む家族への思いやりの心を持って、誰もが暮らしやすい家を目指したいという方にとっては、家の中におけるユニバーサルデザインの採用はおすすめです。
家族の安心と快適さが得られるユニバーサルデザインの家づくりを計画していきましょう。