中古マンションをリノベーションしたいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々な経験から、中古マンションのリノベーション実現のコツや費用・物件選びのポイントをまとめました。
目次
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「中古マンションのリノベーションって実際どうなの?」
「リノベーションに適したマンションの選び方を知りたい」
中古マンションを購入してリノベーションすることで、自分好みの理想の住まいを実現する方法が近年人気を集めています。
しかし、リノベーションを検討している人の多くが上記のような不安を抱えており、なかなか実現できずにいるのです。
この記事を読めば、中古マンションのリノベーションにかかる費用や、物件選びのコツが把握できます。
さらに、後悔しないためのポイントについても解説していきますので、理想の住まい実現に一歩近づけるでしょう。
【基礎知識】リノベーションマンションとは?
リノベーションマンションとは、中古マンションに大規模な改装工事を行い、住みやすくした物件のことです。
住環境を整えたり新しい設備を投入したりすることで、性能や価値を付与し、古いマンションを現代の暮らしに合った物件へと変えています。
自分のライフスタイル・ライフステージに合わせて、間取りや内装を自由に変更できるのが魅力です。
リノベーション物件のメリット・デメリット
中古マンションをリノベーションするメリットは以下の通りです。
- 新築とほぼ変わらない住まいが安く手に入る
- デザインと機能性にこだわることができる
- 古い物件の素材を活かせる(打ちっぱなしなど)
- 物件の資産価値を高められる
1番の魅力は、新築よりも安い金額で物件を購入でき、なおかつ注文住宅のようなオーダーメイドの住まいが実現できることでしょう。築年数が経過しているマンションでも、リノベーションで内装や設備状態を改善できれば、十分快適に暮らせます。
さらに、物件の資産価値を高めることも可能です。
また、ライフステージに合った住まいを実現しやすいのもメリットでしょう。
中古マンションのリノベーションは、間取りなどの内装を比較的自由に設計できます。子どもやお年寄りを考慮して目が行き届きやすい間取りを採用したり、家事動線を意識して水回り設備をひとまとめにしたりできるのです。
さらには、自分の好きなテイストの住まいを実現することもできます。コンクリート打ちっぱなしの壁や天井を活かしたり、レトロな雰囲気を残しつつ住宅性能のみアップさせたりできるのは、リノベーションならではの魅力でしょう。
詳しい内容については「おしゃれな中古マンションの鉄則|リノベーションのコツを抑えよう」をご覧ください。
以下のケースに該当する人は、中古マンションのリノベーションを視野に入れてみることをおすすめします。
ただし、リノベーション物件には思わぬ落とし穴があります。
以下のデメリットに注意した上で計画しなければ失敗してしまうでしょう。
- 古すぎる物件は耐久性が不十分なケースもある
- ローンの金利が高い・ローンが組めない
- 計画~引き渡しまでに時間がかかる
中古マンションの中には耐震性が乏しいものや、経年劣化で設備や資材にダメージがあるものも多く存在します。
内装にいくらこだわったとしても、マンション自体に耐久性がなければ根本の解決にはなりません。
「中古マンションであればどのマンションでも良い」というわけではないので注意しましょう。
またリノベーションをする場合は、新築時に組むような一般的な住宅ローンが利用できないというデメリットがあります。金利の高いローンを組むか、マンションの状態によってはローンを組むことすらできない可能性もあるのです。
さらに、新築物件よりもリノベーションのほうが作業工程が多いため、引き渡しまでに時間がかかることにも留意しなければなりません。住環境をすぐにでも変更したい・長いスパンで計画するのが難しいケースには向かないでしょう。
中古マンションを購入する際は、リノベーションに適した物件かどうかを見極めることが重要です。
上記のような懸念点を頭に入れながら物件を探すよう心掛けてください。
【参照記事】
【最悪だ...】リノベーションで起こった失敗談10選とその対処法
リノベーションマンションのデメリット6つ!買うなら築30年前後
リノベーションとリフォームの違い
よく耳にするリノベーションという言葉ですが、リフォームと混同して使われてしまうことも少なくありません。
まずは2つの違いについてみていきましょう。
【リノベーションとリフォームの違い】
リノベーション(刷新) | リフォーム(改修・改装) |
新たな価値・機能の付与 既存の建物に価値をプラスする (ゼロからプラスへ) |
原状回復がメイン 老朽化した状態を新築当初に回復する (マイナスをゼロへ) |
「リノベーション」は、既存の建物をより住みやすく改良する工事で、主に機能や価値の再生が目的です。
新築当初よりも住宅性能を良くしたり設備を設置することにより、従来の物件に付加価値をつけることができます。
暮らし全体を見据えて包括的に改修するため、部分的な対処でなく物件の根本的な問題・暮らしの悩みを解消するのが目標です。配管や躯体など表面から見えない部分の工事もおこなう抜本的な改修なので、それなりの専門知識が必要になります。
一方で「リフォーム」は老朽化したり古くなったりしたものを、新築当初の状態まで回復させる工事のことです。経年劣化でマイナスになってしまったものをゼロに戻すイメージで、改修・改装工事などが該当します。
不具合を部分的に交換する「修繕」がメインとなり、建築の高度な専門知識も原則必要ないため、営業職が担当するケースもあるようです。
また、建物全体の改修工事は「フルリフォーム」や「フルリノベーション」などと呼ばれますが、この2つの単語はほぼ同義で使われます。
【参照記事】
2分で分かる!リフォームとリノベーションのたった1つの違い
【中古マンション】リノベーションにかかる費用と相場
中古マンションのリノベーションには以下の3つの費用が必要です。
- マンション購入費用
- リノベーション費用
- 諸経費
予算組みを失敗しないためには、主な費用である「マンション購入費用」と「リノベーション費用」のバランスを上手く取ることが重要になります。
ただし荷揚げ費用や引っ越し費用など、リノベーションに直接関わらない「諸経費」も必要になることも計算しておかなければなりません。資金計画時に抜けていると慌てて費用を捻出することになるため、しっかりと把握しておきましょう。
マンションのリノベーション費用については「マンションリノベーションの費用とは?おしゃれな間取りの物件を手に入れよう」で詳しく解説しています。
①マンション購入費用
基本的に、中古マンションは以下の流れで購入します。
以下はマンションの購入手順ごとに必要になる費用の内訳です。
【中古マンション購入の流れと必要な費用】
購入手順 | 費用 |
①売主との売買契約締結 | 手付金(売買代金の約5%を先払いする) |
②決済と引き渡し | 売買代金(手付金を差し引いた残り) 取得諸費用(売買代金の約10%) |
③購入後 | 不動産取得税 |
まず、マンション購入時は「マンションそのものの購入費用+取得諸費用」がかかります。
たとえば、2,000万円のマンションを購入した場合は、取得諸費用が200万円ほど必要になるので、あらかじめ予算に入れておきましょう。
中古物件といっても、高い買い物であることに変わりはないため、購入時はローンを組むケースがほとんどです。
しかし、築年数が古すぎるとローンを組みづらいので、十分注意しましょう。
リノベーションの場合も新築と同様に、ローンの貸し出し可能額に制限があったり、返済期間が短かったりするケースが多いのです。
中古マンション購入前には、物件の築年数と借り入れ可能額の関係についてしっかり把握しておいてください。
②リノベーション費用
リノベーションにかかる費用は、実施するリノベーションの種類や規模によって大きく異なります。
まずはリノベーションの種類についてみていきましょう。
【リノベーションの種類】
表装リノベーション (見える部分のみを刷新する) |
スケルトンリノベーション (見えない部分も含めて刷新する) |
内装デザインの変更 設備交換や造作 |
躯体のみを残して作り変える 古くなった配管・断熱材の交換 |
「表装リノベーション」は、主に内装などの目に見える部分だけを現在のライフスタイルに合わせて改修するリノベーションです。
比較的規模の小さいリノベーションなので、費用が安く工期も短くなる傾向があります。
「スケルトンリノベーション」は、部屋やマンション全体を一度躯体のみの状態まで解体し、表装も内部も最新設備へと刷新するリノベーションです。
見えない部分も新しくできるため、マンションの付加価値を高めたり、老朽化した部分を刷新したりできるメリットがあります。
たとえば、床下の老朽化した配管を交換し、水回り設備を再配置するなどの施工が可能になるのです。
そのため、スケルトンリノベーションをおこなえば、多少築年数が経過していても長く快適に暮らせるメリットがあります。
ただし、規模が大きい工事となるため、費用や施工期間がそれなりに必要になるでしょう。
以下はスケルトンリノベーションに必要な費用の目安です。
【中古マンションのスケルトンリノベーション費用目安】
平米(㎡) | リノベーション費用相場 |
40㎡ | 600~800万円 |
50㎡ | 750~1,000万円 |
60㎡ | 900~1,200万円 |
70㎡ | 1,050~1,400万円 |
1㎡あたり15〜20万円がおおよその相場ですが、施工内容によって変動するため、あくまでも目安として考えておきましょう。スケルトンリフォームは、平米数が狭ければ狭いほど安くなるというわけではありません。
たとえば、水回り設備を改装する場合は、広さに関わらず一定のコストが必要になります。
そのため専有面積が小さい場合は、トータルコストは安くても1㎡あたりの費用が高くなってしまうのです。
リノベーション費用は設備・建築費で左右される
リノベーションにかかる費用は、設備・建築費によって大きく左右されます。リノベーションにかかる費用は以下の2種類です。
リノベーション費用=[工事費(固定費)]+[設備・建築費(変動費)] |
「工事費」は、実際にリノベーションの工事にかかるコストのことで、主に以下の費用が含まれます。
- 施工会社の人件費
- 足場の組立費
- 廃材処分費
- 解体費用
- 設備工事費用
上記費用は、依頼主側からはコントロールできない費用です。
この工事費はある程度固定されている費用なので、業者によって大きく変動することは原則ありません。
企業努力で数十万程度は安くできるかもしれませんが、建材や設備の価格は変えられないからです。
そのため、建材や設備にかかる費用を自分でコントロールし、リノベーションにかかるトータル費用を調節しなければなりません。
設備・建築費を左右する主な要素としては、下記の6つが挙げられます。
【リノベーション費用を左右する6つの要素】
要素 | 内容 |
平米数 | 規模を左右する要素 部屋が広いほど作業量が多く、資材・設備も必要になる |
間取り | 間取り変更:仕切りや扉の数が多いほどコストがかかる 水回りの移動:配管を延ばす・床を上げる作業が発生する |
壁や床の素材 | 素材のコスト×改修面積 グレードの高い素材を多く使うとコストがかさむ |
キッチン | メーカーやグレードによってかかるコストに差が出る (50万~300万と幅広い) |
お風呂や洗面所 | メーカーのユニット品:組立が容易な出来合いのもの 在来工法:職人作業が増えるため高額になる |
特注品 | 既製品で済むものを特注・造作にする場合は費用が高くなる (家具・建具など) |
どの程度まで刷新するのか、どれくらいのグレードを採用するのかによって大きく費用は変動します。
特にスケルトンリノベーションでは、工法や設備のグレードの選択肢が多いため、注意が必要です。
なにもかもこだわってしまうと莫大なコストがかかってしまうので、やりたいことに優先順位をつけなければなりません。
万が一見積もりが予算を超過してしまった場合は、上記の要素を参考にしながら素材やプランの見直しをおこない、コスト削減することをおすすめします。
③諸経費
リノベーションに直接関わらない以下の「諸経費」は、資金計画時に忘れられがちな費用です。
きちんと把握して予算に組み込んでおきましょう。
- 引っ越し費用
- 3~4ヵ月分の仮住まい費用(家賃など)
- 荷揚げ費用(搬入経路が確保できない場合)
中古マンションのリノベーションでは、物件を購入してから着工することになるため、工事期間中は別の場所に住まなければならないケースも存在します。
その場合は、引っ越し費用や仮住まいの家賃が発生することになるでしょう。
さらに、中古マンション購入時にローンを組んだ場合は、工事期間中もローンの支払いが発生します。
「住宅ローン」と「仮住まい家賃」をダブルで支払わなければならないため、十分注意してください。
物件選びやリノベーションの規模を検討する際には「工事にどのくらいの日数がかかりそうなのか」という観点から検討することも重要になるでしょう。
リノベーションに適した中古マンションを見極める8つのポイント
中古マンションの購入時には、以下の8つのポイントに着目しましょう。
- 築年数
- 耐震強度
- 適正価格
- 管理状態
- 修繕契約・積立金状況
- プランが実現可能な物件
- ローン
- 保証制度と保証期間
中古マンションは新築購入時とは異なる着眼点で物件を選ばなければなりません。
特に1〜7の項目は欠かさずチェックし、納得できる物件を見つけてください。
①築年数
一般的に、築年数が古ければ古いほど、マンションの購入価格は安くなります。
しかし、あまりに古いとリノベーション費用が高くなってしまうため、注意が必要です。
マンションの法定耐用年数は築47年に設定されています。資産価値は築15〜20年で半分ほど、築40年頃にはほぼゼロになるため、購入時のコストは安くなるのです。
ただし、マンションの設備や配管などは年々劣化していきます。築年数が経過したマンションは老朽化によるダメージが大きくなっているため、そのぶん刷新しなければならない箇所も多くなってしまうのです。
必要な修繕をおこなわず、リノベーション費用を出し惜しみしてしまうと、のちのちトラブルを引き起こします。最悪の場合は再改修が必要になったり、住めなくなってしまうかもしれません。
マンションの寿命と耐用年数については「【分譲マンション】建て替えは賛成・反対どちらを選ぶべき?負担費用や実施の流れ」で詳しく解説しています。
②耐震強度
せっかく中古マンションを購入してリノベーションしても、耐震性が不十分だと長く住むことはできないでしょう。
中古マンションを購入する際は築年数とあわせて「耐震基準」にも着目しなければなりません。
現在売り出されているマンションには、大きく2つの耐震基準が存在します。
【耐震基準の種類と違い】
内容 | 時期 | 耐震性 | |
新耐震基準 | 大規模地震が来ても損傷や倒壊の恐れがない物件 | 1981年6月以降に着工された物件 | 震度6~7度レベルの耐震性 |
旧耐震基準 | 中規模地震が来ても損傷や倒壊の恐れがない物件 | 1981年5月31日以前に着工された物件 | 震度5度レベルの耐震性 (それ以上の地震に対しては保証なし) |
2つの耐震基準の大きな違いは、揺れに対する強度です。基本的には「新耐震基準」で建てられている築40年未満のマンションを選ぶといいでしょう。
ただし、旧耐震基準で建てられたマンションでも、新耐震基準と同等の耐震性が認められている物件であれば問題はありません。
築年数が古いマンションの場合は「耐震改修・耐震補強をおこなっているか」や「インスペクションに合格しているか」などをチェックし、安全性を確認しましょう。
③適正価格
マンション購入に失敗しないためには、「購入を検討している中古マンションが適正価格かどうか」を見極めることも重要です。
中古マンションは、相場感を明確にしやすい物件なので、自分でおおまかな適正価格を把握しておきましょう。
中古マンションの相場感は「同じエリア・同じ条件」の物件を見比べることでチェックできます。
物件情報サイトなど、Web上の物件を見比べて情報収集してみるといいでしょう。
ただし、売り出されているマンションの中には、売り出し当初の金額設定のまま売れ残っているものも存在します。
あくまでも目安程度の価格として考えておきましょう。
また、相場よりかなり安い物件も注意が必要です。相場と乖離している場合は「借地権」のみが取得できるマンションや、投資用の「オーナーチェンジ物件」など、何らかの理由があるかもしれません。
④管理状態
マンションの管理状態は、リノベーションでは変えられない部分です。そのため、管理が行き届いている中古マンションなのか、購入前にしっかり確認しておく必要があります。
管理状況が良ければ売り出す際にも有利になりますし、なにより安心して長く住めるでしょう。
しかし、管理がずさんだと老朽化が進むため、最悪耐震性能まで影響するケースもあります。
必要な時期に必要な修繕をおこなっているか、きちんとチェックしておきましょう。
自主管理の中古マンションも存在しますが、管理が難しいためあまりおすすめしません。
素人である住民だけで修繕計画をしなければならず、住宅ローン借り入れ時に不利になるなどのデメリットがあるためです。
また、共用部分の管理状況もあわせてチェックしてください。以下はチェックすべき共用部分の一例です。
- ゴミ捨て場(きれいに使われているか)
- 駐車場・駐輪場(ゴミが散らかっていないか)
- 掲示板(古い情報のチラシが掲載されていないか)
- 植え込み(手入れが行き届いているか)
- 廊下(電球が切れていないか)
⑤修繕契約・積立金状況
マンションの品質を保ち、長く快適に住めるようにするには、計画的な修繕が必要不可欠です。
修繕履歴・修繕計画を確認するには「重要事項説明書」をチェックします。
重要事項説明書には、主にマンションに関する以下のことが記述されています。
- 修繕計画・履歴
- 積立金の積立状況
- 使用目的
- 管理費との区分
- 管理組合の取り決め
上記項目をチェックする際には、売主や管理組合の滞納状況などもあわせて確認しておきましょう。
万が一滞納があった場合は、買主である自分に支払い責任が発生する可能性があるためです。
⑥プランが実現可能な物件
中古マンション購入の際には、「自分が計画しているリノベーション内容が実現可能か」についてもしっかり検討しなければなりません。
マンションの構造によっては実現できないプランも多いためです。
マンションの構造は大きく以下の2種類に分けられます。
【マンション構造の種類】
構造 | 内容 | メリット | デメリット |
壁式構造 | 壁で建物を支える構造 | 障害物がなく広く仕える | 間取りに制限がある |
ラーメン構造 | 柱と梁で建物を支える構造 | 比較的自由な間取り設計 | 室内に障害物がある |
たとえば、壁を撤去して広々としたLDKにリノベーションしたい場合は、「壁式構造」のマンションを購入しても実現できないので注意が必要です。
また、水回り設備を再配置するケースでは、給排水管が入っている「パイプスペース」の位置が重要になります。パイプスペースから離れた場所であればあるほど、水が流れるよう勾配を作らなければならず、床が高くなってしまうのです。
ただし、専門的な内容を一般の人が判断するのは難しいため、リノベーション会社と相談しながら検討するのがいいでしょう。
⑦ローン
中古マンションの購入時は組めるローンが限られており、審査のレベルも厳しくなる傾向があるため注意しましょう。
さらに、引き渡しまでが長い新築に比べ、中古マンションは最短1ヵ月で引き渡しが完了します。住宅ローンの検討時間が短いため、事前にしっかり情報収集をしておかなければなりません。
また「住宅ローン控除」を利用したい場合は、購入するマンションの築年数にも留意する必要があります。マンションなどの耐火建築物の場合は、築25年以上経過すると対象外となるため気を付けましょう。
さらに、所有権がなく「借地権」のみのマンションであるケースでは、ローン自体組めないこともあるため注意が必要です。
⑧保証制度と保証期間
中古マンション購入時には「契約不適合責任(瑕疵担保責任)」や「適合リノベーション住宅」についても事前に理解しておくことをおすすめします。
「契約不適合責任」は、簡単にいうと「契約時の内容と相違があった場合は売主が責任を負う」という内容です。
以前の「瑕疵担保責任」が改正されたもので、契約書にない瑕疵が見つかった場合は、売主へ損害賠償や履行の追完が請求できます。
ただし、契約から2年以内であることが条件です。
「適合リノベーション住宅」とは、統一規格や品質に適合した優秀なリノベーション住宅のことです。適切な検査・改修をおこなっており、住宅履歴情報として工事の記録が保管されているメリットがあります。
住宅履歴情報があるとメンテナンスなどの管理がしやすくなり、万が一不具合が発生した場合の保証が受けられるケースもあるのです。
【失敗しない】リノベーション会社の選び方
中古マンション選びに成功しても、リノベーション会社選びにつまづいてしまうと、失敗する可能性は高くなってしまうでしょう。
ここからは、ケース別に適切なリノベーション会社の選び方について解説していきます。
- 中古マンション探しから依頼したい場合
- リノベーションだけ依頼したい場合
上記の2つのケースでは、それぞれ選ぶべきリノベーション会社が異なるため、自分に合ったほうを選択してください。
もちろん、優良な会社を見極めることも重要です。依頼先を検討する際は、必ず見積もりを取ることをおすすめします。先述した工事費の内訳を、しっかり記載・説明してくれる誠実な業者なら安心できるでしょう。
さらに、価格や対応だけでなく、「自分のやりたいリノベーション内容の実績があるかどうか」もあわせてチェックしてください。
中古マンション探しから依頼したい場合
中古マンション探しから協力してもらいたい場合は「ワンストップ型」のリノベーション会社を選択するのがおすすめです。ワンストップ型のリノベーション会社なら、物件探しから設計・施工までをまとめて引き受けてくれます。
やりたいリノベーション内容を共有し、それに見合った中古マンションを選定してくれるため、効率よくリノベーションをおこなえるのがメリットです。
リノベーションだけ依頼したい場合
既にリノベーションしたい中古マンションの目星がついており、施工だけを依頼したい場合は、選択肢がかなり広くなるでしょう。
そのため、念入りに比較検討しなければなりません。
以下の選定基準を参考に絞り込みをおこなうことをおすすめします。
- リノベーション会社の得意分野と希望する内容がマッチングしているか
- 施工事例や実績は豊富か
- 打ち合わせやプランニングは親切・丁寧か
- アフターサービスの充実度はどうか
施工事例や実績については、リノベーション会社の公式サイトをチェックするか、担当者にヒアリングすると把握できます。
その際は、自分が理想とするリノベーション内容に近いものがあるかどうかもチェックしておきましょう。
また、提示した予算の中で、いかに理想に近いリノベーションを実現してくれるかどうかも重要なチェック項目です。以下のポイントに着目すると判断しやすいでしょう。
- 細かく打ち合わせしてくれる
- 詳細な見積もりを提示してくれる
- 何度も相談に乗ってくれる
- 親切・丁寧な受け答えをしてくれる
中古マンションのリノベーションに関するよくある質問
最後に、中古マンションのリノベーションについてのよくある質問や、注意点を紹介していきます。
Q.リノベーション前・リノベーション後どちらの物件を選ぶべき?
Q.引き渡しまで何か月かかる?
Q.住宅ローンの組み方の注意点は?
上記のポイントを押さえれば、リノベーションに失敗する確率がぐっと低くなるでしょう。
事前にしっかり把握して、実施する際に役立ててください。
Q.リノベーション前・リノベーション後どちらの物件を選ぶべき?
リノベーションにおすすめの中古マンションは「未着工」の物件です。リノベーション前の物件は購入価格が安く、そのぶんリノベーション自体にお金をかけることができます。
特に、スケルトンリフォームを検討しているのであれば、中が多少劣化していても問題ありません。
一方で、リフォーム・リノベーション済みの物件は、契約後即入居でき、住宅ローンを組みやすいメリットがあります。
しかし、表面のリノベーションしか把握できないため、目に見えない部分の劣化具合や不具合などに気付きにくいデメリットがあるのです。
そのため、着工済みの中古マンションである場合は、どの程度まで刷新しているのかや保証範囲などをしっかり把握しておかなければなりません。
きちんと確認しなかったために、のちに欠陥が見つかったという声も挙がっています。
失敗やトラブルも多いため、リノベーションマンションに住むなら自分でおこなうのがおすすめです。
Q.引き渡しまで何か月かかる?
「引き渡しまでに大体どのくらいの日数がかかるのか」を知りたいという人は多いでしょう。中古マンションのリノベーション自体にかかる期間は、平均4ヵ月程度です。
ただし、マンションを探すところから始める場合は、購入までに時間がかかる可能性があります。
また、優良なリノベーション会社が見つからず、依頼先選びに苦戦するかもしれません。
入居予定時期から逆算するだけでなく、余裕を持って物件探しを始めることが大切になるでしょう。
Q.住宅ローンの組み方の注意点は?
中古マンションのリノベーションをする際の住宅ローンに関して、注意すべきポイントは以下の通りです。
- 購入するマンションで住宅ローンが組めるかチェックする
- 余裕を持って住宅ローンの検討を開始する
- マンション購入費用だけでなく諸経費も考慮して借り入れる
- 借り入れ額の上限・期間に注意する
- 住宅ローン控除を受ける場合は築年数に注意する
まずは購入を検討している中古マンションで、どのような住宅ローンが組めるのか把握しましょう。
中古マンションでは、借り入れ額や借り入れ期間に制限があるケースが多く、審査も厳しくなってしまいます。場合によっては複数社から借り入れする必要が出てくるかもしれません。
また、新築とは異なり中古マンションは購入から引き渡しまでの期間が短いため、ローンを検討する時間も短くなります。
焦って誤った組み方をしないためにも、早めに借り入れ先に目星をつけておきましょう。
金融機関の窓口で相談しておくのもおすすめです。
まとめ
中古マンションをリノベーションするメリットは、新築よりも安い金額で購入でき、注文住宅のようなオーダーメイドの住まいを実現できることです。
ただし、新築よりも物件選び・資金計画が複雑になるため、しっかりと検討を重ねる必要があります。
特に、中古マンションを選定する際は注意が必要です。
さまざまな側面から「自分のやりたいリノベーション内容が実現できるマンションかどうか」を検討しましょう。