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老朽化したマンションの建て替えって実際にあるの?住民の負担費用や実施の流れ

マンションを建て替えたいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々な経験から、マンションを建て替えるときの負担費用や実施の流れをまとめてみました。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「分譲マンションの建て替えって実際にあるの?」
「建て替えになった場合はどのくらい費用がかかる?」
「建て替え費用が払えないとどうなる?」

 

築年数が経過しているマンションに住んでいる人の中には、上記のような不安を抱えながら過ごしている人も多いことでしょう。

もし建て替えが必要になった場合は、どの選択が最適なのでしょうか。

 

この記事では、実際にマンション建て替えが実施される確率や、1戸あたりの建て替え費用相場について詳しく解説していきます。

建て替え費用が払えない場合や、「立ち退き料」の有無などについても紹介しますので、マンションの建て替えについて悩んでいる人は、ぜひチェックしてみてください。

【基礎知識】建て替えの理由はマンションの老朽化

マンションの建て替え工事がおこなわれる理由には「マンションの寿命」が関係しています。

安全で快適に住み続けるためには、耐用年数に到達する前に改修あるいは建て替え工事が必要になるためです。

 

実は、マンションの寿命に明確な定義はありません。

通常は築60年程がマンションの建て替え基準となっています。

しかし近年では、異常気象や耐震性への懸念から、目安の半分程度である「築30年」で建て替えるケースも増えてきているのが現状です。

「旧耐震基準」で建てられたマンションなどは、災害に耐えうる可能性が低いため、特に早い段階で建て替え工事が検討されています。

マンションの寿命と3つの耐用年数

マンションの耐用年数には、大きく分けて以下の3つの考え方があります。
 

種類 築年数 考え方
法定耐用年数 築47年
(鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造の場合)
減価償却費として計上できる期間
物理的耐用年数 築60~100年
(建築技術・構造により変動)
物理的に建物に居住できる期間
(安全に住める期間)
経済的耐用年数 築40~50年 建物に資産価値が残っている年数
(快適に住める年数)

 

法定耐用年数は、減価償却費を計上できる期間であり、住める期間や経済的な価値をはかるものではありません。一方、物理的耐用年数は実際に住み続けられる期間のことを指します。

 

また、経済的耐用年数は、建物に経済価値が残っている期間のことです。物理的耐用年数よりも短い期間が設定されており、「快適に住みやすい期間」を反映しています。

 

耐用年数は、建物の構造や建築技術によっても変動するものです。まずは3つの耐用年数の定義と違いについて詳しくみていきましょう。

法定耐用年数

 

「法定耐用年数」は、1998年の税制改正によって定められている耐用年数で、建物の構造ごとに異なります。

構造ごとの法定耐用年数は以下の通りです。
 

構造 耐用年数
木造・合成樹脂造 22年
木造モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
47年
れんが造・石造・ブロック造 38年

 

法定耐用年数は、建物の税法上での価値がなくなるまでの期間を定めたものです。

 

建物や大きな機械など、耐久性がある10万円以上の資産は「減価償却資産」と呼ばれます。

この減価償却資産として計上できる期間を指したものが法定耐用年数です。

あくまで会計上の耐用年数のため、実際に住める期間や経済価値を有する期間とは別物になります。

物理的耐用年数

 

「物理的耐用年数」は、実際に建物に住める期間のことです。

現在は技術が発展していることから、木造であれば40〜60年、鉄筋コンクリート造であれば100年以上耐えうるとされています。

ただし、50年以上前の建築物に関しては築60〜70年程度が限界です。

経済的耐用年数

 

「経済的耐用年数」とは、建物の経済価値がゼロになるまでの期間です。

経済的耐用年数を経過したマンションは、原則建物価格がほぼつかないため、土地価格のみで取引される傾向があります。

「居住可能な年数」を物理的耐用年数、「快適に住める年数」を経済的耐用年数だと定義するとわかりやすいでしょう。

物理的耐用年数が経過したマンションは老朽化が進んでいるため、居住できなくなります。

 

一方、経済的耐用年数が経過したマンションは居住自体は可能ですが、住みづらいのです。

たとえば、築50年以上経過したマンションでも住めないことはありません。

ただし、エアコン設置が難しい部屋がある・エレベーターがないといった物件が多く、快適さや利便性には欠けるでしょう。

さらに、継続して居住するためには補修費用がかさむというデメリットも生じます。

そのため、市場での価値は低くなってしまうのです。

実際にマンション建て替えとなるケースは少ない

マンションの寿命と建て替えの関係性について述べましたが、実際にはマンションの建て替え工事が実施されるケースは多くありません。

引用:国土交通省「マンション建て替えの実施状況」「マンションを取り巻く現状について(1)」

 

国土交通省のデータを参照すると、実際に建て替えとなったマンションの数は、2023年3月1日時点で累計282件です。

2022年までの累計数が270件だったことを考慮すると、2022年〜2023年で建て替えられたマンション数はたったの12件ということになります。

 

また、この建て替え実績は、老朽化したマンションのみを対象にしたものではありません。築年数が浅いマンションを建て替えた「再開発」のケースも含まれているため、老朽化が理由で建て替えをしたマンションはより少ない件数です

 

住んでいるマンションが老朽化した場合は、建て替えを検討することになります。「賛成するべきか」「負担費用はどうなのか」など、さまざまな不安があるかと思いますが、そもそも実際に建て替えとなるケースは少ないのです。

老朽化したマンションが建て替えに至らない3つの理由

先述したように、老朽化したマンションの多くは建て替え実施に至っていません。

マンション建て替えが進んでいない理由は主に以下の3つです。

 

マンション建て替えが進まない主な理由

①住民の賛成が得られない
②費用の負担がネック
③法律上建て替えできない

 

マンションの建て替えは、そこに住む所有者の同意が必須となります。

しかし建て替え費用は原則、所有者負担となるため、特に分譲マンションは同意が得にくい傾向があるのです。ここからは、マンションの建て替えが進まない理由について詳しくみていきましょう。

マンション建て替えが少ない理由①住民の賛成が得られない

まず、マンション建て替えが少ない理由として「住民の賛成が得られない」ことが挙げられます。

居住しているマンションが建て替えとなった場合、区分所有者はその期間中別の場所に住まなければなりません。さらに、修繕積立金を多く徴収されるケースもあるので、経済的な負担が大きくなる傾向があります。

 

建て替えが必要になるのはそれなりに築年数が経過しているマンションです。そのため、高齢者の区分所有者も多く、「老後の資金を使いたくない」という理由や、「費用の捻出が困難」という理由から、建て替えに反対する声も少なくありません。

 

また、高齢者でなくても、建て替え期間中はほかの住まいを見つけて引っ越す必要があるでしょう。その労力やコストを考慮すると、デメリットが大きいと考える人が多いのです。

決定には5分の4以上の賛成が必要

 

マンションの建て替えを実行するためには、まずマンションの区分所有者のうち「5分の4以上」の賛成を獲得しなければなりません。

このことを「建て替え決議」と呼びますが、そもそも建て替え決議が通らないケースが圧倒的に多いという問題があるのです。この前提があるので、管理組合の意向も基本的には建て替えに向かわない傾向があります。

たとえば、理事に建物に詳しい人がいるなどのケースでないと、前向きな議論はなされないことが多いでしょう。

マンション建て替えが少ない理由②費用の負担がネック

マンションの建て替え工事が着手されない主な原因は、建て替え費用の負担です。

本来マンションは管理組合が「修繕積立金」をストックしているため、ある程度の費用はまかなえることになっています。

 

しかし、貯蓄している金額だけでは建て替え費用に及ばないため、多くのマンションが資金不足で断念せざるを得ない状況に陥っているのです。足りない資金を区分所有者に出資してもらおうとしても、額が大きければ大きいほど反対も多くなってしまいます。

容積率に余裕があれば軽減されるケースも

 

ただし、容積率が余っているマンションであれば、建て替え後の戸数を増やして新たな分譲床を販売できるため、建て替え資金が捻出できるでしょう。

「容積率」とは、敷地面積に対してどの程度まで延床面積が認められているかという基準のことを指します。

容積率は地域ごとに設定されているものです。

建て替え前のマンションがこの容積率をめいっぱい利用していなかった場合は、残りの容積率ぶんの延床面積を増やせることになります。

たとえば、300%の容積率のうち現状200%しか利用していないケースなら、残りの100%を割り増しできるのです。

マンション建て替えが少ない理由③法律上建て替えできない

建て替えが検討されるマンションは「既存不適格」に該当するケースが多いため、法律上の理由で建て替えが困難な場合も考えられます。

既存不適格とは、「建築当時の法律には合致していたものが、法律の改正により合致しなくなった」という意味です。

 

たとえば、現在は容積率200%と指定されている土地に、かつて容積率250%で建てられた物件がそのまま残っているケースなどが該当します。

 

また、この既存不適格に該当しないマンションであっても、建て替えが難しいケースは多いでしょう。

建て替えは本来、容積率に余裕がないとできないものです。

そのため、既存不適格に該当しないマンションでも、既に容積率をめいっぱい使っている状態では、建て替えしづらい傾向があります。

マンション建て替えに至るまでの4つの流れ

ここからは、実際にマンション建て替えをおこなう場合の流れについてみていきましょう。

マンションの建て替えが決定して実現に至るまでは、以下の4つのプロセスに沿っておこなわれます。

 

マンション建て替えに至るまでの流れ
  1. 【準備】建て替えを検討すべきか
  2. 【検討】建て替えと大規模修繕のどちらが最適か
  3. 【計画】どのように建て替えをおこなうか
  4. 【実施】マンション建て替えを実行する

 

先述した通り、多くのケースでは実施段階まで進めずに頓挫してしまうのが現状です。

さらに、実現までには通常10年以上かかることがほとんどで、中には15年以上かかるケースも存在します。

1.【準備】建て替えを検討すべきか

準備段階では、まず建て替えを検討すべきかどうかから協議します。

マンションの老朽化による建て替えを検討しているケースでは、築40年を過ぎたタイミングで建物の状態チェックがおこなわれるでしょう。

早ければ、この段階から管理組合の中で「建て替え検討チーム」による勉強会がスタートする形です。

勉強会は有償のマンション管理士など専門家に依頼するケースと、無償対応のゼネコンやデベロッパーなどに依頼するケースがあります。

専門家に建築費や新設する分譲戸数の販売価格などを明示してもらい、主に資金計画などを具体化するのです。

勉強会でマンション建て替えが前向きに検討されれば、理事会で報告し審議していきます。

2.【検討】建て替えと大規模修繕のどちらが最適か

検討段階では、理事会で具体的な審議が進められていきます。

建て替えを実施するのか、あるいは次回大規模修繕をおこない、建て替えを延期するのかを検討するのです。

この段階で、管理組合の内部に「建て替え検討委員会」などが発足します。

さらに、外部の専門家(委託先のマンション管理会社・建設会社・マンション管理士など)にコンサルを依頼し、正しい判断をおこなうのです。

 

検討や相談の結果、大規模修繕よりも建て替えが適切という判断になれば、管理組合の内部などで「建て替え推進決議」をおこない、計画段階へと移行します。

大規模修繕をせずに建て替えを優先するケースでは、マンション住民の理解も必要不可欠です。

共用部でのアナウンスやアンケートなどをおこない、建て替え方針を固めていきます。

 

「建て替え推進決議」とは、建て替えする方針を区分所有者の全体で確認することを指し、実行するかを決める「建て替え決議」とは異なるものです。

建て替え推進決議では「区分所有者の4分の3以上の賛同」を獲得しているのが望ましいとされていますが、必須というわけではありません。

3.【計画】どのように建て替えをおこなうか

建て替えする方向に進んでいく場合は「どのように建て替えをおこなうか」を具体的に計画するフェーズへと移行します。

建て替え実現に向けて、以下の項目について1つひとつ相談しながら計画を進めていくのです。

計画段階で検討する内容
  • 建て替え計画全般(建築・事業)の検討
  • デベロッパーの選定(設計・施工)
  • 区分所有者との合意形成(意見交換など)
  • 管轄行政機関との調整
  • 近隣住民との協議

 

建て替え計画が固まったら、組合員である区分所有者へ説明会をおこないます。

計画案に基づいて「建て替え決議」をおこない、組合員の賛否を確認する流れです。

区分所有者を含む組合員の5分の4の賛成が得られれば、実施段階へと移行します。

4.【実施】マンション建て替えを実行する

建て替え決議によって賛成という結果になれば、建て替えを進める団体法人「建て替え組合」が設立されます。

区分所有者に対しては、主に以下の権利移行の手続きをおこなっていく形です。

建て替えで旧マンションから新マンションへと移行される権利
  • 所有者の権利(区分所有権)
  • 敷地利用権
  • 住宅ローンの抵当権

 

また、建て替え工事が開始されると、区分所有者は仮住まいへ引っ越すことになります。

万が一住宅ローンが残っていた場合は、仮住まいの家賃とローンの支払いがダブルで発生することになるので注意が必要です。

【いくらかかる?】マンションの建て替え費用や負担額

分譲マンションで建て替えをおこなう場合は、原則区分所有者である住民が建て替え費用の負担をおこないます。

負担費用の内訳については以下を参考にしてください。

 

建て替え費用の負担額の内訳
  • 解体費用
  • 建築費用 
  • 設計費用
  • 事務経費
  • 仮住まい費用

 

ただし、 解体費用や設計費用などは、周辺環境や建物の構造、延床面積の規模や設備のグレードによって金額が変わります。

また、容積率に余剰がある場合では、1戸あたりの負担額が軽減されるケースもあるようです。 

一戸あたりの負担相場は1,000~3,000万円程度

建て替えによって区分所有者が負担する費用相場は、1,000〜3,000万円程度だといわれています。

ただし、物件の資産価値や修繕積立金の積み立て状況で金額が変動するため、場合によっては相場を超過するケースもあるようです。

また、建て替え時・完成時の2回分の引っ越し費用と仮住まいの家賃なども必要になります。

この費用も加味することを考慮すると、最低でも1,500万円程度は用意しておくべきでしょう。

 

1戸65㎡のケースにおける負担額の目安は3,025万円

 

鉄筋コンクリート造の場合、解体費用は一坪あたり5〜8万円、建築費用は1坪あたり100万円ほどが目安の相場です。

 

【1戸65㎡のマンションの負担面積目安】

65×1.4=91㎡=27.5坪

 

65㎡のマンションに住んでいる場合、共有部も合わせた負担額が発生します。共有部を含む負担面積は専有部の1.4倍程度になるため、27.5坪(91㎡)です。

 

【1戸65㎡のマンションの建築費用と解体費用】

27.5×100万円=2,750万円
2,750万円×1.1=3,025万円

 

建築費用は1坪あたり100万円、解体費用は新築費用の10%程度なので、1.1倍上乗せした金額で計算します。

自己負担なしまたは軽減されるケースもある

マンションの容積率に余裕があり、建て替えで新たに戸数を増やせるケースでは、住民の負担費用が発生しない・負担額が軽減される可能性があります。

特に、容積率が大きい人気エリアのマンションなら、新たに出来た部屋を売り出し、その資金を建て替え費用に充てられるのです。

ただし、建て替え前のマンションが、既に容積率いっぱいで建てられていた場合は、戸数を増やすことは難しいでしょう。

その場合は自己負担額を減らすことはできません。

 

一度自分のマンションの容積率を調べてみることをおすすめします。

【分譲マンション】建て替えが決まった場合住民はどうなる?

ここからは、マンションの建て替えが実施されるケースについてみていきましょう。建て替えが実施される場合、建て替え決議での立場ごとの選択肢は以下のようになります。

 

マンション建て替えに対する選択肢
  • 建て替えに賛成(費用を負担し再入居)
  • 建て替えに反対(立ち退く)
  • 建て替え前にマンションを売却

 

建て替えが計画される前であれば、3つ目の選択肢であるマンション売却という手段も検討可能です。

ただし、どの選択肢を選ぶにしても、資金の用意は必要になるでしょう。

自分にとってどの方法が最善かをよく吟味して選択するよう心掛けてください。

【賛成】建て替え費用を負担し再入居

マンション建て替えに賛成する場合は、建て替え費用を負担して再入居することになります。

区分所有者に一定の費用負担はあるものの、一般的には建て替えに賛成し、再入居する方法が最も安く済むとされています。

なぜなら、建て替えに賛成した場合は以下のメリットがあるからです。

建て替えに賛成するメリット
  • 土地の権利を既に持っている
  • 建築費の一部を修繕積立金でまかなえる
  • 住み慣れた環境を変えなくて済む

 

建て替えのメリットを分かりやすくイメージすると、建物代金の一部を支払うだけで新築マンションを購入できるということです。

仮住まいを用意する必要はありますが、経済的にも精神的にも再入居の方が安心できるでしょう。

 

建て替え費用が払えない場合はどうなる?

 

建て替え費用が払えない場合は、住戸を建て替え組合へ売却し「立ち退き」をする形になります。マンションの管理組合から「売り渡し請求権」が実行され、時価で売却しなければなりません。

 

また、毎月納めている「修繕積立金」は、建て替え費用とは別の費用です。修繕積立金は、国土交通省の「マンション標準管理規約」に定められている内容にのみ使えます。建て替えには使えないので、混同しないよう注意しましょう。

【反対】立ち退く

マンション建て替えに賛成できない場合は、建て替え組合の「売り渡し請求」という手続きを利用して立ち退く形になります。

売り渡し請求に応じると、そのマンションを時価で売却できるメリットがあるので、その金額を新居の購入費用に充てることができます。

ただし、建て替えが必要なマンションは、築年数が経過しているケースがほとんどです。

建て替えは老朽化などに起因して検討される傾向があるため、時価はかなり安くなることが予想されるでしょう。

売却したとしても、その金額で新築物件を購入するのは難しいため、経済的なデメリットが大きくなる場合が考えられます。

新居の費用がマンション売却金額と自己資金でまかなえるかどうか、よく検討してから反対するべきです。

 

立ち退き料の扱いはどうなる?

 

立ち退き理由には以下の2つの種類がありますが、支払いの可能性があるのは「管理者都合」である場合のみです。

 

【立ち退きの理由】

  • 借り手に問題があるケース(管理者は被害を被っているため強制退去可能)
  • 管理者都合のケース(退去してもらうために借り手と交渉)

 

建て替えはどちらも「管理者都合」のケースに該当しますが、立ち退き料の扱いは賃貸と分譲マンションで異なります。

賃貸マンションは、マンションの管理者が存在する物件です。借り手に納得して退去してもらうために、管理者から「立ち退き料」を支払うケースがあります。

 

ただし、立ち退き料に支払い義務はありません。そのため、建て替えによる立ち退きを受け入れる場合には、支払いの有無をしっかり確認しておくことが大切です。

一方分譲マンションは持ち家と同様の扱いになるため、マンション全体の持ち主は存在しないことになります。そのため、建て替えを検討するのも住民同士で立ち上げた「管理組合」です。

建て替えに反対する場合は立ち退くことになりますが、立ち退き料の支払いはありません。今住んでいる部屋を管理組合に買い取ってもらい、退去する形になります。

【決定前の選択肢】マンション売却を検討する

賛成も反対もしたくない場合は、建て替えが決定する前にマンションを売却して手放してしまう方法もあります。

建て替え決定後にマンションを売り出すのは難しいため、必ず計画される前に売却をおこないましょう。

これから建て替えになる物件に入居したいと考える人はいないので、買い手がつきにくいのです。

建て替えの自己負担費用はマンションの状況によって異なりますが、急に1,000万円単位の出費が必要になると困ってしまいます。

 

現在築年数の古いマンションに住んでいる場合は、建て替えの話が出る前に売却することも視野に入れて検討しましょう。

自分でマンションを売却する場合は、好きなタイミングで売却できます。建て替え決定後よりも高く売却できる可能性も考えられるでしょう。

 

ユニテでは、不動産の買取事業もおこなっております。富山近郊でマンションの売却を視野に入れている方は、お気軽にご相談ください。

ピタットハウス富山南店(株式会社REVO)

建て替えが実施されない場合はどうなる?

協議で「建て替え不要」と判断された場合や住民の反対が多かった場合は、建て替え計画は実施されません。

その際は以下の選択肢が浮上します。

 

建て替えが実施されない場合の選択肢
  • 定期的な大規模修繕をし続ける
  • マンション敷地売却制度が受けられるか検討する

 

それぞれ詳しくみていきましょう。


 

また「マンション敷地売却制度」が利用できるか検討する方法もあります。

資金不足で建て替えできない場合に、都道府県知事が認定したマンションデベロッパーなどが買い受けてくれるという制度です。

 

メリット デメリット
資金がなくても実行できる 行政が認定したマンションのみ適用可能
5分の4以上の賛成が必要

 

マンション敷地売却制度が利用できる場合では、マンション全体を売却する形になります。

ただし、この制度を受けられるマンションは「耐震性が不足し倒壊の恐れがあるため除去すべきである」と行政が認定した物件のみです。

資金面のハードルは低いものの、建て替え決議と同程度の賛成数が獲得できないと実行できないというデメリットがあります。

建て替えのケースと同じように、住民へ十分な説明と周知をおこない、意識の醸成を図る必要があるのです。

定期的な大規模修繕をし続ける

最も多いのは定期的な「大規模修繕」を繰り返す方法です。大規模修繕とは、マンションの劣化に伴い、建物や設備を定期的に修繕することを指します。

普段の改修工事では実施できない躯体維持のための修繕や、共有部の改修のためにおこなわれるのが一般的です。マンションによっても異なりますが、おおよそ13〜16年に1度のサイクルでおこなわれます。

 

さらに、住民の賛同も得やすいので実行しやすいのが特徴です。バリアフリー工事や防犯カメラ設置の工事などは、区分所有者および議決権の半数以上の「普通決議」で実施できます。

大規模修繕なら修繕積立金でまかなえる内容も多いでしょう。

マンション敷地売却制度を利用する

また「マンション敷地売却制度」が利用できるか検討する方法もあります。

資金不足で建て替えできない場合に、都道府県知事が認定したマンションデベロッパーなどが買い受けてくれるという制度です。

 

メリット デメリット
資金がなくても実行できる 行政が認定したマンションのみ適用可能
5分の4以上の賛成が必要

 

マンション敷地売却制度が利用できる場合では、マンション全体を売却する形になります。

ただし、この制度を受けられるマンションは「耐震性が不足し倒壊の恐れがあるため除去すべきである」と行政が認定した物件のみです。

資金面のハードルは低いものの、建て替え決議と同程度の賛成数が獲得できないと実行できないというデメリットがあります。

建て替えのケースと同じように、住民へ十分な説明と周知をおこない、意識の醸成を図る必要があるのです。

 

詳しい内容については、公益社団法人全日本不動産協会の「マンション・敷地売却制度」をご覧ください。

【Q&A】マンション建て替えに関するよくある質問にユニテがお答えします!

マンション建て替えに関する以下の質問について、マンションや戸建てのリフォーム・リノベーション事業に30年間携わってきたユニテが回答いたします。

 

  • マンションは何年で老朽化する?
  • マンションは最大何年まで住める?
  • マンションは何年で建て替える必要が出てくる?
  • マンションの建て替えには平均していくらかかる?

 

上記の疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

【寿命】マンションは何年で老朽化する?最大何年まで住める?

鉄筋コンクリート造の物件における平均寿命は68年ですが、最長の寿命は120年程度だといわれています。さらに外装仕上げを施せば、150年程度まで延命されるという報告もあるのです。

つまり、マンションの寿命は、その物件が定期的に適正なメンテナンスを実施しているかどうかに左右されます。管理の体制や精度にもよりますが、マンションはメンテナンス次第で100年以上住めるといえるでしょう。

マンションは何年で建て替える必要が出てくる?

1981年までの「旧耐震基準」で建てられたマンションの場合は、築60年前後で建て替えが検討されるケースが多いです。それ以降の「新耐震基準」で建てられているマンションなら、建て替え検討までの期間はより長くなるでしょう。

ただし、築年数はあくまでも目安であり、実際はさまざまな要因によって建て替えが検討されます。メンテナンスの状況はもちろん、立地条件や容積率の余剰なども加味される形です。

マンションの建て替えには平均していくらかかる?

マンションの建て替えにかかる費用の平均は、1戸あたりおよそ1,000円です。ただし、仮住まい費用なども加味すると、最低でも1,500万円の費用が必要になります。

ただし、この金額は物件の資産価値や専有部の面積によって変動するため、条件によっては金額が大きく異なるケースもあるでしょう。

ユニテが紹介するマンション建て替えの実例

最後に、ユニテが担当したマンションの実例について紹介していきます。

こちらの物件は、建て替えではなく新築の施工例ですが、

新築と建て替えの施工費用の違いは「解体費用の有無」のみのため、参考事例として紹介いたします。

ユニテが施工した、富山県射水市にある集合物件の新築事例です。

詳しい施工内容については以下をご覧ください。
 

【施工内容】

間取り

全6戸

  • 1LDK
  • ガレージ付きワンルーム
  • ガレージ・バルコニー付き2LDK
施工期間 5か月
施工費用 建物のみで6,500万円(土地代・駐車場代を除く)

 

解体費用は「新築工事費の10%程度」が相場です。

この物件を建て替え事例とすると「施工費用6,500万円+解体費用650万円=7,150万円」の建て替え費用がかかることになるので、1戸あたりの負担費用は1,200万円程度ということになるでしょう。

 

こちらは、全室オーシャンビュー・サンルーム付きの海沿い物件です。

さらに、電動シャッター付きのガレージも完備されています。

ガレージの奥には簡易シャワー室を設置しているため、マリンスポーツや海水浴などを楽しんでそのまま帰宅できるのが魅力的です。

シャワー室の奥に玄関を設置しているので、汚れを落としてから室内へと入れるよう配慮しています。

また、2LDKにはオーシャンビューの浴室も完備しており、リゾート気分で楽しめるバスタイムの提案をいたしました。
 

室内やサンルームにはホワイトの壁紙と明るい木目を採用し、マリン調にマッチした爽やかな雰囲気に仕上げました。

 

また、ユニテでは不動産の買取事業もおこなっております。

買取査定や売却相談など承っておりますので、マンションの売却を検討している場合は「ピタットハウス富山南店(株式会社REVO)」までお気軽にお問合せください。

賃貸物件の紹介も可能ですので、仮住まい先を探している方もぜひ一度ご相談ください。

まとめ

今住んでいる分譲マンションの老朽化が進んでいる場合は、住み替えするべきかをよく検討することをおすすめします。

マンションを売却して住み替える場合は、建て替え計画が始動する前に動き出すことが大切です。

 

建て替えの計画が始まるまでにマンションを売却するか、あるいは建て替えに備えて資金を潤沢にしておくのか、自分に合った方法を選択してください。