
中古住宅のリノベーションは予算オーバーや設計ミスなどにより失敗しやすいですが、対策法を知ることで失敗を回避することができます。この記事では中古住宅のリノベーションの失敗事例や弊社ユニテでの施工事例も紹介するため、参考にしてみてください。
目次

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「中古住宅をリノベーションしたいけど、失敗したらどうしよう・・・。」
「中古住宅のリノベーションの失敗事例を知っておいて事前に対策しておきたい」
リノベーションはコストがかかるため、失敗を避けて後悔のない家づくりをしたいですよね。
中古住宅のリノベーションでは、予算オーバーや設計ミスなどにより失敗しやすいですが、対策法を知っておくと失敗を回避することができます。
この記事では中古住宅のリノベーションの失敗事例について詳しく解説します。弊社ユニテでの施工事例も紹介するため、リノベーションを成功させたい人はぜひ参考にしてみてください。
中古住宅リノベーションの失敗事例と対策法8つ
中古住宅リノベーションの失敗事例と対策方法を紹介します。
- 予算オーバーしてしまった
- 状態の悪い物件を購入してしまった
- 業者選びを失敗した
- 耐震や断熱工事を考えていなかった
- 理想の間取りにできなかった
- 再建築不可物件を購入してしまった
- 収納が少なかった
- 空気循環を考えていなかった
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①予算オーバーしてしまった
中古物件を安く買って、自分好みにリノベーションすれば理想の暮らしができると考えている人も多いでしょう。しかし、実際は当初の予算を大きく超えてしまう人が少なくありません。
予算オーバーしてしまうパターンは以下が考えられます。
中古リノベーションでは老朽化などで追加工事が必要となるパターンも多くみられるため、余裕を持った予算設計が大切です。
工事費用だけでなく、予備費(10〜20%)を含めた予算計画を立てておくと安心です。「これは絶対必要」「これは削れるかも」といった優先順位を明確にしておくと話が進めやすいでしょう。
設備や素材のグレードアップは、最初の段階で全体費用に含めて検討しておくと予算オーバーを回避しやすいです。
リノベーションは夢のマイホームづくりですが、費用が予想以上にかかると満足度が一気に下がることも。予算管理もリノベーション成功の大切なカギであるため、感情に流されず、冷静な判断を心がけましょう。
予算内でリノベーションするコツは「家の建て替え費用を1500万円に抑えるには?予算内訳や節約のコツ8選」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
②状態の悪い物件を購入してしまった
状態の悪い物件を買ってしまうと修繕費が高額になり、予算オーバーの原因になります。
見た目がキレイでも、実際に使ってみると不備が見つかることも。家だけでなく基礎や構造部分など目には見えない部分の劣化も確認しておきましょう。
特に基礎や屋根、床下、外壁などは専門業者に依頼して確認してもらうと安心です。
状態の悪い物件を購入しないためには、以前の利用者や、修繕履歴を調べておく方法もあります。
家の状態はホームインスペクター(住宅診断士)が、チェックすることもできるため検討してみましょう。
引用:【国土交通省】インスペクション(既存住宅の点検・調査)
中古住宅の選び方は「中古住宅リノベーション完全ガイド!物件選びに後悔しないためのコツと注意点」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
③業者選びを失敗した
リノベーションは様々な業者で依頼できますが、業者選びを失敗してしまうと希望が通らず理想のリノベーションから遠ざかってしまいます。
よく聞かれる失敗例として、希望が通らないことや、スタッフとの円滑なコミュニケーションができずストレスを感じることが挙げられます。
リノベーションの内容だけでなく、業者との人間関係も大切であるため違和感を感じたら業者を変えることも検討しましょう。
また、以下のような心当たりがある業者は、話を進めていく中でトラブルになる可能性もあるため注意が必要です。
検討する時間を与えずに、契約を迫ってくる業者は控えておくのが安全。トラブルに巻き込まれないよう、信頼できるリノベーション会社を選びましょう。
リフォーム業者の選び方については「リフォーム・リノベーション経験者300人に聞いた業者を決めたきっかけベスト8!」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
④耐震や断熱工事を考えていなかった
築年数が経過している家は耐震性や断熱性が低く、追加工事により費用が高くなりやすい傾向にあります。
1981年以前に建てられた建物は旧耐震基準であり、大きな地震で家が倒壊するリスクがあります。そのため、地震に備えた耐震工事を検討しておきましょう。
また、中古住宅は、一般的に断熱性が低く、夏は暑く冬は寒いといった傾向があります。断熱材が入っていても年数が経つと劣化して性能が落ちたり、窓などの気密性が低いため外気の影響を受けやすいです。
そのため、断熱工事も検討し、快適な住まいになるように検討しましょう。
断熱工事は「断熱工事の費用や種類は?効果や補助金についても徹底解説」耐震補強については「耐震補強にかかる金額はいくら?補助金とリフォームまでの流れを説明」にて解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
⑤理想の間取りにできなかった
物件の構造によっては希望の間取りにできないこともあります。
一般的な戸建は「在来工法」と呼ばれる柱や梁で建物を支えているため、間取りを変えやすいです。しかし、窓枠や壁で建物を支えている2×4(ツーバイフォー)工法は、壁を取り除けないため間取りの変更ができないことも。
中古物件を購入する前に、設計士や施工会社と現地調査をおこない、間取り変更ができるか確認しておきましょう。
配管や壁の制約が多い物件は、スケルトンリノベーション(骨組みだけ残す大規模工事)もおすすめです。
購入する物件がどんな構造なのか調べておくと理想の間取りに近いリノベーションができるため、あらかじめしっかり情報収集しておきましょう。
スケルトンリフォームについては「【基礎知識】スケルトンリフォームのメリットデメリット!費用相場と後悔しないためのコ」で解説しているため、参考にしてみてください。
⑥再建築不可物件を購入してしまった
中古住宅の中には「再建築不可物件」という建物を解体しても新しく家を建てられない土地があります。
再建築不可物件では家の建て替えはできませんが、建築確認がいらない範囲のリノベーションなら可能です。ただし、以下のようにできる工事に制限があるため、自由にリノベできるわけではありません。
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キッチンや浴室などの水回りの入れ替えや壁・床の張り替え程度であればリフォームできますが、大掛かりなリフォームは制約がかかる可能性があります。
大掛かりなリノベーションを検討している場合は、再建築不可物件でない住宅を検討しましょう。
増築できないケースについては「【家の増築リノベーション】増築できないケースや確認申請の流れについて解説」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
⑦収納が少なかった

Before

After
リノベーションでは「おしゃれな空間」や「開放感のある間取り」にこだわりすぎて、収納スペースの確保を後回しにしてしまうケースがあります。
生活が始まってから「物が片付かない」「家が散らかって見える」など、以下のような失敗事例があります。
対策法としては家族構成やライフスタイルをもとに、「何を・どこに・どれだけ収納するか」を事前にシミュレーションしておくことです。
生活動線と収納動線をセットで考えるとより片付けやすくなるため検討しておくとよいでしょう。
⑧空気循環を考えていなかった

Before

After
中古物件をリノベーションする際、「見た目」や「間取り変更」には注目しても、空気の流れ(空気循環)までしっかり設計に取り入れていないことで後悔するケースがあります。
窓が小さいため風が通らない部屋になってしまったり、湿気がこもってカビが発生する失敗談があります。また、空気の流れが悪いため冷暖房の効率が落ち、光熱費が増加するパターンも。
対策としては、間取りを決める前に通風計画を立てておくとよいです。壁やドアを増やす場合は、室内窓や通気口を活用する24時間換気システムの見直し・導入を検討しましょう。

窓を大きくリノベーションした弊社の事例
リノベーションは「見た目」だけでなく、「快適さ」を保つための目に見えない要素も重要です。住んでから後悔しないために、設計段階でしっかり計画しておきましょう。
その他のリノベーション失敗談は「【最悪だ...】リノベーションで起こった失敗談13選とその対処法」で解説しているため参考にしてみてください。
中古住宅リノベーションの失敗事例から学ぶ3つのポイント
中古住宅リノベーションの失敗事例から学ぶ3つのポイントは以下です。
- 中古物件選びは慎重に行う
- 物件だけでなく保証も確認する
- 将来のライフスタイルを考えた間取りにする
詳しく見ていきましょう。
①中古物件選びは慎重に行う
物件選びはリノベーションの成功を大きく左右するポイントです。以下の要素を検討しながら選ぶと失敗しにくいため確認しておきましょう。
中古物件にはすでにリフォームされている家もあります。リフォーム済みの物件は工事費が上乗せされているため注意が必要です。
大掛かりなリノベーションの場合、売却値が割高に設定されていることもあるため確認しておきましょう。
自分の好きなようにリノベーションをしたい人は、事前にリフォームされていないか確認しておくと安心です。
②物件だけでなく保証も確認する
物件だけでなく、保証や契約内容をしっかり確認しておきましょう。
保証については購入後のアフターサービスを確認しておき、購入後のトラブルについてどのような対応ができるか知っておくと安心です。
また、中古物件を引き渡すときに瑕疵(欠陥)があった場合には、売主である不動産業者から保証を受けることができます。
瑕疵担保責任は新築であれば10年ですが、中古住宅はおおよそ2年であり期間が短いため注意しましょう。
中古住宅の検査と保証がセットになっている「既存住宅瑕疵保険」に加入している業者の住宅では、物件の引き渡しから最長5年の保証を得られます。
既存住宅瑕疵保険では住宅診断も実施されるため、入居時に建物の劣化を確認できることもメリットです。中古物件に入居後も安心して暮らしたい人は既存住宅瑕疵保険を確認しておくとよいでしょう。
③将来のライフスタイルを考えた間取りにする
リノベーションをおこなう時は、将来のライフスタイルを考えた間取りにしましょう。
例えば、子どもの人数に合わせた子ども部屋の設置や、高齢化に伴うバリアフリーなどの間取りが必要となります。
現在のライフスタイルだけでリノベーションをしてしまうと、住みにくい家となってしまうことも。ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるリノベーションを心がけましょう。
中古住宅のリノベーションを失敗したくないときはワンストップ業者に依頼しよう
ワンストップリノベーション業者とは、中古物件探しからリノベーションまで一括で依頼できる業者です。
物件探しとリノベーションを並行してできるため、希望のリノベーションを実現しやすいことがメリットです。
リノベーションでは不動産仲介業者や金融機関、工務店など様々な場所とやりとりが必要であり、時間や労力が必要。ワンストップリノベーションでは業者が全て手続きを行うため、間取りや計画などのリノベーションに集中できます。
子育てをしている家庭や、仕事をしていて日中の連絡が難しい人など、家づくりにたくさん時間をかけれない人にもおすすめといえるでしょう。
ワンストップ業者については「リノベーション会社の選び方を徹底解説!失敗しないための6つのポイント」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
ユニテの中古住宅リノベーションの事例
ここでは弊社ユニテの中古住宅リノベーションの事例を紹介します。
詳しく見ていきましょう。
①子育て世代の中古住宅・耐震リノベーション
中古住宅を購入され、ユニテでリノベーションしてお住まいになられました。建物に耐震改修を施し、長く安心して住めるお家にリノベーション。
必要な柱を残しながらも広々とした明るい住まいとなっています。

Before

After

必要な柱だけを残し広々としたリビングになりました。照明はダウンライトを使用し天井の相調を引き立たせました。

配膳しやすいようダイニングテーブルはキッチンの隣に

残さないといけない柱も意匠性を高めてお部屋の雰囲気に合わせました

②築27年の納屋を温かく快適な生活動線の住まいに
富山市にお住まいのM様。今回、『使用していない納屋を住まいへとリノベーションしたい』とご相談いただきました。
断熱性能がしっかりと備わったおうちにしたいとご要望を伺い、壁・天井には吹付断熱、床下にはパネル状の断熱材を採用しています。
さらに生活動線をコンパクトにまとめたシンプルで過ごしやすい間取りになりました。

Before 外観

After

Before リビング

After

Before キッチン

After

Before 浴室

After

Before 寝室

After

After リビング

After 玄関

After ランドリールーム
詳しい内容は「【富山市】築27年の納屋を、温かく快適な生活動線の住まいに」で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
③築40〜50年のご両親の家を受け継いで全面リフォーム
築40~50年のご両親から受け継いだお家をリフォームしました。
柱だけを残した全面リフォームで、昔ながらの部屋が続くお家が大きなリビングダイニングのあるお家になりました。

Before 外観

After

リビングダイニング

白を基調としたキッチン
詳しい内容は「【富山市】ご両親の家を受け継いで全面リフォーム」で解説しているためぜひ参考にしてみてください。
中古リノベーションの失敗事例でよくある質問
中古リノベーションの事例でよくある質問をまとめてみました。
- 中古リノベーションのおおよその費用は?
- 中古リノベーションと新築どちらがよいか?
- 中古住宅をリノベーションするメリットは?
それぞれ見ていきましょう。
中古住宅リノベーションのおおよその費用は?
中古リノベーションの相場は以下になります。
それぞれの詳しい費用については「戸建てのリノベーション費用はいくら?実例や失敗しないための方法も解説」で解説しているため参考にしてみてください。
中古住宅リノベーションと新築どちらがよいか?
中古リノベーションと新築どちらがよいかは、希望する暮らしや予算によって異なります。
設計の自由度や長く安心して暮らせる家を求めている人は新築のほうがおすすめです。
新築住宅は建物のチェックや、追加工事を避けられるのがメリット。将来的にも新築のほうが資産価値を高く維持できるため、子どもに家を引き継ぎたい人、資産を残しておきたい人にもおすすめといえるでしょう。
価格や立地を重視するのであれば、中古住宅のほうが希望に沿ったエリアでマイホームを得られます。特に都心や住宅地としての人気エリアでは、中古住宅をリノベーションする方法が希望に沿った家を手に入れやすいです。
中古住宅では物件選びに失敗しなければ新築を建てるよりもお得にマイホームを手に入れることができるため、コストを抑えたい人におすすめといえるでしょう。
新築の失敗談については「新築のよくある失敗事例15選!住宅購入や間取りに後悔しないための対策」で詳しく紹介しているため、参考にしてみてください。
中古住宅をリノベーションするメリットは?
中古住宅をリノベーションするメリットは以下になります。
新築住宅は見取り図のみで設計を進めますが、中古物件は現物があるため完成をイメージしやすいこともメリットです。
現物確認できるため、自分の希望に沿ったリノベーションが視覚的に判断しやすいこともメリットといえるでしょう。
中古リノベーションの失敗事例のまとめ
中古住宅のリノベーションは、新築よりもコストを抑えつつ理想の住まいを実現できる反面、失敗リスクもあるため注意が必要です。
予算オーバーや業者選び、物件の構造や状態など、事前に知っておくべきポイントがありますが、対策することで満足度の高い住まいづくりができるでしょう。
将来のライフスタイルを見据えた間取りや、信頼できる業者選びも成功のカギとなります。
弊社ユニテでは中古リノベーションの実績が豊富です。リノベーションを検討している場合はぜひ弊社にご相談ください。