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夏も冬も快適に過ごすことができる断熱工事を検討している人は多いのではないでしょうか。この記事では断熱工事の費用や種類について詳しく紹介します。2025年の補助金についても解説しているので、コストが気になる人も参考にしてみてください。
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株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「断熱工事ってどんな種類があるの?自分の家に適した工事が知りたい」
「断熱工事の費用ってどれくらい必要?コストと合わせて検討してみたい」
夏も冬も快適に過ごすことができる断熱工事を検討している人は多いのではないでしょうか。
断熱工事は様々な種類があり、工事によっては補助金の対象になるため家計の負担を減らすことができます。
この記事では断熱工事の費用や種類について詳しく紹介します。2025年の補助金についても解説しているので、コストが気になる人も参考にしてみてください。
断熱工事の効果
まずは断熱工事の効果について解説します。断熱工事のおおまかな効果については以下の3つが挙げられます。
- 部屋の寒暖差を減らす
- 光熱費を節約できる
- カビや結露を抑える
以下から詳しく見ていきましょう。
部屋の寒暖差を減らす
断熱性能を高めることにより部屋の寒暖差を少なくすることができます。断熱性能を高めることで外の温度変化に振り回されることが少なくなるため快適な室温になります。
冬に暖房をつけても温まりにくい、暖房を切ったらすぐに寒くなる、夏の2階が熱すぎる問題も解消することができるでしょう。
部屋の寒暖差が少なくなることでヒートショックなどのリスクを軽減することにも繋がります。
夏も快適に過ごせる
断熱工事は冬だけでなく、夏も快適に過ごすことができます。屋外からの熱を遮断することにより、室温が高くなることを防ぐ効果を得られます。
夏の夜に室内が暑くて眠れない原因のひとつが、「日中に蓄積された熱」です。屋根や壁が日中に熱を吸収し、それが夜になっても放熱され続けるため、エアコンを消すとすぐに暑くなってしまいます。
断熱工事を行うことで日中の熱の吸収を抑え、夜になっても室温が上がりにくくなるため夏も快適に眠ることができるでしょう。
光熱費を節約できる
断熱工事をすると一般的な住宅よりも光熱費を抑えることができます。断熱工事を行うと年間約94,000円浮くとされており、家計の負担を減らすこともできます。
出典:【環境省】窓の断熱リフォームから、暮らしの脱炭素を始めよう。
室内の温度が安定することでエアコンのエネルギーが少なくても効率よく快適な室温にできます。
古い家は断熱材が入っていないことや、開口部が多いため気温差を生じ、光熱費が高くなる傾向にあります。断熱工事を行っている家では室内温度が保たれやすく、エアコンの設定温度を控えめにしても快適に過ごせることも光熱費を節約できる理由といえるでしょう。
断熱工事を早く行うことで光熱費の節約は差がついてくるため早めに工事を行うと恩恵を得られやすいです。
カビや結露を抑える
断熱が十分でない家は外気との気温差が激しいため、家が結露しやすいです。
結露はカビや建物の腐食の原因になります。結露は窓に水滴がつく現象として目につきやすいですが、断熱が不十分だと壁にも発生することがあるため対策を行いましょう。
結露からカビが発生すると人体に影響を及ぼす可能性があったり、家の寿命を縮める原因になりかねません。
断熱リフォームは健康や家の寿命にも直結するため必要な工事といえるでしょう。
【場所別】断熱工事の方法と選び方
断熱工事はどこからすべき?工事方法の選びか
断熱工事を検討している人はまず窓から検討してみましょう。
窓などの開口部は冷房時に外から入る割合の73%、暖房使用時に外に熱が逃げる割合の58%であり大半を占めています。
窓を断熱工事することで高い断熱効果を得られるため、まず第一候補にするとよいでしょう。
その他の断熱工事の種類と工事内容、おすすめの人を外気の影響から考えられる工事の優先順位を表にまとめてみました。
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以下からそれぞれの工事内容について詳しく解説します。
1.窓
断熱工事を検討するなら、まずは効果の高い窓から検討しましょう。窓からの熱の出入りは7割を占めており、窓ガラスなどの断熱性能を高めることで年間約17,000円の節約効果があると言われています。
出典:【東京都】知事記者会見
窓の改修方法は以下の3つがあります。
- 内窓設置:今ある窓の内側に新しい窓を設置する
- 外窓交換:今ある窓を新しい窓に変える
- ガラス交換:今ある窓ガラス部分を新しい高性能なガラスに交換する
出典:【環境省】断熱効果の高い窓への改修費用の 約半分 が補助されます
窓の断熱工事は室内の結露防止や防音にも効果があり、製品によっては防犯性の向上も期待できるといわれています。
内窓設置の場合、工事は最短で1つの窓につき数時間で完了できます。窓の大きさにもよりますが工事費用の相場は61万円~と言われています。窓は補助金の対象になっていることも多いため、工事契約前に活用できる制度がないか確認しておきましょう。
2.壁
壁の断熱工事を行うことで外から入ってくる熱の侵入や、室内の熱が出ていくことを防ぐことができます。壁の断熱工事は「外断熱工法」「内断熱工法」の2つあり、内容は以下のように異なります。
- 外熱断熱工法:建物の外に断熱材を施工する
- 内断熱工法:柱などの間の空間に断熱材を入れる
外断熱工法は建物の外から工事が完結でき、建物に住みながら断熱性を高めることができます。しかし断熱材の厚みの分だけ、外壁が外側に出る工法もあるため狭小地の住宅は注意が必要でしょう。
内断熱工法は足場が必要でないことや、使用する断熱材が比較的安価なものが多いためコストを下げやすいことがメリットです。しかし、室内の壁材を剥がさないといけないので、工事を行っている部屋は住めなくなったり、場合によっては家具の移動が必要になることも留意しておきましょう。
3.屋根・天井
屋根は太陽の熱が直接当たりやすいため、断熱工事を行うことで夏でも涼しくて快適な家を実現できます。屋根の断熱工事では以下の2種類に分けられます。
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ある程度広い面積を改修するケースが多いため、効果を実感しやすい工事と言われています。
屋根にも断熱材が含まれている商品もあるため、天井と屋根材とちらも工事を行うことでより高い断熱効果を得ることができるでしょう。
屋根の断熱については『断熱は屋根から!失敗しない工法選びと費用の目安』で解説しているため、参考にしてみてください。
4.床
床の断熱は床下部分に断熱材を入れることで、床下からの冷たい空気を遮断することができます。床断熱をすることで、室内が床からの温度の影響を受けにくくなり、底冷えを解消できます。
冬は足元が暖かくなるため体感的に温かく感じ、床下からの冷えが少なくなるため暖房効率も上がるでしょう。
冬場だけでなく、夏も床下の暑い空気を遮断できるため室内の温度を快適に保つことができる工事といえます。
床下断熱材については『床下断熱材は効果ある?メリット・デメリットや選び方を紹介』で解説しているため、参考にしてみてください。
5.基礎
基礎断熱とは住宅の基礎に断熱材を施す工事であり、方法は以下の2つが代表的です。
基礎外断熱:基礎の立ち上がり部分に断熱材を張る
基礎内断熱:床下に断熱材を張る
主に断熱材は基礎コンクリートに対して施行され、床への影響を少なくできることがメリットです。気密性が高いため、基礎コンクリートからの放湿によるカビやシロアリ発生のリスクがあるため、禁煙では基礎内断熱が主流となっています。
床断熱については『寒い床で悩んでいませんか?床からの冷えを解消する床断熱のメリットと費用』で解説しているため、参考にしてみてください。
断熱工事の補助金
断熱工事には国の補助金対象となっているものもあります。2025年1月現在で紹介されている制度を紹介します。
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業
- 先進的窓リノベ2025事業
- 子育てグリーン住宅支援事業
以下から詳しく見ていきましょう。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業
既存住宅の断熱リフォーム支援事業では主に2つの工事が対象です。
- トータル断熱:断熱材、窓、ガラスを組み合わせて断熱改修
- 居間だけ断熱:窓を用いて居間をメインに断熱改修
全国を対象としており、財団に登録された製品を使って家の断熱改修工事を行うための補助制度となっています。玄関ドア、家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備(エコキュートなど)、熱交換型換気設備、エアコン、EV充電設備も対象となることがあります。
対象、補助率、上限額は以下の表の通りです。
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注意点としては以下のポイントがあります。
【注意点】
- すでに契約や工事を行った場合 別荘や店舗・事務所は対象外
- 登録製品のみ補助金の対象
- 玄関ドアは一定の要件を満たすことが必要
登録製品は財団のホームページから検索できるので確認しておきましょう。
令和6年12月13日で受け付け終了しましたが、次回の公募は令和7年1月下旬を予定していると記載がありました。詳しくは以下の環境省のページを参照してください。
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は窓をメインに取り扱っている補助です。対象要件、補助金、対象者、補助対象商品は以下の表の通りです。
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※窓リノベ業者とは補助対象者に代わり交付申請の手続きを行い、補助金の交付を受け、交付された補助金を補助対象者に還元するものとして事務局に登録された工事施行者等をいう
制度の目的としてはすでにある家の早期省エネ化を図り、エネルギー費用負担の軽減及び、住まいの快適性向上です。
対象期間は2024年11月22日以降に対象工事に着手し、2025年12月31日までに工事が完了するものとなっています。詳細は以下の経済産業省のページを参照してください。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業では、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新築住宅についてエネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯などに対して以下のような支援を行っています。
- 「ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入
- 「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた省エネ改修等への支援
支援の詳細は以下になります。
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詳しくは国土交通省の以下のページを参考にしてみてください。
断熱工事をするときの注意点
断熱工事をするときの注意点は以下になります。
- 換気対策をしておく
- 建物の不具合を確認しておく
- 適切な断熱範囲を検討する
詳しく見ていきましょう。
換気対策を検討しておく
断熱工事をすると気密性が高まり、壁の内部に結露が発生してしまうことがあります。内部結露を起こすと湿気が壁内にこもることでクロスにカビが生えたり、夏場は室内に熱がこもりやすくなり、室温が上がる原因になりかねません。
そのため、断熱工事を行うときは換気をセットで考えることが重要です。断熱工事する際は24時間換気システムや、換気の方法を業者と検討し結露対策をしておきましょう。
建物の不具合を確認しておく
断熱材を後から入れる工事の場合は、建物の不具合を確認しておきましょう。特に以下の場所は特に念入りな観察が必要です。
- 屋根裏の雨漏り
- 構造材の腐朽や劣化
- 床下のシロアリ被害
屋根裏に雨漏りしている状態で断熱材を入れても、カビの繁殖や建物の劣化を早める原因になることも。床下のシロアリ被害に気付かず断熱材を入れてしまうと、被害が分かりにくくなったり、入れた断熱材もエサになる可能性もあります。
断熱材を後入れする場合は事前に建物に不具合がないかしっかり確認してから施工するようにしましょう。
適切な断熱範囲を検討する
部分的な断熱工事を行う場合は、施工していない部屋と温度差を感じてしまう可能性があります。
生活スタイルや導線を考慮した断熱範囲の検討や、温度差を生じない間取りの工夫を同時に行うことでより快適な住まいになるでしょう。
断熱工事の業者選びのポイント
断熱工事の業者選びのポイントは以下です。
- 断熱工事の実績があるか
- アフターフォローが充実しているか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
断熱工事の実績があるか
依頼する業者の断熱工事実績を確認しておきましょう。断熱工事には知識だけでなく、現場の経験も必要になります。
どの断熱材を使うのか、工事の技術によっても性能が大きく変化するため実績のある業者に依頼しましょう。
施工事例では建物の大きさ、価格、環境など細かく確認し、自分の家と近い家の実績があるとより安心して工事を依頼できます。
アフターフォローが充実しているか
断熱工事はアフターフォローも必要になるため、施工後のサービスも確認しておきましょう。以下のような断熱工事後のアフターフォローは、断熱性能を維持し、建物を長持ちさせるために不可欠です。
- 施工後の定期点検
- カスタマーサポートの充実度
- 不具合が生じた時の対応など
業者選びの際には、アフターサービスを提供しているかを確認し長期的なサポートが得られる業者を選ぶと安心です。
ユニテの断熱工事施工事例
ここからはユニテの断熱工事の事例を紹介します。
以下は内窓施工を行った様子です。内窓を設置すると、既存の窓との間に空気層が生まれるため、室外の気温の影響を少なくでき、断熱効果が期待できます。
【内窓施工の画像(ユニテ提供)】
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以下は樹脂サッシの画像です。樹脂サッシは樹脂の熱伝導率が低いため断熱効果が期待できます。熱の伝わりにくさはアルミの1/1000程度とされており、断熱工事でよく採用されています。
【樹脂サッシ(ユニテ提供)】
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ユニテでは基本性能を損なうことなく、さらに高性能な家にグレードUPし、安心で快適な暮らしを実現するワンランク上のリノベーションを実現できます。
断熱工事を検討している人はぜひユニテへご相談ください。
断熱工事のまとめ
断熱工事は様々な種類がありますが、まずは窓などの開口部を検討してみましょう。断熱効果が最も得られやすいのは窓であるため、第一候補として検討してみてはいかがでしょうか。
また、断熱工事は国からの補助金制度もあります。すでに契約を行った工事は対象とならないことがあるため、契約前に補助金の対象でないか確認しておきましょう。