古民家を再利用したいけど費用相場が分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間の様々な経験から、古民家リノベーションの費用相場やポイントをまとめてみました。
目次
「古民家はリノベーションして再利用できるの?」
「古民家はリノベーションするとどれくらいの費用がかかる?」
「新築を建てるよりも安く済む?」
こんなことをお考えではないでしょうか?
結論から言いますと、古民家は2000万円ほどあれば十分なリノベーション工事ができます。
リノベーションとひと言にいっても、断熱性や耐震性などの機能面、水回りやキッチンなどの生活の利便性、見た目など、工事の種類はさまざま。
しかし2000万円の予算があれば、機能性も、利便性も、見た目もまるで新築のように生まれ変わらせることができます。
この記事を読めば、古民家リノベーションの実情が詳しく分かりますよ!
【実例で見る】古民家リノベーションの施工例と費用
古民家とは、一般的に築50年以上が経過した一軒家のことを指します。太くて頑丈な柱・梁などで建物を支える、伝統的な工法を用いて建てられているのが特徴です。
躯体の結合部には金物を使わず、「仕口(しぐち)」と「継ぎ手(つぎて)」というパズルのような構造で固定しています。
先人の知恵を活かした趣ある住まいである古民家を、現代風に改築して快適な住まいにするのが「古民家リノベーション」です。
まずは、ユニテが実際に担当した古民家リノベーションの実例からみていきましょう。
【築55年】カフェのようなキッチンがある住宅にリノベーション
費用 | 1990万円 |
築年数 | 55年 |
施工面積 | 167m² |
施工前の間取り | 8DK |
施工後の間取り | 4LDK |
キッチンにこだわりが詰まったリノベーション例で、おしゃれなカフェを連想させます。
こちらのキッチンに施されたこだわりは次の通りです。
● レンガ調のタイル
● ペンダントライト
● 店舗用のクッションフロア
● 下がり天井
● 天井・床・設備を木目調で統一
キッチンの天井がリビングよりも少し低くなっているので、壁がなくても空間を仕切っているように感じるのがポイント。
また、床に使っているクッションフロアですが、店舗で使われるものを使用しているので耐久性に優れています。
リノベーションの最大の魅力は、こだわりを住宅にそのまま反映できる点。こちらの例のように、「この部分はこうしたい!」と依頼すれば、予算が許す範囲で実現してくれます。
親身になって相談に乗ってくれる業者を選ぶのも、リノベーションを成功させるひとつのポイントです。
こちらの事例をさらに詳しく見たい方は以下のルームツアー動画をご覧ください!
【築60年】落ち着いたシックな空間が魅力の住宅にリノベーション
費用 | 1990万円 |
築年数 | 60年 |
施工前の間取り | 3DK |
施工後の間取り | 2LDK |
リノベーションは家全体だけでなく、部分的に行うこともできます。
こちらは1階部分だけをリノベーションした例です。
ご高齢のご家族がお住まいの住宅なので、採光性とバリアフリーにこだわって設計しました。採光性や広々とした空間を演出するために、
● リビングの窓を大きめに
● 壁紙と窓枠を白に統一して広さを強調
● 構造撤去できない柱も白色のクロスを巻いて気にならないように工夫
● キッチン横のすぐ横にも窓を設置
などの工夫を取り入れています。
窓を大きくするリノベーションは採光性だけでなく、開放感も演出できるのがポイントです。綺麗な庭がある場合は、眺めも良くなりますね!
こちらの事例をさらに詳しく見たい方は、
【ルームツアー】母と2人で暮らす築60年の実家1階をリノベ!車椅子での介護導線も考えた安心設計
こちらのルームツアー動画をご覧ください!
【築49年】動線を考えつくした快適な平屋住宅にリノベーション
費用 | 1200万円 |
築年数 | 49年 |
施工面積 | 60m² |
施工前の間取り | 2DK |
施工後の間取り | 1LDK |
子育てが一段落し、ご夫婦での穏やかなセカンドライフを実現されるための工夫が施されたリノベーション例です。
暮らしやすさを考えた工夫は多岐にわたり、
● 半ハンズフリーで開閉するスライドドアの玄関
● 生活動線を考えてダイニングをリビングすぐ横に配置したため、最小限の移動で食事の準備ができる
● 足元に空間があり車いすでも利用できるバリアフリーの洗面所
など、その家に住む方の年齢に合わせて設計されています。
こちらの住宅は平屋構造ですが、その構造を活かしてリビングには天窓を設置しています。天窓は周囲に遮るものがなければ安定して自然光を取り込むことができます。
また、リノベーションでどうしても発生してしまう取り壊せない壁は、快適な読書空間として活用しています。
こちらの事例をさらに詳しく見たい方は
【ルームツアー】築50年平屋をまるごとリノベーション!夫婦の老後も安心のバリアフリー設計
ルームツアー動画をご覧ください!
【築40年】大胆に玄関を移動!収納空間たっぷりの住宅にリノベーション
費用 | 2260万円 |
築年数 | 40年 |
施工面積 | 109m² |
施工前の間取り | 10LDK |
施工後の間取り | 6LDK |
駐車場のスペースを広げるため、玄関を移動した大胆なリノベーション例です。リノベーションの魅力は、耐久性が損なわれなければ自由に間取りを変えられること。こちらの例も、玄関の位置を変えて、新たな駐車スペースを確保しました。
また、新しく作った玄関にはシューズラック、ラック、宅配ボックスを備えて、収納に優れた便利な玄関に一新。
リビングも隣の和室と繋げて広々とした空間にしています。
リノベーションの工事計画を立てる際、何か迷ったことがあればすぐに担当者や業者に確認してみてください。無理があると考えていた工事も、案外すんなりできる可能性があります。
【メリット】古民家リノベーションでできること
古民家リノベーションをするメリットは以下の通りです。
- 古き良き日本家屋を保存できる
- 固定資産税の軽減になる
古民家リノベーションで現代風にアレンジすれば、伝統的な日本家屋ならではの良さを残しつつ快適な暮らしを叶えることができます。
さらに、新築・建て替えと比べると税金が軽減されるメリットもあるのです。詳しくみていきましょう。
古き良き日本家屋を保存できる
古民家の魅力は、日本の昔ながらの独特な趣が楽しめることです。建物を支える柱や梁などの躯体が剥き出しになっており、時を経た木材の独特な色味や木目、風合いが楽しめるという特徴があります。
土間や縁側・吹き抜けなど、日本家屋の良さが再評価されている現代では、古民家を改築した和食屋やカフェなども人気です。レトロな雰囲気の和モダンなテイストが好きなら、古民家のリノベーションをおすすめします。
固定資産税の軽減になる
古民家リノベーションは、固定資産税が軽減されるメリットもあります。固定資産税は築年数によって変動するため、新築に建て替えるよりも税金が軽減されるのです。
ただし、固定資産税の定義は各自治体ごとに細かく定められているため注意しましょう。
特に増築をおこなう際は、許可自体が下りない可能性もあります。
その場合は増築せず間取りを変更するリフォームをおこなうのがいいでしょう。
古民家リノベーションにかかる費用の目安は?
古民家をリノベーションする場合にかかる費用は、おおよそ1500万円~2000万円程度。
工事の費用は施工面積によって決まると言われていますが、実は使用する素材や、間取り変更の数、工事の日数によって左右されます。
例えば2つの部屋を1つに繋げたり、耐久性のある外壁に変更したり、玄関や庭先の工事を重視したりすると、費用がかさんでしまうでしょう。
一方、間取り変更は最低限にとどめて使える部分を再利用し、施工内容を最低限に抑えると、費用はグッと安くなります。
古民家を自分のこだわり通りにリノベーションするなら、2500万円程度の余裕があるとよいでしょう。あくまでも実例の一部なので、実際に工事する古民家の情報をもとに見積もりを取ってもらうのが一番です。
【改修工事】古民家リノベーションで工事を検討すべき箇所
古民家のデメリットは、耐震性と断熱性の低さです。古民家リノベーションをおこなう際は、家の性能を現代家屋と同等レベルに引き上げなければなりません。
さらに、内部の劣化具合によっては予想していたよりもコストがかかってしまう可能性もあります。住み良くしたいと思うとつい内装に着目しがちですが、古民家リノベーションの場合は見えない部分をしっかり改修しておくことがポイントです。
実際に古民家をリノベーションする方の例を見ると、以下の箇所を重点的に工事する方が多く見受けられます。
- 断熱性リフォーム
- 耐震リフォーム
- 水回りのリフォーム
- 間取りや採光性
- バリアフリー化
なかでも、古民家でリノベーションすべき箇所第1位は「断熱性」です。
断熱材や断熱構造は10~20年の家では新しい技術を使用していますが、古民家では断熱性に問題を抱えている家がほとんど。リノベーション後に、エアコンの効きがよくなって快適に過ごせているという声も多く寄せられます。
一つひとつ詳しく見ていきましょう。
断熱リフォーム
古民家の課題は、断熱性が非常に乏しい点です。
断熱性能はここ十数年で一気に質が上がっているので、優れた断熱性を搭載していない家は、冬の寒さが厳しくなってしまうでしょう。
古民家の断熱性は、施工した住宅会社によって断熱材の厚みや質が異なるので、実際にその家を調べてみないとわかりません。
しかし冬場暖房をつけていても寒さを感じる、あるいは隙間から風が入ってくるようで寒いなどと感じる場合は、断熱性を加える工事を検討した方がよいでしょう。
たとえば、以下のような工事がおすすめです。
- 壁・屋根・床に断熱材を入れ直す
- サッシや玄関ドアを交換して気密性を上げる
ただ断熱材を入れるのではなく、状況に合ったリフォームをおこないましょう。サッシや内窓、ドアの交換・増設で済むケースなら、10〜15万円程度の費用で施工できるケースもあります。
また断熱性は単に熱を保って過ごしやすくするだけではありません。一度部屋が温まれば、それ以降も暖かさが持続するので、電気代の削減にもつながります。
実際に国土交通省では、省エネ住宅のポイントとして「優れた断熱性能」を推奨しています。古民家のリノベーションを行う際は、まず断熱性に注目してみてください。
耐震リフォーム
古民家は主に築年数が50年以上経った家の事を指します。築40年以上の家は現在の建築基準法を満たしていない可能性があるため、耐震性を向上させるリフォーム・リノベーションが必要です。
【旧耐震基準と新耐震基準】
旧耐震基準 | 新耐震基準 |
震度5程度の耐震性 | 震度6~7度程度の耐震性 |
旧耐震基準で建てられた家である場合は、震度5程度までの揺れにしか耐えられない構造である可能性が高いでしょう。そのため、新耐震基準と同等のレベルまで揺れへの強度を引き上げなければならないのです。
さらに、地盤が弱くなっているケースや、建物を支える柱・梁・壁などが劣化しているケースなども考えられます。古民家リノベーションをおこなう際は、施工業者に現地調査をしてもらい、必要に応じて補強工事や耐震リフォームを実施してください。
水回りのリフォーム
古民家は水まわりがかなり古いので、リノベーションと一緒に交換する方がほとんど。水回り設備は10〜20年が交換目安なので、この機会に交換してしまうことをおすすめします。状態が悪くなければ、50〜100万円以内でリノベーションが可能です。
たとえば、キッチンは生活の快適さを左右する大事な箇所です。対面式のキッチンにすれば、キッチンの中からリビングの様子をうかがえるだけでなく、部屋全体の見通しが良くなってさらに部屋が広く感じられます。
キッチンは流し台や棚、コンロを丸ごと交換できるので、予算に合わせて機能を選んでみてください。
また玄関に簡易的な洗面所を設置することで、汚れた手を家に上がる前に洗ったり、来客用の洗面所として使ったりという例もありました。
ほかにも、洗面所・お風呂・トイレなど、水回り設備に対して不便に思うことを箇条書きにして残しておくと、アイデアが浮かびやすくなります。
間取りや採光性
近年人気の住宅は、採光性を重視して造られているものがほとんどです。せっかくリノベーションするなら、明るく快適なリビングを作りましょう!
リノベーションでは、法律に沿った耐久性があれば、窓を好きなだけ取り付けられます。大きさも自由なので、大きな窓や天窓をつけるなどの工夫をして、自然光をしっかり取り入れる部屋にリノベーションしてください。
採光性に優れていれば、曇りの日でも爽やかな気持ちで過ごせます。窓は二重窓にして、断熱性と結露を防げるようにするのがおすすめです。
また、来客用の客間を作りたい方におすすめなのが、間取り変更のできる設計です。最近では引き戸やパーテーションで簡易的な壁を作り、部屋の間取りを変更できる設計が人気を集めています。
普段はあまり使わない客間も、間取り変更でほかの部屋とつなげられれば、無駄なく活用できるでしょう。
バリアフリー化
古民家リノベーション後も長く住み続けるためには、バリアフリー化も意識した施工をおこなうのがおすすめです。
ぜひ以下のような工夫を検討してみてください。
- トイレを広くして車いす・高齢者も使いやすくする
- お風呂に保温性のあるタイルを使用する
- お風呂や洗面所に暖房設備を取付ける
- 室内の段差をなるべくフラットにする
- 土間や玄関の上り口に工夫をする
広めのトイレでなくても、手すりを取り付ければ数十年後でも安心して住み続けられます。バリアフリーの面では、数十年先を見越しておくと後悔がありません。
さらに、ご高齢の家族と一緒に住まわれている方は、急激な温度差で血圧が変動し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす「ヒートショック」に備える必要もあるでしょう。保温性のあるタイルを使用したり、暖房設備を取り付けたりするなど工夫を凝らしておけば安心です。
古民家リノベーションで費用を抑えるコツ!
最後に、古民家リノベーションをおこなう際に活用できるコツを2つ紹介します。なるべく費用を抑えて施工したいなら、以下のコツをぜひ参考にしてみてください。
- 大手ではなく地元の工務店に依頼する
- 自治体の減税・補助金制度を活用する
古民家リノベーションには補修工事が必要になるケースが多く、思ったよりも費用がかさんでしまったという人もいるかもしれません。上記の方法を検討して、かしこくリノベーションを実現させてください。
大手ではなく地元の工務店に依頼する
できるだけ費用を抑えたいなら、施工業者選びにこだわりましょう。地元の工務店なら、大手リノベーション業者よりも安く施工できる傾向があるので、検討してみるのがおすすめです。
大手リノベーション業者は、宣伝費や人件費などがかさむため、場合によっては1,000万円以上の差額が発生することもあります。
営業マンや宣伝費にお金をかけない地元の工務店は、そのぶん安く施工できるのです。
ただし、一口に地元の工務店といってもさまざまな業者が存在しているため、しっかり優良業者を見極める必要はあるでしょう。可能であれば2〜3社から見積もりを取り、品質・サービス・価格などを比較検討してから依頼するのがおすすめです。
自治体の減税・補助金制度を活用する
古民家リノベーションの費用を抑えるために、自治体の制度を利用する方法もあります。主に以下の制度が利用できる可能性があるため、気になる人は適用条件に該当するかチェックしてみてください。
- 住宅ローン減税
- 既存住宅において特定の改修をした場合の特別控除
- 固定資産税の減税
- 贈与税の非課税措置
たとえば、バリアフリー化や耐震リフォームなどをおこなった場合は、適用条件に該当すれば減税制度が受けられます。ただし、減税を受けるには事前に申告が必要なケースもあるので注意が必要です。
また、減税制度と同様に、各自治体の補助金制度を活用できるケースもあります。内容は自治体ごとに異なるので、詳しい内容については「一般社団法人住宅リフォーム推進協議会」をご覧ください。
古民家再生したいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?この記事は、私たち株式会社ユニテが様々なお客様のリノベーションを行ってきた経験から、古民家再生リフォームのメリット・デメリットや活用方法をまとめてみました。
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