リビングに和室を導入したいけど分からない、失敗したくないという想いをお持ちではないでしょうか?私たち株式会社ユニテが30年間様々な経験から、リビングと和室の親和性や導入のメリット・デメリットをまとめてみました。
目次
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
リビングのリノベーションを検討するにあたり、新しく和室あるいは畳スペースを取り入れるかどうか悩んでいるという方がいるのではないでしょうか。
和室はリノベーション工事によって後からリビングに設置することが可能です。
現代においてリビングへの和室導入は、以下の通りバリエーションが豊かだと言えます。
- リビング全体を和室にする
- 一部の空間に畳のスペースを取り入れる
- リビングの横に和室を取り入れる
この記事では、現代のリビングと和室の親和性について、和室を取り入れることで生じるメリットやデメリットを交えながら解説します。
実際に和室空間をリビングに設置する際の注意点についても触れますので、現代の和室について知りたい方だけでなく、和室スペースを導入することによって快適な部屋作りを実現したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
和室リビングとは
和室が導入されたリビングのことを現代では「和室リビング」と呼ぶことがあります。
時代の変遷とともに洋風のリビングが主流になるなかで、一部に和の空間を導入する事例も一定数見られます。
少し古いデータですが、株式会社アキュラホーム住生活研究所が2017年に行った独自調査によれば、6畳以下の和室または和室を採用する家庭が増えつつあるというデータが発表されています。
・2009年:62%
引用元:「2017年住宅傾向調査」について
・2014年:63%
・2015年:68%
・2016年:71%
ユニテでも、リノベーション工事の一環として増改築による和室設置のご依頼を受けていることから、需要が復活しつつあることがわかります。
日本人と和室リビングは戦前から
日本人と和室リビングの関係は、実は戦前から。
戦前まで当たり前のように存在していた昔ながらの和室は、当時リビングと同様の役割を果していました。
和室で家族そろって食卓を囲んだり、各々の時間を過ごしたりなど、現代のリビングと変わらない活用をされてきました。
家庭によっては食卓を囲んだ机をたたみ、布団を敷いて寝室として和室を利用していたという方もいるでしょう。
洋風住宅の間取りが入る前は、日本には現代のように寝室や居間の区別がなく、コンパクトかつフレキシブルに形態を変える和室が親しまれていました。
しかし、戦後から高度成長期終盤という時代の流れによって、洋風住宅でおなじみのフローリング床が採用されるようになり、リビングと寝室が区別されるようになったそうです。
やがて西洋化の流れがとどまることをしらず、和室をリビングとして活用する家庭も減少傾向となりました。
しかし、近年では和室がもたらす団らんの場や癒し効果が再評価され、新築住宅やリノベーション工事によって和室あるいは畳スペースをリビングに導入する家庭が増えつつあります。
和室を導入したリビングの間取り
和室をリビングに導入する間取りは、以下の通りです。
- リビング全体を和室にする
- リビングの一部を和室にする
- リビング横に和室を確保する
それぞれについて詳しくご紹介します。
リビング全体を和室にする
従来のようにリビング全体を和室にする方法が挙げられます。
特にお子さまがいるご家庭の場合、リビング全体を和室にすることで子どもが走り回った際も畳がクッションとなりフローリングよりケガをしづらくなることから、安全面を考慮して採用されるケースがあります。
リビングの一部を和室にする
参考:https://maghaus.com/works/2
フローリング床のリビングの横を思い切って和室にするという方法も親しまれる間取りのひとつです。
リビングの一部を和室にする間取りでは、以下のような現代的なアレンジが実現できます。
- 和室とフローリング空間を引き戸で区切る半個室タイプ
- 小上がりを設置する
- スキップフロア(中二階)を和の空間にする など
小上がりやスキップフロアを採用する場合は、リフォーム時に生じる段差を収納スペースにできるため、便利です。
リビング横に和室を確保する
参考:https://school.yunite.co.jp/works/12
増改築によりフローリングの横に和室1室を新たに確保するという間取りも考えられます。
リフォーム会社の調査によって増改築できる住宅かどうかの確認は必要になりますが、和室を確保するにあたっての制限は特になく、小上がりの和室や畳を埋め込む一般的な和室などフレキシブルに対応可能です。
ただし、和室スペースの広さ次第では建築確認申請の手続きを経るなどリフォーム会社との入念な打ち合わせが生じるため、増改築についてもチェックすることをおすすめします。
リビングに和室を設置する主なメリット
リビングに和室を設置する主なメリットは以下の通りです。
②育児や家事・仕事場に活用できる
③来客時に接待がしやすい
④和の趣味を活かせる
詳しく見てみましょう。
メリット①:フローリングよりも気軽にくつろげる
フローリング材では気軽に寝ころびにくいリビングも、畳のある和室にすることでより気軽にくつろげると言えます。
フローリング床の場合、直接床の上で寝転がるには固く、体が痛くなりがちです。わざわざソファーやイス・厚手のじゅうたんなどを買わないと、くつろぎづらいと言えます。
しかし、和室の床に採用されている畳はフローリング材よりもクッション性が高いため、フローリング材よりも気軽に直接座ったり寝転がったりできるのがポイントです。
また、畳には天然素材のい草が使用されています。
い草には森林浴と同じリラックス効果があるといわれており、香りをかぐだけでもくつろぎ性が増すと言えます。
メリット②:育児や家事・仕事場に活用できる
家族団らんの場であるリビングに和室があることで、育児だけでなく家事にも活用できるのがメリットです。
リビングに和室あるいは畳スペースを導入することで、以下のような活用方法が見込めます。
- 洗濯ものをたたむ
- アイロンかけ
- 子どもの遊び場
- リモートーワークの仕事スペース など
前述のように、かつての和室は家族の団らんの場として使われてきました。
現代のリビングも家族が集うスペースとして使われているという点から、同じような役割を果たせます。
また、リビングという間取りの特性上、オープンスペースにすれば子どもへ目が届きやすい点も魅力です。
メリット③:来客時に接待がしやすい
リビングへつながる和室という位置関係から、来客時の接待もしやすくなるでしょう。
リビングにはキッチンが設置されている間取りが一般的です。
そのため、お客さんが来た際もお茶出しが便利になるだけでなく、お客さんと会話しながらおもてなしの準備ができます。
メリット④:和の趣味を活かせる
和の趣味を持っているという場合は、リビングに設置した和のスペースを有効活用できるでしょう。
リビングという家族が集う場で家族の存在を感じながら趣味に没頭できるだけでなく、一緒に楽しんでもらえるかもしれません。
リビングに和室を設置する主なデメリット
リビングに和室を設置するデメリットを以下にまとめました。
- 重たい家具を置きづらい
- 畳のすり減りが早い
- ペットとの同居には工事が必要
詳しく見てみましょう。
デメリット1.重たい家具を置きづらい
畳はある程度の厚みがあるため、重たい家具を置くことで凹んでしまいます。
畳の一般的な交換頻度やメンテナンス頻度は以下の通りです。
- 裏替え:約2~5年
- 表替え:約4~7年または裏返し後おおむね5年ほど
- 新調:15年~20年に1回
重たい物を常に置き続けてしまうと交換頻度やメンテナンス時期も早まります。
特にリビング全体を和室にする場合は、重たい家具を置くケースもあるため注意が必要です。
デメリット2.畳のすり減りが早い
リビングに和室や畳スペースを導入すると、通常よりも畳のすり減りが早まるでしょう。
リビングは家族が勢ぞろいする場所という点だけでなく、来客をもてなす場でもあることから、人の往来が常にあります。
人の往来が常にあるということは、畳のすり減りもその分早まるということです。
特にわんぱくな子どものいる家庭で畳を導入すると、子どもが走り回ることで畳のすり減りが通常よりも早くなる可能性があります。
デメリット3.ペットとの同居には工夫が必要
ペットを飼っている場合は、ある程度の工夫をしないと和室を導入して後悔してしまうかもしれません。
畳はフローリング材に比べてペットのニオイがつきやすいだけでなく、畳で遊んだりいたずらしたりすることも考えられます。
和室とリビングに仕切りを設けたりペットをリビング立ち入り禁止にしたりしないと、デメリットになると言えます。
リビングに和室を設置する際に気を付けたいこと
リノベーションでリビングに新しく和室や畳スペースを導入したいと考えている場合に気を付けるべき点を導入する間取りごとにまとめました。
全般的な注意事項 |
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1室和室にする場合の注意事項 |
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一部和室スペースを確保する場合の注意事項 |
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後悔のない和室リビングのリノベーションをするためにも、それぞれの項目を熟読し、未然に失敗を防ぎましょう。
全般的な注意事項
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リビングに和室空間を導入しようと計画している際は、家族で和室をどう活用するかを明確にすることが大切です。
リビング横に個室として和室を設置するのであれば6畳以上あることで客室としても活用できます。
また、4畳前後にすることで、子どもの遊び場や在宅勤務時や家事を行うワークスペースなど気軽な空間として利用できるでしょう。
上記で挙げたのはほんの一例です。
和室スペースをどのように使うかによって、おのずと1室すべて和室にリノベーションするか一部空間に畳スペースを導入するかが決まってくるため、用途の検討は重要だと言えます。
さらに、仕切りの有無も決めておくと安心です。仕切りの有無で生じる和室スペースの変化を挙げてみました。
仕切り無し | 仕切り有 |
・オープンスペースとなり子どもへの目配りがしやすい ・家族との交流がしやすい ・ドアの開け閉めの手間が省ける など |
・客間としても利用できる ・フローリング床との親和性が高まる ・プライベートスペースを確保できる ・ペットとの同居もしやすくなる など |
1室和室にする場合の注意事項
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リビング横に個室としての和室を導入する際は、専用エアコンを導入する必要があることを考慮しなければなりません。
逆に仕切りのないオープンスペースに一部和室を取り入れる、あるいは畳スペースを導入するのであれば、エアコンはリビング1室だけ設置するのでも差支えないと言えます。
また、個室として和室をリビング横に設ける際は、押し入れの設置の有無をあわせて検討したほうが良いと言えます。
専用エアコンを導入したり押し入れの設置を決めた場合は、その分の追加費用を見積もらなければなりません。リフォーム業者の見積もりをよく確認しながら契約を結ぶことをおすすめします。
一部和室スペースを確保する場合の注意事項
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リビングの一部に和室スペースを確保する際は、小上がりタイプか段差なしのフラットタイプにするかを考慮する必要があります。
小上がりを設置する場合は、段差無しの工事よりも気軽に畳スペースを設置できる一方、段差が生じるため高齢者や子どもの転倒や落下の恐れが生じます。
一方、段差無しにする場合は文字通り段差がなくなるためバリアフリーの観点から安全が担保されますが、畳の厚み分、床を下げる工事も必要になる場合があります。
リビングに和室を設置することをおすすめできる人、できない人
リビングという家族団らんの場所柄、和室や畳スペースを導入することがおすすめできる人と出来ない人が顕著に現れやすいと言えます。
もしリビングに和室を設置するかどうか悩んでいる場合は、以下の表を参考にしてみてください。
おすすめできる人 | おすすめできない人 |
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それぞれについて詳しくご紹介します。
おすすめできる人
おすすめできる人 |
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和室や畳スペースを導入するということは、生活に和の空間が混ざり合うようになると言えます。
そのため、和の空間や和洋室の雰囲気が好きな人にはおすすめのリフォームだと言えます。
引き戸を収納型にしたり無しにするような場合は、フラットな和の空間がかえってリビングを広く見せてくれるため、家族の様子を眺めたい方にもうってつけです。
おすすめできない人
おすすめできない人 |
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畳を導入することになるため、ソファなどの大型の洋家具を持っているご家庭や、お子さまがリビングを走り回ることが好きだという場合は、畳の凹みやすり減りによるメンテナンス頻度が通常よりも早くなる点を考慮しなければなりません。
畳のメンテナンス費用は枚数分、以下の通りの費用が発生します。
- 裏替え:1畳4,000円前後
- 表替え:1畳5,000円~20,000円前後
- 新調:1畳10,000円~35,000円前後
上記の費用確保が難しい場合は、おすすめしづらいと言えます。
また、ペットが畳スペースへ侵入しないための対策ができないという場合も、導入は不向きだと言えるでしょう。
富山県で改築工事を検討している際はユニテにご相談ください
富山県周辺でリビングへの和室導入リノベーションを検討していると言う場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。
ユニテでは和室へのリノベーションに関する施工経験も豊富ですので、自身の生活状況や要望を丁寧にヒアリングいたします。
ヒアリング内容をもとにプロの判断を仰ぎながら、自身にピッタリのリビング空間を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは、お気軽に弊社にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、リビングの和室リノベーションについてメリットやデメリット、注意事項についてご紹介しました。
- 和室を導入したリビングの間取り
- リビングに和室を設置する主なメリット・デメリット
- リビングに和室を設置する際に気を付けたいこと
- リビングに和室を設置することをおすすめできる人、できない人
現代のリビングに和室を導入する場合、以下の間取りが考えられます。
- リビング全体を和室にする
- 一部の空間に畳のスペースを取り入れる
- リビングの横に和室を取り入れる
リビングに和室を導入するということは、畳を使う事になることと同義であるため、畳ならではのメリットやデメリット、リノベーションを検討するにあたっての注意事項が生じることを覚えておくと便利です。
リビングに和室や畳スペースを設置するメリット | リビングに和室や畳スペースを設置するデメリット |
・フローリングよりも気軽に寝転げる ・育児や家事に活用できる ・来客時の接待がしやすい |
・重たい家具を置きづらい ・畳のすり減りが早くなる ・ペットとの同居には向かない |
全般的な注意事項 |
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1室和室にする場合の注意事項 |
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一部和室スペースを確保する場合の注意事項 |
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本記事を参考に基礎知識を身につけて、自身の状況や要望に合うリビングに和室や畳スペースの導入を検討してみてください!