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電気代も値上がりし、毎月の電気代を抑えたいという方も多いでしょう。光熱費を節約するには、屋根の断熱が効果的です。今回は、屋根断熱の重要性や工法の選び方、断熱材の種類から費用の目安まで、後悔しない屋根断熱のポイントを紹介します。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
電気代も値上がりし、毎月の電気代を抑えたいという方も多いでしょう。光熱費を節約するには、屋根の断熱が効果的です。
屋根は家の中でも熱の出入りが多いため、夏は強い日差しによる熱が室内に入り込み、冬は暖かい空気が逃げてしまいます。
今回は、屋根断熱の重要性や工法の選び方、断熱材の種類から費用の目安まで、後悔しない屋根断熱のポイントを紹介。屋根断熱のポイントを知り、快適な住まいづくりの参考にしてくださいね。
屋根の断熱が重要な理由
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建物を断熱するには、壁・床・開口部などさまざまな方法がありますが、その中でも屋根や天井は最も重要な断熱方法です。
屋根断熱とは何か、屋根の断熱が重要な理由を解説します。
屋根断熱とは
屋根や屋根裏に断熱材を入れることで、外部との熱の出入りを防ぎ、室内環境を整える方法を屋根断熱といいます。
屋根の断熱対策をしっかり行うことで、外部からの熱の流入や室内の熱の流出をブロック。夏の暑さを軽減させ、冬の暖房効率を上げます。光熱費の削減に繋がるため、省エネにも効果的です。
屋根の断熱対策は、光熱費の削減に大きな影響を与える重要な工程だといえます。
屋根は熱の出入りが多い
屋根は建物の中でも熱の出入りが多い場所です。
屋根は太陽の熱を直接受け続けます。熱を持った太陽光は、空気を通さずにまっすぐ伝わってくる熱(輻射熱)となって室温を上昇。夏に2階の方が暑く感じるのはそのためです。
季節によって建物は、夏は屋根から11%の熱が入ってきて、冬は5%の熱が逃げていくとされています。屋根がしっかり断熱されていないと、エアコンを付けてもさらに熱が入ってしまうので、いつまでも室温が下がらず、余分な電気がかかるのです。
屋根をしっかり断熱して、熱の侵入や流出を防ぎましょう。
暑くなりやすいのはこんな家
このような住宅は、日光を室内に通しやすく、真夏などは暑くなりやすい傾向にあります。ご自宅が以下の特徴に当てはまる方は、屋根断熱を検討しましょう。
- 屋根が金属(トタン・ガルバリウム鋼板・アルミなど)の家:金属は熱伝導率が高いため
- 屋根がスレート瓦の家:屋根の厚みが4~5ミリほどしかないため
- 吹抜けがある家:日光が入りやすく、暑い空気が溜まるため
- リビングが1階以外にある家:天窓など窓が多いため
屋根断熱のメリット
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屋根を断熱すると、以下のようなメリットがあるため、現代の住宅ニーズに適した施工方法として多く採用されています。
- 屋根裏が活用できる
- 省エネ性が高まる
- 建物の耐久性が高まる
屋根裏が活用できる
屋根に断熱材を入れると、屋根裏を快適な生活スペースとして使えます。断熱されていない屋根裏は、真夏はまるでサウナのように40度以上の高温になることも。屋根を断熱し屋根裏の温度が抑えられれば、部屋として利用できます。
天天井を高く設けて梁を見せるような勾配天井や吹抜けのある開放的な空間にしたり、屋根裏をロフトとして活用したりと、収納スペースや趣味の部屋として活用できるでしょう。
屋根を断熱すれば、家の中に新たな居住空間が生まれます。
省エネ性が高まる
屋根を断熱すると、エネルギー効率が向上し省エネ性が高まります。室温の変動を抑えられるので、一年中快適な生活空間を保てるからです。
実際に断熱性能が高い家は、壁や天井の表面温度と室温の温度差が少ないため、快適な温度を保ちます。夏は涼しく冬は暖かい室内環境を作り出すので、冷暖房費を大幅に削減できるでしょう。
また、電気代は年々上昇しており、2010年と2022年を比較すると電気料金は約59%上昇しています。
電気料金が上がっている今だからこそ、屋根をしっかり断熱し光熱費を抑えましょう。
建物の耐久性が高まる
屋根断熱は温度や湿度の変化から建物を守り、結果として住宅の寿命を延ばす効果があります。屋根断熱は結露や湿気を防止するからです。
結露は木材などを腐食させ、カビが発生する原因となります。屋根断熱により室内外の温度差を少なくすれば、結露の防止に。さらに、屋根断熱によって湿気を予防すれば、建材の腐りを予防できます。
屋根断熱により住宅の耐久性が高まれば、メンテナンス費用が削減でき、経済的なメリットが期待できます。
屋根断熱のデメリット
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屋根断熱はさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
- 空間が広いため光熱費がかかる
- 工事費用が高くなる
- 構造部分が腐食する可能性がある
デメリットもしっかり理解して、屋根断熱を検討しましょう。
空間が広いため光熱費がかかる
屋根断熱は吹抜けのある開放的な空間にしたり、屋根裏をロフトとして活用したりと新たな居住空間が生まれます。
しかし、空間が広くなりエアコンやヒーターなどを使うスペースが増えてしまうと、光熱費の負担が大きくなることがあるのです。
光熱費を抑えるには、室内の空気の循環を良くすることで改善できます。吹抜けを設置するなら、エアコンの適切な位置に配置し、シーリングファンなどを設置しましょう。換気設備を活用し、効果的に空気を循環させると良いですね。
工事費用が高くなる
屋根を断熱すると、工事費用が高くなる傾向にあります。屋根は建物でも広範囲となり、断熱材を多く使い手間がかかるため材料費がかかるのです。天候に左右されやすいため、工期が伸びてしまうことも。
使用する断熱によっては、屋根の重量が増えるケースもあります。重くなった屋根を支えるために、補強工事が必要になることもあるでしょう。
屋根断熱は、屋根の形状によっては効果が減少したり、断熱材の厚さに制限がかかる場合があります。屋根断熱を行うなら、信頼できる業者に依頼しましょう。
構造部分が腐食する可能性がある
屋根断熱は室内を快適に保ちますが、冬は外の温度差により結露が発生しやすくなります。屋根裏に限らず、建物の1階でも結露が発生しやすくなるので注意が必要です。
結露はカビを発生させる原因になるだけでなく、構造部分への影響を与えます。柱や梁の強度が低下したり、断熱材の性能が低下したりと、建物の耐久性に影響を与えるので注意が必要です。
こまめに換気を行い室内の湿気管理を行えば、結露の防止に繋がります。
屋根断熱の工法
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屋根断熱の工法は、大きくわけて「充填断熱」と「外張り断熱」の2種類があります。建物の状況や重視するポイントに応じて適切に選択しましょう。
充填断熱工法
充填断熱工法は、柱と柱の間などに断熱材をすき間なく埋める工法です。元々ある構造を活かし、シート状・ボード状・液状の断熱材で空間を埋めます。
比較的作業がしやすくコストが抑えられるため、多く採用されている工法です。建物の内部から施工するのが一般的なため、リノベーションなどでも対応できます。
隙間なく断熱材を埋め込むことで気密性を高めますが、取り付け方や施工の丁寧さによって、断熱効果に違いが出てくることがあります。
外張り断熱工法
外張り断熱工法は建物の外側に断熱材を設置する工法です。屋根の骨組みと屋根材(瓦やガルバリウム鋼板など)の間に断熱材を設置します。
すき間ができにくく、安定した断熱効果が得られやすいメリットがあります。外張り断熱を採用する際は、屋根を改修するケースが多いです。
屋根断熱の種類
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屋根断熱に使用される断熱材は、さまざまな種類がありそれぞれ特徴が異なります。屋根断熱に使われる断熱材は、無機繊維・天然繊維・発泡プラスチックが代表的です。
種類 | 断熱材名 | 価格が安い | 湿気に弱い | 防音性が高い |
無機繊維 |
グラスウール |
〇 | △ | 〇 |
天然繊維 | セルロースファイバー | ✕ | 〇 | ◎ |
発泡プラスチック |
硬質ウレタンフォー |
△ | ◎ | ✕ |
断熱塗料 |
ガイナ |
✕ | ◎ | △ |
無機繊維系断熱材(グラスウール・ロックウール)
無機繊維系の断熱材は、ガラス繊維や鉱物繊維で作られた断熱材のこと。グラスウールやロックウールが代表的です。
価格が安いのが特徴で、屋根だけでなく、建物の断熱材として幅広く採用されています。
防火性と防音性に優れているので、小さいお子さんがいて騒音が気になる方や、万が一の火事が心配な方にもおすすめです。
天然繊維系断熱材(セルロースファイバー)
羊毛や木材など自然素材から作られる天然繊維系の断熱材。セルロースファイバーなどが一般的です。
天然繊維系の断熱材は防音性や吸湿性に優れています。カラオケルームや劇場などで使われており、住居兼音楽教室を検討している方にもおすすめです。
しかし、無機繊維系の断熱材とくらべると、2~4倍の金額となり、コストが高い欠点も考慮しましょう。
発泡プラスチック系断熱材(硬質ウレタンフォーム・ビーズ法ポリスチレンフォーム)
発砲プラスチック系の断熱材は、硬質ウレタンフォームなどの合成素材から作られる断熱材です。代表的な断熱材として、硬質ウレタンフォームやビーズ法ポリスチレンフォームがあります。
発泡プラスチック系の断熱材は薄くて軽いため、施工が簡単。高い断熱性能と湿気を抑えるメリットがあります。
一方で、断熱材によっては燃えたときに有害物質が発生する可能性があるものもあるので、素材についてしっかり確認しましょう。
断熱塗料
断熱塗料は、太陽光(赤外線)を反射し熱の侵入を抑えます。屋根に断熱塗料を塗ることで、表面の温度を下げ室内温度の上昇を抑えます。冬でも太陽光を反射するため、室内が寒くなってしまう可能性があります。
断熱効果は、ほかの断熱材とくらべると限定的です。暖かい空気を保温する効果はあまりありません。断熱塗料は、屋根の補修やメンテナンスとして採用するのがおすすめです。
屋根断熱の費用
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屋根の断熱の費用は、施工方法・断熱材の種類と面積・屋根の形状などによって変動します。さらに、屋根は高い場所にあるので足場代が必要です。
断熱すると湿気が溜まりやすくなりますが、湿気を外に逃がすために通気層スペーサーを設置する必要があります。いまある住宅の屋根を断熱する場合、天井などを解体すると追加で費用が必要です。
屋根断熱を依頼する業者によっても異なるので、見積もりで費用を確認しましょう。
補助金を活用する
国や地方自治体の補助金制度を利用すれば、屋根断熱工事費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
お住いの地域によって地方自治体の制度を利用できるケースもあるので、補助金や助成金制度がないかこちらから調べてみましょう。
屋根断熱リフォームに利用できる補助金として、国土交通省が展開している「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を紹介します。
補助金額:1戸あたり最大100万円(場合によっては150万円)
対象住宅:戸建住宅(55m²以上)やマンションなど共同住宅(40m²以上)
参照:長期優良住宅化リフォーム推進事業
屋根の断熱は「省エネルギー対策」の一環として認められる可能性が高いです。
補助金を受給するには、リフォーム前に建物の状況調査を受ける必要があります。リフォーム後に一定の性能基準を満たすような工事が必要です。
屋根断熱についてよくある質問
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屋根断熱について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
天井断熱と屋根断熱どちらがいいの?
屋根断熱と比較されるのが天井断熱です。天井断熱とは、屋根ではなく天井に断熱材を入れて、建物の断熱性能を高めます。
屋根断熱 | 天井断熱 | |
断熱材の設置場所 |
屋根(垂木の上) |
天井(小屋裏の床面) |
断熱範囲 |
全体(屋根まで) |
天井まで |
屋根裏空間 |
室内環境に近い温度 |
外気温の影響を受ける |
断熱材の経年変化 |
比較的早い |
比較的遅い |
天井断熱は、屋根断熱と比べるとコストが抑えられるメリットがあります。しかし、屋根裏空間が高温になるため、木材の建材は縮んでしまい構造の強度が下がる可能性が。近年は限られたスペースを有効活用したい方も多く、屋根断熱が選ばれるケースが多いです。
屋根断熱はDIYできる?
暑さ対策として屋根断熱をDIYできるしたい方もいるでしょう。しかし、屋根断熱は専門的な知識や安全対策が必要なため、専門業者への依頼をおすすめします。
DIYで屋根断熱を行う場合は、建物の外側に断熱材を設置する外張り断熱工法が一般的です。
断熱材の性能を発揮させるには隙間なく敷き詰めることが大切ですし、電気配線などを傷つけないよう注意しなくてはなりません。
屋根断熱は安全性や効果の面でも、信頼できる施工業者に依頼しましょう。
屋根断熱で快適な住まいを実現しよう
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屋根をしっかり断熱すれば、光熱費の削減に大きな影響与えるだけでなく、住宅を快適に保ち家族が健康にすごせる住まいが実現します。
- 屋根裏が活用できる
- 省エネ性が高まる
- 建物の耐久性が高まる
屋根断熱の工法
- 充填断熱工法:柱と柱の間などに断熱材をすき間なく埋める工法
- 外張り断熱工法:建物の外側に断熱材を設置する
屋根断熱でかかる費用
- 断熱材料費
- 天井などの解体費(必要な場合)
- 下地貼り費用
- 足場代
- 通気層スペーサー代(屋根断熱の場合)
- 洗浄代・塗料代(塗装断熱の場合)
- その他の費用
ユニテは、快適に暮らせるお手伝いをしています。
年間1,000件以上のリフォームを手がけるユニテなら、断熱材を通してあなたのご自宅に合ったご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。