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床下断熱材は効果ある?メリット・デメリットや選び方を紹介

床下断熱材は本当に効果があるのか、知りたい人も多いのではないでしょうか。 この記事では床下断熱の効果について紹介します。床下断熱のメリット・デメリットや、選び方についても解説するため、快適な家作りを考えている人はぜひ参考にしてみてください。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「床下断熱材はホントに効果ある?メリットやデメリットについても知りたい」

 

「暖かい家に住みたいけど、床下断熱の工事はどんなものがあるの?」

 

床下断熱材は本当に効果があるのか、知りたい人も多いのではないでしょうか。

 

床下断熱を行うことで室内の熱が外に逃げにくくなり、冬は暖かく夏は涼しく快適な住まいにすることができます。光熱費も削減できるため、快適さとコスパを重視する人にはおすすめといえるでしょう。

 

この記事では床下断熱の効果について紹介します。床下断熱のメリット・デメリットや、選び方についても解説するため、快適な家作りを考えている人はぜひ参考にしてみてください。

床下断熱とは?

まずは床下断熱について以下のポイントを紹介します。

 

  • 床下断熱のしくみ
  • 基礎断熱との違い

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

床下断熱のしくみ

床下断熱とは、床下の空間とフローリングなどの間に断熱材を敷き詰めて断熱する施行方法です。床下断熱は「外気が入ることを防いで部屋の室温を保つ」という効果があり、冬の冷気や、夏の熱気から家を守ることができます。

 

床下断熱と基礎断熱との違い

断熱方法には「床下断熱工法」と「基礎断熱工法」に分かれます。それぞれの違いは以下になります。

 

  • 床下断熱工法:1階の床下に断熱材を敷き詰める方法
  • 基礎断熱工法:建物の基礎の立ち上がりや基礎床に断熱材を施行する方法

 

床下断熱工法はフローリングの直下に断熱材を入れる方法です。床下からフローリングへ冷たい空気が入ることを防ぎ、底冷えを防ぐことができるでしょう。

 

一方、基礎断熱工法は基礎の立ち上がり部分を断熱材で覆う方法です。基礎部分から熱や冷気の出入りを防ぐことができます。寒い地方でよく行われている方法ですが、近年では本州でも使われることが多くなりました。

 

床下断熱材のメリット

床下断熱材のメリットは以下の3つがあります。

 

床下断熱材のメリット
  • コストを抑えられる可能性がある
  • 床暖房の効率を上げられる
  • メンテナンスしやすい

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

コストを抑えられる可能性がある

床下断熱は基礎断熱を比べると工事をする面積が狭いため、コストを抑えられる可能性があります。加えて、基礎断熱ではシロアリ対策や床下の換気システムなどの断熱工事も必要となることがありますが、床断熱では必要ありません。

 

これらの要因により床材断熱は基礎断熱よりもコストを抑えられる可能性があります。ただし、具体的な費用は施行内容や会社によって異なるためまずは見積もりを依頼しましょう。

 

暖房の効率を上げられる

床下断熱は以下の理由から暖房の効率を上げることができます。

 

  • 床からの冷気を防ぐことで暖房効率が上がる
  • 床に断熱材を入れることで床の保温に繋がる

 

床は足に触れる場所であるため、足元がひんやりすると部屋が寒いと感じる理由になりかねません。床下断熱をすることで足元が温まり、心理的にも部屋が暖かく感じることになるでしょう。

 

引用:【デコ活】断熱リフォームって何?

結露とカビを防止できる

床下断熱を行うことで、室内と室外の温度差を小さくすることができ、結露の発生を抑えることができます。

 

結露を予防することにより水滴がつくことを防ぎ、カビの抑制にも効果を得ることができます。結露対策として以下のポイントに注意して断熱素材を選びましょう。

 

  • 高性能な断熱材を選び長く効果を得る
  • 隙間なく施行できる吹き付けの断熱材を検討する

 

結露やカビは家の耐久性を下げる原因になりかねません。床下断熱を行うことにより、暖かさだけでなく、家の劣化防止に繋がることもメリットといえます。

床下断熱材はいらない?デメリットとは

暖かく快適な家にできる床下断熱ですが、以下のようなデメリットもあります。

 

  • 冷気が床下から部屋へ入りやすい
  • シロアリ対策が必要

​​​​​​​

以下から詳しく見ていきましょう。

 

冷気が床下から入る可能性がある

床材と床下との間に断熱材を敷き詰めますが、床下の構造によっては分厚い断熱材を入れられないこともあり、厚みが足りず冷気は入り込むことがあります。

 

加えて、床下には家の強度を増すための素材があり、場所によっては断熱材を入れることが難しい場合もあるでしょう。

 

そのため、施工前に専門業者と念入りな打ち合わせを行い、どのような施工で、どのような効果を得られるのかしっかりと相談してから工事を依頼することが大切です。

シロアリ対策が必要

断熱工事ではシロアリ対策が必要になります。特に基礎断熱では以下の理由からシロアリ被害を受けやすくなるため注意しなければなりません。

 

  • 断熱材がシロアリの生息地である地面に近くなるから
  • 基礎コンクリートに断熱材が貼ってあるためシロアリが活動しているのが見えにくいから

 

シロアリが発生した際は基礎断熱材を剥がすことも。断熱材に隠れて家の木材を浸食してしまうため厄介です。

 

断熱工事を行う際にはシロアリをなるべく侵入させない、または建物内部に侵入しても被害が少なくなるように対策を行いましょう。

おすすめの床下断熱材

ここからはおすすめの床下断熱材とそれぞれの特徴を紹介します。

 

  • グラスウールボード
  • セルローズファイバー
  • ポリスチレンフォーム

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

グラスウール

グラスウールはリサイクルガラスを主原料に高温で溶かし、綿状にした細い繊維です。繊維が絡み合い、中の空気を動きにくくすることにより断熱効果を得ることができます。

 

素材であるガラス繊維自体の断熱性は低いですが、隙間の中の空気を保つことにより断熱効果を発揮しています。

 

断熱効果を上げるためにはより細かく・たくさんの空気を保持することと、空気がなるべく動かない状態にすることが重要。そのため、高性能のグラスウールを使用することでより高い断熱効果を得ることができるため、商品選びはしっかり行いましょう。

 

グラスウールは床だけでなく、天井や壁にも断熱材として使用されており、家全体を温かく保つことに貢献しています。

引用:【経済産業省】建材トップランナー資料

セルローズファイバー

セルローズファイバーとは改修された新聞紙などの古紙を原料とした綿状の天然木質系断熱材です。天然の木質繊維が空気の層をつくることや、繊維の中の空気胞により熱や音を伝えにくい効果があります。

 

加えて、木質繊維であるため湿度調節もできるため、より快適な空間にできる素材といえるでしょう。添加物も使わないため、地球環境や人体にも優しい素材といわれています。

 

その他の特徴は以下のとおりです。

 

  • 防火性:約1000℃の炎でも燃え広がらない効果あり住宅の延焼を遅らせる
  • 吸音性:空気胞により中~高音域の音を吸収し、防音効果がある
  • 安全性:ホルムアルデヒト放散特性のF等級に適合
  • ライフサイクル:リサイクル原料であり環境に優しい

 

断熱効果だけでなく、防火や防音など家の快適性に欠かせないポイントを満たしていることも大きなメリットといえるでしょう。

 

引用:【日本セルローズファイバー工業会】セルローズファイバーの特徴

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは様々な種類がありますが、断熱材で使用されているのは高発泡ポリスチレンです。断熱性に加え、吸湿・吸水性も小さく、湿気に強いため床に使用されることが多いです。

 

以前まではフロンが使用されていましたが、2005年以降は100%ノンフロン化に成功しており、環境に優しい素材に進化を遂げました。

 

断熱材として屋根や床・壁・基礎によく使用されていますが、冷蔵庫の断熱材にも使用されており、身近にも多い断熱材です。張り付けや打ち込み、吹付けなど様々な工法で施工できることもメリットです。

 

引用:【環境庁】第2章 建材用フロン断熱材の概要

ユニテでの床下断熱の施工事例

ここからはユニテでの床下断熱の気流止め施工を紹介します。

 

気流止め施工とは壁の中を空気が自由に移動しないようにするための仕切りを作る方法。壁の中の空気が屋根裏に流れ込まないようにする工事であり、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことが期待できる施工です。

 

以下の写真は床下から気流が小屋裏に流入している写真です。このような隙間を写真のように埋めることで、断熱効果が得られます。

床下から気流が小屋裏に流入している様子

小屋裏への気流止め施工(GW)

主流であるのは発砲ウレタンフォームの吹き付け施工も行ってます。吹き付け施工とは、断熱材を床板裏面に吹き付ける工法であり、断熱材が膨らむことで隙間をしっかり埋めるため断熱性や気密性に優れている傾向にあります。

 

以下が発砲ウレタンフォームの吹き付け施工を行った様子になります。

床下発泡ウレタン施工の様子

ユニテでは断熱工事も行っておりますので、気軽にご相談ください。

 

また、ユニテのリノベーションの例は「リノベーション事例12選!ビフォーアフターを物件タイプ別に紹介します」で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

床下断熱材でよくある質問

ここでは床下断熱のよくある質問に回答していきます。

 

  • 床下の断熱材は後から入れても効果ある?
  • 床に敷く断熱材は効果ある?
  • フローリングとタイルの断熱方法は?

床下の断熱材は後から入れても効果ある?

床下断熱は後から入れても効果があります。床下に断熱材を後入れする方法は以下の2つになります。

 

床下に断熱材を後入れする方法
  1. 床を剥がして断熱材を入れる大がかりなリフォーム
  2. 床を剥がさない手軽なリフォーム

 

床を剥がす大がかりなリフォームでは、断熱材を隙間なく敷き詰めることができるため、断熱効果が高いです。加えて、床下の状況を知ることができるため、家の劣化に気づけることもメリットといえるでしょう。

 

ただし、大がかりなリフォームであるためコストがかかることや、工期が長いデメリットもあります。工事期間はリフォーム業者と相談し、生活への影響を検討しておきましょう。

 

床を剥がさないリフォームでは、床下の空間に小さな穴を開けて断熱材を注入したり、敷き詰めることで断熱性を上げます。

 

床を剥がさないためリフォーム費用を抑えることができたり、工期を短くできることがメリットです。ただし、断熱材が均一にならず断熱効果にばらつきがでる可能性があることがデメリットです。加えて、床下の状況を確認しないため建物の劣化に気づきにくいことも難点といえるでしょう。

 

床を剥がす方法、剥がさない方法はリフォーム業者と相談し、築年数やコストと比較しながら選びましょう。

床に敷く断熱材は効果ある?

床用の断熱シートは保温に効果があります。シートに含まれる空気層が床下からの冷気を伝えにくくするため、温かく感じることができます。

 

特に以下の場面ではより効果を得られるため、使用方法を検討してみましょう。

 

  • 布団の下に敷く
  • ホットカーペットの下に敷く

フローリングとタイルの断熱方法は?

フローリングとタイルの断熱方法は以下がおすすめです。

 

  • ホットカーペットや電気マットを使う
  • ラグ・断熱マットを使用する

 

冬に足元が冷えて困っている人は断熱リフォームも検討しましょう。築年数の古い家は、断熱材があまり使用されておらず寒く感じやすい家が多いため、リフォームやリノベーションがおすすめです。主な断熱リフォームには以下の方法があります。

 

  • 床暖房を検討する
  • 床の断熱リフォームを検討する

 

床は足に直接触れる場所であるため、ヒヤっとすると家全体が寒く感じる原因になります。また、断熱は床だけでなく窓なども同時に工事を行うことでより効果を得ることができると言われています。

 

冬を暖かく、快適に過ごしたい人はまずは専門家に相談してみましょう。

床下断熱材のまとめ

床下断熱のメリットは以下の3つがあります。

 

  • コストを抑えられる可能性がある
  • 床暖房の効率を上げられる
  • メンテナンスしやすい

 

床下断熱では基礎断熱と比べると工事のコストを抑えることができます。また、外気の影響を受けにくくなるため、暖房効率を上げることもメリットといえるでしょう。冬だけでなく、夏の湿った熱い空気も遮断することができるため、年中を通して快適な住まいできます。

 

加えて、断熱を行うことで室内と室外の温度差を小さくすることにより、結露の発生も抑えることができます。結露は家の耐久性を下げる原因になるため、家の劣化防止に繋がるといえるでしょう。

 

断熱工事を行う際は床下にどのくらい断熱材を入れられるかを業者と相談しておきましょう。床下の状況によっては十分に断熱を入れられない可能性もあるため、施行について念入りに相談しておくとよいでしょう。

 

基礎断熱を検討している人はシロアリ対策も必要です。基礎断熱はシロアリの生息地である地面に近いため、床下断熱よりも被害を受けやすいです。なるべくシロアリを侵入させないよう、業者としっかり相談しておきましょう。