
中古住宅を和風・和モダンにリノベーションする方法を徹底解説。実例を交え、魅力や費用相場、注意点、現地調査の重要性など、後悔しない住まいづくりのポイントを分かりやすく紹介します。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
中古住宅を購入・所有している方の中には、「せっかくなら日本らしい落ち着いた住まいにしたい」「今の家の良さを生かしながら、和の雰囲気を取り入れたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
近年は、中古住宅を和風・和モダンにリノベーションする住まいづくりが注目されています。
一方で、「和風にしたつもりが思ったより古臭くなってしまった」「冬が寒く、暮らしにくい家になった」「費用が想定以上にかかってしまった」といった声も少なくありません。
和風リノベーションはポイントを押さえずに進めてしまうと、デザイン性と暮らしやすさのバランスを崩してしまうことがあります。
本記事では、以下について網羅的に解説します。
- 中古住宅を和風にリノベーションする魅力
- リノベーションできる条件
- リノベーションのポイント
- リノベーションの費用相場
- 注意点
中古住宅を和風にリノベーションする魅力
中古住宅を和風にリノベーションする最大の魅力は、新築では手に入りにくい「落ち着いた和の雰囲気」と「自由度の高い住まいづくり」が両立できる点です。
既存の住まいを生かしながら、和の雰囲気を取り入れられる
中古住宅の大きな魅力は、すでにある構造や素材を生かしてイノベーションできる点です。
特に築年数のある戸建住宅では、無垢材の柱や梁、広めの間取り、縁側など、和風リノベーションと相性の良い要素が残っていることも珍しくありません。
こうした既存の要素を活かしながら、内装や建具、素材選びを工夫することで、無理なく和風の空間を実現できます。
新築よりも自由度が高く、理想の和風空間を目指せる
新築住宅では、コストや仕様の制約から「和風にしたいけれど選択肢が限られる」と感じるケースもあるでしょう。
一方、中古住宅のリノベーションであれば、物件の購入費を抑えられる分、内装や素材にも予算をまわしやすくなります。
たとえば、
・和室や小上がりスペースを作りたい
・土間を取り入れて趣味や来客対応に使いたい
・庭とのつながる縁側を作りたい
といった要望も、住まい全体のバランスを見ながら柔軟に設計しやすくなります。
すべての中古住宅が和風リノベーションできるわけではない
中古住宅のリノベーションには多くの魅力がありますが、全ての中古住宅が理想通りにリノベーションできるわけではありません。
建物の状態や構造によっては、制約が生じることもあります。
特に中古住宅の場合、外観や雰囲気だけでは判断できない劣化や構造上の問題が隠れていることもあります。
雨漏りの有無・柱や梁の状態・床の傾き・過去の増改築履歴などを現地で確認することで、どこまでリノベーションが可能かが明確になります
築年数や劣化状況で制限が出る場合がある
中古住宅の状態によっては、希望通りのリノベーションが難しいケースもあります。
たとえば、土台や柱が腐食していたり、雨漏りしていたりする場合は、デザイン以前に補修や交換が必要になります。
その結果、当初想定していた内装デザインや使用素材に十分な費用をかけられなくなるケースもあります。
購入前または計画初期の段階で、建物の構造や劣化状況を正しく把握することが重要です。
構造・工法によって制約が出る場合がある
建物の工法(木造・鉄骨造・RC造など)によって、可能なリノベーション内容は異なります。
特に間取り変更や、梁・柱を見せるデザインは、構造的な制約を受けやすいポイントです。
和風リノベーションを成功させるには、見た目だけでなく、構造を理解した上での設計が欠かせません。
戸建て・マンションで基準が異なる
戸建て住宅は比較的自由度が高い一方、マンションでは管理規約による制限があります。
床材の変更・防音性能・間取り変更の範囲など、事前に確認すべきルールが多いため、計画前の確認が不可欠です。
おしゃれな和風にリノベーションするための4つのポイント
和風リノベーションというと、「畳を敷けば和風になる」「障子や引き戸を入れれば十分」といったイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、それだけでは昔ながらの印象が強くなりすぎたり、現代の暮らしに合わない空間になってしまったりすることもあります。
おしゃれで心地よい空間をつくるためには、和の要素と全体のバランスを意識することが重要です。
ここでは、中古住宅を和風にリノベーションする際に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
ポイント1:自然素材を取り入れ、温もりある空間にする
和風リノベーションにおいて、空間の印象を大きく左右するのが素材選びです。
無垢材・珪藻土・和紙などの自然素材は、和の雰囲気を作り出すうえで欠かせない要素といえます。
一方で、すべてを自然素材にするとコストが上がりやすくなるため、床や壁の一部など、ポイントを絞って取り入れるのがおすすめです。
ポイント2:畳・引き戸など、和の要素を効果的に取り入れる
和風リノベーションでは、住まい全体を和のテイストに統一する必要はありません。
現代の暮らしに合わせるのであれば、畳や引き戸といった和の要素をアクセントとして効果的に取り入れる方法が効果的です。
たとえば、リビングの一角に畳スペースを設けることで、くつろぎの場や子どもの遊び場、来客用スペースとして柔軟に使えます。また、引き戸を採用することで、空間を仕切りながらも圧迫感を抑えられます。
和の要素を入れすぎないことで、洋風の家具ともなじみやすく、暮らしやすさと和の雰囲気を両立できます。
ポイント3:柱や梁を見せて、素材感を活かす
中古住宅ならではの魅力を引き出す方法として、既存の柱や梁をあえて見せるデザインがあります。
新築では再現しにくい、時間を重ねた木材の風合いは、和風リノベーションと非常に相性が良い要素です。
ただし、構造上すべての梁を見せられるわけではないため、事前に専門家と相談しながら検討する必要があります。
ポイント4:照度・色合いで落ち着いた和の雰囲気を作る
照明や色合いも、和風空間の印象を左右する要素です。
照度が明るすぎると、落ち着きのない空間になってしまうことがあります。
間接照明や電球色を取り入れることで、やわらかく温かい光を演出でき、和風らしい落ち着いた雰囲気が生まれます。
また、壁や天井の色合いも、白一色ではなく、生成りや淡いベージュなどを選ぶことで、より温もりのある空間になります。
中古住宅を和風にリノベーションする際の注意点
和風リノベーションを成功させるためには、見た目のデザインだけでなく、住まいとしての性能や制約にも注目する必要があります。
デザインだけで判断すると後悔しやすい
和の雰囲気を優先しすぎると、「冬に寒い」「生活動線が悪い」「思ったより暗い」といった不満につながることがあります。
特に中古住宅の場合、断熱・採光・収納計画などを後回しにすると、住み始めてから後悔しやすくなります。
和風のデザインと、日常の暮らしやすさのバランスを意識した計画が重要です。
断熱・耐震・劣化状況の確認が欠かせない
築年数の古い住宅では、断熱性能や耐震性が現在の基準に満たないケースも少なくありません。
和風リノベーションと同時に、断熱改修や耐震補強を行うことで、見た目だけでなく快適性や安全性も向上します。
目に見えない部分こそ、事前の確認と対策が欠かせません。
中古住宅ならではの制約を理解しておく
中古住宅のリノベーションでは、構造や状態によって希望通りにできないこともあります。
すべてを理想通りにしようとするのではなく、できること・できないことを整理したうえで計画を進めることが大切です。
制約を理解し、優先順位を明確にすることで、満足度の高い和風リノベーションにつながります。
和風リノベーションにかかる費用相場
リノベーションを検討するうえで、気になる予算について、一般的な目安をまとめました。
和風リノベーションにかかる費用の目安
リノベーションの内容により大きく変動しますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 部分リノベーション:300万〜800万円
- フルリノベーション:1,000万〜2,000万円以上
※施工範囲や建物の状態によって大きく変動します。
費用が高くなりやすいポイント
費用が高くなりやすいポイントは以下の通りです。
- 構造補強が必要な場合
- 自然素材を多用する場合
- 間取り変更が多い場合
初期見積もりだけでなく、追加工事の可能性も考慮しておきましょう。
中古住宅を和風にリノベーションした施工事例
吾妻建ちの住宅を和モダンにリノベーションした事例
Before
After
築約100年の吾妻建ちのご実家を、和の趣を残しながら現代の暮らしに寄り添う住まいへとリノベーションしました。
雨漏りをきっかけにご相談いただき、当初は屋根改修のみのご予定でしたが、「せっかくなら快適に住める家に」と、住まい全体の改修を決断されました。
リノベーション後はご家族で住み継ぐことを見据え、安心して長く暮らせる住まいづくりを目指しました。
経年劣化の補修を丁寧に行いながら、水廻りは特に奥様の使いやすさを重視してプランニングしました。
キッチンと洗面室は回遊できる動線とし、家事が一室で完結する効率的なプランを採用しました。約6帖の洗面室では、洗面台・洗濯機・カウンター・収納棚の配置を、お施主様に実際の動きを想定いただきながら何度も打ち合わせを重ね、細かく調整しました。
ダイニングキッチンは隣地からの視線に配慮し、横長の窓を設けることで、明るく開放的でありながら落ち着いた空間にしています。
リビングでは既存の立派な梁を活かし、古民家の趣と調和するレトロモダンなシーリングファンが印象的な、和と洋が心地よく融合した住まいに仕上がりました。
既存の間取りを活かした和風リノベーション事例
中古住宅の和室を中心に、住まい全体の調和を大切にした和風リノベーションを行いました。
長年ご家族を見守ってきた思い出のある柱や書院はあえて撤去せず、そのまま活かしています。新しい素材や設備と組み合わせることで、「新しさ」と「懐かしさ」が自然に溶け合う、落ち着きのある空間に生まれ変わりました。
また、和室の一部は趣味を楽しむサンルームに作りかえました。
大きな窓からたっぷりと光が差し込む開放的な空間に、お父様が大切に育てている植物を自由にレイアウトできるようにしました。
季節ごとに変わる緑の表情を身近に感じられる、癒しと彩りに満ちた特別な場所となっています。
さらに、仏壇や神棚の配置にも細やかに配慮し、日々の暮らしの中で自然に手を合わせられる動線と居場所を確保。
思い出を守りながら、これからの生活に寄り添う和風リノベーション事例です。
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中古住宅の和風リノベーションで後悔しないためには、現地調査が大切
中古住宅は一棟ごとに状態が異なります。一見きれいに見えても、壁の裏側や床下の状態は図面や写真だけでは決して判断できません。
そのため、リノベーションを成功させるためには、着工前の現地調査が最大のカギとなります。
具体的に、現地調査では以下のようなポイントを専門的な視点で確認します。
・構造体の劣化と再利用の可否: 「立派な梁を見せたい」と思っても、シロアリ被害や腐朽が進んでいれば、補強が必要になったり、最悪の場合は撤去せざるを得ません。
・断熱・気密性能の確認:和風の家は寒くなりやすいため、床下や小屋裏の断熱材の有無、サッシの隙間などを重点的に確認し、快適に過ごせるための最適な改修方法を検討します。
・床の傾きや建付けの歪み:長い年月を経て建物に歪みが生じている場合、そのまま畳や建具を新調しても隙間ができてしまいます。
「こんなはずじゃなかった」という追加費用の発生を防ぎ、限られた予算内で理想の和空間を実現するためにも、まずは経験豊富なプロによる徹底した診断を受けることから始めましょう。
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中古住宅の和風リノベーションをご検討中の方は弊社へご相談ください
中古住宅を和風にリノベーションするには、建物の構造をしっかり理解し、それに合った設計、施工を行う必要があります。
理想のイメージを形にするためには、経験豊富なスタッフへの相談が近道です。
「自分の家でもできるのか知りたい」
「費用感を具体的に知りたい」
そんな方は、まずはお気軽に弊社ユニテへご相談ください。
現地調査からリノベーションプランのご提案まで、理想の住まいづくりを丁寧にサポートいたします。





