
2階リビングの間取りを採用すべきか迷う方、失敗したくない方必見!2階リビングの特徴やメリットとデメリットなど、基本的な間取りの特徴を徹底解説します。向いている人・不向きな人の特徴や、老後も快適に暮らすコツも紹介しますのでぜひご参考ください。
目次

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「2階リビングはやめたほうがいい」と聞いて、不安になっていませんか?
「2階リビングに憧れるけど老後のことが心配」
「2階リビングの住み心地って実際どうなの?」
マイホームやリノベーションを検討している人の中には、上記のような悩みがあり、間取りを迷ってしまうケースも多いでしょう。確かに選び方を間違えると後悔する可能性はありますが、ポイントを押さえてしっかり対策をすれば、2階リビングでも老後も安心して暮らすことが可能です。
そこでこの記事では、2階リビングのメリット・デメリットから向いていないケース、快適にする工夫までを網羅的にご紹介していきます。わたしたちユニテが施工を担当した、2階リビングの実例も交えて詳しく解説していきますので、ぜひ理想の家づくりの参考にしてみてください。
2階リビングとは?基本的な特徴を解説

リビングは、主に家族団らんのためのくつろぎスペースのことを指します。
昔の戸建て住宅では、リビングを1階部分に配置し、書斎・子供部屋・寝室などの個室を2階部分に設ける間取りが一般的でした。
しかし近年では、3階建ての住宅が増えた影響もあり、2階部分にリビングを設ける「2階リビング」の間取りが増えてきています。狭い土地での暮らしを快適にできる2階リビングは、近年注目されている人気の間取りです。
まずは、1階リビングとの違いを比較し、どんな家に2階リビングが多いのかという疑問から解決していきましょう。
1階リビングとの違い

1階リビングと2階リビングでは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
以下はそれぞれの特徴を端的に比較したものです。
1階リビング | 2階リビング |
庭や外へのアクセスが良く便利 家族団らんがしやすい間取り |
眺望が良い 開放性・プライバシー確保を同時に実現 狭い土地でもくつろげる間取り |
1階リビングの特徴は、庭と繋がりがあるため外の様子を把握しやすいことです。また、玄関から個室までの間にリビングを経由する間取りにすることで、家族のコミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。
一方で2階リビングは、プライバシーを確保しながらくつろぎ空間を演出できるのが特徴です。広めのデッキテラスを設置すれば、庭が作れなくてもちょっとしたアウトドアリビングが楽しめるでしょう。
2階リビングはどんな家に多い?
2階リビングは、以下のパターンに多く採用される間取りです。
- 2世帯住宅で子世帯が使うケース
- 3階建ての真ん中(2階部分)をLDKにするケース
- 都市部や住宅密集地・狭小地に家を建てるケース
- 日当たりや風通しの確保が難しい土地のケース
- 見晴らしを重視したい景観の良い家 など
2階は周囲の建物の影になりにくく、日当たりや風通しが良好になることから、条件が悪い立地でも明るく快適な空間づくりが実現しやすくなります。また、通行人や隣家からの視線も避けやすく、カーテンを閉めずに開放的に暮らせるのも選ばれる理由です。
ユニテ担当者からのコメント
2階リビングのご依頼で多いのが、2世帯住宅です。この場合は、1階にも親世帯のキッチンやお風呂などの水回り設備があります。また、3階建ての場合は、1階を玄関・収納、2階をLDK・3階を寝室にするケースが多いです。
特に、狭小地や隣家との距離が近い都市部では、1階リビングだとプライバシーの確保が難しくなります。そのため、2階リビングをご提案し、問題を解決することが多いです。 |
2階リビングにするメリット

ここからは、具体的な2階リビングの性質について詳しくみていきましょう。
2階リビングにするメリットは以下の通りです。
- 眺望が良く開放感がある
- 日当たりや風通しの良さ
- 狭い土地でもバルコニーが併設できる
- プライバシーを確保しやすい
- 騒音が伝わりづらい
1階リビングよりも快適な環境を作りやすいのが2階リビングの魅力です。
また、リビングが過ごしやすくなるだけでなく、建物の構造上のメリットも存在します。上記6つのメリットについて解説していきますので、ぜひ検討してみてください。
眺望が良く開放感がある

2階にリビングを設けることで、周囲の景色をより高い位置から楽しめます。1階よりも眺望が良くなるので、都市部なら街並みや夜景、郊外なら山や空の広がりが目に入りやすく、開放感が格段にアップします。
たとえば、「ソファから夕焼けが見えるようになり、家で過ごす時間が楽しみになった」という声も多いです。視覚的な広がりは部屋を実際より広く感じさせ、リラックス効果も高めてくれます。
日当たりや風通しの良さ

2階は周囲の建物や塀の影になりにくく、日差しをたっぷり取り込みやすいのが魅力です。下の階に比べて日が入る時間が長いため、より明るいリビングが実現できます。
南向きや大きな窓を設ければ冬でも暖かく、照明をつける時間も短縮できるでしょう。窓が高い位置にあるため風通しも良く、夏場でも室内がこもりにくいと好評です。
特に、住宅密集地や狭小地の場合は、1階リビングだと日当たりが悪くなってしまうケースが多いでしょう。万が一大きな窓が設置できなくても、2階リビングは様々な工夫で光を取り込むことができます。
たとえば、天井を高くする・天窓や高窓を設置するなど、1階リビングに比べて採光しやすい設計ができるため、快適に暮らせるメリットがあるのです。
「以前の1階リビングより、明るく風が抜けて快適になった」という声も多く、自然光と風を活かした暮らしを実現できます。
狭い土地でもバルコニーが併設できる

リビングやダイニングにバルコニーが併設できるのも、2階リビングの魅力の1つです。広めのバルコニーを併設することにより、2階であっても庭付きリビングのような使い方ができます。
そのため、狭い土地や駐車場を確保しなければならない場合など「庭が欲しいのにスペースがない」というケースにもおすすめです。
1階リビングの場合は、主に洗濯物を干す目的でバルコニーを設置します。しかし、2階リビングに広めのバルコニーを設置することにより、以下のメリットが得られるのです。
- ちょっとしたガーデニングができる
- 小さな子どもの遊び場にできる
- 周囲の目を気にせずプール遊びができる
- 庭がなくてもバーベキューができる
- チェアやハンモックを置いてくつろげる
特に小さな子どもがいる家庭では、三輪車の練習やプール遊びなど、庭遊びに近い使い方ができるメリットがあります。木製デッキを採用すれば、裸足のまま遊べる「アウトドアリビング」のような使い方もできるでしょう。
また、キッチン併設の2階リビングなら、食材の準備や片付けも簡単にできます。バーベキューやティータイムも楽しめるので、贅沢なくつろぎタイムを過ごしたい人にもおすすめです。
プライバシーを確保しやすい

狭小地や集合住宅地では、隣家や通行人の視線が気になってしまうものです。人通りの多い時間帯は、カーテンやブラインドを閉じたまま過ごしているというケースも少なくありません。
しかし、2階リビングなら、隣近所の視線を気にせず過ごせるメリットがあります。外から覗かれることが少なく、バルコニーがあれば多少目隠しにもなるため、カーテンや窓を開けてのびのびとくつろげるのです。
また、常に新鮮な空気を取り入れられるので、気持ちよく過ごすことができます。気軽に換気もしやすいため、衛生面でも安心できるでしょう。
騒音が伝わりづらい
リビングでは、会話や音楽・テレビの音など、さまざまな生活音が発生します。2階リビングにすることにより、近隣の家と生活圏がずらせるため、互いの生活音も聞こえにくくなるのです。
特に、住宅密集地などで隣家との距離が近い場合は、隣の家の生活音がストレスになるケースもあります。一般的な間取りの家は1階リビングが多いため、2階リビングを採用することでお互い快適に過ごせるのです。
耐震性を向上できる
2階リビングの場合は、1階に個室を配置するケースが多いでしょう。1階に柱や壁が多くなるため、構造が安定しやすくなるメリットがあります。
1階にリビングを設置する場合は「耐力壁」という上階を支える壁が必要になるため、フロアすべてをリビングにすることはできません。耐力壁は、地震・風の揺れに耐えるための重要な役割を担っているので、原則撤去できないのです。
しかし、1階に個室を配置した2階リビングなら、フロア全体を広々としたLDKにできます。
2階リビングは、広いリビングに憧れている人にもおすすめの間取りです。
2階リビングにするデメリットと注意点

2階リビングを検討している人は、デメリットについてもきちんと把握し、対策しておく必要があります。
- 階段の上り下りが負担になる
- 夏場の暑さがつらい
- 広い庭付きの戸建てには不向き
- 家族とのコミュニケーションが取りづらい
上記がネックとなる場合は、よく検討した上で2階リビングの間取りを導入することが大切です。デメリットを解消するための対策をしっかりと練っておくことを意識しましょう。
階段の上り下りが負担で老後が不安

2階リビングにおける最大のデメリットは「階段」の存在です。
階段の上り下りが負担になるケースには、以下のような例があります。
- 高齢者や足が不自由な人
- 買ってきた重い荷物を運ぶ場合
- 来客対応が億劫になる
上記のデメリットは、2世帯住宅における悩みにも通じるものです。高齢者や足が不自由な人の場合は、階段の上り下りが負担になってしまいます。さらに、設計当初は問題がなくても、自分が年老いた時・親の介護が必要になった時に階段がネックになる可能性もあるでしょう。
夏は暑い?冷暖房効率の課題

立地や周辺環境にもよりますが、断熱性・遮光性に配慮していた場合でも、どうしても1階よりは暑くなってしまうでしょう。
2階リビングにおける「日当たりが良い」というメリットは、デメリットにもなります。特に夏は熱がこもりやすく、暑さを感じやすくなってしまうでしょう。実際に、「夏は2階リビングで過ごすのがしんどい」という声もよく耳にします。
そのため、2階リビングには、エアコンなどの冷却設備を多めに設置するなど「夏でも快適に過ごせるような配慮」が必要です。冷暖房効率や断熱対策にはしっかりこだわることをおすすめします。
また、夏場の電気代がかかることにも留意しておかなければなりません。
来客動線・玄関との距離感
2階リビングは玄関からの距離感が遠いため、生活動線に注意する必要があります。特に、親戚や友人、宅配業者などが頻繁に訪れる家庭では、来客動線も考慮しなければなりません。
また、階段の位置によっては、買い物帰りに重い荷物を運ぶのが大変だったり、生活スペースへの移動が面倒に感じたりすることもあるでしょう。荷物の搬入や買い物後の動線にも配慮し、回遊動線や家事動線を意識した設計にすることが大切です。
たとえば、1階に応接スペースや和室を設ける、階段近くにトイレを配置するなど、実際に生活することを考慮した間取りの工夫をおこないましょう。
家族とのコミュニケーションが取りづらい
2階リビング間取りでは、1階に個室を設けるのが一般的です。そのため、家族とのコミュニケーションが減ってしまう懸念があります。子供部屋や書斎・寝室などを1階に配置すると、家族がいつ帰宅したのか・いつ就寝したのかが把握しづらくなるデメリットがあるのです。
さらに、子どもが反抗期や思春期を迎えてしまうと、よりコミュニケーションが取りづらくなってしまうでしょう。そのため、2階リビングにする場合は「自室に直行できるような間取りにしない工夫」も必要です。
【デメリット対策】2階リビングを快適にする4つのコツ

ここからは、リノベーションに30年間従事している弊社の視点から、2階リビングの家で快適に暮らすためのポイントについて紹介していきます。
デメリットや不便さを払拭するためには、主に以下4つのコツが必要です。
老後対策 | 階段の工夫 ホームエレベーター設置 |
---|---|
間取り対策 | 2階に水回りをまとめる 玄関付近に階段を設置 子供部屋は2階につくる |
暑さ対策 | 断熱・遮熱の工夫 窓やサッシへの配慮 特別な設備の設置 |
防犯対策 | 柵や雨戸の取付け カメラやライトの設置 |
上記の工夫や対策をおこなえば、先述したデメリットを緩和できるため、2階リビングでの理想の暮らしが実現しやすくなるでしょう。
2階リビングの間取りに後悔しないためにも、これからリノベーションを検討している人や、新築で2階リビングの家を建てたいと考えている人は、設計や依頼時の参考にしてみてください。
老後対策1.階段の工夫

2階リビングの最大のデメリットである「階段」に工夫をすることで、上り下りの負担を最大限軽減することが可能です。
- 踏面(幅)を広くとる
- 蹴上げる高さ(1段分の高さ)を低くする
- 踊り場を設ける
- 三角形の踏板を使用しない
- 入口を玄関付近に設置
- 下り口をキッチン付近に設置
階段のデメリットは、転落事故が発生する可能性があることです。傾斜が緩く幅が広い階段にすることにより、足の上げ下げの負担を減らし踏み外す危険性を低くします。
床面積は広くなってしまいますが、安全性を重視するなら、緩やかな勾配かつ踊り場の広い階段が理想的です。
階段の改装にかかる費用相場については、以下を参考にしてください。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
ホームエレベーター設置費用 | 200〜400万円 |
手すりの設置 | 2万円〜 |
階段全体の架け替え | 130〜200万円 |
バリアフリーリフォームに関する詳しい内容は、「バリアフリーリフォームとは?概要やヒントなどを解説」を参考にしてみてください。
また、高齢になる頃には家を手放して、マンション・施設で暮らすことを視野に入れている人も多いかもしれません。その場合は、住み替えが必要になった時のことを考慮して、売却しやすいエリアを検討することもおすすめです。
老後対策2.ホームエレベーター設置
将来足腰が弱くなることや、両親と住むことを考慮するなら、老後への対策が必須です。たとえば、ホームエレベーターを設置して、上り下りを快適にする方法もあります。
ホームエレベーターは、最低でも畳1枚分のスペースがあれば、定員2名(150kg)規模の設備が設置可能です。
コンパクトなサイズ感なので、特別に広いスペースを確保する必要もなく、狭小住宅でも圧迫感なく使えるでしょう。これから新築で2階リビングを設置するなら、階段付近に収納スペースを作っておくといざという時活用できます。
また、リノベーションで後付けする場合も、押し入れスペースを活用すれば設置できる可能性が高いです。一般的な物件では、1階と2階の押し入れスペースが同じ位置にあることが多いので、1階の天井を撤去するだけでスペース確保が叶います。
導入費用は200〜400万円程度なので、階段を架け替えする場合と大差ないですが、エレベーターは維持費や保守点検費用が発生するため、注意が必要です。
間取り対策1.2階に水回りをまとめる

階段の上り下りを極力減らすためには、家事動線への配慮も必要です。活動拠点となる2階に水回りをまとめることにより、掃除や家事がグッと楽になります。
特に、バルコニーや2階で洗濯物を干す場合は、浴室・洗面所・ランドリールーム・クローゼットなどを2階に集約する間取りがおすすめです。「服を脱いで洗濯する・洗濯ものを干す・たたんで収納」までの工程を2階で完結できるため、効率よく家事ができるでしょう。
ただし、水回りを2階にまとめると家事効率は一気にアップしますが、そのぶん工事費用が必要です。たとえば、水回りを2階に新設するリノベーション(2世帯住宅にするケース)では、2階の改装費用がおおよそ1,300万円ほどかかります。
配管工事の難易度や規模によって相場は変動するため、見積もり時などにしっかりヒアリングしておきましょう。
間取り対策2.玄関付近に階段を配置

2階リビングの利便性をアップするコツとしては、階段の設置場所に配慮することが挙げられます。階段の上り口を玄関付近に設置すれば、2階リビングからのアクセスも良好になるでしょう。急な来客があっても比較的すぐ対応できます。
さらに、2階リビングのキッチン付近に、階段への下り口を設置すれば導線が短くなるため、買い物時も楽になるでしょう。
間取り対策3.子供部屋は2階につくる
間取りを工夫することで、家族のコミュニケーションに関する懸念も払拭できます。子供部屋に関しては、部屋の配置を2階にして、2階リビングを経由する間取りにすれば問題ないでしょう。
自然に会話する機会ができ、帰宅・外出に気付かないということもなくなるはずです。広い2階リビングの場合は、引込戸などを取付けて仕切れるようにすることで、将来的にリビングの一部を子供部屋として使うこともできます。
特に、小学生までの幼いうちは見守りが必要なので、2階のリビングから目の届きやすい場所に子供部屋を配置するのがおすすめです。また、子どものプライバシーに配慮して、廊下で行き来できる距離に子供部屋を配置する方法もあります。
なんとなく子どもの気配を感じられるため安心感があり、思春期になってもそのまま利用できるでしょう。幼いうちは2階、思春期以降は1階の個室を与えるなど、年齢や状況に応じて臨機応変に子供部屋の配置を変えていくことをおすすめします。
子どもの年齢やLDKの広さによって、子供部屋に必要な配慮も異なるため、親の都合だけで配置を決めないことが大切です。
子ども部屋に関する詳しいリノベーション内容については、「子供部屋レイアウトのコツ完全版!部屋のサイズ・年齢・男女別のポイントを詳しく解説」も参考にしてみてください。
暑さ対策1.断熱・遮熱の工夫

2階リビングで快適に暮らすためには、断熱・遮熱対策が欠かせません。太陽の熱が直接伝わりやすい2階部分では、屋根や壁、窓からの熱の侵入を防ぐ工夫が必要です。
たとえば、高性能な断熱材(吹き付け断熱やグラスウールなど)を使うことで、熱をシャットアウトできます。また、屋根や外壁に遮熱塗料を施すのも効果的です。これらの工夫は、日々の冷暖房費の削減にもつながります。
暑さ対策2.窓やサッシへの配慮

暑さ対策には、窓やサッシへの配慮も重要です。特に断熱性に優れた樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシを選ぶことで、外気温の影響を受けにくくなります。
さらに、ペアガラスやLow-Eガラスを採用すれば、夏は日射熱を遮り冬は暖房の熱を逃がしにくくなるため、省エネ効果も期待できるでしょう。窓の配置を工夫して風の通り道をつくることで、自然換気による快適さも向上します。
また、庇(ひさし)や外付けブラインド、遮光カーテンを組み合わせれば、日差しをコントロールしながら快適な空間を維持しやすくなるでしょう。
暑さ対策3.特別な設備の設置

シーリングファンやサーキュレーターは、冷たい空気と温かい空気を攪拌(かくはん)してくれるので、暑さ緩和に貢献してくれるでしょう。逆回転にすれば、下の空気を上に吸い上げることもできます。
また、家や部屋の断熱性をアップするような設備投資をするのもおすすめです。熱がこもるのを避け、風通しを良くすることで室温を下げるような設計・設備を導入するといいでしょう。さらに、空気を循環させるよう気を付けて過ごすことも大切になります。
ただし、2階リビングの家に住むのは、2世帯住宅の家に住むのと同じこと。サーキュレーターやシーリングファンなどの特別な設備が必要かどうかは、プランナーとよく相談した上で決めてください。
もちろん、立地や日照時間、屋根の形や周辺環境によっては特別暑く感じられるケースもあります。そのため、家を建てる前あるいはリノベーションを検討する前に、土地の環境をしっかり把握しておく必要があるでしょう。
4.防犯対策

2階リビングにすると生活圏が2階になるため、家族が帰ってきた音に気付かない場合もあるでしょう。1階や外の出来事に気付きにくくなるので、防犯面の対策を強化しておくと安心です。
- 1階の小窓に柵を取付ける
- 大きな窓には雨戸を取付ける
- 1階や庭が明るくなるようライトを配置
- カメラ付きのインターホンを設置
- 家庭用防犯カメラを設置
カメラ付きのインターホンを導入すれば、セールスや押し売りなどの不要な来客対応も防止できるでしょう。
また、近年では簡単に取付けできる「家庭用防犯カメラ」も多く流通しています。スマホからリアルタイムで映像確認できるため、2階リビングでも安心して暮らせるのです。
2階リビングは辞めた方が良い?向いていないケース

ここからは、2階リビングの間取りを採用すべきか悩んでいる方に向けて、2階リビングが不向きなケースをご紹介していきます。
以下は、2階リビングよりも1階リビングが適している場合の条件や要望です。
- 老後を見据えて居る家庭
- 小さな子どもやペットがいる家庭
- 広い庭付きの戸建て
- 建築コストを抑えたい方
上記に該当する場合でも、2階リビングを採用することはできます。詳しい内容や対処法については後述しますが、正しく工夫すれば条件をクリアできるのです。ただし、庭いじりや家庭菜園が目的の場合は、庭の管理がしやすい1階リビングにすることをおすすめします。
老後を見据えている家庭
二階リビングは日当たりや眺望に優れる一方、階段の上り下りが生活の基本動作となるため、高齢になってからは大きな負担になる可能性があります。
特に、買い物帰りに重い荷物を持って階段を上がるのは体力的に厳しく、将来の暮らしを考えると不安要素となるでしょう。老後を見据える家庭では、1階に生活空間を集約できる間取りや、将来的にバリアフリー化できる設計を検討した方が安心です。
小さな子供やペットがいる家庭
小さな子どもがいる家庭では、2階リビングの間取りは注意が必要です。階段を頻繁に使う生活動線となるため、転落などの事故リスクが高まります。
また、ベビーカーや荷物を持っての上り下りは大きな負担になりがちです。特に子育て期は洗濯や買い物など家事動線も複雑になります。そのため、利便性よりも安全性を重視する家庭では、1階リビングの方が安心して過ごせる可能性が高いでしょう。
さらに、暑さに弱いペットと暮らしている場合も、2階リビングは不向きです。「夏だけは1階で過ごさせる」「1階にペットのための部屋を作る」といった配慮をしなければならないでしょう。
広い庭付きの戸建て
「庭付きの戸建て」あるいは「広い土地の大きな戸建て」を建てたいという場合は、残念ながら2階リビングには向いていません。2階リビングを採用すると、主な生活圏が2階になるため外に出にくくなるのです。
本格的な家庭菜園がしたい・庭いじりがしたいという場合は、2階に併設したバルコニーでは不十分でしょう。庭にアクセスしやすい1階リビングのほうが、理想の暮らしを実現しやすいはずです。
また、広い土地の家に住みたい場合は、リビングから玄関までの移動距離が長くなってしまいます。2階リビングにすると、宅急便を受け取りにくい・外の様子が分かりにくいなどの不便さを感じるかもしれません。
建築コストを抑えたい方
二階リビングは明るさや開放感を得やすい反面、構造や設備に工夫が必要になるため、建築コストが上がりやすい傾向があります。特に階段の位置や強度確保、耐震性の設計、場合によっては吹き抜けや大きな窓の採用などで費用がかさんでしまうでしょう。
また、冷暖房効率を高めるための断熱・遮熱対策も追加コストが必要です。予算をできるだけ抑えて家を建てたい家庭には、一階リビングの方がシンプルでコスト面でも安心だといえます。
【実例】ユニテが提唱する2階リビング3選
最後に、実際にユニテが手掛けた2階リビングの施工事例を3つピックアップしました。30年の実績を活かしたリノベーション実例と新築の実例について、それぞれ詳しく紹介していきます。
また、設計のポイントや施主様の思いを交えながら解説しますので、実際に施工を依頼する時のイメージ作りなどに役立ててください。
実例①:半二世帯住宅へのリフォームで2階リビングに

【リノベーション情報】
延床面積:60㎡ 築年数:46年 総施工費用:2,500万円〜 2階和室(8帖)をリビングにリフォーム:150万円程度 2階簡易キッチンの取り付け費用:65万円程度 |
築46年のコンクリート住宅をリノベーションした事例です。
両親と同居することを目的にした改装工事で、半二世帯への間取り変更を手掛けています。1階は共有スペースと両親の居住スペース、2階は娘夫婦の居住スペースへとリフォームいたしました。
2階にあった8帖の和室を、150万円程度の施工費用で広々としたリビングへと改装しておりますので、ぜひ費用の参考にしてみてください。
また、2階リビングには、手洗い場を兼ねた簡易キッチンを設置しています。
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭のため、いつでも手を洗ったりミルクを作ったりできるよう配慮いたしました。内装をそのままに、簡易キッチンのみを施工した場合の費用は65万円程度です。

デザインをダークブラウンの木目調で統一することにより、シックでモダンな雰囲気を演出しています。壁や天井には白を採用しているので、圧迫感はありません。さらに、窓を両側に取付けて効率的にリビングへ風を通し、熱がこもらないよう配慮しています。
詳しいリフォーム内容については、弊社ホームページの「暮らしやすさにこだわるシックな住まい」をご確認ください。
実例②:農機具小屋を見晴らしの良い2階LDKに

【リノベーション情報】
延床面積:47㎡ 築年数:50年 総施工費用:1,350万円 |
農機具小屋として利用していた、築50年の車庫をリノベーションした実例です。セカンドライフを快適に過ごせる2階リビングをご提案いたしました。1階は車庫のまま残し、物置だった2階を居住スペースへと有効活用しております。
さらに、高い断熱効果のある発泡ウレタンを採用しているため、適温で快適にくつろげるのが特徴です。

白を基調とした内装・インテリアで空間を広く見せ、開放感を演出しています。ベランダからの見晴らしがいいLDKです。

この2階リビングは、ワンフロアで完結できる無駄のない間取り設計がポイントです。すりガラスのパーテーションの奥は寝室と洗面所に繋がっています。
また、ダイニングテーブルではなくカウンターキッチンを採用することにより、導線が確保されているのも特徴です。限られた空間でもゆったりくつろげるような工夫を施しています。
車庫の2階をLDKへと改装し、水回り設備を設置したリノベーションにかかった費用は、おおよそ1,350万円ほどです。やや小さめのサイズ感ではありますが、ぜひ参考にしてみてください。
詳しいリノベーション内容については、弊社ホームページの「車庫をシンプルに暮らせる空間に」をご覧ください。
実例③:勾配天井で光を取り込みやすい2階リビングに

こちらはユニテの新築ブランド「MagHaus」の実例です。「家族が自然と集まる、明るく開放的なリビング」という施主様のご依頼により、2階リビングを設計いたしました。
窓やトップライト(天窓)を効果的に配置することにより、周囲の建物の影響を受けず、至る場所から採光できるよう工夫しております。

家族全員がのびのびと過ごせるよう、LDKと畳スペースが一直線に繋がる間取りを採用し、一体感をもたせています。
また、オープンスタイルの畳スペースは、障子で仕切ることも可能です。天井部分に空間を作ることにより、プライベート空間を演出しながら圧迫感のない間取りを実現しています。

窓付近には造り付けのカウンターを設置し、太陽の光の下でゆったり過ごせる読書スペースをご提案いたしました。外の景色を眺めながら優雅にくつろぐこともできます。
詳しい内容については、弊社ホームページの「勾配天井の2階リビングの家」をチェックしてみてください。
【Q&A】2階リビングのよくある質問をユニテが解決!

最後に、2階リビングの間取りに関するよくある質問を紹介し、対策や解決策を解説していきます。30年間培った経験や実績から、ユニテがしっかりお答えしますので、2階リビングに不安や迷いがある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
- 2階リビングが売れないのは本当?
- 実際に2階リビングの家を建てた人が後悔していることは?
- 2階リビングと1階リビング、自分に最適なのはどっち?
2階リビングが売れないのは本当?
2階リビングの家は、一般的に広く浸透している間取りではないため、通常の2階建ての物件よりは売れづらさがあるでしょう。家を建てても永住しない可能性がある場合は、売却することも視野に入れて土地を購入することが大切です。
土地自体の需要が高い場所に建てる、2階建てリビングがアドバンテージになるような場所に建てるなどの工夫があれば、物件の需要が高まるでしょう。
たとえば、駅近物件や大通りに面した物件では、人通りが多く外からの視線が気になるため2階リビングの家が歓迎されます。また、見晴らしや景色がいい場所なら、2階リビングであることが物件の魅力になるのです。
そのため、リノベーションを検討している場合も、将来売却の可能性があるなら、上記のようなメリットがあるか一度考えてみることをおすすめします。
実際に2階リビングの家を建てた人が後悔していることは?
実際に2階リビングの家に住んでいる人が不便に思うことや、後悔している内容については、以下のような声が挙がっています。
- 想像以上に暑いので、設備に工夫をすればよかった
- 買い物後の重たい荷物を2階の冷蔵庫まで運ぶのが毎回大変
- 2階の水回り設備の排水音が1階の寝室に響くのが気になる
- 2階にドラム式洗濯機を導入しようとしたら階段を通らなかった
2階リビングの間取りに後悔しないためには、上記のような不便・不満をしっかり払拭できる、経験豊富な業者に依頼することが大切です。
2階リビングと1階リビング、自分に最適なのはどっち?
2階リビングが適している条件や要望、1階リビングが適しているケースや条件を比較しました。ぜひ判断材料として役立ててください。
2階リビングが適しているケース | 1階リビングが適しているケース |
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狭小地や住宅密集地である 1階の日当たりが悪い 3階建ての戸建てである 天井を高くしたい・ロフトがほしい 2階からの眺望が良い ビルトインガレージにしたい |
庭付きの広い家にしたい リビング階段にしたい 高齢者がいて階段の上り下りが負担になる 暑さに弱いペットがいる コストを抑えたい |
2階リビングのご相談は経験豊富なユニテが承ります

2階リビングの家で快適・安心に暮らすためには、さまざまな配慮やコツが必要です。なかには設計段階から工夫しておくべきものも存在するため、専門家と相談しながら実現するのがいいでしょう。
特に、2階リビングの実例が豊富な会社へ施工を依頼するのがおすすめです。ユニテでは、先述した施工事例以外にも、さまざまな2階リビングを手掛けてきた確かな実績があります。
リノベーションはもちろん、オーダーメイドの家づくりも承っておりますので、ぜひご気軽にご相談ください。
まとめ
今回は2階リビングにする際のメリット・デメリットや快適に暮らす4つのコツについて、実際に施工事例を交えながらご紹介しました。
単純に憧れだけで2階リビングを採用すると、後悔を作る原因になってしまうため、よく検討してから決めましょう。本記事を参考にして、自身のお住まいに2階リビングのリノベーションをするかどうかを検討してみてください!