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耐震等級の調べ方は?地震や災害に備えて知っておきたいポイントも紹介

自分の家の耐震等級を知りたいが、調べ方が分からない人は多いのではないでしょうか。この記事では耐震等級の調べ方や内容について詳しく紹介します。 等級が低いときの対処方法も解説しているめ参考にしてみてください。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「耐震等級の調べ方は?どうやって知ることができる?」

 

自分の家の耐震等級を知りたいが、調べ方が分からない人は多いのではないでしょうか。

 

結論から言うと、耐震等級の調べ方は以下になります。

 

  • 住宅性能評価書を見る
  • 耐震診断をする

 

この記事では耐震等級の調べ方や内容について詳しく紹介しています。

 

等級が低いときの対処方法や、災害に備えて知っておきたいポイントについても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

耐震等級の調べ方

耐震等級の調べ方は以下になります。

 

①住宅性能表を見る ②耐震診断をする

 

記載がない場合や、書類をなくしたときの対処方法も解説しているため参考にしてみてください。

 

住宅性能評価書を見る

住宅性能評価表とは家の性能を客観的に評価し、その結果が書かれている書類です。内容としては以下の10項目があり、1つ目の『構造の安定』に記載があります。

 

  1. 構造の安定(耐震性)
  2. 温熱環境
  3. 劣化の軽減(材料の劣化対策)
  4. 維持管理
  5. 光環境
  6. 空気環境
  7. 音環境
  8. 火災対策
  9. 防犯対策
  10. バリアフリー性

引用:【国土交通省】新築住宅の住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド

 

中古物件である場合は住宅性能評価表が同封されていないこともあるため、以下の方法も検討する必要があります。

紛失や記載がない場合は問い合わせをする

住宅性能評価表は家の引き渡しの際に渡されることが多いです。もしなくしたした場合や、記載がないときは家を建てたハウスメーカー等に相談してみましょう。

 

分からない場合は『登録住宅性能評価機関』にて再発行してもらうこともできます。お住まいの地域の評価機関は以下のサイトで探すことができるため検討してみましょう。

 

>>一般社団法人 住宅性能評価・表示協会【登録住宅性能評価機関の検索】


マンションなどの賃貸では、2000年以降に建てられた住宅であれば、管理会社や不動産会社に問い合わせることで確認できることがありま

耐震診断をする

耐震診断とは建物が地震に対してどのくらい安全であるかを知る評価であり、耐震等級を知ることができます。

 

耐震診断は以下のような流れで行われます。

 

  1. 一次診断:建物の重さや柱、壁などを簡単に調査する
  2. 二次診断:柱や壁の強度、鉄骨筋量などを考えた詳しい評価
  3. 三次診断:梁や壁の破壊に関する詳しい評価

 

しかし、費用がおよそ10~20万円が相場であるため予算がデメリットになる場合も。耐震診断は1981年以降に建てられた建築基準である『旧耐震基準』の建物にて評価されるものであり、近年建てた家には必要性が低いです。

 

国土交通省では1981年以降の建物は耐震診断をすすめています。そのため、家の性能を詳しく知りたい人や、築年数が古い家の人が対象といえるでしょう。

 

引用:【国土交通省】住宅・建築物の耐震化について

耐震等級とは?どれが安全?

ここでは耐震等級についておさらいしましょう。耐震等級とは建物の地震に対する強さを示す指標です。

 

地震に対する耐性に応じて1~3に分けられており、数字が大きいほど地震への耐性が高く、以下のように分けられています。

 

耐震等級1

極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊等しない程度

耐震等級2

極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対してに対して倒壊、崩壊等しない程度

耐震等級3

極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対してに対して倒壊、崩壊等しない程度

 

耐震等級別の違いを以下から紹介します。

耐震等級1

耐震等級1は『極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊等しない程度』と定められており、家などを建てるときに必ず満たさないといけない最低条件となっています。

 

震度6強~7の地震に対して倒壊や崩壊しないことが求められますが、一定の損傷を受ける可能性があることを指します。

 

大震災後は大規模な修理や建て替えが必要となることは留意しておきましょう。

 

耐震等級2

耐震等級2は『極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対してに対して倒壊、崩壊等しない程度』と定められています。

 

耐震等級2では1級の1.25倍の耐性があり、震度6強~7程度であれば補修のみで住み続けられる評価であるため、1級より安心して住むことができるでしょう。

 

しかし、非常に強い揺れが短期的に繰り返された場合は注意が必要となります。

 

耐震等級3

耐震等級3では『極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度』と定められています。

 

耐震等級3は1級の1.5倍の強さで最も高い等級であり、震度6強~7の地震に対しても倒壊・崩壊はしない性能とされており、災害時に救護活動など行う建物(消防や警察署など)で使用されることが多いです。

 

2016年熊本地震では耐震等級3の木造住宅は一棟も倒壊しなかったことが確認されており、安全性が高いと証明されました。

 

引用:【国土交通省】「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント

耐震等級が低いときの対処方法

耐震等級が低い時の対処方法は以下になります。

 

耐震等級が低い時の対象方法
  • 耐震診断をうける

  • 耐震補強・リフォームを検討する
  • 再建築する

 

以下から詳しく紹介します。

耐震診断をうける

耐震等級が低くて心配な場合は耐震診断を検討しましょう。

 

耐震診断とは、建物が地震に対してどれだけ耐えられるか評価することです。耐震診断を行うことで以下のようなメリットがあります。

 

  • 建物の安全を評価:地震による倒壊リスクを見極める
  • 補強工事の提案:必要な工事があれば提案する

 

家を評価するだけでなく、必要な耐震工事が分かるため適切な対策をすることができます。また、耐震診断では「耐震性能評価指標」という揺れに対する以下のような建物の評価も知ることができます。

 

【耐震性能評価指数】

数値

内容

1.5以上

倒壊しない

1.0以上~1.5未満

一応倒壊しない

0.7以上~1.0未満

倒壊する可能性がある

0.7未満

倒壊する可能性が高い

 

建物の耐久性を詳しく知りたい人は耐震診断も検討してみましょう。

再建築する

建物を取り壊し再建築する方法もあり、以下のようなメリットがあります。

 

  • 新しい耐震基準を満たすことができる
  • 家の資産価値が上がる
  • 高い等級となるため地震保険料が割引になる
  • 新しい家であるため心機一転となる

 

しかし、再建築は費用が多くかかることがデメリットになります。解体費用も必要であるため、予算と相談することがネックといえるでしょう。

 

家の大きさや素材にもよりますが、建て替えは一般的に1,500万~4,500万程度とされています。

 

費用を抑えたい人は以下で紹介する補強工事やリノベーションも検討してみましょう。

 

耐震補強・リノベーションを検討する

耐震補強やリノベーションを行うことで耐震等級を上げることができます。現在ある家を改修するため、再建築よりもコストを抑えたい人におすすめです。

 

耐震工事とリノベーションは以下のような違いがあります。

 

  • 耐震工事:地震に対する耐性を上げる
  • リノベーション:間取りを変更するなど住宅全体のコンセプトを見直す

 

耐震工事とリノベーションは同時に行うこともでき、耐震補強のリノベーション例は以下になります。

 

場所

工事内容

基礎部分

ヒビが入っている場合は修復、ボルトなどを入れて補強する

土台

劣化している場合は交換する、劣化していないか点検する

内壁や外壁に耐震壁を追加する

 

交差している部分を金属で固定する

接合部分

揺れが起きたときにズレないように固定する

屋根

重たい屋根は地震の影響を受けやすいため軽い屋根に変える

 

同時に行うことで住宅の安全と快適さをどちらも改善できるため、家全体を見直したい人はリノベーションも検討してみましょう。

 

リノベーションについては『リフォームとリノベーションの違いとは?費用相場やメリット・デメリットを比較』で解説しているため、参考にしてください。

 

また、国からはい以下のような補助金が出る場合もあり、家計の負担を抑えることもできます。

 

内容

補助金額・割合

耐震診断

民間実施:口と地方で2/3を補助

補強設計等

民間実施:口と地方で2/3を補助

耐震改修・建て替えまたは除去

マンション:国と地方で1/3

その他:国と地方で23%

パッケージ支援

(補強設計等+耐震改修または建て替え)

密集市街地:150万

多雪地域:120万

その他:100万

 

各制度の詳細や条件は異なるため、国土交通省の以下のページを参考にしてみてください。

 

引用:【国土交通省】住宅・建築物の耐震化に関する支援制度(令和6年度)

 

自治体によっては他の補助金制度もあるため、お住まいの地域の制度を確認しておくとより安心して工事を進めることができるでしょう。

 

また、耐震補強については『【完全ガイド】耐震補強は意味がない?方法・費用・助成金まで』にて解説しているため合わせて参考にしてください。

耐震リノベーションの施工事例

ユニテでの施工事例を紹介します。

 

中古住宅を購入され、ユニテでリノベーションしてお住まいになられました。建物に耐震改修を施し、長く安心して住める家に改修しました。

 

必要な柱だけを残し、広々としたリビングへ。残さないといけない柱も意匠性を高めて、部屋の雰囲気に合わせました。

 

リノベーションでは家の雰囲気をかえつつ、耐震改修できるため安心できる快適な住まいに変えることができます。

 

詳しくは以下で解説しているため参考にしてみてください。

>>【富山市】子育て世代の中古住宅・耐震リノベーション

 

 

耐震等級3にすべき?メリットはある?

耐震等級3にするメリットは以下の3つがあります。

 

耐震等級3にするメリット
  • 地震保険の割引となる
  • 住宅ローンの金利が優遇される
  • 家の資産価値が高くなる

 

以下から詳しく紹介します。

 

地震保険の割引となる

地震保険は耐震等級が高いほど保険の割引率が高くなります。等級が高いほど安全な家であるため、以下のように保証が手厚くなる傾向となっています。

 

耐震等級

割引率

耐震等級3

50%

耐震等級2

30%

耐震等級1

10%

 

火災保険では住宅の様々なトラブルに対応することができますが、地震や津波、噴火には対応していません。そのため、多くの人が地震保険へ加入していますが、等級が高い家であると保険割引の適応になります。

 

耐震等級3であれば割引率が高く、金銭面も安心して住むことができるでしょう。

住宅ローンの金利が優遇される

耐震等級3の住宅を購入することで以下のようなメリットを受けることができます。

 

①住宅ローン減税の拡充

住宅ローン控除の対象となる借入金額の限度額が5000万円に拡大されます。

(一般的な家は4000万円)

②固定資産税の軽減

5年間固定資産税が軽減される

③フラット35の金利が優遇

金利Aプランにより借り入れ開始から10年間、金利が0.25%引き下げられる

引用:【国土交通省】住宅ローン減税

引用:【フラット35】フラット35 Sについて

 

フラット35で耐震等級2の場合は同じ優遇がありますが、期間は5年と短いです。そのため、耐震等級3の住宅では金利の面からも安心して住むことができます。

家の資産価値が高くなる

耐震等級が高いことで家の資産価値が高くなります。家を売ったり、貸したりする際も耐震等級が高いほど安心して取引をすることができます。

 

耐震性が高い家は、地震が起きた際にも修理コストが少なく住む傾向があり、買い手への需要が高いと言えるでしょう。

 

耐震等級が高い家は安全に住めるだけでなく、将来性も高い家といえます。

 

地震に強いリノベーションならユニテへお任せ

地震に強いリノベーションをお考えの方はユニテへお任せください。

 

耐震や断熱などの基本性能を損なうことなく、さらに高性能な家にグレードUPすることができます。安心で快適な暮らしを実現するワンランク上のリノベーションはユニテなら実現することが可能です。

 

耐震などの基本性能を重視したリノベーションをお考えの方は、ぜひ気軽にご相談ください。


また、ユニテのリノベーションの例は「リノベーション事例12選!ビフォーアフターを物件タイプ別に紹介します」で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

耐震等級の調べ方のまとめ

耐震等級の調べ方のまとめは以下になります。

 

  • 住宅性能評価書を見る
  • 耐震診断をする

 

耐震等級は住宅性能評価表に記載があります。書類を紛失してしまった場合や、家の点検を考えている人は耐震診断も検討してみましょう。

 

現在の自宅が不安、もう少し地震に強い家にしたい人は耐震工事やリノベーションがおすすめです。現在の家を利用するため、再建築よりもコストを抑えることができます。

 

戸建のリノベーションについては『戸建てリノベーション大全│最初に知っておくべき基礎知識とは?』で解説しているため、参考にしてください。

 

安心・安全な家に住めるよう、早めに対策を行っておきましょう。