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倉庫リノベーションの始め方ガイド|費用相場や活用例、注意点を解説

「倉庫をリノベーションして活用したい」という方のために、活用例やリノベーションの注意点など、基礎的な情報を網羅しました。実際のリノベーション実例を交えつつ、失敗しないためのポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

倉庫リノベーションは、住まいや店舗デザインの新しい選択肢です。近年では、倉庫の雰囲気と独自性あふれる空間に魅了され、倉庫リノベーションを検討する方が増えてきています。

 

しかし、倉庫リノベーションに興味はあるものの、「具体的な活用方法やメリット・デメリットについては知らない」という人も多いのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、新しい価値を生み出す倉庫リノベーションについて詳しく解説し、メリットやデメリット・注意事項について説明していきます。倉庫の魅力を活かしてオリジナリティあふれる空間を作り出す、倉庫リノベーションの可能性を一緒にみていきましょう。

【倉庫改装】倉庫リノベーションが注目される理由とは

倉庫リノベーションは、使っていない倉庫を別の用途に使うために改修することを指します。従来のリフォーム・リノベーションとは異なり、「不要になった倉庫を壊さずに活かすことで、人が快適に過ごせる空間へと生まれ変わらせる」のが目的です。

 

倉庫リノベーションが注目されている理由の1つに、物流拠点の移転や産業構造の変化により、空き倉庫が増加しているという社会的要因があります。不要になった倉庫を取り壊さずに改修することにより、新たな用途が生まれるのです。

 

倉庫リノベーションでは、鉄骨造のしっかりした構造を土台にして内装や設備を刷新することで、断熱性や快適性を備えた新たな価値ある物件へと再生します。

 

高天井やインダストリアルな倉庫ならではの魅力を残しつつ、個性的でおしゃれな住まいが実現できるのも魅力です。

倉庫リノベーションの4つのパターン

倉庫ならではの広さと高さを活かした倉庫リノベーションでは、その特性を活かして再利用することで、新たな生活やビジネスの場を創り出せることも魅力です。

 

主な倉庫リノベーションの目的は以下の通りです。

 

倉庫リノベーションの主な目的
  1. 住居
  2. 店舗
  3. オフィス
  4. 賃貸

 

一般的な倉庫は鉄骨造ですが、基本構造を活かしながら内装や設備を作り替えれば、新しい価値を持つ素敵な建物に仕上がります

 

まずは、改修後の用途について紹介していきますので、詳しくみていきましょう。

倉庫リノベーションの種類①住宅

倉庫を住宅にリノベーションする方法は、利用していない空間を活かし、独特の雰囲気を持つ住まいを作り出す手段として注目されています。

 

高い天井を利用したロフトの設置や、倉庫特有の筋交いをインテリアとして取り入れることで、インダストリアルな魅力を演出することが可能です。

 

このようなリノベーションは、広い空間を手頃な費用で実現したい人に適しています。元の倉庫の特性を生かしつつ、一般住宅とは一線を画すユニークな空間を創り出せるでしょう。

倉庫リノベーションの種類②店舗

倉庫をカフェやレストランなどの飲食店、小売店や習い事教室などの店舗にリノベーションするケースも多いです。倉庫を店舗に改修する場合、倉庫特有の配管やダクトをデザイン要素として活用し、独特の雰囲気を持つ店舗を作り出せます。

 

このような店舗は、アパレルショップやダンススクールなど、外観や内装にこだわりたい業態に適しているでしょう。服飾関連の販売店など、おしゃれな施設へのリノベーションにも適しています。

 

また、広大な収納スペースやアンティークな外観・内装を生かすこともでき、新築では味わえない独特の魅力を出すことが可能です。

倉庫リノベーションの種類③オフィス

倉庫をオフィスにリノベーションする事例もあります。とくに、広い空間を求める郊外の企業に適しているリノベーションで、倉庫をオフィスとして再利用することにより、広々とした環境で働くことが可能です。

 

天井が高い倉庫を活用し、1階を駐車場にし2階をオフィススペースにするなど、多様な使い方が考えられます。独特の魅力を持つオフィス空間を作り出すことができるでしょう。

倉庫リノベーションの目的④賃貸

リノベーションした物件を、賃貸物件として売り出す方法もあります。特に、店舗やオフィスへの改装事例が多く、無骨な雰囲気や広々とした空間を求めるテナントから人気です。

 

近年では、シェアオフィスやコワーキングスペースなど、地域の人々が集まる拠点として利用されるケースも増加しています。空き倉庫を賃貸物件として活用することで、所有者に収益をもたらすだけでなく、地域活性化にもつながる点が大きな魅力です。

倉庫リノベーションの5つのメリット

倉庫リノベーションは、メリットとデメリットを考慮しながら、倉庫リノベーションを検討することが重要です。

 

まずは、倉庫リノベーションの主なメリットからみていきましょう。

 

倉庫リノベーションのメリット5つ
  1. 開放的な空間にできる
  2. 個性的なデザインを実現できる
  3. 物件を安く購入できる
  4. 解体費用が抑えられる
  5. 鉄構造のため耐久性がある

 

倉庫は、床面積や天井高が確保しやすく、スケルトンリフォームもしやすいというメリットがあります。鉄骨造が多いため、構造部分と内装を別々に施工することも可能です。

 

また、中古の事務所・住宅を購入するよりも格安で購入でき、仕切り壁が少ないため解体費用も安く施工できます。

1.開放的な空間にできる

倉庫リノベーションによって、開放的で魅力的な空間が実現できるメリットがあります。倉庫は、荷物を多く収容するために天井が高めに設計されていることが一般的です。

 

倉庫ならではの特徴を活かしたリノベーションでは、高天井による広々とした空間を創出しやすくなります。とくに、リビングやオフィスなど人が多く集まる空間に適しており、開放的なレイアウトの実現が可能です。

 

また、構造部分を残せば、間取りをゼロから作りやすく、好みや用途に合わせた柔軟なレイアウトが作成できます。

2.個性的なデザインを実現できる

倉庫には一般的な住宅のような間仕切りがないため、空間を最大限に活かした個性的なデザインにも対応できます。倉庫は木造ではないケースがほとんどなので、他の住宅や建物とは異なる、独特なデザインを持つ住まいや施設にリノベーションできるのです。

 

たとえば通常は柱や梁、配管などを隠すデザインを採用していますが、倉庫では剥き出しになっているのが一般的なので、無骨な雰囲気が演出できます。筋交いや工業風のインテリアを取り入れるなど、倉庫のテイストを活かした独自のデザインも取り入れられるでしょう。

 

このような工業風のデザインは「インダストリアル」と呼ばれるテイストです。

 

インダストリアル調の内装については、以下の記事を参考にしてください。

【完全ガイド】無機質な部屋とは?インテリアで再現するコツを徹底解説

3.物件を安く購入できる

倉庫リノベーションの大きな魅力のひとつは、物件を比較的安く購入できる点です。一般的に倉庫は住宅物件に比べて需要が限られており、空き倉庫の増加も相まって価格が抑えられる傾向にあります。

 

そのため、購入競争が少なくなりやすく、中古物件の事務所や住宅を購入するよりも安く購入できるのです。活用しやすい個性的な空間を、低コストで入手できる画期的な選択肢であるといえるでしょう。

 

購入費用が安い分、内装や設備に予算をかけて、自分好みのおしゃれな住居や店舗に仕上げられる点も魅力です。

4.解体費用が抑えられる

倉庫は最初から空っぽであることが一般的です。リノベーションの際に不要となるものを取り除くためには解体費用がかかります。物件を取り壊して更地にする場合、規模や構造によっては数百万円単位の解体費用が発生するでしょう。

 

しかし、既存の骨組みや構造を活かしてリノベーションをおこなえば、この解体費用を大幅に削減可能です。倉庫なら間仕切りなどもほとんどないため、中古物件よりも安いコストで解体できます

 

さらに廃材の処理費用や工期の短縮にもつながり、総コストを抑えられるメリットもあります。コスト削減分を内装や断熱などの快適性向上に回すことで、費用対効果の高いおしゃれで実用的な空間へと再生できるのです。

5.鉄構造のため耐久性がある

倉庫は鉄構造である場合が多く、木造よりも耐震性・耐久性に優れているという魅力もあります。

 

ただし、リノベーションで窓や開口部を新たに設置する場合は、耐震性能が下がる可能性があるため、よく検討する必要があるでしょう。設計士などのプロにしっかりと相談し、最適な方法で設置してください。

倉庫リノベーションの4つのデメリット

倉庫をリノベーションする際は、以下のようなデメリットをあらかじめ把握し、計画段階から環境や居住性を考慮した計画を綿密に立てることが大切です。

 

倉庫リノベーションのデメリット4つ
  1. インフラ設備工事が必要
  2. 性能の向上と補強が必要
  3. 綿密な採光・換気計画が必要
  4. 工業用地域は利用方法が制限される

 

倉庫は元々住環境に適していない場所なので、人が常駐できるようにするにはさまざまな工夫が必要になります。ここからは、倉庫に人が常駐する上でデメリットになる部分について 詳しく見てみましょう。

1.インフラ設備工事が必要

倉庫を別の用途に変える際には、必要な設備の確認と費用面の計画が欠かせません。倉庫を人が常在できる建物にするには、インフラ設備工事が必要です。

 

電気や水道、ガスなどの基本設備を整備するため、設備の取り付けや配管工事などの追加費用がかかってしまうでしょう。

 

インフラ設備にかかる費用は、リノベーション費用に上乗せされることが一般的です。
また、自治体によってはインフラの開通や契約手続きに各種費用が掛かることも考慮しなければなりません。

 

倉庫をリノベーションする際には、設備工事に伴う費用や手続きについて事前に確認し、予算とスケジュールを適切に計画する必要があります。

2.性能の向上と補強が必要

倉庫内に人が常在するためには、リノベーションによる性能向上と補強も必要です。倉庫内の基礎工事が必要になり、それなりに費用がかかるため注意しておきましょう。

 

通常、倉庫には人が常在しないため、断熱性能や防音性能が十分に考慮されていません。場合によっては、耐火性を持つ材料やアスベストが使用されていることもあります。

 

住宅や店舗・オフィスなどにリノベーションする際は、断熱材の追加や耐火被覆の除去などが必要です。倉庫の建物補強やメンテナンスも必要になることも忘れてはいけません。

 

倉庫は人が定住する前提で作られていないので、雨漏りや耐震性などに問題があるケースもあります。安全性や快適性を確保するために「ホームインスペクション」などをおこない、専門の調査機関に倉庫の状況調査を依頼しましょう

 

ホームインスペクションとは、建物の耐震性や耐久性、断熱性や遮音性などを専門家にチェックしてもらう状況調査のことです。請け負う会社によっても変動しますが、おおよそ10万円前後の費用がかかります。

3.綿密な採光・換気計画が必要

倉庫で考慮されていない綿密な採光・換気計画を立てなければならない点もデメリットだといえます。

 

倉庫は元々、商品の保管や貯蔵のために設計されているため、本来は人が滞在する場所ではありません。そのため、倉庫リノベーションでは窓やベランダなどの増設が必要となる場合があります

4.工業専用地域は利用方法が制限される

倉庫をリノベーションする際には、用途地域の確認が欠かせません。「工業専用地域」に指定されたエリアでは、住宅や店舗への転用は認められておらず、オフィス利用にも一部制限があります。

 

用途地域は都市計画によって定められているため、リノベーション後の用途が法律に適合するかを事前に確認することが重要です。後のトラブルを防ぐためにも、購入や改装を検討する段階で、立地条件や地域の制約を十分に調べておくことをおすすめします。

【種類別】倉庫リノベーションの費用相場

倉庫リノベーションの費用相場は、工事内容や目的だけでなく、基礎工事や設備の有無なども影響します。倉庫内はもちろん、外壁や窓もそのまま住居として使用するには不十分なためです。

 

全般的に工事をおこなう場合は、トータルで1,000〜2,000万円の工費を見ておくとよいでしょう。

 

また、以下はユニテが過去におこなった倉庫リノベーションの事例における費用相場です。実際に倉庫リノベーションを検討する際の参考にしてください。

 

倉庫を倉庫に改装 50万円〜
倉庫を住宅へリノベーション 500万円〜
(坪単価60万円〜)
倉庫を店舗へリノベーション 1,000万円〜

 

ここからは、倉庫リノベーションでよく取り上げられる、以下の4パターンの費用相場についてご紹介します。

 

倉庫リノベーションで取り上げられる例
  1. 倉庫として新しくリノベーションする場合
  2. 住宅へリノベーションする場合
  3. 店舗へリノベーションする場合
  4. オフィスへリノベーションする場合

 

リノベーションしたい倉庫の使用目的に合わせて予算を慎重に計画し、施工会社とよく相談しながら計画を立てましょう。

倉庫として新しくリノベーションする場合

倉庫の補修工事に関しては、数十万円あれば十分だといわれています。しかし、倉庫として新しくリノベーションする場合の費用相場は、一般的に20〜100万円程度の費用が必要です。

 

ただし、具体的な費用はリノベーションの規模や内容・設備の更新などによって異なります。必要な補修や改修の範囲によって費用が変動するため、個別の見積もりが推奨されるでしょう。

住宅へリノベーションする場合

倉庫リフォームを住居向けにする費用の相場は、条件によって異なります。

 

費用の目安を表でまとめましたので、参考にしてみてください。

 

状況 費用の目安
電気やガス、水道、断熱・防音性能の付与(一般的な倉庫) 1,500万円~
断熱・防音性能の付与(すでに電気やガス、水道設備が揃っている) 1,000万円前後
すでにインフラや断熱・防音性能が整っている場合 500万円前後

 

倉庫から住宅へリノベーションする場合は、ガスや水道などのインフラ整備が必須項目になります。規模の大きい施工になることも多く、ほかのケースと比較するとコストも高額になりやすいです。

 

一般的に、500万円〜1,500万円程度のコストがかかると思っておくといいでしょう。内装や設備のグレードにこだわる場合は、2,000万円程度かかる場合もあります。ユニテが施工する場合は、坪単価60万円〜で施工可能です。

 

費用を抑える余地があるとすれば、インフラ設備が整っている場合や外壁の板金を再利用するなどが考えられます。食糧保存用の倉庫なら、断熱性が高いあるいは冷暖房が設置されているケースも多いため、コストを抑えられる可能性が高いでしょう。

 

費用削減の余地があるかどうかも含め、用途を変更する際は複数の施工業者へ見積を取ることがおすすめです。

店舗へリノベーションする場合

倉庫から店舗へのリノベーション費用の目安は、約200~1,500万円が相場とされています。素材や設備の選択・間取りの変更などこだわりや要望が多いと、1,000~2,000万円以上のコストがかかることもあるでしょう。

 

ユニテで施工する場合は、1,000万円〜で施工可能です。

オフィスへリノベーションする場合

倉庫からオフィスへの改装費用は、1平方メートルあたり12万円~18万円程度が目安とされています。たとえば、60平方メートルのオフィススペースの場合、720万円~1,080万円でのリノベーションが可能という計算です。

 

ただし、店舗へのリノベーションと同様にオフィスにおいても設備や間取りの変更などで費用は変動します。

倉庫のおしゃれなリノベーションの活用事例

ここからは、リノベーション業に30年間従事している「ユニテ」が、過去に担当した倉庫リノベーションの事例についてみていきましょう。

 

倉庫を住宅へとリノベーションしたガレージハウスの例を2つ、店舗をリノベーションした例を1つ紹介していきますので、ぜひイメージづくりにお役立てください。

 

ユニテが提案する倉庫のおしゃれなリノベーション事例
  1. 車庫を快適なガレージハウスへ
  2. 納屋を生活導線にこだわった住まいへ
  3. 店舗改修の類似事例

倉庫リノベーション事例①車庫を快適なガレージハウスへ

こちらの事例は、築50年の車庫を「車庫+居住空間」にリノベーションしたものです。農機具小屋として使っていた、2階建てのガレージの物置部分を、シンプルで暖かく過ごせる居住空間へと刷新いたしました。

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断熱性を向上させるため、壁には発泡ウレタンを使用しています。ライフラインもしっかりと整備し、広々とした水回り設備に仕上げました。

 

こちらの事例は、1,000万〜1,500万円程度の施工費用で実現しております。詳しい施工内容については、以下をご覧ください。
車庫をシンプルに暮らせる空間に

倉庫リノベーション事例②納屋を生活導線にこだわった住まいへ

こちらの事例は、築27年の納屋を生活導線のいいコンパクトな住まいへとリノベーションしたものです。「使っていない納屋を住まいにしたい」というご要望にお応えし、断熱性能が備わった居住空間に仕上げています。

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壁や天井には吹付断熱を、床下にはパネル状の断熱材を採用し、生活導線をコンパクトにまとめた暮らしやすい間取りを提案いたしました。

 

こちらの事例は、2,050万円程度の施工費用で実現したものになります。詳しい内容については「築27年の納屋を、温かく快適な生活動線の住まいに」をご覧ください。

倉庫リノベーション事例③

こちらはユニテ本社の店舗をリノベーションした事例になります。こちらは「店舗→店舗」へと改修した事例ですが、「倉庫→店舗」のイメージづくりにお役立てください。

 

まず、外部からもおしゃれな店舗として認識して頂けるよう、一面窓ガラスを多用し、道路側へと移動しています。

また、カフェ・物販スペースを1つの空間にまとめることにより、打ち合わせスペースを増設いたしました。施工前は、一部にやや暗めで無機質な倉庫感のある雰囲気を残していましたが、現在は暖かみのある明るく居心地のいい内装へと統一しています。

倉庫リノベーションに必要な法的手続きと注意点

倉庫リノベーションをおこなう際の資金計画は、物件購入費や手続き費用、リノベーション工事費用を含めた全体のコストを把握し、計画的に進めることが重要です。

 

倉庫リノベーションにおける注意事項
  1. 建築基準法・用途変更の注意点
  2. インフラ整備が可能かどうか確認しておく
  3. 立地や周辺環境を確認しておく
  4. 税金を考慮してリノベーション計画を立てる

 

用途や地域の条例によっては手続きや費用が異なる場合もあります。複数の施工会社から事前に情報を収集したうえで、アドバイスをもらうと安心です。

建築基準法・用途変更の注意点

倉庫を住宅や店舗へリノベーションする場合は、建築基準法に基づく「用途変更」手続きが必要になることがあります。倉倉庫は本来、人が常駐しない施設ですが、住居や店舗は人が長時間滞在するため、安全基準が厳しく適用されるのです。

 

以下は建築基準法における倉庫の用途に関して表にまとめたものです。

 

用途 説明
倉庫業を営む倉庫 他人の物品を保管、貯蔵する施設。
倉庫業を営まない倉庫 自己の物品の保管、貯蔵に使用する施設。
農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵 農作業小屋や農産物用倉庫などの施設。

 

特に、「特殊建築物」への変更や、変更部分の床面積が200㎡を超える場合は確認申請が必要となります。

 

また、倉庫をリノベーションするうえで、住宅や店舗・オフィスといった人が常在する用途に変更する際は、建築基準法だけでなく消防法・食品衛生法などに適合しなければなりません

 

具体的な手続きは自治体ごとに異なるため、物件が所在する市区町村の自治体ホームページで確認しましょう。

インフラ整備が可能かどうか確認しておく

倉庫リノベーションでは、配管工事や断熱化などが必須であり、電気設備や防犯、耐震リフォームも検討する必要があります。防音リフォームや窓・水道・ガスなどのインフラ整備が可能かどうかを、事前に確認しておかなければなりません

 

特に古い倉庫は、断熱材の不足や窓の少なさなどの問題があるため、耐震性にも配慮することが重要です。たとえば断熱材は比較的追加しやすいものの、窓の不足は通気性や採光性に欠けることになります。

 

また窓の設置は、建物の構造により希望の位置に設置できない場合もあるため注意が必要です。窓は日当たりや通気性に影響する要素なので、しっかり検討しておきましょう。

立地や周辺環境を確認しておく

倉庫リノベーションにおいては、立地や周辺環境の確認も重要です。多くの倉庫が商業や工業地域に位置しているため、リノベーション後の用途と地域の特性が合っているかを検討する必要があります

 

たとえば飲食店の場合、工業地域では顧客獲得が難しい可能性もあるでしょう。また、自宅や賃貸住宅へのリノベーション時は、騒音やにおいなどの周辺環境の問題にも注意することが大切です。

 

近隣に工場がある場合は、粉塵が問題になることもあります。街の雰囲気が平日と週末で異なることもあるため、昼と夜など別々の時間帯に現地確認することが大切になるでしょう。

税金を考慮してリノベーション計画を立てる

倉庫リノベーションをおこなうと、倉庫の時に納めていた税金よりも納付額が増える可能性が高いことも考慮しておきましょう。

 

倉庫から住宅や店舗・オフィスとして用途変更する場合は、リノベーションによって建物の評価額が上がるため、固定資産税や都市計画税が増える可能性があります。

 

具体的な評価額は変更される用途や改築後の内容によって異なるため算出が困難ですが、税務署や市町村役場などで相談すれば、概算がわかるかもしれません。

 

法律が関わってくる問題ですので、心配な方は工事を依頼する前に司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

倉庫リノベーションのよくある質問

ここからは、倉庫リノベーションのよくある質問をご紹介していきます。

 

倉庫リノベーションのよくある質問
  1. 倉庫リノベーションはDIYできますか?
  2. 中古倉庫を購入してリノベする場合の注意点は? 

倉庫リノベーションはDIYできますか?

倉庫リノベーションは、一般的な住宅リフォームよりも法的・構造的なハードルが高く、個人での対応は非常に困難です。とくに、用途変更や建築確認申請が必要な場合は、建築士や行政書士、施工会社などのプロのサポートが欠かせません。

 

具体的には、以下のような場面でプロの力が役立ちます。

 

プロに依頼すべき場面
  • 建物の構造が用途変更に適しているかの判断
  • 図面作成・確認申請の代行
  • 法令に適合する断熱・耐震・防火設計の提案
  • 予算と要望をすり合わせたリノベプランの策定

 

「見た目がオシャレ」というだけで進めてしまうと、後々に使えない・売れない・違法状態になるリスクもあるでしょう。最初の段階から専門家に相談するのが成功の近道です。

中古倉庫を購入してリノベする場合の注意点は?

すべての倉庫がリノベ向きというわけではありません。建物の構造・築年数・立地条件・法的制限によっては実現できないものももちろんあります。

 

中古倉庫を購入する場合のチェックポイント
  • 接道義務を果たしているか
  • 用途地域がリノベ目的に対応できるか
  • 構造上、住居用・商用に対応できるか

 

自己判断だけではわかりづらい部分もあるので、建築士などの専門家に調査してもらうのがいいでしょう。

富山県の倉庫リノベーションならユニテにお任せください

富山県周辺で倉庫のリノベーションを検討している方は、ぜひユニテへお気軽にご相談ください。30年間で培った豊富な施工実績と専門知識を活かし、倉庫リノベーションのご相談に応じています。

 

プロの視点から最適なプランを提案し、理想の空間を実現するお手伝いをいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

倉庫に関するリノベーションは、一般的な倉庫への改修だけでなく、住宅や店舗・オフィスなど、さまざまな用途の可能性を秘めています。広々とした空間や個性的なデザインにより、一味違った場所づくりができるのが魅力です。

 

一方で、実現に向けては人が常在するための設備導入や性能向上のための補強など、倉庫ならではのデメリットも改善しなければなりません。リノベーションの自由度は高いですが、そのぶん下調べや準備を念入りにおこなう必要があります。

 

予算や用途変更の手続きなど注意事項もありますので、しっかり検討を重ねてから実現してください。