
デッドスペースを有効活用できるロフトですが、実際に設置できるかどうかは、住宅の種類や構造、そして法律の制限によって大きく左右されます。この記事では、ロフト設置の条件から用途アイデア、工事の費用目安まで、施工事例をもとに解説します。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「収納が足りない」「ちょっとしたプライベート空間をつくりたい」
そんな住まいのお悩みを持つ方に、ロフトのリノベーションが注目されています。
お住まいのデッドスペースを有効活用できるロフトですが、実際に設置できるかどうかは、住宅の種類や構造、そして法律の制限によって大きく左右されます。
この記事では、自宅にロフトを設けることが現実的か、また、ロフトを設けることで今のお悩みが解決できるかを判断できるように、以下について解説します。
- ロフトを設置できる条件
- ロフトを作ることでのメリット・デメリット
- フトの用途アイデア
- リノベーション工事の費用目安
ロフトを作るリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【まず確認】お住まいの家でロフトのリベーションができるか
ロフトを作るには、通常の内装工事とは異なる特別な制限があることをおさえておきましょう。
お住まいの種類や構造によっては、そもそもロフトが増設できないと判断される場合もあります。
まずは、ロフトの増設が可能かどうかを確認しましょう。
ロフトのリノベーションができる条件
ロフトを設置するには、建築基準法や各自治体の条例で定められた以下の基準を満たす必要があります。
▼ロフトを設置する条件
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特に、1.4mという高さ制限は大きなポイントです。
大人が立って歩けない高さなので、ロフトをどのように活用するかを考える際にも、しっかり理解しておく必要があります。
マンションの場合
マンションにもロフトは増設できますが、十分な高さのロフトを設けるのは難しい場合が多いです。
建築基準法では、居室の天井高は2.1m以上と定められています。
ロフトの下の空間も居室として利用する場合には、ロフトの下の空間も2.1mを確保する必要があります。
一般的なマンションの場合、天井高が2.4〜2.5m程度のため、ロフト下の天井高を2.1m確保すると、ロフトの高さはわずか30〜40cm程度しか取れません。
また、マンションによっては、専有部分であっても、建物の構造強度に関わる工事は管理規約で制限されている場合があります。
以下のようなマンションは、ロフトの増設に向いていますが、まず管理組合へ工事が可能か確認しましょう。
- 天井高が3mを超える物件
- 吹き抜けがあるメゾネット物件
- スケルトンリノベが可能な部屋
リノベーションに向いている物件かどうかはこちらの記事でより詳しく解説しています
リノベーション向き物件の見極め方ガイド|見るべきポイントと探し方を解説
平家の場合
一戸建て、特に平家はロフトを作るのに適しています。
屋根裏の空間が広いため、天井高を活かしたリノベーションがしやすいというメリットがあります。
お住まいの天井が勾配天井の場合は、天井の最も高い部分をロフトとして利用できます。
縦方向の広がりが強調され、開放感のある住空間を維持しながらロフトを追加できるのが魅力です。
フラット天井の平家でも、以下のような場合には天井を取り払ってロフト用スペースを確保できます。
- 存の天井と屋根の間に十分なスペースがある
- 箇中央に向かって高さが確保しやすい形状の屋根
いずれの場合でも、専門家による天井裏の調査を受け、ロフト設置が可能かどうかを確認しましょう。
古民家の場合
古民家をリノベーションしてロフトを作る場合は、現代の建築基準や安全性を満たすための構造的な確認が欠かせません。
もし構造補強が必要になると、当然ながら費用も工期も大幅に増加します。
構造補強や耐震性に問題がなければ、古民家ならではの太い立派な梁をそのまま活かし、ロフト空間のアクセントとすることもできます。
ロフトを作るリノベーションの4つのメリット
ロフトは空間を有効活用できますが、いくつかの制約や課題もあります。
リノベーションを行う前に、メリットとデメリットをしっかりと比較検討しましょう。
まず、ロフトを作ると以下のようなメリットがあります。
1.デッドスペースを有効活用できる
ロフトを作ることで、これまで利用されていなかった屋根裏や天井付近のデッドスペースを有効活用できます。
部屋の床面積を圧迫することなく、収納や趣味のスペースを確保でき、実質的な居住空間を広げられます。
2.コスパよく多目的スペースを作れる
ロフトの増設は、間取りを変更することなく部屋の数を増やせる一つの方法です。
建築基準法上、居室ではなく収納扱いとなるため、通常の増築よりもコストを抑えてスペースを作れる可能性があります。
また、居室に必要な採光、換気、断熱などの厳密な基準が適用されないため、一般的な増築と比べて工事費を抑えられます。
3.おしゃれで個性的な空間が作れる
ロフトを設けることで、独特でおしゃれな間取りとなり、個性的な空間が生まれます。
自分のこだわりや個性を部屋作りに活かせ、建売物件にはない特別感のある空間が作れます。
4.固定資産税を抑えられる場合がある
ロフトは建築基準法上の条件を満たせば、固定資産税の課税対象となる床面積には含まれません。
居住空間を実質的に広げながらも、課税対象面積の増加を防げるため、固定資産税の増加を抑えられる可能性があります。
ロフトを作るリノベーションの4つのデメリット
一方で、ロフトを作るうえで注意したいポイントもあります。
1.ロフト部分は冷暖房が効きにくくい
天井に近く、屋根の熱が直接伝わりやすいため、夏場は非常に高温になります。
また、壁で空間が仕切られているため、冷暖房が効きにくくなります。
2.天井が低く用途が限られる
建築基準法上の制限から、ロフトの天井高は最も高い部分で1.4m以下と決められています。
そのため、大人が立ったまま移動することは難しく、活動スペースとしての用途は限られます。
また、ロフト下の居室の天井も低くなるため、圧迫感を感じやすくなる場合があります。
ロフト下の居室の用途も含めてよく検討しておきましょう。
3.上り下りが大変で使いづらくなる可能性がある
原則、ロフトには固定階段を設置できないため、はしごや簡易的な階段を使用することになります。
頻繁に使う物や重い物を運ぶのは危険ですし、掃除機などを持ち運びにくく、掃除が億劫になりがちです。
そのため、せっかくスペースを作ったのに、使い勝手が悪いと感じるかもしれません。
4.落下する危険性がある
はしごでの昇降は、特に子どもや高齢者にとって落下の危険性が伴います。
子どもの成長や家族構成の変化に合わせて、将来的に使い方を見直す必要が生じることがあるかもしれません。
安全に使える期間が思ったより短くなる場合があると理解しておきましょう。
ロフトの用途アイデア|弊社で手がけた施工事例
ロフトを増設するなら、その空間をどのように活用するかイメージしておくことが大切です。
ここからは、ユニテが手がけたリノベーションの施工事例と合わせて、具体的な用途アイデアを紹介します。
収納スペースとして活用
ロフトの最も一般的な活用法は、大容量の収納スペースとして利用することです。
このお宅では、2階主寝室のウォークインクローゼット内にロフトを設けました。
シーズンオフの衣類や布団など、大型で使用頻度の低い物の収納場所として計画しています。
ウォークインクローゼットの中にあるため、衣替えなどが楽に行え、生活動線に沿ったスムーズな収納を実現しました。
多目的スペースとして活用
様々な用途を想定して、多目的スペースとして設置することも可能です。
このお宅では、平屋の広い屋根裏空間を活かして、平屋のファミリークローク内にロフトを設置しました。
平屋でも十分な収納量を確保するための工夫として設けたほか、水害対策として、洪水発生時の一時的な避難スペースとして利用できるようになっています。
子供スペースとして活用
子どもにとって、秘密基地のようなワクワクするプライベート空間とすることもできます。
このお宅では、ベッド代わりとしての利用を想定して、子ども部屋に造作したロフトをつくりました。
ベッドとして以外にも、おもちゃや衣類の収納スペースとして活用できるようになっています。
ロフトのリノベーションで注意すべき3つのポイント
リノベーションで後悔することなく、快適に過ごすためには、計画段階からいくつか注意する必要があります。
ポイント1.事前に用途や目的をはっきりさせておく
ロフトは多目的に使える空間ですが、天井高の制限や昇降の不便さがあるため、何のために使うかをあらかじめ明確にしておくことが、失敗を防ぐカギとなります。
目的が曖昧だと、結局使われずに、デッドスペースになってしまう可能性があります。
実際に使用する場面を想像して、細かい部分まで考慮した設計をするようにしましょう。
▼ロフトの用途例と考慮すべき点
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ポイント2.快適に過ごすための暑さ対策・寒さ対策を考えておく
ロフトは冷暖房が効きづらく、温度管理が非常に難しい空間です。
そのため、快適に利用するためには、断熱と空調計画が欠かせません。
▼ロフトで快適に過ごすための対策例
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ポイント3.法律上の制限を守る
ロフトを増設する際には、法律上の制限は必ず守りましょう。
・天井高1.4m以下、面積1/2未満の制限を厳守する。
・階段やはしごの種類など、自治体の定める基準を確認して遵守する。
【お悩み別】ロフトが作れない時のアイデア
マンションの構造上ロフトを作れない場合や、昇り降りへの不安などのデメリットが気になる場合もあります。
そのような場合でも、限られた空間を有効活用できるリノベーション方法は他にもあります。
収納を増やしたい場合
ロフトは、天井下の空間を活用できることが強みですが、ロフトが作れなくても収納力を高める方法は多くあります。
細かく収納を新設し、分散させる
ロフトのように収納を一箇所へ集約するのではなく、必要な場所に適切な収納を分散させることで使い勝手が向上します。
デッドスペースを活かした収納スペース・壁面収納の造作
ロフト以外にも、家の中にはデッドスペースが多くあります。
壁や床下のデッドスペースを活用することで、部屋の広さを大きく損なわずに収納を増やせます。
デッドスペースを賢く活かすことで、ロフトに頼らず収納を大幅に増やせます。
小さなプライベート空間をつくりたい場合
小さなプライベート空間であることがロフトの魅力ですが、ロフトを作れなくても代わりの方法があります。
可動式間仕切りをつける
完全に壁で仕切るのではなく、可動式の間仕切りや引き戸を設けることで、必要なときだけ空間を区切れます。
部屋の一角を壁で仕切る
大掛かりな工事を行わず、部屋の一角に腰壁(1m程度)を立てたり、カウンターを造作することで、視覚的に区切られた小空間を作れます。
生活空間と区切られたスペースが欲しい場合
「寝る場所だけ別にしたい」「生活空間と作業スペースを分けたい」という目的でロフトを検討する方も多くいます。
その場合、工事なしで実現できる方法としてロフトベッドが非常に有効です。
本格的なロフトの昇り降りよりも安全性が高い設計のタイプも多く、子どもから大人まで幅広く利用できます。
ロフトを作るリノベーションの費用と期間
ロフトのリノベーションは、既存の天井の解体や壁・床の造作など、多岐にわたる工事が必要です。
費用と期間の目安を把握し、具体的な計画を立てる参考にしましょう。
リノベーションの費用相場
ロフト増設の費用は、主に床面積、仕上げ材のグレード、断熱工事の有無によって変動します。
およそ50万〜100万円が一般的な目安となりますが、これに天井や壁の補強、照明、コンセント、断熱工事などの費用が加算されます。
リノベーションの工期目安
ロフト増設のリノベーションは、比較的短期間で完了するケースが多いです。
既存の部屋の間取り変更を伴わない場合には、 1週間〜2週間程度の工期が目安になります。
費用や工期を左右するポイント
費用や工期を左右するポイントは以下の通りです。
▼費用を左右するポイント
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工期を左右するポイントは、大規模な工事が必要になるかどうかです。
天井の解体や構造補強を伴う場合には、3週間〜1ヶ月以上かかる場合もあります。
ロフトのリノベーションはメリット・デメリットを考慮して決めよう
ロフトのリノベーションは、デッドスペースを有効活用し、コストを抑えながらおしゃれで個性的な空間を作り出す手段です。
特に収納や秘密基地のようなプライベート空間を求めている若年層の世帯や、お子さんのいる世帯にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
天井高の制限、温度管理の難しさ、昇降の不便さといったデメリットも無視できませんが、計画と対策をしっかり行うことで、生活を豊かにしてくれる空間になります。
ご自宅の構造やご家族のライフスタイルに本当に合っているのか、メリット・デメリット、そして法的な制限を総合的に考慮し、リノベーションを決めましょう。
弊社ユニテは、富山県の条例にも詳しく、豊富な施工経験があります。
ロフトのリノベーションを具体的なプランに落とし込みたい方、用途や目的に合わせた最適な空間活用方法をプロに相談したい方は、ぜひユニテにご相談ください。





