
ホテルのように生活感を抑え、素材や光、配置にこだわった上質な空間を自宅で実現するホテルライクリノベーション。本記事ではホテルライクな家の基本から、具体的なリノベーションポイント・場所別の工夫・費用相場・失敗例まで分かりやすく解説します。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
ホテル滞在中のように、余計なものが視界に入らない非日常感や、素材・光・配置にまでこだわった上質さを感じられる空間を自宅で叶えるのが、ホテルライクリノベーションです。
従来の自宅とは違い、生活感よりも統一性・デザイン性・快適性を優先した空間づくりは、中古マンションや戸建てのリノベーションを検討している方からも、人気が高まっています。
この記事では、ホテルライクな家とは何か?という基本から、具体的なリノベーションポイント・場所別の工夫・費用相場・失敗例まで徹底的に解説します。
ホテルライクな家とは?生活感を感じさせない上質な住まい
ホテルライクとは、ホテルのような非日常的な空間体験を暮らしの中で味わえるスタイルのことです。
また、ホテルライクなデザインは単なる見た目の美しさにとどまらず、心理的な満足感や心地よさにもつながります。
物を減らして生活感をゼロにするのではなく、必要なものを美しく整理して視界を整える設計が、本当のホテルライクといえます。
ホテルライクにするためのリノベーション6つのポイント
ホテルライクな空間を実現するためには、なんとなく高級にするのではなく、設計段階から意図的に整えることが重要です。
色・素材・光・収納・動線を一体で考えることで、はじめて統一感のある上質な住まいが完成します。
ここでは、実際のリノベーションで意識したい6つの具体的なポイントを解説します。
ポイント1:使用するカラーを統一する
カラーは空間全体の統一感を左右します。
ホテルライクな空間では、ベースカラーを3色以内に抑え、主張の強い色はアクセント程度に留めるのが基本です。
ホワイト、グレー、ダークブラウン、ブラック、アースカラーなど、落ち着きのある配色で空間を整えることで、洗練された印象が生まれます。
ポイント2:上質な素材を使用する
ホテルライクな住まいは、素材の質感もポイントです。
一般的な量産クロスやプリント合板などを多用すると、どうしても質感が単調になりやすく、空間全体がチープに見えてしまうことがあります。
可能な限り、以下のような上質な素材を選びましょう。
これにより視覚的な高級感と重厚感を演出できます。
ポイント3:間接照明を使う
ホテルの空間設計で最も大きな違いを生むのが照明です。
直接光だけではなく、間接照明・調光可能な照明計画を取り入れることで、陰影や奥行きのある空間をつくれます。
間接光は目に優しく、リラックス感を高めるためホテルライク空間に不可欠です。
ポイント4:シンプルなデザインにする
ホテルライクな空間の大きな共通点は、過度な飾りを抑えたシンプルさです。
デザイン性のある装飾感を減らし、機能美を追求することで、視覚的にも散らからない空間が実現します。
一方で、次のようなケースはホテルライクから離れてしまいます。
不要な要素を削ぎ落とし、シンプルに整えることがホテルライクな美しさにつながります。
ポイント5:生活感をなくす家具の配置と収納計画
ホテルの部屋がいつも整って見える理由は、生活用品が見えないからです。
家具配置や収納計画では、見せる場所と隠す場所を明確に分けることが、特に重要です。
ポイント6:清潔感のある空間づくりを意識する
空間の清潔感もホテルらしさに直結します。
単に色や素材をホテルらしくするだけではなく、掃除しやすい清潔感を保ちやすい設計にすることも重要です。
例えば、以下のような工夫で、視覚的にも物理的にも整いやすい空間をつくれます。
【場所別】ホテルライクにするためのリノベーションポイント
ホテルライクなリノベーションは、家全体を一気に変えなくても、空間ごとの工夫で十分に実現できます。
特に、リビング・寝室・キッチン・水回りは印象を左右する重要な場所です。
用途ごとに設計のポイントをおさえるようにしましょう。
リビングは吹き抜け・高窓・高天井で広がりのある空間をつくる
家の中心であるリビングは、天井高を上げたり、間接照明を天井に仕込んだりすることで、視覚的な広がりが生まれます。
例えば、以下のような工夫で、縦方向の広がりを演出できます。
・カーテンボックスを天井埋め込みにする
・ドアの高さをハイドア仕様にする
・壁面収納をフラットに仕上げる
ベッドルームは左右対称のデザインと遮光・静寂さを重視する
ベッドを中央に配置し、両側に同じデザインのナイトテーブルと照明を置くことで、ホテル特有の整った印象が生まれます。
さらに、以下のような工夫を取り入れると、睡眠の質を高める空間になります。
・遮光1級カーテン
・調光可能なベッドサイド照明
・壁面に吸音効果のある素材を採用
キッチンは見せる収納と隠す収納を使い分けて生活感を抑える
キッチンは生活要素が多いため、見せる収納と隠す収納をはっきり使い分けることが大切です。
・見せる収納:お気に入りの器やアートを飾るディスプレイスペース
・隠す収納:生活感のでやすい家電や調理道具を収めるパントリー、造作カウンター収納
生活感の出やすいものは隠して、乱雑さを見せないよう設計するとホテルらしさが生まれます
水回りは素材感と統一感でホテルのような清潔感をつくる
洗面・浴室・トイレは、最もホテルらしさが表れる場所です。
例えば、以下のような設計で、ラグジュアリーな印象になります。
・ホテルのような横長ミラー+間接照明
・カウンターとボウルが一体化した洗面台
・壁一面を同素材で統一
水回りの金物(タオルバー・水栓・取手など)をブラックやシルバーで統一すると、空間全体の完成度が高まります。
タンクレストイレでホテルをイメージしたリフォーム事例もご覧ください
ホテルライクなリノベーションが向いている人・向いていない人
ホテルライクな住まいは、すべての人に合うとは限りません。
暮らし方や価値観によって、心地よさの感じ方は大きく異なります。
整った空間で気持ちよく暮らしたい人には最適ですが、物に囲まれた安心感が好きな人には少し窮屈に感じることもあります。
ホテルライクが向いているライフスタイル
ホテルライクな空間は、落ち着き・整頓・上質感を重視する人に向いています。
部分的にホテルライクを取り入れることもおすすめ
全体のリノベーションが難しい場合でも、部分的な改修でも十分ホテルライクな空間が作れます。
特に、玄関は家の第一印象を決めるため、ホテルライクを取り入れやすいおすすめポイントです。
【予算別】ホテルライク リノベーションの費用相場
ホテルライクなリノベーションの費用は、素材・規模・間取り変更の有無で大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
100万円台でできること
限られた予算の中でも、ポイントを絞ることで空間の印象を大きく変えることは可能です。
以下のような、視覚的な統一感を整える工事が中心になります。
・カラーコーディネート見直し
・照明交換(間接照明の追加)
・部分的な収納追加
〜500万円台でできること
部分的な間取り変更や、素材のグレードアップが可能な価格帯です。
例えば、以下のような、空間の質そのものを底上げするリノベーションが実現できます。
・床材・壁材の上質化
・造作収納・造作家具の設置
・キッチン・水回り設備のグレードアップ
フルリノベの費用相場
全面リノベーション(間取り変更・素材全面更新)は800〜1500万円台が一般的な範囲です。
ホテルライクなリノベーションが高額になりやすい理由は、設備価格よりも素材と造作にコストがかかるためです。
既製品中心でまとめるか、造作家具や特注仕上げを多用するかで、総額は大きく変わります。
素材や照明計画にこだわるほど費用は上がりますが、その分、統一感と完成度が高まり、空間への満足度も向上します。
コストを抑えつつホテルライクにしたい場合は、照明計画・カラー統一・建具の高さ変更を優先するとよいでしょう。
マンションでホテルライクにする際の制約と対策
マンションのリノベーションでは、構造や管理規約による制約があります。
特に、床材の変更や水回りの移動には制限があるケースが多いため、事前確認が重要です。
管理規約で制限されやすいポイント
マンションの場合、構造変更や窓位置の変更などは管理規約で制限されることがあります。
例えば、以下のように、物件の条件によってもホテルライクな空間の実現度は変わります。
物件探しの段階からホテルライクを実現しやすい条件を意識し、検討する際には管理規約を細部まで確認しておくことが大切です。
マンションでも実現しやすいホテルライク要素
制約があっても、素材・照明・収納・カラーについては比較的自由度の高い設計が可能です。
造作収納や照明の工夫だけでもホテルライクな印象を出せるため、マンションでも工夫次第で十分に実現できます。
おしゃれな間取りで後悔しないマンションリノベーションをしたい方はこちらの記事も
ホテルライクな家でのよくある失敗例と後悔しないためのポイント
ホテルライクなリノベーションをしても、完成時の美しさを維持できる設計にしなければ、数年後には生活感が出てきてしまいます。
特に多いのが、SNSで見た空間をそのまま再現しようとして、自分の暮らしに合わなくなるケースです。
ホテルライクな空間を長く維持するためには、将来の生活まで見越した設計が重要です。
見た目重視で住みにくくなるケース
ホテルライクな空間は見た目が美しくても、生活動線・使いやすさを軽視すると不便になります。
例えば、以下のような実用面の不満が後から出てくることがあります。
・キッチンをフラットで美しく仕上げた結果、ゴミ箱の置き場が確保できず、家事効率が下がってしまう
・収納扉をすべてプッシュ式にしたことで、手が濡れていると開けにくい
・寝室の照明を間接照明のみにしてしまい、読書や作業がしにくい
見た目が整っていることと毎日ストレスなく使えることを両立できるよう、収納と動線計画は必ず同時に考えましょう。
設計段階で実際の生活シーンを具体的にシミュレーションすることが不可欠です。
常に綺麗な状態を保つための掃除が大変
白や光沢系の素材は清潔感を出しやすい反面、汚れが目立ちやすいというデメリットがあります。
・鏡面仕上げのキッチン扉の指紋
・ブラック水栓につく水垢
・大判タイルの目地汚れ
常に綺麗な状態を保つためには、想像以上に日常的なメンテナンスが必要です。
そのため、素材選びの段階で、見た目だけでなく手入れのしやすさまで確認することが大切です。
例えば、以下のような掃除動線の設計を心がけるといいでしょう。
・撥水・防汚加工が施された素材を選ぶ
・掃除ロボットが入りやすい家具配置にする
実用性を損なわないための工夫
ホテルライクな空間でも、家族の暮らし方に合わせた機能を優先することが大切です。
例えば、小さなお子さまがいる家庭では、完全に物を隠す収納よりも、ワンアクションで片付けられる収納のほうが実用的な場合もあります。
また、在宅ワークが多い家庭では、生活感を完全に排除するのではなく、ワークスペースを美しくゾーニングする設計が有効です。
ホテルは一時的に滞在する場所ですが、家は暮らす場所であるという違いを理解して、家具の配置や収納は、使い勝手と両立させて計画しましょう。
ホテルライクにリノベーションした施工事例
天井デザインと素材使いで空間に奥行きを持たせたLDK事例
弊社で手がけた築20年のお住まいのリノベーション事例をご紹介します。
リノベーション前は、取り除けない柱や筋交いが視覚的なノイズとなり、空間が分断されている印象でした。また、全体的に凹凸が少なく、広いもののどこか単調で、暮らしのシーンにメリハリがつきにくいというお悩みがありました。
この制約を逆手に取り、あえて見せることでホテルライクな上質空間へと生まれ変わらせました。
キッチン部分に天井高の変化をつけ、温かみのある木目天井を採用。
リビングとの素材感の対比により、仕切り壁がなくてもダイニング・キッチンが独立した落ち着きのある居場所になりました。
重厚感のあるグレーのキッチンと、柔らかな木目の天井を組み合わせることで、無機質さと温かみが調和するホテルさながらの雰囲気を演出しています。
リビングの壁面には、天井埋め込み型の間接照明を配置。
昼の開放感とは対照的に、夜は柔らかな光でリラックスできる空間に仕上げました。
どうしても撤去できなかった柱や筋交いは、空間のアクセントとしてデザインに組み込みました。
これにより、広いLDKの中に視覚的なリズムが生まれ、開放感と広がりを感じられるようになりました。
既存の構造を最大限に活かしつつ、素材と光を緻密に計算することで、機能性と非日常的な美しさを両立させた事例です。
ホテルライクなリノベーションは弊社にご相談を
ホテルライクな住まいづくりは素材・照明・収納・デザインを総合的に計画し、バランスよく設計することが成功の鍵です。
単に高級な設備を入れるだけでは、ホテルライクな空間は完成しません。
色・質感・光の当たり方・家具配置・生活動線までをトータルで設計することで、初めて整った上質空間が実現します。
弊社では、お打ち合わせの段階で、現在の暮らし方・持ち物の量・将来のライフプランまで丁寧に整理し、デザイン性と実用性を両立させたプランをご提案しています。
マンション特有の制約や構造条件も踏まえ、無理のない範囲で最大限ホテルライクな空間を実現します。
「生活感をなくしたいけれど、暮らしやすさも妥協したくない」
そんな方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。





