
住宅ローン控除は新築だけでなく、中古住宅を購入してリノベーションを行う場合や、現在お住まいの建物をリノベーションする際も対象です。今回は、リノベーションで住宅ローン控除の適用条件や注意点を解説。対象となるリノベーション工事も紹介します。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
住宅ローン控除は新築だけでなく、中古住宅を購入してリノベーションを行う場合や、現在お住まいの建物をリノベーションする際も対象です。一定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象となり、大幅な節税効果が期待できます。
今回は、リノベーションで住宅ローン控除を受けるために、以下のポイントを解説。
- 住宅ローン控除の適用条件と注意点をパターン別で紹介
- 対象となるリノベーション工事
- リノベーションで住宅ローン控除額をフル活用するには
- リノベーションで住宅ローン控除を受ける際の注意点
住宅ローン控除の適用条件や、見落としがちな注意点まで詳しく紹介します。住宅ローン控除を活用しリノベーション費用を抑えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
こんな人はリノベーションでも住宅ローン控除を受けられる!

以下のポイントに全て当てはまる方は、リノベーションで住宅ローン控除が受けられる可能性が高いです。
- 工事費用が100万円以上
- 年収が2,000万円以下
- 住宅ローンを利用し、返済期間が10年以上
- 工事後の床面積が50㎡以上(所得1000万円以下の世帯は40m²以上)
リノベーションを行う条件や内容で、住宅ローン控除を利用できるかどうかが決まります。ご自身が該当するかどうか、このあとで紹介する『住宅ローン控除の適用条件と注意点』でポイントを確認しましょう。
そもそも住宅ローン控除って?

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、マイホームの取得やリフォームを促進するために国が設けた税制優遇制度です。住宅ローンを利用して住宅を購入・改修した人の税負担を軽減し、より多くの人が良い住環境を手に入れられるよう支援することを目的としています。
ローン残高に応じて実際に支払う税金が減額されるため、家計の負担を軽減できる制度です。
- 控除期間:中古住宅・リフォームは10年間。新築・再販は13年間
- 控除率:新築・中古・リノベーションともに0.7%
- 年間控除限度額:リノベーション 7万円~14万円
中古住宅購入 14万円~21万円 - 対象ローン残高:リノベーション 最大1,000万円~2,000万円
中古住宅購入 最大2,000万円~3,000万円
工事費用1,000万円のリノベーションを行い、住宅ローン残高も1,000万円となっている状況での控除額は、
リノベーション工事費1,000万円 ×控除率 0.7% = 7万円
年間控除限度額は14万円なので、工事費1,000万円のリノベーションを行うと、年間7万円の税金が減額されます。控除期間は最大10年間なので、合計70万円の税金が軽減。耐震・バリアフリー・省エネ改修などを含む場合は、さらに控除限度額が拡大されます。
【パターン別】住宅ローン控除の適用条件と注意点

住宅ローン控除の適用条件は、状況によって異なります。それぞれのパターン別の適用条件と、注意点をまとめました。
パターン1.持ち家をリノベーションする
増築・改築・模様替え・耐震・バリアフリー・省エネ化など、現在の住宅をリノベーションする場合は、以下の適用条件を確認しましょう。
- ご自身が所有する住宅をリノベーションする
- 工事費100万円以上
- 住宅ローン利用(返済期間10年以上)
- 年収2,000万円以下
- 工事後床面積50㎡以上
- 居住用部分の工事費用が総額の1/2以上
- 工事完了後6か月以内に入居する
- 増改築等工事証明書で工事内容を証明できる
住宅ローン控除は、制度名の通り「住宅ローン」を利用することが絶対条件です。リノベーション費用を貯金や現金で支払うと、住宅ローン控除の対象外となります。
また、リノベーション工事費が100万円未満の場合は、住宅ローン控除の対象外です。リノベーション工事費が100万円未満の場合、設備をグレードアップしたり、将来予定していた工事を同時に行ったりして工事費を100万円以上にすることを検討しましょう。
リノベーション工事が完了し、6ヶ月以内に入居しなければ住宅ローン控除の対象外となります。施工業者との契約段階で工事完了日を決定し、入居予定日から逆算して着工期を決めるなど、スケジュール管理が大切です。
パターン2. 中古住宅を購入しリノベーションする
中古住宅を買ってリノベーションすれば、家の購入代金とリノベーション代金を合わせた金額で住宅ローン控除が受けられます。そのため、税金から戻ってくるお金を増やせるというメリットがあります。
中古住宅を購入する場合は、以下のポイントを確認しましょう。
- 住宅ローン利用(返済期間10年以上)
- 年収2,000万円以下
- 耐震基準を満たしている(昭和57年以降築、または耐震改修済みの住宅)
- 築年数が古くても、耐震基準適合証明書を取得できる
- 購入後6か月以内に入居し、継続して住んでいる
- 店舗や事務所を併設する住宅の場合、床面積の50%以上が居住用
新耐震基準マンションを購入し、リノベーションする例
一般的な新耐震基準の中古マンション(4,000万円)を購入し、リノベーション(1,000万円)を行う場合をシミュレーションしてみましょう。
- 中古マンション購入費:4,000万円
- リノベーション工事費:1,000万円
- 総借入額:5,000万円
中古住宅の控除対象ローン残高上限は2,000万円となるので、
2,000万円×0.7% =年間控除額 14万円
リノベーション分
1,000万円×0.7% =年間控除額 7万円 合計21万円
合計年間控除額:21万円×10年間=総控除額 210万円
一般的な新耐震基準のマンション(4,000万円)を購入し、リノベーション(1,000万円)を行う際に住宅ローン控除を活用すると、年間21万円の税金が10年間軽減されます。
旧耐震マンションを購入し、リノベーションする例
昭和57年より前に建てられた旧耐震の中古マンション(4,000万円)を購入し、リノベーション(1,000万円)を行う場合、物件は対象外となり、物件購入に控除が受けられません。
リノベーションの控除対象となるので、
1,000万円×0.7% =年間控除額 7万円 計7万円
合計年間控除額:7万円×10年間=総控除額 70万円
築年数や耐震基準を満たしているかどうかによって控除額が変わるので、物件選びの段階から住宅ローン控除を意識すると良いでしょう。
対象となるリノベーション工事

住宅ローン控除で対象となるリノベーションは、建物の構造や性能に関わる工事が対象です。建築士等による工事証明書の発行も必要なので注意しましょう。
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リノベーションで住宅ローン控除額をフル活用するには

リノベーションで住宅ローン控除をフル活用するには、以下のポイントをチェックしましょう。
- 認定住宅にする
- 夫婦でペアローンを組む
- 他の減税制度と組み合わせる
認定住宅にする
お住まいの住宅を認定住宅にすることで、年間7万円、10年で70万円も多く控除を受けられます。リノベーション予算が1,500万円以上あり、借入額が2,000万円を超える場合は、認定住宅にするのがおすすめです。
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認定住宅にすることで住宅ローン控除戻ってくる税金が最大になり、住み心地のいい家になって、長い目で見てもお得になります。ご自宅に認定の可能性があるのか、どのような工事が必要かを確認しましょう。
夫婦でペアローンを組む
リノベーションでも夫婦でそれぞれでローンを組むと、家庭全体で戻ってくる税金を最大で2倍まで増やせられます。4,000万円をローンで借り入れる場合、ペアローンを組めば140万円もお得に。
夫婦ともに安定した収入があり、借入額が2,000万円を超える場合は検討してみてはいかがでしょうか。
どの減税制度がよいか見極める
住宅ローン控除はほかの減税制度と併用することで、より大きな節税効果を得られる可能性があります。
固定資産税軽減措置は住宅ローン控除と併用可能です。固定資産税軽減措置は、住宅ローン控除と異なり、自動で適用されません。工事完了から3ヶ月以内にお住いの市区町村へ申請しましょう。
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工事費1,000万円以上の大規模リノベーションには住宅ローン控除がおすすめですが、工事費が500万円以下の小規模なリフォームや、ローンを組まず現金で支払うときは、「リフォーム減税」を活用しましょう。
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リノベーションで住宅ローン控除を受ける際の注意点

リノベーションで住宅ローン控除を受けるには、以下の点に注意しましょう。「知らなかった…」で控除を受けられなくなるケースもあるため、事前に注意点を把握することが大切です。
- 初年度は確定申告を
- 店舗併用住宅は居住割合をチェック
初年度は確定申告を
住宅ローン控除を受けるには、会社員の方も初年度は確定申告が必要です。リノベーション工事を行った翌年に、必要な書類を税務署に提出し確定申告をします。提出方法は税務署窓口への持参または郵送のいずれかを選択でき、申告期間は2月16日から3月15日までの約1ヶ月間です。
翌年以降の手続きは職業によって異なります。会社員などの給与所得者は、勤務先の年末調整で所定の書類を添付すれば申請完了です。一方、個人事業主や自営業者の方は、1年目と変わらず毎年の確定申告で住宅ローン控除の手続きを行う必要があります。
店舗併用住宅は居住割合をチェック
店舗併用住宅のリノベーションは、床面積・工事費用の半分以上が住居部分の工事に使われる必要があります。店舗兼住宅は、店舗部分は必要最小限の改修にし、居住部分を優先したリノベーションを行いましょう。
不明な点は税務署などに相談することも大切ですが、住宅ローン控除に詳しいリノベーション業者を選ぶことが大切です。控除を最大化できる提案や、必要書類の準備から申請手続きまでトータルでサポートしてくれますよ。
リノベーションの住宅ローン控除のご相談もユニテにお任せください!

住宅ローンで家を買ったり改修したりした人の税金を減らし、より多くの人が質の良い家に住めるように助ける制度が住宅ローン控除です。ローン残高に応じて実際に支払う税金が少なくなるため、家計の負担を軽くできます。
- 工事費用が100万円以上
- 年収が2,000万円以下
- 住宅ローンを利用し、返済期間が10年以上
- 工事後の床面積が50㎡以上(所得1000万円以下の世帯は40m²以上)
- 居住用部分の工事費用が総額の1/2以上
- 工事完了後6か月以内に入居
- 増改築等工事証明書で工事内容を証明できる
中古住宅を買ってリノベーションをすれば、家の購入代金とリノベーション代金を合わせた金額で住宅ローン控除が受けられ、控除額を最大化できます。
中古住宅を購入する際のポイント
- 年収が2,000万円以下
- 住宅ローンを利用し、返済期間が10年以上
- 耐震基準を満たしている(昭和57年以降築、または耐震改修済みの住宅)
- 築年数が古くても、耐震基準適合証明書を取得できる
- 購入後6か月以内に入居し、継続して住んでいる
- 店舗や事務所を併設する住宅の場合、床面積の50%以上が居住用
リノベーションで住宅ローン控除を受けるには、決められた条件を満たすことが大切です。最適なリノベーション業者を見つければ、理想の家づくりと税金の節約を同時に叶えられます。
数多くのリノベーションを手がけ、住宅ローン控除においても豊富な経験があるユニテにご相談ください。ユニテと一緒に、賢いリノベーション計画を始めましょう。