1. トップ
  2. コラム
  3. 採光とは?自然光で明るく快適な住居にする窓リノベーションのコツ
採光とは?自然光で明るく快適な住居にする窓リノベーションのコツ

部屋の暗さを解決したいけど、採光ってややこしそうと悩む方のために、分かりやすく採光の基礎知識・上手な光の取り入れ方・採光によるデメリットを避けるヒントを解説していきます。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

 

「採光って言葉は聞いたことあるけど、どういう意味?」

「守らなければいけないルールがあるの?」

 

など、採光について明確に知らない方も多いのではないでしょうか。

 

採光の取り入れ方を間違えると、部屋が暗くなってしまったり、太陽光で室内が暑くなってしまうケースがあります。そういったリスクを避け、住み心地のいい家づくりをするためには、採光について詳しく知っておくことが欠かせません。

 

そのため、この記事では次のことを分かりやすく紹介します。

  • 採光に関する基本的知識
  • 採光のメリット
  • 設置の際に考慮すべきこと
  • 採光に関する不安 Q&A
  • 採光をうまく取り入れたリノベーション事例

 

理想の住まいのイメージや家の立地条件を考慮しながら、読み進めてみてください。

そもそも採光とは

採光とは、窓などの開口部から自然の光を室内に取り入れることです。

十分な自然光を取り入れることで、部屋を明るくするのはもちろんですが、心身の健康にもつながっています。

各部屋に当たり前のようにある窓ですが、実は私たちの生活に重要な役割をになっているのです。

採光の計算、どうやってやる?

建築基準法では、有効採光面積が部屋面積の7分の1以上確保することが定められています。

有効採光面積とは、室内に必要な自然光を得るために必要な面積のこと。

 

計算は、次のとおりです。

計算式

→ 窓の面積×採光補正係数=有効採光面積

採光補正係数とは、室内への光の入りやすさを指し、周辺の木々や建物、窓の位置などの条件によって変わります。

個人で数値を計算するのは難しいので、工事を依頼するときに専門家に聞いたうえで、実際の計画を立てていきましょう。

少なくとも、このポイントはおさえておこう!

採光を考えるときに重要なのは、窓が大きければいいわけではないということです。

なぜなら窓が大きくても隣接する家までの間隔などで光が入ってこない場合があるからです。

 

うまく自然光を取り入れて住み心地のいい家にするために、次の2つは頭に入れておきましょう。

  • まずは家の周辺状況と光の入りやすさを考えること
  • そのうえで窓の設置場所を考えること

そもそも、採光のメリットとは?

「採光なんて難しそうだし考えるのがいやになる…」と思う方もいるかもしれません。

ですが実際に必要な窓の面積を考えるのはプロなので、安心してください。

 

ですが採光の役割を理解することは、暮らしのなかで発生する悩みを解決したり、トラブルをふせぐために重要です。

ここでは、採光がもたらしてくれるメリットを5つ紹介します。

 

  1. 部屋が広々とする
  2. 固定費の節約になる
  3. 体内時計が整う
  4. メンタルが整う
  5. 湿気やカビの防止になる

1. 部屋が広々とする

部屋が狭かったり、天井が低いと、圧迫感がうまれます。

そこにあらたな窓を設置すると、外と景色がつながり部屋が広々と感じられるようになります。

2. 固定費の節約になる

とくに午前中は電気の利用頻度が下がるため、電気代がおさえられます。

さらに、人工の光よりも自然光のほうが温かみがあり、気分も和らぐのも嬉しいですね。

3. 体内時計が整う

朝起きて一番に日光を浴びると、すっきりとした目覚めを迎えられるだけでなく、体内時計がととのい寝つきもスムーズになります。

生活習慣の乱れが気になる方や、夜の寝つきが悪い方は、寝室の窓の位置や大きさを見直してみてください。

4. メンタルが整う

電気も日光もも部屋を明るくしてくれることに変わりありませんが、日光にはセロトニンを分泌させ幸福感を高める効果があります。

直射日光より効果は弱まるといわれていますが、窓越しでもセロトニンは分泌されます。

5. 湿気やカビの防止になる

湿気が溜まりやすい原因の1つは日当たりの悪さです。

この状態を放置し湿気がこもると、部屋がじめじめと不快になるだけでなく、カビが発生しやすくなってしまいます。

 

不衛生なのはもちろんですが、アレルギーや感染症にもつながってしまうので注意が必要です。

悩みを解決する窓の位置と種類とは

採光を考えるときにまず大切になるのが窓の位置と種類です。

どこに窓を設置するかで光の入り方が変わるため、立地条件やライフスタイルに合わせて検討しましょう。

 

ここでは、次の5つの窓について説明していきます。

  • 腰高窓
  • 掃き出し窓
  • 天窓
  • 高窓
  • 地窓

腰高窓

人の腰の高さぐらいにある窓のこと。

もっともスタンダードな窓として知られています。

リビングやダイニング、もしくは書斎などで座っているときにちょうど目線の高さにくるのが特徴です。

 

メリット

  • 限られた面積でも設置できる
  • カーテンを付けやすい
  • 勉強机などの手元を照らしてくれる

デメリット

  • 棚の置き場などが限られる
  • 外に隣接する家などがあると光が入らない

おすすめの方

  • テーブルに光を入れたい方
  • 外の景色をたのしみたい方
  • 開放感がほしい方
  • 取り入れる光を増やしたい方

掃き出し窓

床から天井近くまでの高さがある窓のことです。

庭やテラス、ベランダへの出入口として使われていることが一般的です。

 

メリット

  • 開放感が生まれる
  • カーテンを付けやすい
  • 入ってくる光が多い

デメリット

  • 棚の置き場などが限られる
  • 外に隣接する家などがあると光が入らない
  • 洗濯物を干していると光が入らない

おすすめの方

  • 開放感をプラスしたい方
  • 取り入れる光の量を増やしたい方
  • 真となりに他の建物がない方

天窓

建物の天井についている窓のこと。

換気用ではなく、日光を取り入れるために設置されることが一般的です。

 

メリット

  • 限られた面積でも設置できる
  • 天井が高く感じ、開放感が生まれる
  • 家が隣接していても上部から光を取り入れられる

デメリット

  • 掃除が大変
  • カーテンをつけにくい
  • 夏場は暑い

おすすめの方

  • 腰高窓や掃き出し窓だと日光が不十分な方
  • 窓を増やしたいが面積が限られている方
  • 上部から部屋を明るく照らしたい方

高窓

壁の上部、天井に近い箇所に設置されている高窓のことです。

腰高窓や掃き出し窓では採光が不十分なときに、設置しているケースが多くあります。

 

メリット

  • 限られた面積でも設置できる
  • 周辺に光を遮るものがあっても設置できる
  • 部屋が狭い場合、きゅうくつさを軽減できる

デメリット

  • 掃除が大変
  • カーテンの開け閉めが大変

おすすめの方

  • 腰高窓や掃き出し窓だと日光が不十分な方
  • 窓を増やしたいが面積が限られている方
  • 最上階以外の部屋で自然光を増やしたい方

地窓

壁の下部、床に近い箇所に設置されている窓のことです。

和室のように床に座って過ごすスペースに設置されることが多いです。

 

メリット

  • 限られた面積でも設置できる
  • 座った状態で庭などの景観をたのしめる
  • インテリアとしてもたのしめる

デメリット

  • 冬は冷たい空気が入ってきやすい
  • 開けていると虫が入ってきやすい

おすすめの方

  • 和室がある方
  • お庭の景色を楽しみたい方
  • おしゃれな空間にしたい方

事前にチェック!採光のときに考慮すべきこととは

窓などの開口部からは自然だけでなく、外気や気温も入ってきます「。

つまり、採光としての役割だけを考えて窓を設置すると、のちの不便につながり後悔してしまうことに。

 

採光について考えるときは、次の3点も考慮しましょう。

  • 風通しのよさ
  • プライバシーの確保
  • 設置する方角

風通しのよさ

お風呂場や洗面所など水を使う箇所は、換気機能も大切。

できるだけ風通しをよくするためにおすすめの窓は、次の3種類です。

 

引き違い窓

  • 左右どちらからも開けられる窓
  • 大きく開けられるため、手っ取り早く換気が可能
  • 網戸を設置して害虫の侵入を妨げられる

縦すべり窓

  • 左右のどちらかが外側にでる形で開く窓
  • 限られた面積でも設置できる
  • 平行にふく風を取り入れやすい

横すべり窓

  • 窓の下部のみが外側に開く窓
  • 限られた面積でも、設置できる
  • 開けても外から室内が見えない利点がある

プライバシーの確保

窓などの開口部が多いと、外側から家のなかが見えてしまう可能性も高まります。

風呂場や脱衣所には、プライバシーを守る工夫を取り入れましょう。

 

ルーバ―窓

  • 長細いガラスなどを縦もしくは横に並べた窓
  • ブラインド式でレバーをまわして開閉できる
  • 閉めると目隠しになる、開けると換気口になる

すりガラス

  • 主にお風呂場で使われている、表面に凹凸のある窓
  • 不透明性が高くシルエットしか見えない
  • 日光の入り方がやわらかい

グリーンカーテン

  • ツタや植物をカーテンがわりに窓の外におくこと
  • 夏の直射日光を遮り、あたたかみのある風景を演出する
  • カーテンのように開け閉めはできない

設置する方角

同じ大きさの窓でも、時間や季節によって光の入り方は変わります。

そのため冬は温かく心地よい日差しを入れてくれる窓が、夏は直射日光を入れてしまうことも。

そうなると部屋がまぶしくカーテンを閉める必要がでたり、室内の温度があがりクーラー代がかかってしまいます。

 

各方角の特徴をふまえたうえで、設置する窓の位置や種類を決めることがおすすめです。

 

特徴は?

  • 直射日光が入りにくいため日中でも温度があがりにくい
  • 冬は寒くなりやすい
 

おすすめは?

  • 天窓や高窓を設置する
  • 大きな窓など外気が入りやすい窓の設置は控える

特徴は?

  • 夏は日光が入りやすい
  • 冬は太陽の位置が低くなる
 

おすすめは?

  • 外側にひさしをつけて、夏の直射日光をふせぐ
  • 四季を通して自然光が入るよう腰高窓や掃き出し窓を選ぶ

西

特徴は?

  • 昼過ぎから明るくなりやすい
  • 太陽が高い位置にくる
 

おすすめは?

  • 天窓や高窓は温度があがりやすいため控える
  • 断熱効果のある窓を設置する

特徴は?

  • とくに午前中が明るい
  • 夏は温度があがりやすい
 

おすすめは?

  • 断熱効果のある窓を設置する
  • 樹脂サッシなど直射日光をやわらげる素材を使う

採光に関するよくある悩み!その解決策とは

採光のために窓を増やしても、無計画におこなうと室内が暑くなったり掃除の負担が増えたりしてしまいます。

せっかく自然光を取り入れるなら、1年を過ごして快適に暮らせるようにしたいですよね。

そのため、ここでは各悩みへの解決策を紹介します。

 

Q.天窓や高窓に興味はあるけど、カーテンはどうすればいい?

手が届かないことが一般的なので、手動では難しいです。

リモコン操作のできるブラインドの取り入れがおすすめですよ。

 

Q.天窓や高窓の掃除はどうすればいい?

高所用のワイパーを伸ばしてお手入れをされている方が多いです。

通販やホームセンターなどだと、比較的お手軽に購入できますよ。

 

Q.夏は冷房代が高くなりませんか?

自然光の取り込みだけを考えると、どうしても室内の温度はあがります。

そのため、南や西のように直射日光が入りやすい方角は断熱性の素材を使うのがおすすめ。

天窓や高窓を利用して光をいれるときは、北側の設置を選ぶようにしましょう。

 

Q.冬は外気が入ってきませんか?

窓などの開口部は、どうしても外気を通してしまいます。

そのため、とくに北側のように冷えやすい方角には内窓が人気です。

 

Q.部屋が狭いので窓のための接地面が足りません…。

高窓のような面積が少なくても取り入れられる窓がおすすめです。

ほかにも洗面所や玄関とびらの横には縦長のガラスで光を取り込めますよ。

 

Q.洗濯物のせいで日光がさえぎられてしまいます。

ベランダの他にもう1つ窓をプラスするのがおすすめです。

横すべり窓や縦すべり窓であれば限られた面積で設置できます。

採光をうまく取り入れた家5選

自然光を入れる工夫をしたくても、どんな部屋になるのかイメージは沸きにくいかもしれません。

 

「窓が多すぎてごちゃごちゃしないかな」

「明るすぎるよりもシックな雰囲気も残したいな…」

 

など、不安や採光以外の好みもあるでしょう。

 

ここでは、実際にうまく採光を取り入れたリノベーション事例を5つ紹介します。

3つの窓で温かみあふれる心地よい家

こちらでは、ダイニングとリビングに計3つの腰高窓を設置。

ブラインドで明るさが調整できるようになっています。

 

さらに、キッチンにも窓から光が入るように設計されているため、ほっとくつろげる雰囲気を演出しました。

低い天井でも解放感をあじわえる家

吹き抜けの広々としたリビングに高窓を設置。

さらに開放感のある雰囲気になっています。

 

2階には、腰高窓や天窓を多めに取り付けました。

これにより、屋根が低くても圧迫感を感じない空間になっています。

プライバシーも守りながら光を取り入れた家

お風呂には、視界をさえぎるすりガラスとブラインドの窓を選びました。

大きな窓で開放感を換気機能を取り入れるとともに、プライバシー面でも安心な窓に。

 

キッチンにもすりガラスの扉を取り入れました。

腰高窓も天窓も設置しにくいと思われているキッチンですが、勝手口をガラスにすることで明るい空間をつくれます。

少ない窓で明るさと落ち着きを両立させた家

暗くなりやすい玄関には、すりガラスの扉をチョイス。

広いリビングには、掃き出し窓で奥まで光が入るように工夫しました。

 

窓の数はほかの事例に比べて少ないですが、大きく面積をとることで十分に自然光を取り入れました。

落ち着いた色合いと小さな蛍光灯による落ち着きのある空間と、温かく差し込む光が良いバランスです。

小さな窓で明るい空間をつくりだした家

脱衣所には、小さな窓を2つ設置。

採光と換気、両方の機能を取り入れました。

 

ダイニングとリビングには高窓を1つ設置。

掃き出し窓だけではソファやテーブルに光が届きませんでしたが、高窓を設置することで家具の配置を変えずに部屋全体に自然光が入るように工夫しました。

採光を検討している方はユニテにご相談ください!

富山県で採光にかんするお悩みをお持ちの方はユニテにご相談ください。

ユニテでは、予算やご要望にそってあたらしい開口部の設置や素材の変更に対応します。

 

ぜひお気軽にご相談ください!

まとめ

今回は採光についてお伝えしました。

 

・そもそも採光とは何か

・採光を考えるときに一緒に考えるべきこと

・採光に関する不安や悩みへの解決策

 

採光は、ただ自然を取り入れるためだけではなく、日々の健康や暮らしやすさにも関わるポイントです。

間取りや希望、ライフスタイルに合わせたベストな採光を取り入れられるよう、一緒に考えていきましょう!