
フローリングの部屋に畳の小上がりを設ける間取りが、近年人気を集めています。この記事では、フローリングに畳の小上がりを作るメリット・デメリットから、後悔しないための5つのポイント、さらには設置タイプ別の選び方や費用の目安までを詳しく解説します
目次

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
フローリングの部屋に畳の小上がりを設ける間取りが、近年人気を集めています。
洋風のリビングにも和の要素を取り入れることで、空間にアクセントが生まれるだけでなく、実用性も兼ね備えた多様な使い方が可能です。
しかし「段差は危なくないか」「圧迫感が出ないか不安」といった疑問や懸念を持つ方も少なくないでしょう。
この記事では、フローリングに畳の小上がりを作るメリット・デメリットから、後悔しないための5つのポイント、さらには設置タイプ別の選び方や費用の目安までを詳しく解説します。
ご自身のライフスタイルや予算に最適な小上がりの導入方法を見つけ、理想の住まいづくりを実現させましょう
フローリングに畳の小上がりを設置した実例
まず、ユニテが施工した畳の小上がり設置事例を紹介します。
いずれも新築物件の事例ですが、もちろん後付けのリフォームも可能です。
客間として間仕切りつきの小上がりを設置
広さ6畳、高さ21cmの畳の小上がりです。
畳は縁なしの半畳タイプを選び、すっきりとした現代的なデザインに仕上がっています。
引き戸の障子を設けており、閉めれば個室としても活用できるような設計です。
小上がりの高さはリビングのソファとほぼ同じ目線に設定しており、障子を開け放せば腰掛けて家族と会話をしたり、テレビを一緒に見たりすることも可能です。
全体をナチュラルでやさしい雰囲気に統一することで、フローリングのリビングとも一体感が感じられます。
より詳しい施工内容は「家事動線と収納力を考え抜いたゆとりある住まい」をご覧ください
ゴロンと横になれる休憩スペースとして設置
広さ3畳・高さ21cmの小上がり和室です。
リビングの一角に畳の小上がりを設け、LDKの一部として活用しやすいスペースにしました。
生活動線に配慮して間仕切りは設置せず、ゴロンと横になって読書をしたり、家族で団らんしたりするためのスペースとして設計しています。
より詳しい施工内容は「カリフォルニアスタイルの収納・生活動線重視の家」をご覧ください。
フローリングに畳の小上がりを作るメリット
畳の小上がりは、フローリングだけの空間では得られない、機能的なメリットがあります。
ここでは、主なメリットを4つご紹介します。
ゾーニングができる
畳の小上がりを設けることで、フローリングとの間に自然な区切りが生まれます。
家族がのんびり過ごすリラックス空間や、子どもの遊び場、来客時の応接スペース、さらに作業スペースなど、多様な方法で場所を分けられます。
フローリングの部屋でも、畳のスペースを設けるだけで空間にメリハリが生まれるでしょう。
寝転んでも違和感が無い
畳は直接座ったり横になったりしても快適な素材です。
い草の香りにはリラックス効果も期待でき、お昼寝スペースや簡易的な寝室としても使いやすくなります。
フローリングに直に座るのは落ち着かないという方にもぴったりです。
冬場もヒヤッとせず、年中快適に過ごせるでしょう。
収納スペースを兼ねられる
小上がりの段差部分を活用すれば、収納スペースとしても利用可能です。
引き出しや跳ね上げ式収納を組み込むことで、日用品や季節物の収納場所になります。
床下を有効活用できるため、リビング全体がすっきり片付き、収納家具を別途用意する必要がありません。
特にマンションや狭小住宅など、収納不足に悩むご家庭にとっての大きな魅力です。
段差部分に腰掛けてくつろげる
ちょっと腰掛けて使うのにも、小上がりは便利です。
ソファ代わりのベンチスペースとして、テレビを見たり、家族と談笑したりする際にも活用できます。
段差に座ることで、フローリングに座る人との目線の高さが近くなり、コミュニケーションが取りやすくなる点もメリットです。
また、小上がりの段差を利用して掘りごたつを設ければ、冬場も足元が暖かく快適に過ごせます。
フローリングに畳の小上がりを作るデメリット
多くのメリットがある一方で、畳の小上がりを設置する際には注意すべきデメリットも存在します。
ここでは、主なデメリットを5つご紹介します。
設置後に後悔しないよう、事前にしっかり把握しておきましょう。
段差による危険がある
小上がりの最大の注意点は段差です。
つまずいたり、小さな子どもが落ちたりしてしまうリスクがあります。
特に夜間や照明が暗い時間帯は注意が必要です。
介護が必要になった時には不便になることもあるため、将来的に撤去しやすい設計を考慮しておく必要もあります。
段差を分かりやすくするために、蹴込部分の色を変えたり、照明を設置したりする工夫も有効です。
圧迫感を感じることがある
設置場所や高さのバランスによっては、部屋全体が狭く見えることがあります。
特に天井が低い場合は注意が必要です。
リビングの広さや家具の配置を踏まえて、空間全体のイメージを事前にシミュレーションしましょう。
小上がりの周りに背の高い家具を置かない、あるいは畳の色を明るい色にするなど、開放感を保つ工夫を取り入れるのがおすすめです。
お掃除ロボットで掃除ができない
ロボット掃除機は、小上がりの段差には上がれません。
したがって、畳部分は手動で掃除する必要があります。
小上がりには敷物を敷かない、または小上がりの広さを最小限にするなど、設計の段階で掃除しやすい高さや導線を意識しておくと良いでしょう。
定期的な手入れが面倒な場合は、ユニット式など簡単に取り外しができるタイプを選ぶのも一つの方法です。
施工後のレイアウト変更が難しい
造作で小上がりを作った場合、後から動かしたり撤去したりするのは簡単ではありません。
家族構成の変化やライフスタイルの変化に伴い、リビング全体のレイアウト変更を考えている場合は、設置前にしっかりと検討することが大切です。
将来的なリフォームの可能性を考慮するなら、移動可能なユニット式を選ぶ方が柔軟性があります。
畳のメンテナンスが必要になる
畳は年月とともに劣化するため、定期的な交換やお手入れが必要です。
特にリビングの小上がりは使用頻度が高く、通常の和室よりも早く擦り切れてしまうことがあります。
耐久性を重視するなら、和紙畳や樹脂製畳などのメンテナンス性が高い素材を選びましょう。
また、日当たりが良い場所に設置すると、日焼けによる変色も早まるため、設置場所の検討も重要です。
畳の小上がりを作る際に後悔しない5つのポイント
小上がりを快適に使うためには、設置前の計画が非常に重要です。
間取りや使い方を明確にしないまま施工すると、狭さや使い勝手の悪さに後悔するケースもあります。
失敗を防ぐために、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:ライフスタイルに合わせた場所に設置する
小上がりをどこに設置するかは、用途とライフスタイルによって決定しましょう。
・リビング横:家族の目が届きやすく日常的に使いやすい
・ダイニング横:座卓を置いて食事スペースにもなる
・キッチン前:家事をしながら子どもの様子を見られる
ポイント2:収納の位置と広さをイメージする
小上がりの広さは、3〜4.5畳が目安です。
・寝室として使うなら4.5畳以上
・ソファ代わり・休憩スペースとして利用するなら1〜2畳でも十分です。
収納の有無も重要なポイントです。
収納タイプは引き出し式や跳ね上げ式などがあり、用途に応じて選ぶと便利です。
収納内部の奥行きや高さ、引き出す方向なども事前に設計に盛り込み、何をどこにしまうかまで具体的にイメージしておきましょう。
ポイント3:使用用途を踏まえて間仕切りの有無を決める
間仕切りを設けるかどうかは、小上がりの使い方によって決めましょう。
間仕切りを設けないタイプだと、リビングの開放感を保ちながら空間を広く見せられます。普段使いのリラックススペースに適しています。
一方、仕切りを付ければ客間や寝室としても利用可能です。プライバシーを確保したい場合や、多目的に使いたい場合に有効です。
ロールスクリーンや引き戸など、間仕切りの種類によっても空間の印象や費用が異なります。暮らしのスタイルに合わせて選びましょう。
ポイント4:天井と身長も考慮した高さにする
小上がりの高さは、20〜40cmが一般的です。
腰かけやすいのは40cmほどですが、小さな子どもや高齢者がいる場合は、安全性を考慮して低めに設定すると安心です。
また、天井との距離感も考え、圧迫感が出ないよう調整しましょう。
小上がりで立ち上がった際に頭が天井に近すぎると圧迫感を覚えるため、天井高から逆算して最適な高さを決めるのも一つの手段です。
ポイント5:耐久性やメンテナンスを考慮して畳のデザインを決める
フローリングのリビングにもなじむように、畳の素材やカラー選びは重要です。
グレーやベージュなどモダンな色味の畳を選ぶと、フローリングとも調和し、洗練された印象になります。
縁なし畳(琉球畳)にすると、よりモダンでスタイリッシュな雰囲気を演出できます。
掃除やメンテナンスを重視するなら、樹脂製や和紙製の畳がおすすめです。
これらは、日焼けによる変色が少なく、耐久性に優れており、お手入れがしやすい特徴があります。
畳の小上がりのタイプと選び方
畳の小上がりを導入する方法には、大きく分けてユニット式と造作式の2つのタイプがあります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の予算や要望に合わせて最適な方法を選びましょう。
タイプ別の特徴
ユニット式の小上がり
ユニット式の小上がりとは、既製品の箱型ユニットを組み合わせて作る手軽なタイプです。置き畳・小上がりのように畳がセットされたものや、収納ボックスを兼ねたものなど様々な商品があります。
ユニット式小上がりの特徴
・後付けが容易で、DIYも可能
・比較的安価に導入できる
・賃貸住宅でも設置しやすい(置くだけタイプの場合)
・引っ越し時に移動できる場合もある
手軽に小上がりを試してみたい方や、将来的に移動や撤去の可能性がある方におすすめです。
造作式の小上がり
造作の小上がりは、部屋の広さや形、用途に合わせてオーダーメイドで作るタイプです。
リフォームや新築時に専門業者へ依頼し、空間に合わせた小上がりを設計します。
造作式小上がりの特徴
・デザインやサイズ・収納の仕様などを自由に設計できる
・空間にぴったりと収まり、一体感のある仕上がりになる
・耐久性が高いものが多い
デザインや機能にこだわりたい方、デッドスペースを最大限に活用したい方におすすめです。
素材別の特徴と注意点
畳は使用する素材によって、耐久性やメンテナンスのしやすさが大きく異なります。
・い草畳: 昔ながらの畳で、独特の香りと肌触りが魅力です。しかし、日焼けによる変色やカビ・ダニが発生しやすい特性があります。
・和紙畳: 変色しにくく耐久性に優れた抗菌仕様の畳です。カビやダニに強い特徴があります。撥水性が高く、お手入れが容易なため、リビングなど使用頻度の高い場所に適しています。
・樹脂畳: 耐久性に優れたポリプロピレンと無機材料から作られている樹脂素材の畳です。デザイン性にも優れており、モダンな内装にもマッチします。色や柄のバリエーションが豊富です。
リフォームや新築時に検討される本格的な小上がりでは、機能性の高い和紙畳や樹脂畳が選ばれる傾向があります。
費用の目安と差が出るポイント
既存のLDKの内装はそのままに、畳の小上がりだけを後付けすることもできます。
その場合の費用相場は以下の通りです。
設置方法別の費用相場
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また、採用する畳の種類や素材のグレードによっても相場は変動します。
採用する畳の種類による費用
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ただし、畳の小上がりの設置とあわせてLDKもリフォームする場合は、壁や天井の施工も必要になるため、費用が追加で発生します。
設置方法と工期の目安
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造作式の小上がりの場合、収納の仕様や、間仕切りの有無によって費用や工期が大きく変動します。
詳細な金額や工期を知るためには、専門業者へ相談し、見積もりを取得することが最も確実です。
フローリングへの畳小上がりを検討中の方はユニテにご相談を
フローリングに畳の小上がりを導入することで、洋風のリビングにも和のアクセントを取り入れられるだけでなく、実用性も兼ね備えた多様な使い方が可能になります。
しかし、畳の小上がりを作るにあたって、ユニット式・造作式の選択、収納のタイプ、畳の素材選び、高さの決定など、考慮すべきポイントが多岐にわたります。
ご自身のライフスタイルや予算に合わせて、プロに最適な小上がり設置プランを相談するのが最も安心です。
株式会社ユニテでは、お客様一人ひとりのご要望を丁寧にヒアリングし、理想の住まいを実現するための小上がり和室をご提案します。
「収納を最大限に活用したい」「リビングになじむモダンなデザインにしたい」など、どんなご要望でもお気軽にご相談ください。
ユニテの専門スタッフが、お客様の家づくりを全力でサポートいたします。




