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外断熱のデメリットって?|メリットだけじゃない隠れた注意点を知ろう

外断熱は快適な住まいを実現する方法として注目されていますが、施工費用の増加や構造上の制限などデメリットも存在します。本記事では外断熱のメリット・デメリットを解説。外断熱・内断熱を比較 し、外断熱が向いているケースもご紹介します。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「外断熱にすれば冬は暖かく夏は涼しい」「光熱費が大幅に削減できる」「結露も完全に防げる」と、外断熱工法について、このようなメリットばかりを目にすることが多いのではないでしょうか。外断熱は快適な住まいを実現する方法として注目されていますが、施工費用の増加や構造上の制限などデメリットも存在します。


本記事では、外断熱について以下のポイントを解説します。

 

  • 外断熱のメリット・デメリット
  • 外断熱・内断熱を比較
  • 外断熱が向いているケース

 

外断熱のデメリットを知り、ご自宅に最適な断熱方法が知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

外断熱とは?

外断熱とは、建物の外側を断熱材で包む工法のことです。建物全体を包み込むように施工するので、夏は外の熱を防ぎ、冬は室内の暖かさを逃がしにくくなります。


外断熱は、コンクリート断熱材を密着させ固める湿式工法と、支持金具を設置し、断熱材パネルを貼るように組み立てる乾式工法の2種類があります。一般的に乾式工法よりも湿式工法の方が工期が長いのが特徴です。

外断熱5つのデメリット

夏は外の熱を防ぎ、冬は室内の暖かさを逃がしにくくなる外断熱ですが、おもに5つのデメリットがあります。

 

  • 外壁が厚くなる
  • 初期費用がかかる
  • 工期が長くなる
  • 湿気がこもりやすくなる
  • 外観のデザインが変わる

デメリット1.外壁が厚くなる

外断熱工法では建物の外側に断熱材を設置するため、外壁の厚みが増加します。効果的な断熱性能を確保するに厚い断熱材が必要で、さらにその上に仕上げ材となる外壁を施工するためです。従来の外壁と比べて全体で20~30cm程度厚くなるケースもあります。


外壁の厚みが増えると、さまざまな問題を引き起こす可能性があるので注意が必要です。とくに都市部の狭小地や建ぺい率ギリギリで建てられた住宅では、外断熱工事により建物が敷地境界線に接近しすぎて、法的な規制に抵触するリスクがあります。隣の家との距離が近すぎて十分な作業スペースが確保できず、施工が困難になるケースも。


窓やドア周りの納まりが複雑になるため、複雑な形状の住宅・多数の開口部がある・凹凸の多いデザインの建物などは、外断熱の施工難易度が高くなります。

デメリット2.初期費用がかかる

外断熱は内断熱と比べると初期費用がかかるデメリットがあります。外側に断熱材をしっかりと取り付けるには、精度の高い丁寧な施工が求められるからです。そのため、作業に時間と手間がかかり、人件費や工事費が高くなる傾向があります。

 

外断熱で使用される断熱材は、雨風に強く、長持ちする素材が使われるため、材料代が高くなりがちです。外から見える部分の外装も必要なので、仕上げにかかる材料や作業にもお金がかかります。

 

このように、外断熱は初期費用がかかりますが、冷暖房にかかる光熱費や、建物の劣化によるメンテナンスコストを含めた長期的な費用を考えると、外断熱の方が安くなるケースもあります。

 

初期投資はやや高めでも、外断熱は数十年先まで見据えたときに、トータルコストを抑えられる賢い選択肢といえるでしょう。

デメリット3.工期が長くなる

外断熱工事は高度な技術と細心の注意を要する施工なので、工期が長くなります。建物の外周全体に断熱材を隙間なく設置する作業は、単純に材料を貼り付けるだけではなく、建物の複雑な形状に合わせた精密な加工と施工が求められます。

 

断熱材の施工完了後も、防水シート・通気層・最終仕上げ材と、各工程間の乾燥期間や天候待ちも含めると、従来の外壁工事の1.5~2倍の期間を要するケースも

 

外断熱リフォーム中は足場設置による生活の不便さや、外壁工事に伴う騒音・粉塵などの影響を受け続けます。特に在宅勤務や小さなお子様がいるご家庭では、工事が長期間続く影響をしっかり検討しましょう。

デメリット4.湿気がこもりやすくなる

外断熱は、家の外側を断熱材で包みこむため、外の暑さ・寒さは入りにくくなりますが、 湿った空気が出にくくなり、湿気がこもりやすくなります。

 

外断熱により外壁側の温度が下がりにくくなる一方で、温度差と湿度の組み合わせにより結露が発生しやすい環境に。壁の中で結露が発生するため、見えない場所で進行し、発見が遅れて構造材の腐朽やカビの発生といった深刻な被害につながる恐れがあります。

 

外断熱を施工する場合は、外壁と断熱材の間に通気層を設けて湿気の排出経路を確保する、24時間稼働する機械換気システムの導入するなど、室内の湿度を適切にコントロールしましょう。

デメリット5.外観のデザインが変わる

今お住まいの住宅に外断熱を施工するときは、外観のデザインが変わることも考慮しましょう。外断熱は建物全体を断熱材で覆うため、もともとの外壁のデザインや素材が見えなくなるからです。


また、壁の上から何センチもの厚さの材料をつけるため、窓窓や玄関ドアが壁面より奥まった位置に見えるようになり、重厚感が増す一方で、すっきりとした印象は薄れます。仕上げ材が限定されるため、デザインの自由度が限られるケースも。

 

外断熱特有の厚みを活かした重厚で上質な外観デザインにするなど、設計や工夫次第で外断熱でも外観にこだわった住宅にできます。

デメリットばかりじゃない!外断熱のメリット

工期が長くなる、初期費用がかかる外断熱ですが、たくさんのメリットもあります。

 

  • 気密性が高い
  • 光熱費が抑えられる
  • 建物の寿命が長くなる

気密性が高い

外断熱は内断熱と比べると、気密性が高いメリットがあります。

 

内断熱(家の内側に断熱材を入れる方法)は、柱や梁などのすき間に断熱材を入れるため、どうしても小さなすき間ができやすいです。外断熱は家の外側を断熱材で包むので、壁や柱のすき間から空気が出入りしにくくなります。

 

また外断熱では、断熱材の外側に防水シートや仕上げ材を設置するので、風や湿気の侵入を防止し、さらに気密性がアップ。建物の内側と外側の温度差が小さくなるため、冬でも結露が発生しにくい建物になります。

光熱費が抑えられる

外断熱は建物全体を断熱材で包み込むことで、外の暑さや寒さを家の中に伝えにくくするため、光熱費が抑えられます。

 

夏は外の暑さに影響されにくいので、エアコンが効きやすく、冬は部屋の暖かさが外に逃げにくいので、暖房が効きやすいです。少ないエネルギーで快適な室温を長時間キープできます。

 

外断熱は初期費用がかかるデメリットがありますが、部屋の温度を長くキープできるため、光熱費が安くなり、長い目で見るとお得になるケースがあります。外断熱により建物の耐久性向上や結露防止効果も得られるため、将来的なメンテナンス費用の削減も期待できます。

建物の寿命が長くなる

外断熱は、建物の寿命を延ばす効果が期待できます。

 

家の外側を断熱材で覆うことで、直射日光・酸性雨・急な気温の変化などから建物を守るからです。さらに、壁の中に湿気がたまりにくいため、木材の腐りや構造部分の傷みを防ぎ、住まいの耐久性がアップします。

 

外断熱によって、 外壁の劣化もゆるやかなれば、メンテナンスの回数も少なくなり、建物全体が長持ちしやすくなるのです。

外断熱と内断熱を比較

外断熱と内断熱の基本的な違いと性能を表で比較しましょう。

 

外断熱と内断熱の違い

 

外断熱

内断熱

おもな建物の構造

RC(鉄筋コンクリート)造・木造・鉄骨造すべてに対応

木造住宅で一般的

断熱材の設置場所

・建物の外側(柱の外側)

・建物全体を包み込むように施工する

・柱と柱の間(柱の内側)を断熱材で満たす

断熱層の形成

構造体全体を断熱材で覆う

構造材の間に断熱材を入れる

メリット

・高い気密性により結露がほぼ発生しない

・小屋裏や床下を有効活用できる

・天候の影響を受けにくく、工期が延びるリスクが少ない

・狭小住宅やこだわったデザインにも対応可能

デメリット

・コストや工期がかかる

・外壁が厚くなり、敷地や間取りに余裕が必要

・外断熱と比べると気密性が劣る

・結露が起きやすい

 

外断熱と内断熱の性能を比較

 

比較項目

外断熱

内断熱

断熱性能

◎(優れている)

〇(標準的)

気密性

結露防止

省エネ性

コストが安い

ランニングコストがかからない

外断熱が向いているケース

  • 北海道・東北・北陸などの寒冷地
  • 初期投資に余裕がある
  • 長期的にコストを削減させたい
  • RC造、高気密高断熱を重視したい
  • 敷地に余裕がある
  • 建物の外壁はシンプルなデザインが好み

 

北海道・東北・北陸などの寒冷地では、厳しい冬の寒さから室内を守るため、高い断熱性能が必要です。外断熱なら建物全体を断熱材で包み込むため、暖房効率が格段に向上します。

 

コスト面では、初期投資に余裕があり、30年、50年という長期スパンでランニングコストを考えられる方におすすめです。初期費用は内断熱より外断熱の方がかかりますが、年間の冷暖房費を削減できるので、長期的には初期費用を回収できるでしょう。

 

建物の構造では、特にRC造(鉄筋コンクリート造)との相性が良く、建物の寿命を延ばせます。外断熱は外壁が厚くなるため、敷地に余裕が必要です。また、施工の特性上、複雑な凹凸のある外観より、シンプルでスッキリとしたデザインの建物に適しています。

内断熱が向いているケース

  • 九州・中国地方など比較的温暖な地域
  • 限られた予算内で対応したい
  • 敷地が限られている
  • 建物の外壁にこだわりたい

 

九州や中国地方のような比較的温暖な地域では、内断熱でも十分な断熱性能を発揮できるケースが多いです。内断熱でも地域の気候に適したコストパフォーマンスの高い家づくりが実現できます。

 

内断熱は柱と柱の間に断熱材を充填していくという比較的シンプルな工法のため、「コストを抑えながら断熱性能を確保したい」というケースに最適です。限られた予算を住宅設備や内装など、ほかのこだわりたい部分に充てられます。

 

また内断熱は、壁の内部に断熱材を施工するため、建物の外側のサイズに影響を与えません。都市部などで敷地面積に限りがある、敷地を最大限に有効活用したいという方は、内断熱を検討しましょう。

 

内断熱は外壁材を自由に選べるので、タイル・レンガ・サイディング・塗り壁などの外壁も採用できます。

デメリットを知って、後悔しない外断熱を選ぼう

外断熱は気密性が高いので光熱費が抑えられ、建物の寿命が長くなるメリットがありますが、以下のようなデメリットがあります。

 

外断熱のデメリット

  • 外壁が厚くなる
  • 初期費用がかかる
  • 工期が長くなる
  • 湿気がこもりやすくなる
  • 外観のデザインが変わる

 

外断熱と内断熱の違い

 

外断熱

内断熱

おもな建物の構造

RC造・木造・鉄骨造すべてに対応

木造住宅で一般的

断熱材の設置場所

・建物の外側(柱の外側)

・建物全体を包み込むように施工する

・柱と柱の間(柱の内側)を断熱材で満たす

断熱層の形成

構造体全体を断熱材で覆う

構造材の間に断熱材を入れる

メリット

・高い気密性により結露がほぼ発生しない

・小屋裏や床下を有効活用できる

・天候の影響を受けにくく、工期が延びるリスクが少ない

・狭小住宅やこだわったデザインにも対応可能

デメリット

・コストや工期がかかる

・外壁が厚くなり、敷地や間取りに余裕が必要

・外断熱と比べると気密性が劣る

・結露が起きやすい

 

外断熱と内断熱の性能を比較

 

比較項目

外断熱

内断熱

断熱性能

◎(優れている)

〇(標準的)

気密性

結露防止

省エネ性

コストが安い

ランニングコストがかからない

 

地域の気候・予算・建物の構造・ライフスタイルなどを考慮すると、以下のような方は外断熱を検討しましょう。

 

  • 北海道・東北・北陸などの寒冷地
  • 初期投資に余裕がある
  • 長期的にコストを削減させたい
  • RC造、高気密高断熱を重視したい
  • 敷地に余裕がある
  • 建物の外壁はシンプルなデザインが好み

 

「家の断熱性を上げたいけど、外断熱と内断熱どちらがいいの?」という方は、ぜひユニテへご相談ください。建物の断熱方法は、地域の気候・予算・建物の構造・ライフスタイルなどを考慮し、専門家と相談しながら最適な方法を選ぶことが大切です。

 

ユニテはお客様一人ひとりのライフスタイルや住環境に合わせて、最適な断熱プランをご提案いたします。ユニテは多くの古民家リノベーション実績があり、雪が多く、日本海側特有の厳しい冬である富山の特徴に合ったご提案が可能です。

 

省エネ性や耐久性に優れた快適な住まいをお考えなら、リノベーション実績が豊富なユニテにお気軽にご相談ください!