
マンションにお住まいの方なら、「いつか建て替えが必要になるのでは?」と考えたことがあるのではないでしょうか。本記事では、マンションの平均寿命や建て替えの平均年数などを解説。マンション建て替えの基準となるポイントが知りたい方は必見の内容です。

株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
マンションにお住まいの方なら、「いつか建て替えが必要になるのでは?」と考えたことがあるのではないでしょうか。マンションは半永久的に住み続けられるものではなく、いずれ大規模修繕や建て替えの時期が訪れます。
この記事では、マンションの建て替えについて以下のポイントを解説します。
- マンション建て替えの平均年数
- マンションの平均寿命
- マンションの建て替えの基準となるポイント
- マンションを建て替えるまでの流れ
マンションの建て替え年数や寿命が知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
マンション建て替えの平均年数は約40年

あなたのマンションはいつ建てられましたか?将来の計画や資産価値を考える上で、築年数は重要な目安になります。
東京カンテイが建て替えられたマンションを検証すると、一番多いのが築40〜50年の34.4%、続いて築30〜40年が28.6%、平均築年数は40. 3年という結果になりました。
また、国土交通省の分析でも、建て替えが決まったマンションの平均築年数は独立型マンションが37. 7年、団地型は43. 5年となり、平均40.6年という結果に。
このことから、マンションの多くは「築40年前後」で建て替えを検討するタイミングをむかえます。
マンションの建て替え年数に関する基準

耐用年数は、マンションの寿命を判断する目安のことです。マンションの耐用年数には、大きく分けて以下の3つの考え方があります。
- 法定耐用年数
- 物理的耐用年数
- 経済的耐用年数
マンションの耐用年数を理解し、資産価値や将来の建て替え時期の目安にしましょう。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、法律で決められた建物の標準使用期間のことです。法定耐用年数は、実際の建物の寿命ではなく、税金を計算するために使われる数字となります。建物の構造別でみた、新築時の法定耐用年数は、以下のとおりです。
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国土交通省:耐用年数表
多くのマンションは、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられており、法定耐用年数は47年と決められています。法定耐用年数はマンションの本当の寿命ではなく、お金の計算のための決まりです。きちんと手入れされたマンションは、法定耐用年数よりも長く使えるケースが多いです。
物理的耐用年数
経済的耐用年数は、建物を直して使い続けるよりも、建て替えた方が経済的にお得になる時期のことです。
古いマンションに住んでいると、エレベーターが壊れたり、水道管が錆びたりして、修理にお金がかかるようになります。
「このマンションを修理し続けるより、新しく建て替えた方が長い目で見てお金がかからない」と判断できる時期が、経済的耐用年数です。
マンションに住めたとしても、修理費用がかさんだり、新しい設備が使えなかったりすると、「建て替えた方が得」という判断になります。
マンションの平均寿命は68年
建物がどれくらい持つのかについて紹介しましたが、国土交通省によると、鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年です。
これは、自治体が管理している固定資産台帳というデータをもとに計算されました。しかし、同じ資料には、マンションの骨組みである鉄筋を守るコンクリートの寿命は、普通に手入れをしていれば120年、外壁などの仕上げをしっかり行えば150年になるとも記載されています。
マンションの平均寿命は68年ですが、きちんと手入れをすれば長く快適に住み続けられるのです。
年数だけじゃない!マンションの寿命が決まるポイント

築40年をすぎると「このまま直して住み続けるか」「建て替えるか」を考えられるケースが多いですが、耐用年数や築年数が過ぎたからといって、すべてのマンションが建て替えられるわけではありません。
マンションの寿命が決まるポイントを確認しましょう。
ポイント1.耐震基準を満たしていない
耐震基準は、地震による建物の倒壊を防ぎ、人命を守るために定められた建築物の強度に関する基準のことです。耐震基準は、マンションの建て替えが検討される大きなポイントとなります。
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建物の安全性を判断する上で、耐震基準は最も重要な指標の一つです。
1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたマンションは、現在の新耐震基準を満たしていない可能性が高く、建て替えが検討される可能性があります。
ポイント2.耐火性能が不足している
耐火性能とは、火事になったときに建物がどれくらい火に強いかを示す性能のことです。建物によって必要な耐火性能が異なり、それに合わせた対策が取られています。
マンションの多くは、建築基準法で定められた耐火構造であることが求められます。建築基準法は何度か改正されており、過去のものとは基準が大きく異なるため、耐火性能が不足しているマンションは、建て替えられるケースがあります。
マンションがどの程度の耐火性を持つかは、建築確認申請書を確認しましょう。
建築確認申請書の第四面に「耐火建築物」または「耐火構造」と記載があれば、耐火性能があると考えられます。建築確認申請書が見つからない場合は、設計図面・設計仕様書・パンフレット・ハウスメーカーなどが発行した証明書で確認しましょう。
ポイント3.老朽化している
給排水管の詰まり・漏水・給湯器の故障・電気容量の不足など、日常生活に不可欠な設備機能が低下すると、住民の生活に大きな支障が出ます。
マンションの老朽化が進み、部分的な修理では対応しきれない場合に建て替えが検討されるケースが多いです。
定期的にメンテナンスされていれば、寿命は長くなりますが、給水管や排水管が建物の内部に設置されているマンションは、修繕や交換が困難なため結果的に建て替えを選択されます。
また、老朽化し安全性や快適性が損なわれたマンションは、市場での評価が下がり売却時や賃貸時の価格が低下するため、建て替えが検討されるケースもあります。
マンションを建て替えるまでの流れ

マンションはどのような流れで建て替えられるのでしょうか?マンションが建て替えられるまでの流れを紹介します。
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マンション建て替えの費用や負担額
分譲マンションを建て替えるときは、原則所有者である住民が建て替え費用を負担します。
マンションを新しく建て替えると、約1,000万円から3,000万円程度の費用がかかるのが一般的です。
さらに、建て替え工事の間の仮住まいへの引っ越し代が2回、約2年間の仮住まいでの家賃もかかります。これらすべてを考えると、最低でも1,500万円くらいは準備しておいた方が安心です。
しかし、マンションの資産価値や、これまで修繕のため積み立てた金額の状況で変動するため、場合によっては相場を超過するケースもあります。
マンション建て替えの注意点
マンションの建て替えが決まると、仮住まいが提供される場合もありますが、基本的には個人で準備することが多いです。住宅ローンが残っている場合は、一時的にローンと仮住まいの家賃の二重払いが発生する可能性があります。
マンションが解体されたあとも、元のマンションの固定資産税や都市計画税の支払いが必要です。仮住まい期間中の経済的負担(家賃、ローン、税金)は大きくなるので注意しましょう。
マンションの所有権があると、建て替えにかかる費用の一部を負担する可能性があります。最終的な負担額は、マンションが完成したあとに建築費や建て替え期間中の管理費などをふまえて決まるのが一般的です。
マンションの建て替えは、一般的に約2年以上と長期にわたります。通学や通勤に時間がかかったり、慣れない環境でストレスを感じたりすることもあるでしょう。
仮住まいを決めるときは、通勤・通学のアクセスを最優先に考え、元のマンションに近い場所を選べば、生活の変化を最小限に抑えられます。
マンションの建て替え平均年数は約40年、寿命は68年

マンションは永遠に使えるものではなく、建物にも寿命があります。マンションの建て替えを決める基準はいくつかありますが、法定耐用年数は47年、物理的耐用年数は鉄筋コンクリート造であれば100年以上です。
土地・環境・管理状態によって変動しますが、日本のマンション建て替えの平均年数、平均寿命を目安に、ご自身のマンションの将来について考えましょう。
マンションの平均寿命:68年
建て替えには1,000から3,000万円程度の個人負担が発生するため、長期的な資金計画が重要です。マンションを長く良好な状態で維持するためには、自分の住まいの将来を考え、マンションの寿命と建て替えについての知識を持ちましょう。
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