
客間としてもリビングとしても活用できる土間は、おしゃれな一方で冬は冷えやすくお悩みの方も多いのではないでしょうか。土間で暖かく過ごす方法はあります。簡単にできる改善策から根本的な解決策、リノベーションで使える補助金を紹介します。
目次
「土間にいると、体が芯から冷える」
「どこから冷気が入ってきているのかさえ分からない」
「暖房やストーブをつけても、室内が暖まらない」
とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
土間は、床や壁など、さまざまな場所から外気が入ってきやすい場所です。土間の寒さを解決するために、まずは土間が冷える原因を知って、適切な対処法を取ることが大切です。
寒さを放置していると、体が冷えるだけではなく、ヒートショックや血流の悪化といった健康リスクも避けられません。
土間を快適な空間に変え、心地よく過ごせるよう、次の7つをお伝えします。
- なぜ土間は寒いのか
- 土間の寒さを放置するリスク
- 土間の寒さを今すぐ改善する方法
- 土間の寒さを根本から解決する方法
- 土間の断熱にかかる費用
- 土間断熱に使える補助金
土間の断熱性を高め、安心して暮らせる室内環境へと変えていきましょう。
なぜ土間は寒いのか
土間は、広めの玄関として、もしくは土足のまま過ごせるリビングダイニングとして使われる、利便性やデザイン性の高さでも人気な空間です。
夏は涼しく過ごしやすいですが、冬は冷えやすいため、断熱対策が最も必要とされる場所でもあります。
土間が冷えやすい理由は、以下の3つです。
- 室温が逃げやすい
- 隙間風が入りやすい
- 床材を敷いていない
室温が逃げやすい

窓や玄関ドアなどの開口部を通じて室外へ出る熱は、家全体の6割を占めています。
土間は、家の中で最も大きい開口部とも言える玄関がある場所。
さらに、土間が広ければ広いほど窓の数や面積も多くなるでしょう。
暖房やストーブで室内を温めても、温まった室温は外に逃げてしまいます。
そのため、熱がこもらず冷える傾向にあります。
隙間風が入りやすい

開口部が多い空間は、換気力や採光に優れて湿気が溜まりにくいとされる一方で、隙間風が入りやすいデメリットがあります。
室温を上げても、冷えた外気が室内に流れてきてしまいます。
そのため、土間は比較的冷えやすいのです。
床材を敷いていない

土足で歩けるようにデザインされている土間は、フローリングなどの床材が敷かれていないことが一般的です。
土間によく使われているのは、コンクリート・モルタル・タイル・天然石といった熱伝導率が高い材料。
土の冷たさを、ほぼそのまま伝えてしまうため、底冷えしやすい空間になっています。
土間の寒さを放置しておくリスク
土間の冷えを放置していると、次の6つのリスクがあります。
- 電気代がかかる
- 結露が発生しやすくなる
- カビが生じやすくなる
- アレルギー発症のリスクがある
- ヒートショックのリスクがある
- 血流が悪くなる
電気代がかかる

土間の寒さを和らげるために、暖房やストーブを付ける方は多いでしょう。
しかし、冷えやすい空間を温めるためには設定温度を高める必要があり、効率が悪く、一般的な室内よりも電気代が高い傾向にあります。
また、室内を温めたとしても、温かい空気は上に溜まってしまいます。
立っているときは暖かいと感じても、床やイスに座ると、ひんやりと感じることもしばしば。足先の冷えの原因にもなります。
結露が発生しやすくなる

毎朝、窓などの開口部に溜まった結露を拭いている方は多いのではないでしょうか。
結露は、窓やドアの表面温度と室温の差により発生します。
窓やドアは断熱施工がされていない限り熱伝導率が高く、冬になると表面温度が下がります。
そのため、温まった室温との差が生じ、結露が発生します。
カビが生じやすくなる

カビといえば露のようなジメジメとした季節を想像するかもしれません。
しかし、冬は結露によるカビが発生しやすい時期。
断熱施工をしていない場合は、こまめに結露を拭き、カビが発生しないように予防する必要があります。
アレルギーを発症しやすい

小さなお子さんがいる家庭で気を付けたいのが、カビによるアレルギーです。
カビの胞子はとても小さいため、吸い込むと副鼻腔に感染したり、気管支にまで到達する恐れがあります。
アレルギーだけではなく、ぜんそくの発症や悪化につながる可能性もあります。
ヒートショックのリスクがある

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、血管や心臓に大きな負担がかかることです。これにより、心筋梗塞や脳梗塞などが引き起こされ、場合によっては命にも関わります。
特に冬場の寒い時期、体が冷えた状態で入浴すると、急激に血圧が低下します。
ご高齢の方がお住まいの場合は、断熱性を高め、室内が冷えにくいよう工夫することが大切です。
血流が悪くなる

寒い空間にいると血流が悪くなり、肩まわりが凝りやすくなったり、自律神経が乱れやすくなります。
寒い時期に血流が悪くなる理由は2つです。
- 体温維持のため血流を体の中心に集めるため、末端まで血液が届きにくくなる
- 寒さから体を守るために肩を内側に巻くなくなどして、筋肉を収縮させる
寒い時期は体が疲れやすい方や、気持ちが乱れやすい方は注意が必要です。
土間の寒さを今すぐ改善する方法
土間の寒さを今すぐ改善したい場合、市販で買えるグッズなどを利用して断熱性を高めることができます。
根本から解決するわけではないですが、少しでも状況を改善したい場合は、試してみてください。
具体的な方法は、以下の5つです。
- サッシに隙間テープを貼る
- 窓に断熱シートを貼る
- カーテンを設置する
- カーペットを敷く
- サーキュレーターを使う
サッシに隙間テープを貼る

開口部では、サッシのわずかな隙間から外気が入ってきてしまいます。
隙間テープは数百円もしくは1000円代で購入できる、非常にお手軽な解決策です。
テープの厚みがサッシの隙間を埋め、隙間風を防いでくれます。
サッシ形状に合うテープを購入しないと効果が落ちてしまうので、購入前にサッシの形や大きさを確認しておきましょう。
窓に断熱シートを貼る

冬に窓全体が結露で濡れてしまうという方におすすめのグッズが断熱シートです。
結露が発生しているということは、窓の室内側の表面が外気に影響されて冷えているということ。
つまり、冷気が室内に伝わっていることを意味します。
断熱シートを貼ることで、窓の表面温度の低下を抑え、室内を気温の低下や結露から守ります。
お手軽に済ませたい方は、商品の包装などに使われているプチプチでも代用可能です。
カーテンを設置する

玄関が広く、かつ直接廊下や居間に繋がっている場合は、玄関の前にカーテンを置いておきましょう。
冷気が直接室内に入るのを防ぎ、気持ちばかりですが温度の低下を防いでくれます。
窓などの開口部にカーテンを設置している場合は、窓の高さよりも長めのカーテンを選ぶことがおすすめ。
そうすることで、隙間風などが室内に伝わりづらくなります。
カーペットを敷く

土間は地面の冷たさが直接伝わりやすいため、カーペットを敷いておくことがおすすめ。
リビングやダイニングを土足で過ごしたい方は、土足対応のカーペットを選びましょう。
定番のクッションフロアやタイルカーペットから、ふんわりとしたラグまで、さまざまな種類の土足用カーペットが販売されています。
サーキュレーターを使う

サーキュレーターを使うと、室内の空気が循環し、暖房使用時により効率的に温まりやすくなります。
暖房を使っても一か所ばかりが温まる場合や、足元まで暖気が降りて来ず、冷えを感じる場合におすすめ。
暖房の設定温度を上げるよりも、サーキュレーターと併用して使った方が、電気代は安くすみます。
土間の寒さを根本から解決する方法
市販のグッズなどで寒さをしのぐことは可能です。
しかし、帰宅時や寝起きなど、暖房が切れている時間に土間に行くと、一気に身体が冷えてしまうという方もいるのではないでしょうか。
また、気持ちマシにはなったものの、やはり寒さは感じるという方もいるでしょう。
寒さを根本から解決するためにおすすめなのが、断熱工事です。
断熱建材を使用することで室内を外気から守り、夏は涼しく冬は暖かく過ごせる空間を叶えてくれます。
断熱工事が可能な箇所は、次の6つです。
- 外壁
- ドア
- 窓
- 床
外壁の断熱施工

外壁の断熱性を高めることで、夏は太陽熱が室内に伝わりづらく、冬は冷気が侵入しづらくなります。
施工方法は、主に3種類に分けられます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
家全体をしっかり断熱したい場合は、外断熱がおすすめ。
家全体を覆う分、費用は高い傾向にありますが、ムラや隙間が生じづらいため、高い断熱効果が期待されます。
一方で、一部の部屋だけ断熱したい方は内断熱で十分でしょう。
壁の内側に断熱材を入れるためムラが生じる可能性があり、一か所だけ断熱効果が下がるといった可能性があります。
そのため、施工実績のあるリフォーム会社にお願いすることがおすすめです。
ドアの断熱施工

通常、玄関ドアはアルミ製のものが多く、熱伝導率が高いです。
そのため、玄関にほど近い土間には外気が侵入しやすく、冬は冷えやすい傾向にあります。
通常のアルミ製のドアから断熱性能の高い玄関ドアに取り替えると、廊下の温度が3度上がったという例も報告されています。
特に玄関ドアの古さや建付けの悪さを感じている方は、新しいドアに取り替えるついでに、断熱ドアを検討してみるといいでしょう。
断熱ドアは、主に次の3種類に分けられます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
Low-Eガラスとは、表面に金属膜をコーティングさせたもの。高い断熱性と遮光効果があります。玄関のガラス部分に導入されることが多く、結露が発生しにくいことでも知られています。
アルゴンガス入りのガラスとは、内部にガスを封入することで断熱性能を高めたものです。
断熱性能の高いドアは、ガラス部分にも、こうした断熱施工がほどこされています。
断熱性能が高いほど、ドアの取り替えにかかる費用は高くなります。節約のために安いものを購入すると、十分に効果を感じられないこともあるので注意しましょう。
窓の断熱施工

窓はドアと同じく外気を室内に伝えやすい場所です。
窓の断熱性を高めると、室温を安定させるだけでなく結露も防げます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
特に断熱効果が高いといわれているのが、二重窓です。
二重窓のサッシ部分に樹脂が用いられていることが多く、熱伝導率が低いためです。
一方ペアガラスに取り替える場合は、まず現在のサッシの材質を確認してみましょう。
アルミ製のサッシであれば熱伝導率が高いため、ガラス部分の断熱性を高めてもサッシから外気が伝わってしまいます。
しっかりと断熱性を高めたい場合は、樹脂サッシへの交換も検討してみてください。
床の断熱施工

足元の冷えが気になる方は、床の断熱施工がおすすめです。
ただし、通常のリビングや廊下のように床材が敷かれてる場所とは異なり、土間は床材がないため基礎部分に断熱材を入れる必要があります。
建設時に基礎部分に断熱材が入っている場合もありますが、それでも冷えが気になる方は床暖房の設置が可能。
足元からしっかりと冷えるため、快適さは各段にアップします。
こちらも基礎部分への施工が必要なため、高額な費用がかかります。
土間の断熱にかかる費用
ご紹介した各箇所の施工にかかる費用目安は以下の通りです。
断熱施工を検討する際の参考にしてください。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
必要な断熱施工が分からないときの解決策
「断熱施工をしたいけど、できるだけ費用は抑えたい」
「土間のなかでも、何が冷えの原因なのか自分では分からない」
といったお悩みを抱えている方も多いでしょう。
できる断熱施工をすべてやるに越したことはありませんが、高額な費用がかかってしまいます。
家によっては、建築時にすでに外壁や床下に断熱施工がされている場合があります。
そのため、まずはリフォーム会社に相談し、しっかりと現在の家の様子を調べてもらいましょう。
そのうえで、予算や希望を考慮しながら必要な施工内容を決めることがおすすめです。
土間を断熱したいときは補助金が利用可能です

土間の断熱性を高めたいけれど費用が心配という方は、補助金を検討してください。
断熱ドアの設置の際に使える補助金を、3つ紹介します。
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 先進的窓リノベ2025事業
- 断熱リフォーム支援事業
子育てグリーン住宅支援事業
エネルギー高騰や物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯を中心に、省エネ機能の導入を促進するための事業です。
土間での施工をお考えの場合は、SタイプもしくはAタイプの補助を受けられます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
必須工事
- 開口部の断熱性能を高める施工
- 構造体の断熱性能を高める施工
- エコ住宅設備の設置
先進的窓リノベ2025事業
既存住宅の省エネ化と二酸化炭素の排出量削減を目指して実施されている補助金です。
高断熱窓やドアを設置する際に利用できます。
|
|
|
|
断熱リフォーム支援事業
断熱性を高めることを目的にリフォームする際に利用できる補助金です。
「トータル断熱」を利用すれば、土間の断熱施工に対する補助を受けられます。
|
|
|
|
補助金を受けるときの注意点

補助金を利用して断熱施工を行いたい場合は、できるだけ早く申し込みをするようにしましょう。
補助金制度は、年度予算が決まっている場合がほとんど。
予算に達した場合は、来年度まで申し込みができません。
しかし、諦めなくても大丈夫です。
お住まいの自治体で利用できる補助金も検討してみてください。
自治体の窓口での相談か、一般社団法人「住宅リフォーム促進協議会」が運営している支援制度検索サイトで検索すると、簡単に見つけられます。
富山県で土間の断熱工事を検討している方は、ユニテにご相談ください!
一級建築士が在籍しているユニテは、大規模なリフォームから部分的改修まで、幅広い施工が可能です。
土間全体の断熱性能の底上げはもちろん、ドアや窓のみなど一部分の施工依頼も歓迎です。
まずはお悩みをお聞かせください。家の状態などもしっかりと確認しながら、ベストな施工案を提案いたします。
まとめ
今回は土間が冷える原因と断熱施工の種類や効果をお伝えしました。
【今回ご紹介した内容はこちら】
- なぜ土間は寒いのか
- 土間の寒さを放置するリスク
- 土間の寒さを今すぐ改善する方法
- 土間の寒さを根本から解決する方法
- 土間の断熱にかかる費用
- 土間断熱に使える補助金
ご自宅の土間の冷えの原因を知り、しっかりとアプローチできる断熱方法を取り入れる際の参考にしてください!