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底冷えする玄関を快適に!引き戸を断熱するメリットや方法・実例も紹介

引き戸タイプの玄関は、隙間から冷気が侵入しやすく、冬場の寒さ対策が重要です。本記事では引き戸の玄関が寒い理由や断熱する方法を解説します。断熱性の高い引き戸の玄関にしたユニテの実例も紹介。冬の暮らしを快適にしたい方は、ぜひ最後までご覧ください

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

引き戸タイプの玄関は、お子様からご高齢の方まで使いやすく、デッドスペースが少ないため近年注目されています。しかし、隙間から冷気が侵入しやすく、冬場の寒さ対策が重要です。

 

この記事では引き戸の断熱について以下のポイントを解説します。

 

  • 引き戸の玄関が寒い理由
  • 引き戸の玄関を断熱する方法
  • 断熱性の高い引き戸
  • 断熱性の高い引き戸の玄関にしたユニテの実例

 

引き戸でも暖かな玄関で、冬の暮らしを快適に過ごしましょう。

引き戸の玄関が寒い理由

引き戸はレールに沿って扉を左右にスライドさせて動かす玄関です。

引き戸の玄関は、引き戸の玄関は、以下のような構造的な特性などによって寒くなりやすい特徴があります。

 

  • 熱の流出入が多いから
  • 玄関の気密性が悪いから
  • 玄関の床が冷気を伝えやすいから

熱の流出入が多いから

建物の熱の流出入が最も大きいのが、引き戸の玄関や窓などの開口部です。玄関などから室内の暖かい空気が逃げやすく、外からの冷気も侵入します。

 

冬場の室内の暖かさを逃がす原因として、玄関などの開口部が58%と最大の割合を占めています。これに対し、床からは7%、屋根からは5%と、開口部からの熱逃げが圧倒的に大きいことがわかります。
参考:日本建材・住宅設備産業協会

 

玄関など開口部の断熱対策をすれば、快適に過ごせるだけでなく、冷暖房効率が上がるので電気代も節約できます。

玄関の気密性が低いから

構造上引き戸の玄関は気密性が低いため、寒くなりやすい傾向にあります。扉を左右にスライドして開閉するため、ドアと枠の間に隙間が生まれやすく、外気が侵入しやすいからです。

とくに古い引き戸の玄関では、レールやパッキンの劣化によって隙間から冷たい空気が侵入してしまいます。

 

玄関の耐用年数は木製ドアは22年、アルミドアは19年となっています。長年お住まいのお宅で、玄関の寒さが気になっているなら、これを機に玄関ドアの取り替えをご検討しましょう

玄関の床が冷気を伝えやすいから

玄関の寒さ問題は、引き戸からの冷気だけが原因ではありません。玄関の床からも冷気が上がってきます

多くの住宅では、玄関は雨から建物を守るため、耐水性の高い屋外用タイルやコンクリートなどで作られるケースがほとんどです。
タイルは外気温の影響を受けやすいため、冬は玄関の床が冷えて足元から寒さを感じやすくなります。

 

また、玄関はほかの部屋と比べて断熱材が少ないか、施工されていないケースが多いです。さらに、玄関は床下空間がないため、地面からの冷気が直接伝わりやすく、玄関を冷やしてしまいます。

引き戸の玄関を断熱すると

引き戸の玄関を断熱すると、以下のような効果が期待できます。

 

  • 快適な室温を保てる
  • 光熱費が削減できる
  • 結露を防げる

 

引き戸の玄関を断熱すると、快適な室内環境と省エネに大きく影響を与えます。詳しく見ていきましょう。

快適な室温を保てる

引き戸の玄関を断熱すれば、玄関周辺や室内全体の温度が安定します。熱が逃げやすい場所である玄関を断熱すれば、外気温(寒さや暑さ)の影響を受けにくくなるからです。

 

実際に、WHOは冬季の室温を18℃にすることを推奨しています。

暖かい部屋と寒い部屋との温度差があると、血圧が大きく変動し、ヒートショックの原因になることも。快適な室温を保てれば、健康にすごせ、ヒートショックのリスクを軽減できます。

光熱費が削減できる

引き戸の玄関を断熱すると、暖かい空気が逃げにくいので、省エネに繋がります。
熱貫流率(Uw)の値が小さいほど、断熱性能が高く優秀な玄関です。1日に節約できる電気代を計算式で求めてみましょう。

 

計算式

熱貫流率(熱の伝わりやすさの目安)×開口部の面積×室内外の温度差×空調の使用時間÷1000×電気料金の単価

 

リクシルの引き戸「エルムーブ」に交換したとして、それぞれあてはめて計算してみましょう。

 

 

熱貫流率(Uw)

3.1

開口部の面積

玄関の縦と横の長さから求める

 1838ミリ × 2150ミリ=約 4㎡

室内外の温度差

室内(18℃)ー室外(5℃)=13℃

空調の使用時

例 12時間

1000

熱貫流率からはWを求めます。

電気代の計算はkWが必要なので、W→kWに変換する。

電気料金の単価

電気代を計算するときには「1kWhあたりいくら」という電気量単価を使用します。

おおむね全国平均で27円/kWh

 

3.1×4×13×12÷1000×27=約52 1日52円なので、30日だと1,560円になります。

1年間に換算すると、18,720円ほどの節約に!

このように、断熱性の高い引き戸にすると、電気代の節約に繋がります

結露を防げる

引き戸の玄関を断熱すると、冬の結露を防げます。断熱して室内と外気の急激な温度差を和らげれば、結露の発生を防げるからです。

 

暖かい室内の空気が冷たい玄関に触れると、空気中の水分が冷やされて水滴となって付着します。断熱すると、玄関の表面温度が室温に近く保れるので、空気中の水分が結露しにくい環境を作るのです。

 

結露はカビを繁殖させたり、玄関の嫌な臭いの原因になったりします。玄関の断熱性を高め、結露を防ぎましょう。

手軽に引き戸の玄関を断熱する方法

引き戸の玄関を断熱する方法は、以下のような選択肢があります。ここではDIYでも行える断熱方法を紹介します。

 

  • 隙間テープを貼る
  • 断熱シートを貼る
  • カーテンを取りつける

隙間テープを貼る

引き戸のサッシ部分に隙間風を防ぐテープを貼って、冷気や熱気の侵入を抑えましょう。

引き戸は扉を左右にスライドして開閉するため、ドアと枠の間に隙間が生まれやすく、外気が侵入しやすいです。とくに古い引き戸の玄関では、レールやパッキンが劣化し、隙間から冷たい空気が侵入してしまいます。

 

ホームセンターなどで購入できるスキマテープは、柔らかいクッションを粘着テープで固定します。取り付けが簡単で自分でも対応できますが、あくまでも簡易的な対策です。玄関の本格的な断熱対策にはなりません。

断熱シートを貼る

ガラス部分が大きいタイプの引き戸なら、ガラス部分に断熱シートを貼りましょう。こちらもホームセンターなどで購入でき、窓やドアに直接貼り付けて使用します。

断熱シートを貼るときは、表面の汚れや油分を完全に除去し、引き戸を開閉する際に貼ったシートが干渉しないか確認しましょう。

 

玄関は来客を迎え入れる住まいの顔としての役割もあります。玄関に直性断熱シートを貼るため、見栄えが悪くなる可能性も考慮しましょう。

カーテンを取りつける

玄関に断熱カーテンを取り付けるのも効果的です。

断熱カーテンは、裏地に断熱素材を使用し、空気層を作って熱を遮断します。つっぱり棒を使って設置するタイプや、マジックテープを両面テープで取り付けるタイプがあり、季節で取り外し可能です。

 

玄関の前に吊り下げるので、出入りの際は毎回カーテンを手で持ち上げて通り抜ける必要があり、使い勝手が少し悪くなります。また、断熱カーテンも玄関の断熱対策としては補助的な役割です。

断熱性の高い引き戸玄関にしよう

玄関の断熱を高めるには、気密性の高い引き戸に交換することが最も効果的です。断熱性の高い引き戸はどう違うのか見ていきましょう。

玄関ドアの内部に断熱材が入っている

断熱性の高い引き戸は、玄関ドアの内部に断熱材が入っています。

 

断熱材が入っていない玄関ドアは、ドアを通して室内外の熱が簡単に行き来してしまい、寒さが伝わりやすい状態です。これに対し、断熱材入りの玄関ドアは、断熱層が熱の出入りを防ぐため、外の温度に左右されにくい室内環境を保てます

 

玄関の断熱性を高めたいなら、それぞれのメーカーから販売されている断熱材が入った玄関ドアを選びましょう。

複層ガラスを採用している

ドアの断熱性を高めるなら、玄関ドアに使用されたガラスにも注目しましょう。

 

ガラスを1枚だけ使用する単層ガラスでは断熱効果に限界がありますが、複数枚のガラスの間に空気層を設けた複層ガラスなら、より高い断熱性能を実現できます。ガラスとガラスの間の空気層が、断熱材の役割を果たし、熱の出入りを抑えます。

 

空気より熱伝導率が約30%低いアルゴンガスをガラスとガラスの間に閉じ込め、さらに断熱効果を高めた玄関ドアもあります。

LIXILリシェント

断熱性の高い引き戸にしたいなら、LIXILのリシェントがおすすめです。お住まいの地域に合わせて効果的な断熱ができる玄関ドアです。

 

断熱仕様や高断熱仕様が選べ、特に雪が多い寒冷地向けには「高断熱仕様 ハイグレードモデル」が用意されています。
室内と外部の空間をしっかりと区切る「サーマルブレイク枠」などを採用し、より高い断熱性能を実現しました。

 

ユニテはLIXILリフォームショップです。施工前から施工後のアフターサービスはもちろん、地域に密着したご提案が可能です。

「玄関から廊下が寒い……」とお困りの方は、ぜひユニテへご相談ください。

断熱性の高い引き戸の玄関にしたユニテの実例

ユニテは年間1,000件以上のリフォームを手がけています。

断熱性の高い引き戸にリノベーションし、快適な玄関になったユニテの実例を紹介します。

【富山市】隙間風、寒さ対策に特化した玄関扉と内窓のリフォーム

築20年以上のこちらのご自宅は、冬はとくに寒さを感じる玄関でした。施工前は隙間風の音がするほどだったそうです。

 

リフォーム後も使い勝手のよい引き戸を採用。断熱性の高い玄関ですが、光が入るようになり、さらに暖かな玄関になりました。
また、結露に悩まされることもなく、掃除の回数も減ったそうです。窓にも内窓を付け、寒さに困らない快適な室内になりました。

 

リフォーム価格
玄関扉:約75万円
内窓:約223万円
洋室内装:約10.5万円
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施工総額:356万円
(諸経費・税などを含む)

 

【富山市】趣あるバリアフリーの家

築50年以上の長屋のN様邸。おわら風の盆開催地域にあるため、街並みに配慮した趣のある家にリノベーションしました。

 

以前は車庫と道路が道路に直面していましたが、間口を広げてゆとりある空間に。
車庫と玄関を一緒にしたことで、荷物の上げ下ろしも楽々ですね。以前は道路を車が通るたびに風を感じていましたが、玄関を駐車場の奥にしたので断熱性も高まりました

 

長屋の特徴である風の通り抜けを意識しながら暖かい室内になるよう、玄関や窓の配置を工夫しました。

断熱性の高い引き戸を取り入れて快適な玄関に!

建物の熱の流出入が最も大きいのが、引き戸の玄関や窓などの開口部です。冬場は玄関などの開口部から58%の暖かい空気が逃げてしまいます。

 

引き戸の断熱対策をすると
  • 快適な室温を保てる
  • 光熱費が削減できる
  • 結露を防げる

 

引き戸の玄関を断熱する方法
  • 隙間テープを貼る
  • カーテンを取りつける
  • 土間に断熱材を施工する
  • 気密性の高い引き戸に交換する

 

玄関の断熱を高めるには、気密性の高い引き戸に交換することが最も効果的です。

ユニテは多くのリフォーム・リノベーションを手がけています。それぞれのお客様がお住まいの地域の景観に配慮しつつ、デザインと機能性を兼ね備えたご提案が可能です。

ぜひユニテへお気軽にご相談ください。