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断熱塗料は効果ある?メリットや遮熱塗料との違いを解説

家を快適にするために必要な断熱性。この記事では断熱塗料の効果やメリット・デメリットについて詳しく紹介します。遮熱塗料との違いも解説しているため、選び方で悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

「断熱塗料って塗るだけでホントに効果あるの?」

 

「断熱塗料と遮熱塗料はどんな違いがある?」

 

家を快適にするために必要な断熱性。工事は大がかりでコストもかかるため、塗料を検討したい人も多いのではないでしょうか。

 

断熱塗料は効果があり、夏も冬も快適に過ごすことができます

 

この記事では断熱塗料の効果やメリット・デメリットについて詳しく紹介します。遮熱塗料との違いも解説しているため、選び方で悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。

断熱塗料の効果やメリット

断熱塗料とは家の外と中の熱の移動をおさえ、部屋の温度を快適に保つ効果がある塗料です。断熱塗料は以下の6つの効果があり、一年を通して快適な室温で過ごすことができます。

 

断熱塗料の効果
  • 室内温度を快適に保つ
  • 節電効果がある
  • 日差しを反射する
  • 防音効果
  • 結露防止
  • 耐久性が高い

 

断熱塗料の効果について以下から詳しく解説します。

室内温度を快適に保つ

断熱塗料は室内の熱の移動を抑制することができるため、部屋の室温を快適なまま保つことができます。断熱塗料には以下のようなメカニズムがあり、熱の移動を抑制することができます。

 

  • 赤外線の反射:太陽光を反射することにより建物の表面温度が上がるのを防ぐ
  • 熱伝導の抑制:熱を伝えにくくする成分が入っている

 

断熱塗料のガイナでは空気の層を持っている「中空セラミックビーズ」が入っており、塗料を塗ることで表面にビーズが敷き詰められる状態になります。

 

セラミックビーズは空気の層があるため、屋外の壁や屋根で受けた熱が部屋に入り込むスピードを緩やかにすることができます。

 

そのため、熱の移動が少ないため、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるでしょう。

節電効果がある

断熱塗料を塗ることで節電に繋がります。屋根や壁から太陽の熱がたくさん伝わる家は、エアコンをフル稼働させてしまうため電気代が多くかかる可能性があります。

 

断熱塗料を塗ることで、急激な温度上昇や低下を防ぐことができるため電気代の節約に繫がり、家全体の断熱性能を向上させる一つの有効な方法と言えるでしょう。

日差しを反射する

断熱塗料を塗ることで、日差しを反射し、建物の温度上昇を効果的に抑えることができます。

 

この塗料には赤外線を反射する特殊な顔料(色付けするための粉)や材料が含まれており、太陽光からの熱エネルギーを跳ね返すしくみとなっています。

 

太陽光のうち赤外線を反射することで、屋根や外壁に直接熱がこもることを予防します。反射効果により、室温の急激な上昇を防ぐことで、快適な部屋で過ごすことができるでしょう。

 

防音効果

断熱塗料には防音効果もあります。断熱塗料に含まれているセラミックは空気の層があるため、音の振動を家に伝えにくくすることができます。また、塗膜はたくさんの層によって成り立っているため音の振動を軽減することができます。

 

そのため、道路や線路に近い家や、雨音を小さくしたいと感じている人にもおすすめの塗料といえるでしょう。

 

結露防止

断熱塗料を塗ることで結露防止になります。上記で解説したように、室温の変化を少なくすることができるため結露しにくくなります。また、熱の伝わり方も緩やかであることも結露防止に繋がるでしょう。

 

断熱塗料は外壁だけでなく内装に使用することもできます。そのため、目に見えない場所での結露の予防にも役立ち、カビやダニの繁殖を抑え、家の劣化を遅らせることにも繋がるでしょう。

耐久性が高い

断熱塗料を塗ることで家の耐久性を上げることにも繋がります。

 

断熱塗料は一般的な塗料に比べ耐用年数が長く、長持ちしやすいメリットがあります。その他にも以下のような点から家の耐久性を高めることができます。

 

  • 結露防止:家のカビや劣化を抑えることができる
  • 温度変化の軽減:建材のストレスを少なくする
  • 紫外線から保護する:太陽光を反射できるためダメージを少なくできる

 

加えて断熱塗料は一般的な塗料よりも耐久性が高いため塗り替えの頻度を抑えることができ、コスパや手間を省くことにも繋がります。

 

上記のメリットから家の耐久性を上げ、長期的なメンテナンスコストの削減にも繋がるでしょう。

おすすめの断熱塗料

ここからはおすすめの断熱塗料を紹介します。

 

  • ガイナ
  • 断熱コートEX
  • キルコ

 

以下から詳しく解説します。

 

ガイナ

ガイナは株式会社日進産業の断熱塗料であり、以下のような特徴があります。

 

  • 高い断熱性能
  • 効果的な遮熱性能
  • 高耐久性

 

ガイナは日本の宇宙ロケット開発技術を応用して生み出された薄膜断熱材です。特殊セラミックビーズを独自の技術により断熱の塗料化に成功しました。

 

ガイナの塗膜成分の約80%がセラミックビーズであり、残りの20%が高品質なアクリルシリコン樹脂となっているため、高い性能と耐久性を実現しています。

 

加えて、中空セラミックビーズを大量に含んでいるため、0.5mmの塗膜に30~40層のセラミックビーズ層を形成し、優れた断熱効果を得られます。

 

引用:【GAINAとは】

断熱コートEX

断熱コートEXは東日本塗料株式会社が販売している断熱塗料です。特徴としては以下のとおりです。

 

  • トップコート不要の耐候性
  • 紫外線を反射させる特殊な遮熱顔料
  • 建物内部に塗ることで内部結露を抑制
  • 防藻・防カビ効果
  • 弾性塗膜が外部の雨水を遮断し、防水効果を持続させる

 

断熱コートEXは断熱性だけでなく、建物の保護や快適な環境づくりにおすすめの塗料です。省エネやメンテナンスの負担軽減を目指す方に適した塗料といえるでしょう。

 

引用:東日本塗料 断熱コートEX

キルコ

キルコは株式会社シンマテリアルワンが発売している断熱塗料であり、特徴は以下になります。

 

  • ハイブリット遮断熱塗料:断熱・遮熱どちらも兼ね備えている
  • 窓ガラス用省エネ塗料:窓ガラスに塗るタイプの塗料もある
  • 防カビ:新たな菌が近寄らなくなる技術あり

 

キルコを使用することにより室内温度を2℃~6℃抑制することができ、空調効率が上がり、約15~40%程度の電気代を削減できるといわれています。

 

そのため、熱中症対策や労働環境改善にもおすすめの塗料といえるでしょう。

 

引用:断熱・遮熱塗料 キルコ

断熱塗料と遮熱塗料の違い

断熱塗料と似た機能として遮熱塗料があります。それぞれの違いについて以下の内容を解説します。

 

  • 断熱塗料と遮熱塗料の違い
  • 断熱塗料がおすすめの人

断熱塗料と遮熱塗料の違い

遮熱塗料と断熱塗料の違いは以下になります。

 

  • 遮熱塗料:熱を反射して表面温度を下げる
  • 断熱塗料:熱を伝えにくくして温度変化を抑える

 

遮熱塗料は太陽光を反射する効果があります。太陽光を反射することにより、外壁や屋根の温度を下げることが目的の塗料です。

 

そのため、夏は部屋が暑くならず快適ですが、冬には恩恵を受けにくいことがデメリットといえるでしょう。

 

断熱塗料は熱を伝えにくくする効果があるため、夏と冬どちらも快適に過ごせるメリットがあります。

断熱塗料がおすすめの人

断熱塗料がおすすめの人は以下のとおりです。

 

  • 夏も冬も快適に過ごしたい人
  • 光熱費を削減したい人
  • 家の耐久性を高めたい人

 

断熱塗料は上記でも紹介したとおり、夏や冬でも快適に過ごすことができ、光熱費の節約にもなります。

 

加えて一般的な塗料よりも耐久性が高いため、家の持ちをよくしたい人にもおすすめの塗料と言えるでしょう。

遮熱塗料がおすすめの人

遮熱塗料がおすすめの人は以下のとおりです。

  • 駐車場や倉庫などの暑さ対策をしたい人
  • 暑さ対策が必要な家に住んでいる人

​​​​​​​

暑さ対策が必要な家として、金属屋根、吹き抜けがある、色が濃い家などがあります。上記の環境や家では太陽の熱を吸収しやすいため、部屋の温度が上がりやすい傾向にあります。そのため、遮熱塗料を選ぶことで夏の直射日光から家を守り、快適な空間にできるでしょう。

 

断熱塗料のデメリット

断熱塗料のデメリットについては以下の2つです。

 

  • コストがかかる
  • 期待した効果を得られないことがある

 

以下から詳しく見ていきましょう。

 

コストがかかる

断熱塗料は他の塗料に比べて費用が高めです。商品によって大きく異なりますが、一般的な塗料に比べ1.5~2倍コストがかかると言われています。

 

しかし、断熱塗料耐用年数は15~20年と長く、耐久性に優れているため一般的な塗料を何度も塗り直すよりもコスパがよいと言えるでしょう。

 

断熱効果による冷暖房費の削減もあるため、初期費用を上回るコストパフォーマンスが期待できます。特に、エアコンの使用時間が減ることで電気代が大幅に抑えられるケースもあるため、結果的に家計に優しい選択と言えるでしょう。

期待した効果が得られないことがある

断熱塗料を使用したが、効果を実感できないこともあります。以下のような建物は断熱塗料の効果を得られない可能性もあります。

 

断熱塗料の効果が得られにくい建物
  • すでに家の断熱性が高い家
  • 熱を吸収しにくい家(白い屋根や壁の家)
  • 気密性が低い家

 

断熱は塗料だけで解決できることは少なく、窓や床など他の対策と組み合わせることでより効果を実感することができます。特に窓からの熱の出入りは56%というデータもあり、開口部の工事の方が断熱効果を得られる家もあります。

 

まずは家の専門家に相談し、どんな工事が必要であるか検討してもらうとよいでしょう。

断熱リノベーションの紹介

ここではユニテでの断熱リノベーションの様子を2種類紹介します。

 

1つ目は発砲ウレタンと呼ばれる吹付の断熱材です。外側の壁や、天井に吹き付けていきます。吹き付け断熱は防音性もあり、劣化しにくいメリットがあります。

 

2つ目はスタイロフォームと呼ばれる板状の断熱材です。スタイロフォームは発砲プラスチック系の一周であり、吹き付けの断熱に比べ、湿気に強いとされています。そのため、玄関や浴室などの床に使われることが多いです。

 

詳しくは以下で紹介しているため、断熱工事に興味のある方は参考にしてみてください。

 

>>【ユニテのリノベ企画】【H様邸/富山市】断熱~窓設置~壁造作

 

また、ユニテのリノベーションの例は「リノベーション事例12選!ビフォーアフターを物件タイプ別に紹介します」で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

 

断熱塗料のよくある質問

断熱塗料のよくある質問をまとめてみました。

 

  • 断熱塗料は自分でも塗れる?
  • 室内の断熱塗料は意味ある?

 

以下から詳しく解説します。

 

断熱塗料は自分でも塗れる?

断熱塗料は商品によって素人でも塗れるかどうかが異なります。ガイナでは以下のような解説がありました。

 

  • ガイナの性能を発揮するには下処理や塗り方など専門的な知識が必要
  • ガイナの場合は塗装前に攪拌機を使わなければならない
  • 施行は職人の技術が品質を大きく左右する

 

※撹拌:液体を混ぜることで素材を均等にすること

 

ガイナではセラミック粒子が均等に混ざるように撹拌しなければ、本来の性能を発揮することができません。

 

しっかり断熱塗料の効果を得たいのであれば、プロや専門業者に依頼することをおすすめします。

 

引用:【ガイナビ】素人が自分でガイナを塗ることはできますか?

室内の断熱塗料は意味ある?

室内断熱とは室外の熱の侵入や、内部からの熱の漏れを防ぐことをいいます。室内断熱は以下のような方法があり、家の断熱に効果があります。

 

  • 天井断熱:天井裏に断熱材を敷き詰める
  • 断熱窓:カバー工法や内窓の取り付け
  • 床断熱:床下にマットやボードなどの断熱材を入れる
  • 浴室断熱:断熱タイプのユニットバスに交換する

 

工事に迷ったらまず窓と床から断熱するのがおすすめです。窓は熱の出入りが多く、床は足元が暖かいと満足感を得られやすいからです。

 

熱は窓から58%出ていくため、窓を断熱にすることでより高い効果を得ることができるでしょう。

 

引用:【デコ活】自宅を断熱リフォームして、健康・省エネな暖かい冬のおうち時間を♫

断熱塗料についてのまとめ

断熱塗料には以下の効果があります。

 

  • 室内温度を快適に保つ
  • 節電効果がある
  • 日差しを反射する
  • 防音効果
  • 結露防止
  • 耐久性が高い

 

夏や冬を快適に過ごすことができたり、家の耐久性を高めることができたりすることが大きなメリットです。また、防音効果もあるため道路や線路沿いに近い家の人におすすめの塗料といえるでしょう。

 

しかし、断熱塗料だけでは十分な快適性を得られない可能性もあるため、断熱工事も同時に行うことでより満足して生活できるでしょう。

 

特に窓や床の断熱工事は効果が得られやすく、満足度も高いためおすすめです。快適な家で生活したい人は家のリノベーションも同時に検討してみてはいかがでしょうか。