耐震工事をしたいけれど、費用が高いため補助金を利用できるか知りたい人は多いのではないでしょうか。この記事では耐震工事の補助金について詳しく解説しているため、家のメンテナンスを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
目次
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
耐震工事をしたいけれど、費用が高いため補助金を利用できるか知りたい人は多いのではないでしょうか。
家のメンテナンス費は高額であるため、制度を利用して家計の負担を減らしたいですよね。
結論から言うと、耐震工事は市によって条件や金額は異なりますが、補助金対象となることが多いです。
この記事では耐震工事の補助金について詳しく解説します。耐震工事で知っておきたいポイントも紹介しているため、家のメンテナンスを検討している人はぜひ最後までご覧ください。
耐震工事は「耐震診断」「耐震改修」で補助がある
戸建住宅の耐震工事では以下の2つが補助金の対象です。
- 耐震診断
- 耐震改修
以下から詳しく紹介します。
耐震診断とは
耐震診断とは地震に対してどのくらい耐えられるか評価することであり、基礎と家に分けて建築士などが診断します。以下のような評価に応じて点数がつけられ、耐震工事が必要かどうかを判定します。
【木造住宅の耐震診断と補強方法】の一般診断法による判定
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建築士等が目視などにより壁の強さ・バランス・接合部を調査し、家の問題点を知ることができます。耐震工事を考えている方はまず耐震診断を受けて「工事が必要か」を判断するとよいでしょう。
耐震診断の補助金は依頼する場所によって以下のように変わります。
- 地方公共団体で診断を行う:国が1/2負担
- 民間事業者で診断を行う::2/3(国が1/3、地方公共団体が1/3
耐震診断では限度額があり家の1㎡あたり1,000円、簡易的な診断の場合は1戸につき30,000円の制限があります。その他の詳細な内容は以下のサイトを参考にしてみてください。
耐震改修とは
耐震改修とは地震に強い家にリフォームすることです。主な補強方法は以下の4つになります。
- 壁の補強:耐力壁を追加、耐震性能が高い材料で今ある壁を強くする
- 柱や梁の補強:耐力壁を追加、耐震性能が高い材料で強くする
- 基礎の補強:基礎部分を強化し、建物全体をしっかりと固定する
- 屋根の軽量化:建物上部にかかる重量を軽減し、揺れに対する負荷を抑える
耐震改修は壁や柱など建物の構造に関わる大切な部分を改修し、揺れに強い建物にすることができます。
耐震改修による補助制度は以下のものがあります。
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※金利に関しては毎月見直しがあるため、最新の金利は住宅支援機構のHPを参照してください
耐震改修は特に地震の多い地域で重要視されており、法的な基準に基づいた対策が進められています。制度によって改修の詳細は以下のサイトを参照ください。
住宅の耐震化の支援制度
耐震化の主な支援制度は以下の3つになります。
- リフォーム補助制度
- リフォーム減税制度
- リフォーム融資
以下から詳しく紹介します。
リフォーム補助制度
リフォーム補助制度は以下の2つに分かれます。
- 国が実施する制度
- 地方公共団体が実施する制度
耐震に関するリフォーム補助制度では『長期優良住宅化リフォーム推進事業』があり、現在の家を「評価基準」または、「長期優良住宅(増築)認定基準」まで向上できます。
補助限度額は以下のように事業タイプにより異なります。
- 評価基準型:1住戸につき80万円
- 認定長期優良住宅型:1住戸につき160万円
詳しい工事内容等は以下のサイトでご確認ください。
リフォーム融資(耐震工事)
金融機関ではリフォーム融資を受けることもでき、以下の耐震工事が対象となっています。
- 認定耐震工事
- 耐震補強工事
融資限度額は1,500万円(10万円以上は1万円単位)で受けることができます。金利は全期間すべて固定金利、返済期間は20年または年齢による最長返済期間が選べます。
詳しくは以下のサイトをご参照ください。
税制の特例措置
耐震工事費のめやすは100~150万円
木造2階建て住宅では100~150万円の工事が最も多く、半数以上が約190万円以下で行われています。
おおよその耐震改修に必要な費用は延床面積で求めることができ、めやすは以下になります。
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自宅の延べ床面積からめやすを把握し、補助率と掛け合わせることで必要な費用を計算することができます。
耐震診断や工事を検討すべき家
家の状況によって耐震工事が必要かどうか変わってきます。耐震工事が必要となる家の条件は以下になるため、当てはまる場合は修繕を検討しましょう。
- 昭和56年(1981年)より前に建てられたもの(旧建築法)
- 老朽化が進んでいる家
以下から詳しく紹介します。
昭和56年(1981年)より前に建てられたもの
1981年より前は『旧耐震基準』にて建てられた家であるため、耐震性が不十分なものが多いです。現行は『新耐震基準』であり、以下のような違いがあります。
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旧耐震基準では震度6~7の大地震への保証はありません。該当している家は耐震診断を実行い、建物の耐震性を把握しておきましょう。診断結果によって改修が必要な場合は工事や建て替えを検討することをおすすめします。
旧耐震基準と耐震改修については以下で詳細に紹介しているため、参考にしてください。
老朽化が進んでいる家
老朽化が進んでいる家は耐震診断や工事を検討しましょう。以下のような木造住宅は災害時に備えて対策が必要です。
- 基礎が弱くなっている家
- 瓦屋根などの重たい屋根を使っている家
上記内容は耐震改修にて改良することができます。特に上記で解説した旧耐震基準の建物は、築年数が経過しているため地震に備えた対策がより必要になります。
耐震工事における補助金・助成金の一例
耐震工事における補助金・助成金の一例を紹介します。
・東京都世田谷区
・横浜市
・大阪市
・京都市
以下から詳しく見ていきましょう。
東京都 世田谷区
世田谷区では以下のような補助金・助成金があります。
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注意点としては助成金交付決定前に契約をすると、対象外になってしまうことです。必ず申請し、交付が決定してから契約するようにしましょう。
横浜市
横浜市では以下のような補助金・助成金があります。
【対象】
- 昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された2階建以下の在来軸組構法の木造個人住宅(自己所有で、自ら居住しているもの)
- 上記の住宅で、耐震診断の結果、点数(上部構造評点等)が1.0未満と判定された住宅
【補助限度額】
- 一般世帯:100万円
- 非課税世帯:140万円
【受けられる制度】
- 耐震診断士の無料派遣
- 無料訪問相談
- 住宅除去の工事費補助(一般世帯:20万円 非課税世帯:40万円)
- 防災ベッド等の設置補助(防災ベッド・テーブル:20万円 耐震シェルター:40万円)
大阪市
大阪市では以下のような補助金・助成金があります。
【補助の条件】
- 大阪市内にある民間住宅であること
- 平成12年5月31日以前に建築された住宅であること
- 店舗等の用途を含む併用住宅は、半分を超える床面積が住宅であること
- 過去に国または大阪府並びに大阪市の同様の補助制度を活用し実施されたものでないこと など
【補助内容】
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京都市
京都市では以下のような補助金・助成金があります。
【対象の建物】
京都市内にある木造の一戸建て住宅、長屋、または共同住宅
【対象者】
対象建築物の所有者または居住者(予定を含む)
【補助金】
注)申請期間は2024年4月18日~12月27日まで
耐震工事の補助金申請から工事までの流れ
耐震工事の補助金申請から工事までの流れを紹介します。
- 耐震診断を行う
- 耐震改修計画を立てる
- 耐震改修工事を行う
まずは耐震診断を行い、自宅がどのくらい地震に耐えられるか、専門家に評価してもらいましょう。耐震診断は自治体によっては無料で行っているところもあります。お住まいの地域が対象か確認しておくとよいでしょう。
耐震診断後は結果をもとに「耐震改修計画」を作成し、主に改修の方法や工事内容、スケジュールも同時に決められます。耐震改修計画が完成したら、着工に進み工事が始まります。
耐震工事や補助金で知っておきたいこと
耐震工事や補助金で知っておきたいことは以下になります。
- 補助金制度は変わることもあるため確認が必要
- 家の雰囲気を変えたい人はリノベーションもおすすめ
以下から詳しく紹介します。
補助金制度は変わることもあるため確認が必要
補助金制度は期間が定められており、いつでも受けられるわけではありません。制度の変更により変わりやすいため、利用したい制度があれば早めに相談しましょう。
補助金制度の情報は以下のサイトがおすすめになります。
- お住まいの自治体サイト
- 国土交通省 耐震ポータルサイト
耐震工事にかかる費用は高額であるため、できるだけ情報収集を行い家計負担を抑えて修繕することをおすすめします
家の雰囲気を変えたい人はリノベーションもおすすめ
耐震工事だけでなく、家の雰囲気を変えたい人はリノベーションもおすすめです。リノベーションを行うことで耐震だけでなく、以下のような生活にガラリと変えることも可能になります。
- 壁を取り除き開放感のあるリビングへ
- 暗いお風呂やトイレを明るく開放的な空間へ
- キッチンの間取りを変更し広々料理スペースへ
リノベーションと耐震工事は同時に行うことができ、別々に実施するより工事費用を抑えることができます。
家族構成や年齢に応じて、必要な間取りは変わってきます。耐震工事をお考えの方は、ぜひリノベーションも合わせて検討し、安心で快適な住まいを目指してみてはいかがでしょうか。
耐震工事の施工事例
ユニテでの耐震工事の施工事例を紹介します。
【O様邸/富山市】
実家を子育て用の間取りにしたい希望がありリノベーションを施工。
白くて四角いパネルは『耐震補強材』であり地震に強い素材です。完成後は壁紙が貼り付けられるため見ることはできませんが、素材を工夫することで安心した住まいにすることができます。
その他の耐震工事の施工事例は以下で紹介しているため、参考にしてみてください。
耐震工事はユニテへお任せ
耐震工事をお考えの方はユニテへお任せください。
耐震×リノベーションを行うことで安心で快適な暮らしを実現することができます。耐震などの基本性能を重視したリノベーションをお考えの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
また、ユニテのリノベーションの例は「リノベーション事例12選!ビフォーアフターを物件タイプ別に紹介します」で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
耐震工事の補助金でよくある質問
耐震工事の補助金でよくある質問に回答します。
- 工事中は家に住める?
- 解体や床、壁の修復も補助金に含まれる?
- 対象は木造家屋のみ?
以下から紹介します。
工事中は家に住める?
家に住めるかどうかは工事の内容によって異なります。以下のような大きな改修では借り住まいが必要となることもあります。
- 水回りの非るぉーむを伴う工事
- 土台の全面的な交換が必要な工事
- 基礎の大規模な工事
多くの場合は住みながらの耐震工事は可能ですが、工事前に担当者に確認しておくと安心です。
解体や床、壁の修復も補助金に含まれる?
耐震工事以外の改修が補助金に含まれるかどうかは自治体によって異なります。
解体は耐震工事に必要であるため対象となることがありますが、補強工事と関係のない美観目的の改修は含まれないことが多いです。
耐震工事を検討している人は住んでいる自治体の担当窓口で詳しい内容を確認しておくと安心でしょう。
対象は木造家屋のみ?
自治体によって異なりますが、木造が対象であることが多いです。
木造住宅に対する補助制度が充実しているのは木造住宅が地震に対して比較的弱く、多くの住宅が木造であるからです。
一部の自治体では、鉄筋コンクリート造などに対しても補助制度がありますが、木造住宅ほど一般的ではありません。お住まいの地域の補助制度を確認しておくことをおすすめします。
耐震工事の補助金まとめ
耐震工事の補助金は『耐震工事』と『耐震診断』が対象となることがあります。主な支援制度は以下になります。
- リフォーム補助制度
- リフォーム減税制度
- リフォーム融資
耐震工事の補助金制度を活用することで、家計の負担を抑えながら、建物の安全性を高めることができます。さまざまな支援制度を利用し、安全で安心な住まいにできるよう検討しましょう。