玄関は自宅のなかでも最初に足を踏み入れる場所。そのため、明るさや清潔感が加わるだけで、家の印象がガラリと変わります。この記事では、採光、収納、隙間風、そして劣化など、玄関にまつわる悩みと解決策を紹介します。
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「玄関がなんだか薄暗くて、気になる…」
「玄関だけ修繕やリノベーションってお願いできるの?」
など、玄関の劣化や機能面などへの不満をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
玄関は、家に帰ってまず最初に利用する空間です。今ある不満をきちんと解消させておくと、帰宅時のどんよりした感情が軽くなり、来客時に与える印象も大きく変わります。
そのため、今ある玄関へのお悩みを明確化し、それを解決する方法を知っておくことは、非常に大切。
この記事では、玄関から快適さを感じられる家にするため、次のことを分かりやすく紹介します。
- よくある玄関のお悩み事例
- お悩み別リノベーション事例
- 玄関のリノベーションをするときに気を付けるべき点
- リノベーションにかかる費用
- 玄関をリノベーションすることで、手に入るもの
帰ってきたときにどんな気持ちでありたいか、大切な家族や友人にはどんな表情をしてほしいかなどを考えながら、読み進めてみてくださいね。
玄関をリノベーションしたい!こんなお悩み、ありませんか?
玄関は、まず最初に足を踏み入れるため、家の顔となる場所。しかし、それだけでなく、実は室内のプライバシーや快適さにも関ってくる重要な部分です。
ここでは、よくあるお悩みを5つ紹介していきます。
当てはまるけど、解決策が分からず困っている方は、次の「お悩み別リノベーション事例」が参考になりますよ。
- 収納スペースが足りなくて、散らかっている
- 部屋のなかが見えてしまうのが嫌だ
- 光が入ってこないので暗い
- 扉やタイルが古くなってきている
- 段差があり、高齢の家族が心配
1. 収納スペースが足りなくて、散らかっている
例えば、次のようなお悩みです。
「家族の靴が増えるにつれて、徐々に玄関が散らかりやすくなってきた」
「ゴルフのキャディバッグや買い物用キャリーを置いているから、余計に雑然としている」
「来客時に隠しようがないので困っている」
玄関が散らかっていると、見た目が悪いのはもちろんですが、知らないあいだに靴の臭いが玄関に染みついている、なんてこともあります。この場合、毎日玄関を利用している自分では気付きにくいですが、来客時には気付かれてしまうかも。
また、ブーツのように高さのある靴を、シューズボックスに片付けられず、外に出したままにしている家庭もあります。この状態で放置しておくと、砂ぼこりで表面が汚れてしまいます。
玄関は、見た目の清潔感と空気の循環を改善する工夫が必要な空間です。
2. 部屋のなかが見えてしまうのが嫌だ
次のようなお悩みで、玄関やその周辺のリノベーションを考えている家庭もあります。
「家に入ると、そのまま廊下全体やリビングなどが見えてしまう」
「他の人が玄関で立ち話をしているときに、廊下を通りづらくて困っている」
「近所の人との立ち話や宅配が多いので、玄関は独立させたい」
玄関は、運送会社の人や顔見知りの人しか足を踏み込まない場所ではありますが、それでも不特定多数の人が顔をのぞかせる場所であることに、変わりはありません。
できるだけ家族のプライバシーを大切にしたいというご家庭では、玄関をあがってすぐのところに、目隠し用のカーテンやパーテーションを設置するなどを工夫をしています。
しかし、玄関先の廊下の横幅が広いなど、場合によっては目隠しを付けられません。その場合、扉を設置したり導線を工夫したりして、家のなかが見えないような工夫が可能です。
3. 光が入ってこないので暗い
玄関が暗い場合、次のようなお悩みを抱える傾向にあります。
「玄関がうす暗いので、なんだか気分が落ちてしまう」
「なんだか、空気が淀んでいるように感じる」
「帰宅時に電気をつけたり消したりしているので、電気代がもったいない」
玄関は靴を脱ぎ履きするだけの場所という感覚が強いためか、窓から入ってくる光の量ををあまり気にしない方は多いです。基本的に、玄関用のライトがついていたり、扉のうえに小さな高窓をつけて自然光を入れる工夫が建設時にほどこされている住宅がほとんどですが、立地条件によっては、光が入ってきづらいケースがあります。
玄関がうす暗いと気分が落ちてしまうだけでなく、実は湿気が溜まりやすくなるデメリットがあります。これによって起こる問題が、靴の臭い。蒸れによって、どうしても嫌な臭いが発生しやすくなるのです。さらに、湿気によるカビのリスクもあるでしょう。汗をかいた靴を置いておく場所なので、靴はもちろん靴箱にも注意が必要です。
4. 扉やタイルが古くなっていている
次のようなお悩みを感じたことは、ありませんか。
「なんだか扉の開け閉めがしづらい」
「扉や窓からのすきま風が気になる」
「壁や床の汚れが気になる」
中古住宅に暮らしている方や、長年暮らしてきた実家にお住まいの方が経験しやすいのが、扉や床材の劣化です。扉の開け閉めのしづらさや、すきま風の原因は、玄関に年季が入っているからです。扉は長期間にわたって使用することで、徐々に歪みがしょうじ、建て付けが悪くなっている場合があります。それだけでなく、実は地盤の関係や設計図のミスで、家そのものが歪んでいたという可能性もあるでしょう。専門的な知識を持つ設計士ときちんと状況を確認したうえで、改善方法を探るのがおすすめです。
また、内壁や外壁、もしくは床材にヒビが入ってる場合も注意が必要です。表面のヒビを隠すために個人で工夫することも可能ですが、放置していると内部が浸食されていく可能性は避けられません。この場合も、プロにおまかせするほうが、一度の工事で根本からの解決が期待できるため、安心です。
5. 段差があり、高齢の家族が心配
例えば、次のような場面で苦労を感じたことは、ありませんか。
「玄関扉の、ちょっとした敷居でつまずきかけた」
「靴をひとりで履こうとすると、よろける」
「玄関と廊下の段差がしんどい」
すでに実感されているかと思いますが、玄関は実は障がいとなるものが多く、ユニバーサルデザインの導入が求められている場所。リノベーションをしていないと、どうしても同居している家族の手助けが必須で、お互い気を遣って疲れてしまうこともあります。
もし玄関の設計でストレスを感じていたら、リノベーションの手助けを借りるのがおすすめです。
お悩み別!玄関のリノベーション事例
玄関のお悩みは、基本的にリノベーションで解決することができます。しかし、どのような解決策があるのか、なかなかイメージが沸かない方もいるでしょう。
ここでは、弊社が実際に手掛けた玄関のリノベーション事例を7つ紹介します。
- 収納がほしい方におすすめの工夫
- 玄関から室内が見えてしまう方におすすめの工夫
- 寒さが気になる方におすすめの工夫
- 暗さが気になる方におすすめの工夫
- 小さなお子さんがいる方におすすめの工夫
- ご高齢の方が暮らす家におすすめの工夫
玄関リノベーション事例1. 収納が欲しい方におすすめ
こちらのご家庭には、玄関のすぐ横に大きなシューズクロークを設けました。玄関から土足で入ることはもちろんですが、廊下とも直接つながっているため、靴を片付ければすぐに室内へ進めます。
そういった導線の良さを取り入れただけでなく、郵便受けや高窓も設置。窓を開けると換気ができるので、靴の臭いや蒸れがこもってしまう心配が不要です。さらに、広い空間のため、処分前の段ボールを置いたり、キャリーバッグなどのカバンを置くことも可能です。
玄関リノベーション事例2. 室内を見せたくない方におすすめ
こちらのご家庭では、扉だけではなく壁も巧みに用いることで、室内や玄関横の階段が見えないように工夫しています。
玄関そのものの空間は限られてしまいますが、横にシューズボックスを置いているので、履く機会の少ない靴やシーズン外の靴は、すぐに片付けることが可能。清潔感を重視したい方にも、おすすめのリノベーション事例です。
玄関リノベーション事例3. 寒さが気になる方におすすめ
玄関の寒さが気になる場合、劣化によるすきま風が原因のこともあれば、扉の材質で解決できるケースもあります。この家庭は外気の影響を受けやすく、玄関扉や窓に頻繁に結露が発生していました。
そのため、断熱性の高い扉に取り替え。さらにガラスも変更することで採光を高めました。
リノベーション前と同じ引き戸タイプで、デザインも似たものを選んだため、機能性の高い新しい扉ながら、昔からの家に自然となじんでいます。
玄関リノベーション4. 暗さが気になる方におすすめ
こちらのご家庭は、全体的にシックな色合いのため、他の家に比べると暗く見えやすいデメリットがあります。しかし、床材やシューズボックスの落ち着いた色に合わせたオレンジのライトに、すりガラスの大きな玄関を設置。それによって、落ち着きのある雰囲気を保ちながらも、明るさのある玄関に仕上げました。
ガラスの扉はプライバシーの面で気になる方もいるかもしれません。しかし、お風呂場や脱衣所にも使用されている、すりガラスを用いれば安心です。
玄関リノベーション5. ご高齢の方が暮らす家におすすめ
こちらの家庭では、ご高齢の方でも靴を脱ぎ履きしやすいよう、工夫を2点設けました。
1点目は廊下とのあいだにもう1段加えることで、段差をゆるやかにしたこと。ここでは、上がり降りが楽になるのはもちろんですが、一段目に腰をおろして靴を履くこともできます。
2点目は、廊下の向かいにイスを設置した点です。ここに座ってほかの家族の準備や、タクシーやデイサービスのお迎えを待つことが可能。使用する必要がなければ、物置きとしても活用できます。
玄関リノベーション6. 小さなお子さんがいる方におすすめ
こちらのご家庭は、一般的な扉からタッチキーで開けられる扉に取り替えました。買い物袋とお子さんで手がふさがっているとき、カギをさして開けるのは、なかなか大変です。
そのため、車のカギと同じように、ボタンを押すだけで扉を開けられる使用に変更。カギはポケットやカバンのなかに入れたままでも使用できます。
さらに、ウッド素材でデザイン性を高めただけではなく、扉にもガラスを設置。より玄関内に光が入るよう、工夫しました。
玄関をリノベーションするときに気を付けること
玄関は限られたスペースではありますが、扉やガラス窓、シューズボックスや、玄関まで続く廊下など、さまざまな部分が一体になった空間でもあります。
そのため、玄関をリノベーションする際には、ある程度計画を持っておかないと、思わぬ出費や、不便さにつながってしまうかもしれません。
ここでは、リノベーションをするまでに考えておきたい点を4つ紹介します。
- 必要なものを明確にする
- 玄関として活用できる面積を考える
- 防犯対策を検討する
- 素材やデザインを考える
1. 必要なものを明確にする
まずは、今現在何に悩んでいて、どんな機能があればそのお悩みが解決されるかを明確にしましょう。例えば、一概に扉に不満があるといっても、次のケースに分かれます。
・扉のデザインが、あまり好みではない・採光のためにガラス扉に変えたい
→扉の取り替えのみで解決
・外気が入るので、断熱機能のある扉に変えたい
→数あるデザインのなかから、断熱素材を使用した扉を検討し解決
・扉の開け閉めがしにくいため、扉を変えたい
→場合によっては自宅の基盤ごと、工事が必要
お悩みを解決するためのベストアンサーを、個人で出すのは難しいでしょう。そのため、ご自身の不満をまとめたうえで、専門家に相談することがおすすめ。そこで必要なものを整理し、見積を出してもらいましょう。
2. 玄関として活用できる面積を考える
玄関を便利にする案は、山ほどあります。例えばシューズボックスの設置やイスの設置などです。しかし、玄関の広さによって、置けるものや大きさは変わってきます。
玄関の周辺に、活用できる空間があまっていれば、家の構造によっては玄関の一部としてリノベーションできるでしょう。しかし、多くの住宅では、玄関の面積が限られています。
以下の点を整理し、玄関として活用できる空間のなかで、本当に必要なプラスアルファは何かを明確化しましょう。
3. 防犯について検討する
せっかく玄関をリノベーションするのであれば、同時に防犯対策も行っておくのが、おすすめです。最近の扉は、もともと防犯対策に優れているので、必ず取り入れないといけないわけではありません。
ですが、もし不安であれば、次の対策をとることが可能です。
4. 素材やデザインを考える
玄関のリノベを考える方のなかでも、雰囲気を変えるために扉や床材の変更を考える場合は、種類と特徴を知っておくことが大切。
まずは、扉について説明します。
扉は大きく分けて、次の2種類に分かれます。
- 開き戸
- 引き戸
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
続いては床材です。
ここでは、床材のなかでも特に人気な3種類を紹介します。
- タイル
- コンクリート
- モルタル
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
玄関のリノベーションにかかる費用
玄関のリノベーションにかかる費用は、内容や規模によってさまざまです。
ご希望のリノベーションを叶えるために、どれぐらいの予算を用意する必要があるか、知っておきましょう。
ここでは、施工内容別に目安を紹介します。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
※素材やサイズ感によって変動します。
富山県で玄関のリノベーションを検討している際はユニテにご相談ください!
富山県周辺で玄関のリノベ―ションを検討している場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。
玄関は限られた空間で、さまざまな工夫を凝らしながら施工をすすめる場所です。
是非ご要望をお聞かせいただき、それに沿った施工ができるよう、ご提案いたします。
まとめ
今回は玄関のリノベーションに関して、以下の5点をお伝えしました。
- よくある玄関のお悩み事例
- お悩み別リノベーション事例
- 玄関のリノベーションをするときに気を付けるべき点
- リノベーションにかかる費用
- 玄関をリノベーションすることで、手に入るもの
家の顔ともなる玄関を、是非快適で使いやすい空間にできるよう、参考にしてください。