リビングの柱をオシャレに活用したい方におすすめの事例を紹介します。デメリットがあり、不便に感じるといわれる柱ですが、活用次第で、おしゃれなインテリアとしてだけではなく、暮らしを便利で快適なものにしてくれます。
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「リビングの柱が、導線の邪魔になっている…」
「柱のせいで、家具の配置が制限されてしまう…」
など、リビングの柱にお困りの方もいるのではないでしょうか。
柱は構造上、家屋の安全性をたもつため、取り除けないケースが多いです。ですが、どうしても邪魔だと感じる場合や、柱をうまく活用しておしゃれなリビングにしたい場合は、経験豊富な設計士にリノベーションを依頼するのもひとつです。
そのため、この記事では次のことを分かりやすく紹介します。
- 柱の役割|そもそも、なぜあるのか
- リビングの柱で発生する、お困り事例
- リビングの柱に今すぐ取り入れられる解決策
- 柱を活用|おしゃれなリビングを演出した事例
- 柱のあるリビングのメリット
- 柱の活用を考えるときに注意すること
よく邪魔ものとして扱われてしまう柱ですが、実は活用次第でリビングの機能性や利便性を高めてくれます。ご自宅の柱には、どんな工夫がほどこせそうか、想像しながら読み進めてみてください。
柱の役割|そもそも、なぜ必要なのか
建築には、柱と梁で建物を安定させる構造と、壁で建物を支える構造の2種類があります。
柱で安定をたもっている建物の場合、建造物の重みを支えるだけでなく、地震や風による横揺れの衝撃からも建物を守ってくれます。
デザイン面でのメリットは、壁で支えられている構造と違い、壁を取り壊して自由な間取りを叶えられる点。そのため、リビングやダイニングを一体化するなど、ひとつの部屋を広くできるという点で人気です。
リビングの柱で発生する、お困り事例
前述の通り、柱は建物を守る役割があり、さらに広い部屋をつくることも可能にしてくれます。一方で、柱が原因で不便さを感じているご家庭も多くあります。
よくあるのは、次の3点です。
- 家具の配置が制限される
- 動きづらく、邪魔に感じる
- 子どもがケガをしてしまいそう
1. 家具の配置が制限される
柱で家を支えている場合、次のような形で柱が部屋に制限を生み出してしまうケースが、必ずといっていいほどあります。
- 部屋の四隅の柱が、壁から出てしまっており、壁に凹凸がある状態になっている
- リビングダイニングなどの広い空間で、部屋の中央にむき出しの柱がある
そのため、壁に棚やソファをぴったりと付けられず、デッドスペースが生じてしまいます。また、むき出しの柱があると、どうしてもダイニングテーブルを置きたい場所に置けないなどの悩みも発生してしまいます。
中途半端にできてしまった隙間は、見た目的にも微妙ですし、そこだけ埃が溜まりやすくなり、掃除が面倒といったデメリットもあるでしょう。
2. 動きづらく、邪魔に感じる
たかが1本の柱であったとしても、通り道にあると、ちょっとしたストレスに感じている方が多いよう。
- ダイニングからキッチンに移動するときに、その柱を避けて通らなければいけない
- 脱衣所からベランダまで洗濯物を運ぶ際、カゴを柱にぶつけてしまう
などのように、毎日過ごしている家であっても、障害になるものには、「なかなか慣れない」「ちょっと不便」という声があがっています。
もし、この不要な柱がなければ、家のなかでの移動や家事が、もう少し楽になるかもしれません。
3. 子どもがケガをしてしまいそう
小さなお子さんがいる場合、柱にぶつかってケガをする不安もあります。特に、部屋のなかで走りまわるお子さんがいる場合、次のような心配がよく聞かれます。
- 四隅から突き出た柱の角に、頭をぶつけてしまいそう
- 部屋の中央にある柱にぶつかってしまいそう
とくに柱は、角張っている場合が多く、ぶつかるとケガもしやすいでしょう。
柱の問題を解決することで、気を抜けない日々からも、解放されます。
リビングの柱に今すぐ取り入れられる解決策
「今すぐにリビングの柱を、解決したい」
「柱を活用して、おしゃれなリビングにしたい」
そういった理想をお持ちの方に、すぐに検討可能な解決策を紹介します。
- デッドスペースを生み出さない工夫
- お子さんのケガを防ぐ工夫
- 根本から解決する工夫
1. デッドスペースを生み出さない工夫
特に部屋の四隅にある突き出た柱のせいで生まれてしまうデッドスペースは、家具選びや空間の活用方法で、解決できます。
- 柱と壁に合うサイズの家具を購入する
- ホームセンターでオリジナルの棚を作る
- 左右の柱に金具を設置し、その上に板を載せて棚にする
- ワンボックスタイプ棚を購入し、うまく組み合わせる
- 観葉植物などを置いて、おしゃれをプラスする
- ボックスを置いて、お子さんのおもちゃ入れにする
2. お子さんのケガを防ぐ工夫
お子さんがぶつかってケガをしないようにするには、クッションテープがおすすめ。100円均一やホームセンターなど、さまざまな場所で安価に購入できます。また、目立ちにくい透明タイプや、おしゃれな木目調など、デザインもさまざまです。
ただ、はがす際に壁材が少し剥がれてしまうなど、家に傷を残してしまう場合もあります。そのため、マスキングテープとの併用がおすすめです。
3. 根本から解決する工夫
ご自身の工夫では解決が難しい場合は、リノベーションがおすすめです。
リノベーションと聞くと、大がかりな工事を想像するかもしれません。しかし、間取りの変更のように時間をかけておこなうものから、少しデザイン性や機能性をプラスする簡単なものまで、さまざまです。
まずは、どんな工夫ができるかを調べてみましょう。
柱を活用して、おしゃれなリビングを演出した事例
リノベーションの検討といっても、柱を活用した空間は、なかなか思い浮かばないかもしれません。そのため、ここでは実際に弊社がおこなったリビングのリノベーション事例を、写真つきで5つ紹介します。
- 吹き抜け空間で、開放感とメリハリをつけた事例
- キッチンにフィットさせ、インテリア風にした事例
- 飾り棚に変え、機能性をそなえた事例
- キッチンの収納棚にした事例
- 壁と一体化させ、ムダのない空間にした事例
吹き抜け空間で、開放感とメリハリをつけた事例
こちらのリビングダイニングのように、吹き抜けになっていると、広々として開放感が得られます。一方、広々としているがゆえに、リビングとダイニングの境目が曖昧になり、空間にメリハリがなくなってしまうことも。
そうした欠点を、リビングとダイニングのあいだにある柱で解決させました。
柱がちょうど境目にくるようにデザインをしたことで、広々とした空間を守りながらも、食事の場と憩いの場を分けています。
キッチンにフィットさせ、インテリア風にした事例
こちらでは、リビングダイニングと対面式になっているペニンシュラキッチンの端に、柱がきています。白やグレーで統一された部屋に、一点木目の映える柱があるだけで、空間に温もりも生まれます。
柱は床から天井まで繋がっているものですが、このようにキッチンなどの設備と一体化させ、おしゃれなインテリアとして成立させるのも人気。見た目がおしゃれなのはもちろんですが、床からの柱のように、ぶつかったり邪魔にならない点も、うれしいポイントです。
飾り棚に変え、機能性をそなえた事例
こちらの住宅の柱は、2本の柱のあいだにボードを入れることで、飾り棚にリノベーションしました。飾り棚は、あまり家具やインテリアを置きたくはないけれど、ちょっとしたおしゃれ感をプラスしたい方におすすめです。
リビングの柱では、次のような工夫ができます。
キッチンの収納棚にした事例
こちらの住宅でも、柱を飾り棚のようにリノベーションしています。インテリアを並べて、おしゃれな空間にするのも良し。お気に入りのキッチングッズを並べて、魅せる収納にするのも良し。さまざまな活用ができます。
また、キッチンはお子さまやペットの侵入が心配になるスペースですが、柱を飾り棚にすることで、壁のような役割が生まれます。すると、飾り棚と壁のあいだに侵入防止のゲートを設置することも可能。安心面でも役立ちますよ。
壁と一体化させ、ムダのない空間にした事例
こちらは二世帯住宅で、子ども世帯が使用している手洗い場です。キッチンは親世帯のスペースのものを共有しているため、子ども世帯のスペースには、赤ちゃんのミルクづくりなど、ちょっとした家事ができるスペースを設けました。
こうした作業スペースにある柱は、デッドスペースとなったり、もしくは作業の邪魔になってしまいます。しかしこちらでは、壁とのあいだに板を入れることで、タオルなどを片付けられる棚にリノベーションしました。本来は嫌われやすい柱ですが、うまく活用すると、その場の利便性を高めることが可能です。
柱のあるリビングのメリット
どうしてもデメリットが目立つ柱ですが、実はうまく活用すると、機能面でもインテリアとしてもメリットがたくさんあります。
ここでは、次の5つのメリットを紹介します。
- 開放感がある
- リノベーションの幅が広い
- 空間にメリハリが生まれる
- おしゃれな空間になる
- 活用方法が多種多様にある
1. 開放感がある
柱のある家は、リビングダイニングなど広い空間をつくるのに向いており、生活空間に開放感を生み出してくれます。
構造によっては耐震のために壁を設置しないといけない場合でも、柱がその役割を担ってくれます。そのため、部屋を壁でこまかく区切らず、広々とした空間を守りながら、適切な強度を持つ生活空間を叶えられるのです。
2. リノベーションの幅が広い
建物の構造をおおまかに分けると、柱で支えるものと壁で支えるものの2つです。
間取りやリノベーションを考える際、壁に支えられている住宅の場合、部屋を区切っている壁を取り除けないことがほとんどです。また穴を開けて窓を設置するなど、壁の強度を弱めてしまう施工はできません。
一方で柱に支えられている住宅は、柱さえ残せば壁を取り除いても問題ありません。そのため、次のような工夫ができます。
3. 空間にメリハリが生まれる
広々とした空間でも、あいだに柱があることによって、空間に区切りがつきます。柱より手前はダイニング、もしくはお子さんが遊べる場所、それより奥は食事の場など、分けることも可能。
もしくは柱を飾り棚のようにリノベーションすることによって、生活空間と廊下、もしくは家族団らんの場と仕事スペースなといった具合に区切ることもできます。
4. おしゃれな空間になる
家の構造の一部でありながらも、壁や床とはまた違った雰囲気を部屋にプラスしてくれるのが、柱です。あえて木目を見せて温もりのある空間にするのも良し。インテリアのトーンに合わせて、おしゃれにペイントするのも良し。
ご自身の理想の生活空間に合うように、デザインできますよ。
5.活用方法が多種多様
柱の一番のメリットは、自分の用途に合わせて、多様な活用ができることです。
- リノベーションの際に間仕切りをつくって部屋を二分する
- リノベーションの際に間仕切りを取って、複数の部屋を一体化させる
- 柱をペイントして、おしゃれに魅せる
- 柱に釘を撃って、時計や小さな観葉植物をぶらさげる
- 柱と壁のあいだにハンモックをぶらさげる
柱をおしゃれに活用したいときに注意すること
柱は飾り棚としての役割や間仕切り的な役割など、さまざまな活用ができます。しかし、見た目の良さや憧れだけをもとにリノベーションをしても、動かすなどができない柱の場合、さらに邪魔になってしまうかも。
せっかくお金と時間をかけるのであれば、「やって良かった!」と思えるリノベーションを叶えたいですよね。そのために注意すべき5点を紹介します。
- 生活導線を考える
- 家具の配置を考える
- 空間の使い方を考える
- 安全面を考慮する
- 部屋全体との相性を考える
生活導線を考える
生活導線とは、簡単に言うと、普段の生活において家のなかで、家族がどのように移動するかです。
例えば、同じ間取りの家であっても、帰ってきて手洗いをしたあと、すぐ自室に戻る方もいれば、手洗いをしたあと、キッチンに向かって食事の用意をする方もいます。柱をかざり棚や間仕切りのように使用する場合は、この生活導線を邪魔しないような設計を考えるのがポイント。
また、柱を棚のようにリノベーションをした際も、実際にその場所に棚は必要なのか考えないと、デッドスペースになってしまう可能性があります。
家具の配置を考える
どのあたりにどんな家具を置きたいかは、リノベーション前に検討しておくようにしましょう。よく後悔してしまうのは、空間を仕切るために、飾り棚や壁をつくるケースです。柱をその一部として使うので、柱が悪目立ちすることはなくなりますが、部屋が狭くなってしまうリスクは避けられません。
そうした場合、本来は置きたかった家具が置けなくなる可能性があります。そのため、家具の配置も含めて、設計士に相談することがおすすめです。
空間の使い方を考える
リビングダイニングのように広い空間の場合、リビングとダイニングの境目を明確にする役割を、柱が担います。
そのため、家全体をリノベーションしたい場合は、それぞれの空間でどれぐらいの面積を確保したいかを、設計士に事前に伝えておくようにしましょう。その希望を踏まえながら、柱からどれぐらいの位置にキッチンを設置するか、リビングライトを設置するかなどが変わってきます。
安全面を考慮する
柱がむき出しの場合、どうしても角にぶつかってケガをしてしまうリスクがあります。特に小さなお子さんがいる家庭は注意が必要です。
こうした場合、次のような施工ができるか、設計士に相談してみてください。
インテリアとデザインの相性を考える
インテリアにこだわりのある方は、リビングやダイニングの雰囲気に合った柱のデザインに変えることもできます。こうした魅せる柱を「化粧柱」と呼びます。
形や太さ、色も変えることができるため、現在のインテリアにうまくなじむデザインを設計士と相談するようにしましょう。柱を細くするなどの要望は、設計上の安全性のため、断られる可能性もあります。
富山県で柱のおしゃれな活用を検討している場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。
柱をおしゃれに活用するためには、空間の使い方や部屋の雰囲気など、さまざま点を考慮しながらリノベーションをする必要があります。
是非ご要望をお聞かせいただき、それに沿った柱の活用法をご提案いたします。
まとめ
今回は玄関のリノベーションに関して、以下の5点をお伝えしました。
- 柱の役割|そもそも、なぜあるのか
- リビングの柱で発生する、お困り事例
- リビングの柱に今すぐ取り入れられる解決策
- 柱を活用|おしゃれなリビングを演出した事例
- 柱のあるリビングのメリット
- 柱の活用を考えるときに注意すること
ちょっぴり迷惑な柱を、おしゃれで機能的なものにできるよう、参考にしてください。