1. トップ
  2. コラム
  3. 躯体現し(コンクリート現し)とは?メリット・デメリット・費用相場と対策ガイド
躯体現し(コンクリート現し)とは?メリット・デメリット・費用相場と対策ガイド

躯体現し(コンクリート現し)の特徴・費用・リスクを、専門家が一挙解説。RC・木造での違いや断熱・防音・結露対策、施工事例とプロに相談すべきポイントまで、実例ベースでわかりやすく紹介します。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

躯体現し(コンクリート現し)は、柱や梁、コンクリートの壁や天井をあえて隠さず、そのまま見せる工法のことです。天井が高く見え、素材の質感を活かした開放的でおしゃれな空間をつくれる点が魅力として注目されています。

 

無機質で現代的なデザインが魅力的な一方で、断熱性や防音性、結露といった住み心地に関わる面では注意が必要です。そのため、以下のような疑問や不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

 

「そもそも、躯体現しは一般的な天井とどう違うの?」
「おしゃれな躯体現しに憧れるけど、実際の住み心地が気になる」
「後悔の声も多いけど、どんなことを知っておけば失敗しないの?」

 

そこでこの記事では、躯体現しがどんな住宅に向いているのか、メリットとデメリットを初心者の方にもわかりやすく解説します。気になる費用の目安や後悔しやすいポイントとその対策までご紹介しますので、躯体現しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

躯体現しとは?

「躯体現し(くたいあらわし)」とは、家やマンションの柱や梁(はり)などを剥き出しにしたデザインのことです。

 

別名は「コンクリート現し」であり、無機質なデザインが人気を集めています。壁や天井で見えない部分をあえて見せることで、素材そのものの味わいを楽しめるのが魅力です。

 

まずは、躯体現しの基礎知識や、できる構造・できない構造の違いについてみていきましょう。

躯体現しの定義と別名【コンクリート現し】

躯体現しとは、建物の構造体(柱・梁・天井スラブ・RC壁など)を仕上げ材で覆わず、そのままインテリアとして見せる工法のことです。

 

特に鉄筋コンクリート造(RC造)では、RC部分を仕上げずに露出させることを「コンクリート現し」と呼んでおり、無骨でスタイリッシュなデザインとして人気を集めています。

 

コンクリート現しは躯体現しの一種で、天井・梁・壁スラブなどに使われる表現ですが、こちらのほうが聞き馴染みがあるという方も多いでしょう。

 

なお、類似した言葉に「スケルトン天井」というものもありますが、スケルトン天井については以下の記事で詳しく解説しています。
スケルトン天井とは?メリット・デメリットや導入するときの注意点を紹介

 

これらの施工は、建物によって施工できる部分が違うため、構造形式の理解が必須です。たとえばマンションでは管理規約の制限が大きく、木造では断熱・気密の計画が不可欠になります。

 

躯体現しを後悔のない仕上がりにするためには、見た目の魅力だけでなく、性能面の計画をセットで考えることが大切になるでしょう。

 

躯体現しができる構造とできない構造

躯体現しをおこなう前に、まず建物の構造を確認する必要があります。以下は、住宅に多い4つの構造を比較したものです。

 

ラーメン構造(RC造) 最も躯体現しに適しており、マンションに多い構造
梁・天井スラブ・壁の一部に施工可能
壁式構造(壁式RC造) 壁で家を支えている耐力壁構造のため、壁の解体不可
現し範囲は限定されるが、施工自体は可能
鉄骨造(S造) 躯体現しのデザインが工業的な雰囲気になりやすい
梁や柱を現しにできるが、耐火被覆がある場合は撤去不可
木造 構造材を見せる「梁現し」は可能
ただし断熱欠損が起こりやすく、結露対策が必須

 

上記からもわかるように、一般的に躯体現しが採用されるのは「ラーメン構造」と「壁式構造」です。 

 

ラーメン構造は、6階以上の建物で多く採用されており、室内の隅に柱が見える住宅はこの構造である可能性が高いでしょう。柱と梁で建物を支えるため壁が少なく、躯体現しに向いており、デザインの自由度も高くなります。

 

一方、壁式構造は5階建て以下の建物に多く、壁で支える構造のため室内はすっきりしますが、躯体現しは制限が出やすい点に注意が必要です。

 

また、マンションの場合は、管理規約で「天井スラブへの直貼り」が禁止されているケースが多いため、施工の可否確認が最重要になります。

躯体現しのメリット

ここからは、躯体現しのメリットについてみていきましょう。

 

主なメリットは以下の通りです。

 

躯体現しのメリット
  • 開放感|天井が高くなる
  • デザイン性|現代的なおしゃれな家に
  • コスト削減|仕上げ工事カット

 

以下から詳しく紹介します。

 

開放感|天井が高くなる

躯体現しの最大の魅力は、何といっても天井高が稼げる開放感です。天井ボード(一般的な下地+ボード仕上げ)を撤去すると、約10〜20cmほど天井が上がるため、ワンルームや狭小間取りでも縦方向の開放感が大幅に改善されます。

 

空間の広がりを実感しやすくなるので、開放感のある家を演出できるのは大きなメリットです。天井だけでなく壁もなくすことにより、より広々とした空間としての実感が得られるでしょう。

 

デザイン性|現代的なおしゃれな家に

躯体現しは、コンクリートや構造材そのものの素材感を活かせる魅力があります。木やアイアン、ガラスとの相性も良く、カフェ風・インダストリアル系の内装に仕上げやすいのが特徴です。

 

コンクリートや鉄がむき出しになることで、工場っぽいスタイルやおしゃれでモダンなデザインの部屋が再現できます。たとえば、木材やレンガと組み合わせることで、温かみのある空間にすることも可能です。

 

また、天井が高くなると、照明計画の自由度も上がります。DIYがしやすいというのも人気の理由の1つでしょう。

 

コスト削減|仕上げ工事カット

躯体現しは、天井や壁を仕上げる工事が不要のため、コスト削減にも効果的です。具体的には、仕上げ工事(天井下地・ボード・クロス・塗装)を省くことで5〜15%程度の削減が可能になります。

 

また、今ある構造をそのまま使えるので、時間や手間も減らせるでしょう。仕上げ材も使わないため、素材の劣化による修繕も必要ありません。長期的に見てもコストを削減できるデザインといえます。

 

ただし、断熱補強を入れると総額が上がる点は留意しなければなりません。

 

躯体現しのデメリットと対処法

見た目の魅力の裏に、性能上の課題があるのが躯体現しの難しさです。

具体的なデメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

 

躯体現しのデメリット
  • 断熱性の低下
  • 防音性の問題
  • 劣化や美観の管理
  • 結露・多湿リスク

 

それぞれ対策についても紹介しますので、しっかり把握しておいてください。

断熱性の低下

まず、躯体現しのデメリットとして挙げられるのが、断熱性の低下です。コンクリートは熱を通しやすいため、外気温の影響を受けやすい特徴があります。躯体現しは壁や天井の内部に入れる断熱材を使わないことが多く、外気温の影響はより健著に伝わるでしょう。

 

冬は冷え、夏は熱を蓄えやすくなるため、内断熱やウレタン吹付けなどの対策が必須です。

 

躯体現しの断熱性対策の例
  • ウレタン吹付断熱
  • 内断熱+機密シート
  • 断熱パネル施工 など

 

また、カーテンやじゅうたんを工夫して、少しでも断熱効果を上げるような工夫をするのも効果があります。

 

マンションの断熱リフォームに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
マンションを断熱リフォームして快適な我が家へ!工事方法・費用相場・補助金・注意点を解説

防音性の問題

躯体現しでは断熱材や仕上げボードがないため、音が響きやすいデメリットもあります。自分の音や近所の音が響くため、生活音が気になることも考えられるでしょう。

 

天井を躯体現しにすると、配管や床衝撃音の伝搬経路が増え、上階の足音や生活音を拾いやすくなります。さらに、給排水管を覆う仕上げが少ないため、水を流す音や配管を伝わる振動音が室内に響きやすくなる点にも注意しなければなりません。

 

そのため、音の種類に合わせた対策をおこなうことが重要です。

 

躯体現しの防音対策
  • 吸音パネルの設置
  • 防音カーテンの採用
  • 部分的な二重天井を採用
  • 家具の配置 など

 

防音リフォームに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
防音リフォームの方法や費用相場|活用できる補助金も解説!」 

 

また、家具の配置を工夫することも防音対策になります。大きな家具や本棚などを壁際に配置することで、音が外に伝わるのを軽減できます。足音に対しては、床にじゅうたんやマットを敷くことで、下階への音の広がりを防ぐことができるため検討しましょう。

劣化や美観の管理

躯体現しでは、配管やダクトがむき出しになります。空間に個性が出る一方で、掃除やメンテナンスの手間が増える点には注意が必要です。

 

配管にはホコリが溜まりやすく、音が響くこともあります。また、コンクリート面は微細なひび割れが生じやすく、ホコリの付着やヤニ汚れが目立ちやすいのも特徴です。

 

躯体現しの劣化・美観対策
  • 配管をシンプルなカバーで隠す
  • 防音カーテンの採用
  • コンクリートにクリア塗装や防汚塗料を施す
  • 定期点検を行い、美観を保つ

結露・多湿リスク

躯体現しはコンクリート面が室内に露出するため、外気との温度差が生じやすく、結露が発生しやすくなります。特に冬場は窓まわりや梁、天井面で結露が起こりやすく、放置するとカビやダニの原因になるため注意が必要です。

 

また、仕上げ材が少ない分、湿気がこもりやすく多湿状態になりやすい傾向があります。そのため、以下の対策をおこなうことが重要です。

 

躯体現しの結露対策
  • 1種換気
  • 除湿機・エアコン・サーキュレーターの活用
  • 断熱欠損の補修
  • 空気が通り抜ける窓の配置 など

 

室内の湿度は50〜60%の維持が理想的なので、計画的な換気や断熱対策が必要になるでしょう。特に、断熱性の向上は結露対策にも効果が期待できるので、優先的に対策することをおすすめします。

躯体現しの費用相場と注意点

躯体現しの費用は、「新築」と「リノベ-ション」で大きく変わります。新築の場合、仕上げの一部を省けるため、天井・壁の仕上げ分として5〜15%程度の工事費削減が可能です。ただし、デザイン性を高めるための照明計画や断熱補強をおこなうと総額は増減します。

 

一方リノベーションでは、既存仕上げの撤去・補修が必要になり、解体費・補修費・養生費が追加で発生する点に注意が必要です。特にマンションでは、天井スラブの凹凸補修に手間がかかるケースが多く、仕上げを省いたつもりが通常工事より高くなることもあります。

 

以下は、リノベーションにおける躯体現しの関連費用です。

 

種類 費用相場
解体費 5~15万円
スラブ補修 10~30万円
クリア塗装 5~15万円

 

トータルでは、40〜100万円が一般的な相場の範囲になります。ただし、施工内容によっても変動するため、あくまでも目安の金額とお考えください。

躯体現しがおすすめの人・おすすめでない人

躯体現しがおすすめの人とおすすめでない人は以下のとおりです。

 

躯体現しがおすすめの人 躯体現しがおすすめでない人
開放感のある家が好みな人
デザイン性が高い家が好みな人
工事費のコストを減らしたい人
インダストリアル・カフェ風が好みな人
メンテを楽しめる人(汚れも味として捉える)
DIY・照明をこだわりたい人
断熱や防音を重視したい人
お手入れやメンテナンスを重視したい人
湿気が気になる人
上階の生活音が気になる人
最上階・角部屋(外気の影響大)

 

以下から詳しく紹介します。

躯体現しがおすすめの人

躯体現しがおすすめの人は以下に当てはまる人です。

 

躯体現しがおすすめの人
  • 開放感のある家が好みな人
  • デザイン性が高い家が好みな人
  • 工事費のコストを減らしたい人
  • インダストリアル・カフェ風が好みな人
  • メンテを楽しめる人(汚れも味として捉える)
  • DIY・照明をこだわりたい人

 

躯体現しは開放感あるデザイン性が高い家が好みの人におすすめです。コンクリートがむき出しであるため、シックなデザインの家にすることができます。素材を工夫することで唯一無二の家を楽しめることが大きなメリットと言えるでしょう。

躯体現しがおすすめでない人

躯体現しがおすすめでない人は以下に当てはまる人です。

 

躯体現しがおすすめでない人
  • 断熱や防音を重視したい人
  • お手入れやメンテナンスを重視したい人
  • 湿気が気になる人
  • 上階の生活音が気になる人
  • 最上階・角部屋(外気の影響大)

 

躯体現しはコンクリートが表面に出ているため、音や熱を伝えやすいデメリットがあります。また、結露や多湿など水分に対してのデメリットや、防音性の問題なども考慮すべきです。

 

おしゃれな家で快適に気持ちよく生活できるよう、事前にしっかり対策をおこなうよう心掛けましょう。

躯体現しに失敗しないためのチェックリスト

以下に、躯体現しに失敗しないためのチェックリストを作成しました。わたしたちユニテが約30年間培ってきた経験をもとにしているので、ぜひご活用くださいね。

 

項目 チェック
管理規約で天井直貼りの可否を確認  
結露シミの有無を調査  
断熱補強の必要範囲を検討  
上階の音の問題を事前確認  
照明・配線の位置を先に決める  
スラブの凹凸補修の予算を確保  
クリア塗装の種類を選択  
湿度管理(除湿機・換気)を想定  
採用できる構造か専門家に確認  
メンテ計画を立てる(年1回推奨)  

 

躯体現しに関するよくある質問

最後に、躯体現しに関するよくある質問を紹介します。

 

躯体現しに関するよくある質問
  • 角部屋や最上階の部屋でも躯体現しはできる?
  • 床も躯体現しにできる?
  • 躯体現しは火災リスクが上がる?
  • 部分的な躯体現しは可能?

角部屋や最上階の部屋でも躯体現しはできる?

角部屋や最上階に躯体現しを採用するのはおすすめしません。角部屋や最上階は外気に触れることが多いため、快適に過ごしにくくなるからです。

 

また、外気の影響を受けやすいということは、結露ができやすいということでもあります。結露はカビの原因になるので、避けた方がよいでしょう。

 

もし角部屋で躯体現しをしたいなら、以下のような対策がおすすめです。

 

  • 寒さ対策:断熱材や暖房器具を追加して快適に過ごせるようにする
  • 部分的な躯体現しをする:梁など一部分だけを現しにして楽しむ

床も躯体現しにはできる?

床を躯体現しにすることはできません。

 

床をむき出しにすると寒さや冷たさを感じやすくなり、快適さが失われます。もし床に躯体現しを取り入れたい場合は、特別な素材を使う工夫が必要です。

 

また、床を現してしまうと音が下の階により響きやすくなります。そのため、音の観点からマンションの規定で禁止されている場合も多いでしょう。床の現しが許可されている場合でも、足音への対策は十分おこなうことをおすすめします。

躯体現しは火災リスクが上がる?

躯体現しだからといって、火災リスクが特別に高くなるわけではありません。コンクリートや鉄骨は不燃材料のため、構造自体が燃え広がる心配は少ないとされています。

 

ただし、配線や照明、内装に木材を多用する場合は、通常の内装と同様に防火基準を守ることが重要です。施工時に防火仕様を確認し、適切な設備を選ぶことで、安全性は十分に確保できます。

部分的な躯体現しは可能?

部分的な躯体現しは可能です。天井の梁だけを現したり、壁の一部や配管まわりのみを見せるなど、範囲を限定することでデザイン性を楽しめます。全面的な躯体現しに比べて、断熱性や防音性への影響を抑えやすく、費用も調整しやすい点がメリットです。

 

ただし、マンションの場合は構造や管理規約による制限があるため、事前確認は欠かさずおこないましょう。

躯体現しをご検討の方はぜひユニテへ!

富山県でリビングのリノベーションでお悩みの方ははぜひユニテへご相談ください。当社では年間1,000件のリノベーションのご依頼を頂いており、住まいづくりの経験が豊富です。

 

ユニテでは女性アドバイザーも在籍しており、お客様の些細な要望もしっかりと汲み取り理想のリビングを作成することも可能です。30年以上リノベーションに携わってきた経験を活かし、お客様の理想のお部屋作りをお手伝いいたします。カタログプレゼントやモデルハウス見学も可能であるため、お気軽にご相談くださいませ。

お問い合わせはこちらから

まとめ

躯体現しでお悩みの方は、まず専門業者に相談を依頼することをおすすめします。自分の要望やメリット・デメリットをよく照らし合わせながら検討しましょう。

 

躯体現しのメリット

躯体現しのデメリット

  • 天井が高くなり開放感がある
  • 現代的なおしゃれな家になる
  • コストを削減できる
  • 断熱性が低くなる
  • 防音性が低くなる
  • 劣化が見えやすい
  • 結露が発生しやすい

 

躯体現しがおすすめの人

躯体現しがおすすめでない人

  • 開放感のある家が好みな人
  • デザイン性が高い家が好みな人
  • 工事費のコストを減らしたい人
  • 断熱や防音を重視したい人
  • お手入れやメンテナンスを重視したい人
  • 湿気が気になる人

 

躯体現しはおしゃれなデザインでありながら、開放的な空間を作ることができます。しかし、断熱性や防音性が低く、結露も発生しやすいため、あらかじめ対策が必要になります。

 

事前に対策をおこなっておくことで、快適なマイホーム生活になるため検討しておきましょう。

 

躯体現しでお悩みの方は、まず専門業者に相談を依頼することをおすすめします。自分の要望やメリット・デメリットをよく照らし合わせながら検討しましょう。