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壁の構造で部屋がこんなに変わる!壁式構造とラーメン式構造を徹底比較!

壁の構造は、住宅の利便性と住み心地のよさに直結するため、非常に大切。ここでは、壁式構造とラーメン構造の2つを説明。メリット・デメリットや、リノベーション事例をご紹介します。

監修者
一級建築士/O.Fumihiro
一級建築士
O.Fumihiro

株式会社ユニテ 設計部

設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。

【 保有資格 】

一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士

リノベーションや住宅の建築を考えてはいるけれど、

 

「壁の構造によって、どう違うのか分からない」

「今の住宅は壁式構造だと聞いたけど、リノベーションできないって本当?」

 

とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

 

壁の構造は、ときに住宅の間取りも決めてしまうほど重要な箇所。

場合によっては、完成した住宅が好みと違っても修正できません。

そのため、壁の構造は事前によく知り、自分の希望に沿ったものを選ぶことが重要です。

 

この記事では、次の4点を中心に説明していきます。

  • 2種類の壁の構造の違い
  • それぞれのメリットとデメリット
  • 自分に合う壁の構造の選び方
  • 壁式構造のリノベーション例

 

壁の構造についてよく知って、リノベーションを考える際の参考にしてください。

壁の構造とは?

実は壁の構造には次の2種類があります。

どちらを選ぶかによって、耐久性やリノベーションの自由度の高さが変わってきます。

また、外観は似ていますが、構造上間取りや空間の取り方も変わってきます。

 

自分の希望の室内をイメージしながら、どちらがより自分に合うか考えていきましょう。

壁式構造の特徴

壁式構造とは、耐力壁と床と天井を組み合わせた設計を指します。

耐力壁とはコンクリート製の壁で、建物や地震や風圧に耐えるための役割を果たしています。

2種類の耐力壁の役割

耐力壁には、次の2種類があります。

  • 床から天井まで届く耐力壁
  • 40cmから50cm程の長さの、天井についている下がり壁

 

どちらも地震や風圧に耐える役割はもちろんですが、視覚的に空間を区切る役割を担っています。

そのため、上の写真のキッチンや和室のように扉をつけずに、開放感を保ったままスペースを独立させることが可能。

 

またどちらの壁も、火災が起こった際の煙の広がりを抑える効果があります。

そのため、防災面でも役立っている壁なのです。

ラーメン式構造の特徴

垂直に立つ柱と水平にかけられる梁の2つで構成された設計のことです。

6階以上のフロアを持つ建物は、ラーメン式構造での建築が義務づけられています。

 

部屋の四隅に柱が張り出してデコボコしていたり、床に一部低くなっていたりする住宅やマンションがありますが、その出っ張っているものの正体が柱や梁です。

柱の役割

柱は床と天井から垂直に立っている部材で、風や地震の横揺れなど、水平にかかる力に耐える役割を担っています。

 

リビングダイニングのような広々とした空間を作りたくても、柱を外すことができず、邪魔に感じる場合もあるでしょう。

しかし上の写真のように複数柱を並べると、パーテーションの役割を果たしてくれます。

梁の役割

上の写真の、少し天井から下がっている場所です。

水平にかかる圧力はもちろんのこと、屋根や床にかかる荷重から建物を守ってくれます

 

天井部が少し下がることで圧迫感を感じる場合もありますが、次のような工夫を取り入れることができます。

 

逆梁工法

  • 天井側ではなく、床側に梁を出す方法
  • 高層マンションでは床を高い位置に設置し、良い展望を叶えることが可能
  • 梁の上を飾り棚として活用できる

 

逆梁アウトフレーム工法

  • バルコニーもしくはベランダに梁を設置して強度を保つ方法
  • バルコニーやベランダは少し狭くなるが、部屋の広さを確保できる

壁式構造のメリット

壁式構造は、長く住み続けられる住宅や開放感溢れる部屋を希望する方に人気です。

その主な理由は次の3つです。

 

  1. 部屋が広々とする
  2. 家具の配置の自由度が高い
  3. 耐震性にすぐれている

部屋が広々とする

壁式構造は、一般的にラーメン構造とは違い、柱を必要としません。

そのため、部屋を区切るものが少なく、開放感ある空間を叶えてくれます。

 

特にリビングダイニングの見通しを良くして家族団らんの場を作りたい方や、キッチンで料理をしながら子どもの様子を見守りたい方に人気。

さらに、子どもが走って柱にぶつかる心配も不要です。

家具の配置の自由度が高い

ラーメン式構造の柱や梁は、どうしても部屋の壁に凹凸を作ってしまうため、家具の配置が制限されてしまいます。

一方で壁式構造は凹凸がないため、壁や部屋の四隅など、どこにでもタンスやベッドなど家具を置けます。

耐震性にすぐれている

壁式構造は、ラーメン式構造に比べるとやや耐震性がすぐれていることで知られています。

なぜならラーメン式は柱や梁などの点で建物を支えますが、壁式構造は壁や床など面で建物を支えているからです。

それによって、地震などの横揺れがきても、負担を一点に集中させることがありません。

壁式構造のデメリット

インテリアの自由度が高いことで人気の壁式構造ですが、将来的にリノベーションを検討している方は、じっくり検討したほうがいいでしょう。

その理由は、以下の通りです。

 

  1. 間取りを変更しづらい
  2. 窓の設置場所が限られる
  3. 時間が経つと劣化のリスクがある

間取りを変更しづらい

ラーメン式構造と異なり、壁式構造は壁そのものが家を支えています。

そのため、間取りを変更するために壁をなくしたいと思っても、耐力壁は取り除けません

 

そのため、今後リノベーションを検討する際には、希望の設計が叶わない可能性や、壁の構造ごと変更する必要があります。

窓の設置場所が限られる

耐力壁の役割を果たしている壁に窓を設置すると、家を支える役割を果たせなくなります

そのため、窓を設置できる場所や設置できる窓の大きさが制限されてしまいます。

 

自然光をできるだけ多く取り入れたい方はラーメン式構造を検討するか、壁式構造でどれだけ工夫できるか、建築会社と相談してみてください。

時間が経つと劣化のリスクがある

壁式構造は、地震や風圧への耐久力は高いといわれています。

しかし寿命は短く、30年から40年ほどで災害時のリスクが高まってしまう傾向にあります。

 

新築で購入する方やリノベーションで壁式構造に変更する方は、大きな心配は不要かもしれません。

しかし中古物件を購入する方や壁式構造のマンション・アパートメントを検討している方は、少し注意が必要です。

定期的に補修されているか、外壁に破損はないかなどを確認するようにしましょう。

 

ラーメン式構造のメリット

ラーメン式構造は、将来的にリノベーションを検討している方におすすめです。

なぜなら、ラーメン式構造には次のようなメリットがあるからです。

 

  1. 間取り変更の自由度が高い
  2. 活用次第でインテリアの一部になる
  3. 大きな窓をつけやすい

間取り変更の自由度が高い

壁が家を守っている壁式構造とは異なり、ラーメン式構造は柱と梁で建物を支えています。

そのため、間取り変更をしたいときは、その柱と梁さえ残しておけば、自由に壁を取り除くことができます

 

現在は仕事スペースと生活スペースを分けたい、親と子どもの部屋を分けたいという希望があっても、将来的には広々とした空間にリノベーションをしたい。

そのような希望をお持ちの方は、ラーメン式構造がおすすめです。

活用次第でインテリアの一部になる

天井や壁に出っ張りをつくるため、避けられがちな柱と梁ですが、うまく活用すればインテリアにもなります。

 

例えば、次のような活用ができます。

  • 吹き抜け空間で敢えて梁をみせ、おしゃれな空間を演出する
  • 梁に時計や観葉植物を飾る
  • 柱と柱のあいだに板を設置し、棚として使用する
  • 柱を並べ、パーテーションとして活用する

大きな窓をつけやすい

ラーメン式構造は、壁で家を支えているわけではありません。

そのため、大きな窓を取りつけるなど、比較的自由に壁をリノベーションできます。

 

できるだけ自然光を取り入れたい方、庭や裏口などに扉をつけたい方はラーメン式構造がおすすめです。

ラーメン式構造のデメリット

一方でラーメン式構造は、長く住み続ける住宅を検討している方には不向きでしょう。

その主な理由は、次の3つです。

 

  1. 家具の配置が限られる
  2. 部屋が狭く感じる
  3. 耐震性がやや劣る

家具の配置が限られる

ラーメン式構造では、家を支えるための柱や梁が外に出っ張ってしまい、インテリアの配置が限られてしまうことがあります。

 

例えば、ベッドの角を壁の隅に合わせて置きたいけれど、どうしても隙間が空いてしまうといった具合です。

こうなると部屋にデッドスペースが生まれてしまいます

部屋が狭く感じる

柱や梁が出ていると、どうしても部屋が狭いように感じてしまいます。

例えば、梁で一部だけ天井が低くなってしまうと、圧迫感を生み出します。

柱も家具の配置を制限してしまうため、同じ面積をとった壁式構造の部屋に比べると、狭く感じるでしょう。

耐震性がやや劣る

ラーメン式構造では、柱と梁で家を支えています。

そのため、地震や風圧などで水平に圧力がかかると、その力が一点に集中してしまうデメリットがあります。

 

そのため、戸建てで耐震性の高い建物を検討している方は壁式構造がおすすめ。

もしくは、柱と梁にプラスして、耐力壁を取り入れる施工方法もあります。

自分に合う壁の構造はどっち?

壁式構造とラーメン式構造、それぞれのメリットとデメリットをご紹介しました。

しかし、自分にはどちらが合うか分からず悩んでいる方もいるでしょう。

 

ここでは、それぞれの特徴を踏まえて、どのような方に各構造がおすすめかをまとめています。

壁式構造が合う方
  • 将来的なリノベーションを考えていない方
  • 今回のリノベーションで最後にしたい方
  • 広々とした空間にしたい方
  • インテリアの配置は自由に決めたい方
  • デッドスペースを生み出したくない方
ラーメン式構造が合う方
  • 将来的に間取りを変更したり、窓の位置や数を変える可能性のある方
  • 中古物件・マンションの購入を検討している方
  • 柱や梁を活用してインテリアを楽しみたい方
  • 柱や梁による圧迫感を気にしない方
  • 部屋の広さにはこだわりのない方

壁式構造でもおしゃれなリノベーションはできる!

壁式構造の住宅を検討している方や、現在お住まいの住宅が壁式構造の方のなかには、次のような不安を持っている方もいるでしょう。

「間取りを変更したいけど難しいだろうか」

「柱や梁は避けたいけど、壁式構造はリノベーションの自由度が低いため迷う」

 

しかし、工夫次第で壁式構造でもリノベーションを楽しめます。

アイディアが豊富な建築士であれば、耐力壁による制限があっても、できるだけ希望に沿った住宅を叶えてくれますよ。

 

ここでは、3つのリノベーションを紹介します。

  • 耐力壁で空間に区切りをつけた例
  • 耐力壁を収納部屋として活用した例
  • 耐力壁をインテリアとして活用した例

耐力壁で空間に区切りをつけた例

こちらの住宅は、耐力壁をうまく活用してキッチンを独立型のように見立てています。

実際はリビングと同じ空間にあるため、料理をしながら子どもの様子を眺めたり、家族とコミュニケーションをとることが可能。

 

しかし、うまく壁で空間を区切っているため、小さい子どものキッチンへの侵入を防ぎやすい、友人が遊びにきてもキッチンの雑多さを見られなくて済む、などのメリットを生み出しています。

 

壁式構造の耐力壁は、リノベーションをする際に障害になると思われているかもしれません。

しかしうまく活用することで、メリハリのあるデザイン開放感のある空間を両立できます

耐力壁を収納として活用した例

 

一見、ひとつの部屋にみえるかもしれません。

しかし、実は室内干し用の部屋と自室のあいだにあるスペースをウォークインクローゼットとして活用しています。

 

壁が取り壊せないため、廊下として活用するには広すぎました。

その空間をうまく活用し、デッドスペースにならないように工夫しています。

それだけでなく、ウォークインクローゼットと活用することで、部屋干しが終わった服を、すぐにクローゼットに収納することが可能。

着替える際は、自室から一歩ウォークインクローゼットに入るだけです。

 

このように、生活導線に配慮した活用も可能です。

耐力壁をインテリアとして活用した例

こちらの住宅では、向かって左側から出ている壁に板を取りつけることで、耐力壁を棚として活用しています。

壁式構造の住宅をリノベーションをする際は、この写真のように中途半端な箇所に耐力壁が出てしまう場合もあります。

扉をつけてクローゼットや押し入れとして活用したり、写真のように板だけを取りつけて棚にする工夫も可能。

 

収納としてはもちろんですが、写真や置き物を飾って楽しむことが可能です。

富山県で戸建てのリノベーションを検討している際はユニテにご相談ください

富山県周辺でリノベーションを検討している場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。

 

大規模なリフォームから部分的な施工まで、豊富な実績を誇ります。

壁の構造から変更したい場合はもちろんですが、現在の構造を活用した、スペースに無駄のない快適な住宅を提案します。

 

悩みや希望など、小さなことでもお気軽にご相談ください。

まとめ

壁式構造とラーメン式構造の特徴についてお伝えしました。

 

【今回ご紹介した内容はこちら】

  • 壁式構造の特徴と、メリットデメリット
  • ラーメン式構造の特徴と、メリットデメリット
  • おすすめの構造
  • 壁式構造のリノベーション事例

 

構造をうまく活用して、ご自身が希望する住宅を叶えられるよう、是非参考にしてください。