ルーフバルニーを設置したいけど、後悔しないか不安な方もいるでしょう。ここではよくある後悔事例と、後悔しないルーフバルコニーを設置するために事前に考えておくべきことを紹介。建築会社と必ず相談すべきこともお伝えします。
株式会社ユニテ 設計部
設計部門の責任者として年間20棟以上の新築住宅設計を手掛ける。
【 保有資格 】
一級建築士 / 建築施工管理技士一級 / 宅地建物取引士 / 応急危険度判定士
「ルーフバルコニーを増築したいけど、本当に使うかな」
「お金の無駄になったらどうしよう」
など、ルーフバルコニーへの憧れはあるけれど、実際に設置するとなると、迷いや不安も生じますよね。
実際に、ルーフバルコニーを設置して後悔したという声はあります。
一方で、設置したからこそ家族との時間や一人の時間がより豊かになったという意見もあります。
ルーフバルコニーを設置する前に、その特徴をよく知って、自分に合うデザインを建築会社と決めていくことが重要です。
そのため、この記事では次のことをお伝えしていきます。
- ルーフバルコニーを設置して後悔した事例
- ルーフバルコニーを選んで良かったという事例
- ルーフバルコニーの設置を後悔しないための工夫
- 後悔のないルーフバルコニーにするために設計しと相談すべきこと
ルーフバルコニーとは
ルーフバルコニーとは、階下の屋根スペースを活用してつくられバルコニーを指します。
屋根がないデザインが多く、一般的なバルコニーやベランダよりも広いことが特徴です。
そのため、日当たりが良く、洗濯物の天日干しや家庭菜園の場として活用可能。
さらに広々としていることから、バーベキューや子どもの水遊びなどにも活用できます。
ルーフバルコニーには後悔が多いって本当?
ルーフバルコニーは、おしゃれさや多目的で活用できる実用性を備えている一方、「なくても良かった」「普通のバルコニーで十分」という声もあがっています。
後悔する主な理由は、以下の5つです。
- 維持管理が大変
- お金がかかる
- 使い勝手が悪い
- ご近所さんが気になる
- 安全性に不安がある
ルーフバルコニーの後悔1. 「維持管理が大変」
ルーフバルコニーは屋根がなく、広々としており風通しも良いため、落ち葉が飛ばされてきたり、雨の影響を受けやすいデメリットがあります。
一般的な屋根であれば斜めに設計されているため、雨は自然と家の外へと流れ落ちていきます。
しかしルーフバルコニーは平面であることから、なかなか雨が排出されず、放置していると雨漏りを起こしてしまうことも。
落ち葉などのこまめな掃除はもちろんのこと、雨を外に逃がすための排水溝が詰まらないように、手入れをする必要があります。
ルーフバルコニーの後悔2. 「お金がかかる」
ルーフバルコニーを設置する際の費用はもちろんですが、メンテナンス費用もかかってきます。
雨漏り防止のため、ルーフバルコニーには防水加工がほどこされていますが、時間の経過と共に効力は落ちてしまいます。
そのため、定期的な防水工事が欠かせません。
頻度は約5年から10年ほど。
価格は1㎡あたり3,000円から8,000円ほどです。
ルーフバルコニーの後悔3. 「使い勝手が悪い」
趣味の場や子どもの遊び場としても活用できるルーフバルコニーですが、使い勝手の悪さを感じる方もいます。
自分や家族の生活スタイルに見合った使用目的がなかったケースや、家全体の設計に問題があり、結局使わなかったケースです。
例えば、ルーフバルコニーをつくったものの、脱衣所や洗濯機から遠く、家事へのストレスが増えてしまうこともあるでしょう。
また家庭菜園を楽しんでいても、台風対策や害虫対策の負担がかかってしまう場合もあります。
ルーフバルコニーの後悔4. 「ご近所さんが気になる」
ルーフバルコニーの広々とした空間を活用して、レクリエーションも楽しみたくなりますが、ご近所さんへの配慮も欠かせません。
例えば隣家との距離が近い場合は、バーベキューをするときのにおいが気になってしまいます。
ルーフバルコニーは室内と違って壁がないため、声がほかの家にまで届きやすく、騒音への配慮も必要です。
また視界が開けているため、ご近所さん宅の窓からベランダの様子が丸見えなんてことも。
ルーフバルコニーの後悔5. 「安全性に不安がある」
なかでも小さなお子さんがいる家庭は、安全性に不安を感じるケースがあります。
ルーフバルコニーは手すりで覆われていますが、そのすぐ近くに花壇やブロックを置いてると、子どもが乗り越えてしまう危険性があります。
また、手すりのちょっとした隙間から子どもが落ちてしまうリスクも否定できません。
子どもがバルコニーに出るときはかならず付き添うことはもちろんですが、安全を配慮して設計を考えるのが大切。もしくは転落防止ネットを設置することで、リスクを軽減する工夫を取り入れることも可能です。
ルーフバルコニーを付けて良かったという人の声
維持管理など、苦労する点や考慮すべき箇所があるルーフバルコニーですが、それでも設置して良かったという声があがっています。
その主な理由は、次の5つです。
- 洗濯物が乾きやすい
- ガーデニングや家庭菜園を楽しめる
- レクリエーションを楽しめる
- 息抜きの空間になっている
- 子どもを外で遊ばせる機会が増える
洗濯物が乾きやすい
ルーフバルコニーの特徴のひとつは、ベランとは違って屋根がないことです。
そのため周囲に高い建物がないかぎりは、日光が入り込みやすく洗濯物が乾きやすいというメリットがあります。
また、広々と洗濯物を干せるのもうれしいポイント。
家族の寝具を洗濯したい日に、洗濯を何日かに分ける必要がありません。
また、カーペットやカーテン、クッションなども天日干しのスペースを気にせず干せます。
ガーデニングや家庭菜園を楽しめる
日当たりの良さや広い空間を活用して、いろんな野菜や植物を育てることができます。
無機質になりがちなベランダやバルコニーに、緑や野菜と花のカラフルな色が加わると、視覚的にも明るくなります。
さらに、子どもがいる家庭からは「食育につながっている」「好き嫌いが減った」という声も。
一から野菜を育てていく様子を見ることで、食事のありがたさを実感できるのかもしれません。
また、自分がつくった野菜なら食べたいと思う子ども達もいるようです。
レクリエーションを楽しめる
ルーフバルコニーの設置目的で多いのが、バーベキューや子どもの水遊びなどのレクリエーションです。
親の仕事終わりや子どもの学校帰りなど、かぎられた時間でもレクリエーションの時間を設けることで子どもの体験を増やせるのがうれしいところ。
知人を呼んで、ルーフバルコニーでプチパーティーを開催することもできます。
お庭をつくりたいけれど敷地がかぎられているから無理という家でも、ルーフバルコニーを設置すれば、楽しい憩いの場を設けられます。
息抜きの空間になっている
ルーフバルコニーは、家族や友人との交流の場としてだけではなく、少し外の空気を吸いたいときや、気分転換をしたいときにも活用できます。
読書が好きな方も、ルーフバルコニーにイスやテーブルを設置して、ゆっくり本を読みながら休息をとることも可能です。
また、散歩に出かけるときのように軽くメイクをしたり洋服を着替える必要がないのも、ルーフバルコニーならではです。
子どもを外で遊ばせる機会が増える
外出するほどの予定もなかったり、近くに公園がなかったりするとき、ルーフバルコニーは子どもにとって、ぴったりの遊びの場になります。
どうしても家にいると、ゲームやテレビなど電子機器に触れる時間が多くなってしまいます。
しかしルーフバルコニーは、公園に行かなくても日光を浴びながら伸び伸びと遊べるという理由で人気です。
子どもを外に連れていくために身支度をしたり車を運転する手間がかからないことに、喜んでいる親も多いよう。
日常に取り入れたい、ルーフバルコニーの手入れや工夫
ルーフバルコニーで、自分の時間や大切な人たちとの時間を充実させるためには、日々の手入れや工夫が欠かせません。
ちょっぴり面倒くさそうと感じるかもしれませんが、やってみると意外と負担に感じないことも。
ルーフバルコニーを設置したあとに心掛けるのは、次の4つです。
- 定期的な掃除と点検
- ご近所への配慮
- 子どもから目を離さない
- 台風対策を考えておく
定期的な掃除と点検を欠かさない
ルーフバルコニーで、特に気を付けたいのが排水溝の詰まりです。
あまり放置してしまうと、自分では解消できなくなり、工事の依頼が必要になることも。
雨が降った、または風が強かった翌日や排水溝の表面に水が溜まっているときは、ラバーカップで詰まりを解消しましょう。
また、手すりやフェンスに腐食や破損はないかを定期的に確認しておくと良いでしょう。
防水加工のメンテナンスも定期的に必要です。
業者とメンテナンスの間隔をきちんと共有し、時期が近づけば作業を依頼しましょう。
ご近所さんへの配慮を忘れない
どうしてもルーフバルコニーで食事をした際のにおいや、遊んでいるときの声が周辺の家に届いてしまうことがあります。
そのため、すぐ隣に家があるときはにおいの強い食材の調理は控えるようにしましょう。
夜間は声の大きさに配慮するか、ルーフバルコニーの使用を控えることが大切です。
子どもから目を離さない
手すりの近くに置いているものや室外機に登って、子どもが落ちてしまうリスクは常にあります。
ほかのことに集中していると、広いバルコニーでは子どもの様子が視界に入りにくい危険性もあります。
ルーフバルコニーで子どもを遊ばせるときは、かならず一緒にいることや目を離さないことが大切です。
また、勝手に子どもが外に出てしまう可能性もあるので、鍵は常にかけておきましょう。
子どもが誤って鍵を開けてしまうこともあるため、子ども用や防犯用の後付けロックを設置しておくと安心です。
台風対策を考えておく
ルーフバルコニーは開放感のあるスペースであることから、植木鉢や花壇、ソファやテーブルなど、様々なものを置きたくなるもの。
ですが、台風が来るとせっかく育てた野菜や植物が荒れてしまったり、家具が破損したり汚れてしまう可能性があります。
台風の際、小物類は壁際に移動するか、紐で強く結びつけておく工夫が必要です。
家具には、上からブルーシートをかぶせるようにしましょう。
天候が悪いときに片づけられるスペースを用意しておくと、なお良いでしょう。
後悔しないために建築会社と相談しておくこと
自分で日々行える工夫を取り入れるのはもちろんですが、ストレスのないルーフバルコニーにするには、設置時に建築会社とベストな設計を考えておくことが大切です。
つくって良かったと思える、後悔のないルーフバルコニーにするために、次の4点は建築会社と相談するようにしましょう。
- 防水工事にはどの素材を使用するか
- 手すりのデザインはどうするか
- 屋根をつけるかどうか
- 洗濯導線をどうするか
防水工事にはどの素材は何を使用するか
防水工事はルーフバルコニーに欠かせません。
素材によって価格や耐久性は変わってくるうえ、定期的なメンテナンス工事も必要になります。
長期的に使用できる素材を、建築会社と相談しながら選びましょう。
主な素材は、おおまかに次の4つに分けられます。
ウレタン防水
ウレタン樹脂を重ねて塗り、防水層をつくります。
バルコニーの形問わず使用でき、ひび割れにも強いうえ、費用も比較的安めです。
FRP防水
価格よりも品質を重視する方におすすめなのが、FRP防水です。
ガラス製繊維強化プラスチックで防水層をつくり、高い強度と熱への耐久性を誇ります。
シート防水
ゴムや塩化ビニールのシートで防水層をつくります。
価格は比較的抑えられますが、耐久性やデザインはさまざまです。
希望のルーフバルコニーに合うシートの種類を、建築会社と選ぶようにしましょう。
アスファルト防水
溶かしたアスファルトを塗り、防水する方法です。
費用面と耐久性のどちらも優れており、メンテナンスをすることで、より長期的に活用できます。
手すりのデザインはどうするか
手すりのデザインによっても、ルーフバルコニーの雰囲気は変わってきます。
また、子どもがいる家庭は安全性も考慮しておきましょう。
ここでは3つの手すりの種類を紹介します。
格子タイプ
隙間が空いていることから、開放感を感じられるデザインです。
風通しが良いので、ルーフバルコニーで洗濯物を干したいひとにも、おすすめ。
しかし、その隙間を小さな子どもがすり抜けてしまう危険性があるため、子どもがいる家庭はネットを張るなど対策が必要です。
また、視界を遮るものがない分、外側や隣家の同じ階からバルコニーのなかの様子が見えてしまうデメリットがあります。
腰壁タイプ
壁のように、外側からは見えない仕様になっています。
転落の危険性が低く、外側からバルコニー内が見えないようになっています。
そのため、洗濯物を干す際や子どもと遊ぶ際に「外から見られているかも」という不安が軽減されます。
一方バルコニーが狭いと、日光が入りにくかったり開放感に欠けてしまうなどのデメリットがあります。
ガラスタイプ
ガラスタイプをはめ込んだ手すりです。
格子のような隙間がないため安全性が高い点で人気です。
また、光を取り込めるのもうれしいポイント。
展望や開放感重視の方向けの透明ガラスと、プライバシーも大切にしたいすりガラス式の2種類から選べます。
屋根をつけるかどうか
一般的に屋根のないデザインをバルコニーと呼びますが、屋根を追加することもできます。
日陰で一休みできる空間を確保したい方や、小雨のときに軒下で洗濯をしたい方におすすめ。
さらにバーベキュースペースやテーブルのうえにシェードを取り付けることで、昼間の日差しが強い時間帯でもレクリエーションを楽しめるようになります。
洗濯導線をどうするか
洗濯導線とは、洗濯機で洗ってから、干して畳んで片づけるまでの一連の動作に関する間取りです。
ルーフバルコニーで洗濯物を干したい方もいるかもしれませんが、洗濯機の場所が離れていると不便さに繋がります。
ルーフバルコニーを設置する予定の箇所が洗濯機から離れている場合は、次のような工夫も可能です。
- 別の場所にベランダやサンルームなど、洗濯物を干すための空間を追加する
- 脱衣所の近くに室内乾燥をできるスペースを確保する
富山県でルーフバルコニーを検討している際はユニテにご相談ください
富山県周辺でルーフバルコニーの設置を検討している場合は、ぜひ一級建築士が在籍する「ユニテ」にお気軽にご相談ください。
大規模なリフォームから部分的な施工まで、豊富な実績を誇ります。
またアフターフォローも行っているので、工事後に不安がある方もご安心ください。
ルーフバルコニーで伸び伸びと生活できる空間をつくれるよう、ご提案いたします。
まとめ
今回は後悔のないルーフバルコニーをつくるために、工夫できることをお伝えしました。
【今回ご紹介した内容はこちら】
- ルーフバルコニーに起こりがちな後悔事例
- ルーフバルコニーを設置するメリット
- 後悔しないために日々できる工夫
- 事前に建築会社と相談しておくこと
ルーフバルコニーを設置したい理由をしっかり考え、それに合わせたデザインを選べるよう、参考にしてください!